2015/04/12 - 2015/04/12
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ちびのぱぱさん
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大地のあらゆる方角からわき上がるようにマガンの群れが飛来し、
やがて沼の表も、果てしない空知の大空さえも覆い尽くします
その圧倒的なパワーに押しつぶされそうになるのを堪え、カメラを構えました。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- 自家用車
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早春の石狩平野
札幌の上空を、白鳥やマガンの群れが渡ってゆくことがあります。
人口200万の大都市ですが、札幌南部には時折ヒグマが出没し、北部にある我が家の近くは猛禽類のミサゴが見られるとあって、バズーカ砲のようなレンズを付けたカメラを抱えて野鳥愛好家がうろうろ。
ちなみに、野鳥愛好家のことを最近、バーダーというらしい。
昔からあった言葉なのかなあ。
来歴をググってもそれらしいものは見あたらないので、日本人お得意のあれかも知れません。
ナイターっていう言い方は、最近やめたようです。
バーダーって言うと、なんだかバーターみたいで、ミサゴを見に来たのによく見たらトンビだったりして。
そうだ、今頃はマガン飛来の時期ではなかったろうか。
ふとひらめきました。
美唄市の宮島沼のホームページには、ただ今6万羽という告示。
ゴクリとつばを飲む。 -
マガンの観察には、朝のねぐら立ちと夕方のねぐら入りとがあります。
本日のねぐら入りは午後5:30〜だそうで、我が家から車で一時間、十分に間に合う。
当別町を過ぎ、中小屋温泉の手前あたりの畑に残雪……。
と思ったら、なんと白鳥の群れが覆い尽くしているのでした。
そういえば白鳥も3000程飛来していると言います。
ちょうど畑を起こしたらしく、白鳥の隙間に黒々とした土が見えています。
ミミズでも食べているのかな。
まだ帰宅時間が来ていないとみえて、おっとりしています。
車を停めて写真を撮ろうかと思いますが、先を急ぐことにしました。
あっちで会おうね、あっちで。
-
日曜の夕方とあって、バズーカ砲をずらりと並べて待ちかまえる人々。
写真がデジタルになって泣いたのは写真屋とフィルム会社、笑ったのはカメラメーカー、かな。
「うぎゃー。」
「キャー、おねーちゃんやめて〜。ギャハハハ。」
と、耳をつんざくような絶叫が後ろから聞こえる。
よせばいいのに小さい孫を二人連れてきた方がいて、うん十万の機材を乗せた三脚の間を稲妻のように追いかけっこをし、観察小屋の扉をダイナマイトのような音をさせて開け閉めする。
最近の最高裁の判決が頭をよぎる……。
こどもに罪はありません。
「出待ち」は退屈ですからね。 -
すでに湖面にはお早い帰宅のマガンと、その向こうには遠慮がちに白鳥たち。
宮島沼
北海道美唄市の宮島沼がラムサール条約に登録されたのは2002年といいます。
ラムサール条約といえば、湿原を守るための条約だったかなあ。
調べてみたら、ラムサールは、イランにあるカスピ海沿岸のリゾート地なのだそうです。
湿原というのは何かと壊れやすいデリケートなものですが、それなら人間はそれを保護しなければいけない、ということで1971年にそのラムサール(イラン語でラームサル)で、条約が結ばれたという。
ふ〜ん。
確かにこのあたりには水鳥たちが餌場に出来る場所が多く、安全に夜を過ごせる宮島沼は、人気の中継点なのでしょう。
もう2週間もすれば、彼らは遠いシベリアに旅立ってしまう。
春と秋のひととき、この沼は鳥たちのラッシュアワーを迎える。
なんとなく人間くさくておもしろい。
行き方は、自動車が断然お勧めですが、札沼線の月形駅から岩見沢行きのバスで大富農協(220円、所用8分)までゆき、そこから徒歩15分でゆけます。
岩見沢までのバスは35分で運賃650円。(いずれもホームページ調べ) -
「条約」で守られているからして、人間は鳥さんたちの機嫌を損ねないように、控えめに観察しなければならない。
「条約」のおかげか、大変立派なビジターセンターも出来て、教育的な役割も果たしているようです。
日曜日だからなのか、小学生たちがカウンターを渡され説明を受けていました。
彼らも、6万のマガン、3千のハクチョウといった統計をとる一助になるらしい。
ちょっと緊張している。 -
マガン飛来
時計が5時半を廻ると、三々五々帰沼する群れがやってきます。
マガンは羽を広げると1.5mにもなり、初めのうち遠くに点線のように見えたものが、近づくにつれはっきりと肉眼で識別できるようになる。
さおになり、かぎになり、沼の上空に達する。
あ、とつぜん列が乱れ、夕日を浴びたマガンがひらひら舞い落ちる。
なるほど平沙落雁です。
優雅なねぐら入りに満足して、多くの人が引き上げてゆきます。
しかし、以前に3万程の飛来数の時にねぐら立ちを見たことがあります。
その数でも、この沼の表の3分の2程を覆い尽くすぐらいいました。
ということは、まだほんの序章でしかない。
そのうちに、とんでもないことが起きるに違いない。 -
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宮島落雁
30分程は、ときおり10〜20羽程度の群れが散発的に戻るという状況が続きます。
しびれを切らせて帰ってしまう人々続出。
やがて日没を迎える頃、その時はしかしやってきました。
大地の四方八方からわき上がるようなマガンの大群が、あとからあとから無尽蔵に供給されてくる。
必死でシャッターを切る人々。
けたたましいマガンたちの鳴き声と羽ばたく音。
私はといえば、空を覆い尽くすマガンの群れに、声を失っていました。
それでも、何枚かシャッターを切りましたが、この感動を写真に納めるなど、私の腕ではとうていかなわないのを悟り、この瞬間にただ身を委ねることにしました。
滋賀県近江八景に、堅田落雁というのがあります。
昔から日本人は、夕刻にねぐらに帰る雁に風情を見たんですかねえ。
いつか、そっちのほうも、見てみたいですねえ。 -
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これは白鳥の群れか。
どさくさに、紛れている感じです。
なんといっても、マガンの数がすごい。 -
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とつぜん、すでに羽を休めていたマガンたちが一斉に飛び立ちました。
オジロワシの登場に驚き、パニックを起こしたようです。
ねぐら立ちの時のような騒々しさ。 -
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なぜか、白鳥は悠然としている。
しかも、向いている方向が逆向き。 -
ほんの1,2分で落ち着きを取り戻す。
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そう言っている間にも、ぞくぞくと集結する。
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いったん雲の中に姿を消していた太陽が、最後の一瞬を演出すべく、ふたたび姿を現しました。
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空を覆い尽くす。
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そして静かに山の端に消えてゆきます。
しかしマガンの群れはますます増え続け、遅れてくる群れはどこか焦っているかのよう。 -
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彼らは、シベリアまでの4000キロの旅の途上にある。
そんなに遠くに行かずとも、北海道の夏も悪くないですよ。
エサがなくなっちゃうのかな。
もらったパンフレットによると、秋の刈り藁の搬出や、春の畑起こしの時期をずらすことで、彼らのエサを確保してあげられるのだそうです。 -
もはや、湖面全体に広がるマガンたち。
かなりの過密状態です。
安全第一で、多少の不便はガマンするマガン。
マガンのねぐら入りは、日没後の闇が訪れても続きました。
翌朝、日の出前に繰り広げられるであろう壮大なねぐら立ちに備え、つかの間の休憩をするのでしょう。
地球を感じる、写真では表せなかったひとときを過ごした私たちは、その感動を伝える表現を探しながら言葉の海を漂いつつ、家路へと車を走らせました。
というか、もっと広角のレンズを装着すれば良かったんだな……要は。
メモ
公共交通機関の時刻を記しますが、万一これを見てゆかれる方は、事前に十分確認の上自己責任で。
札幌15:00発(学園都市線)
当別15:40着
15:50発
月形16:23着
月形16:30発(岩見沢行きバス)
大富農協16:38着
徒歩で宮島沼へ
帰りのバスは、月形行きが18:25と19:40発、岩見沢行きが18:53発ですから、良い計画が必要です。
ちなみに、沼の周りの道は日が暮れると真っ暗ですから、ヘッドライトなどが必要かと。
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この旅行記へのコメント (4)
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- わんぱく大将さん 2015/05/07 18:59:19
- どこも過密状態
- ちびのぱぱさん
私は子供の頃から鳥がだめな人間で。ヨーロッパにきて、だいぶ慣れましたが(鳩が多いので)それでもいまだにびびります。
夕方になると自分の家の窓から鳥がどこからか集まってきては群れをつくリ、その群れが段々と大きくなる。あれっておもしろいですよね。
あと、姫路の大手前通り(お城に通じる)の木々に夕方になると鳥が集中して、うるさいのなんのって、その木の所には“鳥の糞に注意”と書かれたものが貼ってあるのですが、なんなんでしょうね あの集まりは?
マガン、読み進めているうちに私もガマンと見えるようになりました。
この間アイヌの旅行記拝見させていただいた日、街を歩いていて、”ピリカ”を口ずさんでる自分がおりました。
大将
- ちびのぱぱさん からの返信 2015/05/08 20:56:08
- RE: どこも過密状態
- 大将さん
ときどき、びっくりするような大群になって空を飛ぶ鳥にムクドリがいますが、まるで生きた雲のようです。
れんちゅうは、秋になると群れたくなるらしい。
大将さんが鳥がにがてとは知りませんで、失礼しました。
連休最終日になって漸く時間が出来、ひさしぶりに帯広に行ってみました。
天気に恵まれましたが、雨が少ないので植え付け前の畑から砂塵が舞い上がり、黄砂に悩まされる中原のようでした。
大将さんのブログのスペインの犬たち、幸せそうですね。
昔パリで、なんども犬のウ○チを踏みましたが、スペインの飼い主はきちんと後始末をするようですね。
札幌あたりでは、ちっちゃい犬がはやっていて、いいおじさんが子猫のような犬を大事そうに連れて歩いています。
ちょっと絵にならないな、なんて思っています。
ちびぱぱ
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- 蔦之丞さん 2015/04/17 16:18:23
- 凄い光景ですね〜!
- まるでヒッチコックの世界の様で
怖さを感じます←汗
流石に白鳥は堂々とした貫禄?
落ち着き払っている様にも見えますね!
- ちびのぱぱさん からの返信 2015/04/17 17:55:11
- RE: 凄い光景ですね〜!
- おっしゃるとおりです。
鳥目といいますが、けっこう夜間でも飛んでますね。
先日も、夜7時頃に鴨の大群がうちの上空を飛んでいました。
いったいどこに行くのでしょう。
地球に住んでいるのは人間だけではないと思い知らされます。
ご訪問ありがとうございます。
ちびぱぱ
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