2014/12/29 - 2015/01/04
322位(同エリア621件中)
Shunさん
現地での長距離移動を終えこれから観光というまさにその時、ホルタルに巻き込まれた二人と一機。
手配するはずの現地ツアーは催行不能に陥り幹線道路も封鎖される中、そもそも無事帰国便に間に合うのか?
海外旅行初心者が助っ人とともに挑む、バングラデシュ4泊5日の旅。
- 旅行の満足度
- 2.5
- 同行者
- 友人
- 一人あたり費用
- 10万円 - 15万円
- 交通手段
- 高速・路線バス タクシー 飛行機
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
ふかふかのベットで一夜を明かし、バングラデシュ生活も二日目に突入。
起きてTVのニュースを見ると、どうやらホルタル関連のニュースをやっている様子。
画面に映るダッカの風景は、一昨日のそれとうって変わってゴーストタウンにすら見えるほど交通量が減っていた。
部屋にいても、昨晩かなり深い時間までなっていたクラクションが今はまったく聞こえない。
朝8時、お腹も減ったのでレストランにて朝食。
昨日のバスで朝食に食べたナン(ルティというらしい)に、チキンカレーやカリフラワーの香草和えを巻いて食べる。
ジュースサーバーには100%ミカンジュース。
バナナも日本のものより小ぶりで濃厚、個人的にはこちらのほうが酸味が強くて好みだ。
食べ物が美味しいのが本当に嬉しい。
部屋に戻って今後の作戦会議。
といっても主要交通機関が動いていない今、出来そうな事は街歩きくらいだが。
フロントに話を聞くと、どうやらこの辺りは安全な様子。
ダッカや幹線道路のマズイ所でなければ大丈夫、ただ念のため気をつけるようにとアドバイスされる。
早速荷造りをしてクルナの町を散策する事にした。
連泊の申し込みは昨晩のうちに済ませておいたので、部屋にどうでも良い荷物を残してドアのカギを閉めた。
隣の部屋で作業していた人物に部屋を綺麗にするよう頼んでいたS氏だが、あれはどう見ても部屋のペンキを塗りなおしているペンキ屋だ。
右手にハケを持ちきょとんとした彼、英語が通じてしまっていたら帰ってくる頃には僕らの部屋は真っ白になっている事だろう。 -
ホテルを出るとなるほど確かに、昨日に比べるとかなり閑散としている。
といってもさすが人口密度世界一、それなりに街は動いている。
そして視線は相変わらず突き刺さってくるうえ、3分に1度は話しかけられる。
是非ともそこもホルタルでお願いしたかったが、叶わぬ夢であった。
勿論国際交流、旅先の出会いというのは旅の醍醐味であると思う。
それは認める、だがこの国はやり過ぎだ。
外国人を見つけたら話しかけなければ罰せられる法律でもあるのかないのか、たぶん無い。
しかし国会で議題に上がれば採決は与野党一致で採決される事間違いなしの勢いだ。
そしてダッカのそれよりは多少ましだが、相変わらず埃が酷い。
S氏は昨晩からずっと咳と鼻水に苦しめられていた様子。
僕はと言えば辛いカレーに尻をやられるわけでもなく、非常に体調は良い。
咳込むS氏のほうがなんだかセンシティブな気がして、どうも癪だった。
空き地に作られたバドミントンコートや、広場でクリケットを楽しむ子供たち。
昨日よりは若干恐怖心は和らいだが、小道で人通りが少なくなるとやはり勇気が出ない。
ガラスのハートは入国当初から既に粉々である。
大通りをのんびり歩くだけで、今朝暇に負け新たに芽生えたばかりの僕の小さな冒険心は充分に満たされた。
渡し船に乗ってみたいというS氏は、川への道程を聞いていた。
ここから5分くらいで行けるぞ、という情報を通行人から得るわずかな時間でも周りは既に人、人、人。
原宿を歩くきゃりーぱみゅぱみゅもこんな気持ちなのだろうか。
スターもなかなか心労がたまるようだ。
川に向かって歩くと途端に農村部、といった雰囲気になり、視線から解放されて少し旅情緒を味わうことができた。 -
※牛
-
川を一本超えると土手沿いに集落が続いていた。
トタン屋根のバラックで小さな商店が営まれ、軒先では数人が談笑している。
田んぼが広がるなか牛が数頭悠々と道路を闊歩していた。
子供たちは綺麗とは言えないため池で水遊びに興じ、気付けばそのうちの一人が話しかけてきた。
詳しい内容は覚えていないが、この辺に船着き場はない事、この先来たほうに戻る橋はしばらくない事なんかを教えてくれた気がする。
ぐるっと周遊する事を考えていた僕らは、少し集落が切れてきたところでUターン。
するといつの間にか現地の子供たちを引き連れて大名行列の様相に。 -
※まだ若干遠慮がちな距離感
-
帰り道途中見つけたチャ屋さん?でチャ初体験。
年季の入った木製ベンチに座るよう促され、子供たちに囲まれながら2杯注文。
騒ぎ立てる子供たちをたしなめつつ店主は小さなカップを沸かしたお湯で流す。
カップにどさっと白砂糖、嵩でいえば全体の4分の1程とかなりの量だ。
カメラを向けると照れながら紅茶をそそいでくれて、ミルクを入れかき混ぜて完成。
一杯5タカ、日本円で8円位。
飲んでみると紅茶の良い香りと程良い渋み。
ただ案の定激甘、マックスコーヒーよりも甘い。
温かいチャを飲みながら皆に日本の話なんかを少々、この辺は今旅のハイライトの一つだと思う。
街中でも似たような光景をよく見ていたが、実際やってみるとお茶のみが娯楽になっているというのもよくわかった。
10分ほどお茶のみを楽しみ、お礼を言って店を出る。 -
※この味と雰囲気は一生忘れないと思う
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※まっすぐな目、写真と聞くと大喜び
-
子供たちにお別れを行って市街へ戻る。
別れ際マネー、マネーと口にしていたが残念、ベンガル語が理解できない我々はそのまま振り返ることなく歩いた。
バスターミナルの付近に着くとS氏はバスを探し始めた。
どうやら隣町バゲルハットに行きたい様子。
当たり前だがバスターミナルはやっておらず、んなもんないよと一蹴されていた。
乗ってみれば何とかなるやろ、と今度は3輪タクシーに声をかけたところで僕がギブアップ。
彼の興をそぐのも申し訳ないので、僕は一人でホテルで留守番をする事にした。
S氏はクレカと高額紙幣入りの財布を僕に預けると、
S「夕方までに戻らんかったら大使館に連絡してね」
冗談か本気か分らぬがそう言い残すとクルナの街の雑踏の中に消えていった。
既にお気づきの方も多いと思うが彼は完全なク○イジーボーイだ。
シリア、レバノン、イスラエル、イラク、当然時期は今より昔ではあるが足取りが戦場カメラマン並みに派手である。
パスポートを拾った人物が、
拾「ああ、このパスポートの持ち主は国境なき医師団の医師か○○○○国のどっちかだな…」
と勘違いをしても全くおかしくはないだろう。
僕は部屋に戻ると身体を大の字にベッドに放り投げる。時刻は15時少し前。 -
※部屋にはメッカの方角が
-
※いつ祈りたくなっても安心の24時間放送イスラムチャンネル
-
ほどなくチャイムがなり、今頃になってルームクリーニングが到着。
部屋にいても良いという事なので仕事ぶりを見学。
あっさりとモップをかけ、シーツをなおして終了。その間約5分。
彼らが出て行ったあと特にやる事もなくなったので衛星放送でアナ雪を観賞。
幸い英語だったので多少聞き取れるものの、いよいよ何をしに来たか分からなくなってきた。
今頃地元の同級生たちは美味しいお酒を飲んで年越し蕎麦でも食べてるんだろうなぁ。
そういえば数年ぶりに大阪から叔母さんが帰ってきてるんだっけか。
お母さん僕は今異国の地でストライキに巻き込まれ、友人に置いて行かれ、一人ホテルでディズニー映画を見ています。
そんな事を考えて少し落ち込むも、外に比べればここは天国だと開き直る。
映画がウィルスミス主演アイロボットに変わったころ、S氏からラインで入電。
どうやら無事観光を楽しみ帰還の最中だそう。
海外旅行を楽しむコツ、きっとそれはちょっとの勇気。 -
部屋のチャイムが鳴り、ドアスコープを覗くと満足げな表情のS氏。
現地学生を仲良くなり、観光案内をしてもらったらしい。
念願の渡し船にも乗れたようで、沈没しそうだったわーとはしゃいでいた。
隣町バゲルハットは遺跡が有名で、実際いくつか回ったらしい。
曰く、観光地化があまり進んでおらず、手つかずの史跡を見るような雰囲気であったそうな。
僕はそういったあまり色気のない?廃墟も好きだったりするので、行けなかったのは少々心残りだ。
ある遺跡の近くに住んでいた野生のワニの写真、とやらも見せてもらった。
そこには悠々と日光浴をする恰幅の良いワニが映っていた。
この時はこれが彼の遺影となるなんて想像だにしなかった。
(というのも帰国後、とあるワニの訃報がネットから飛び込んできたのだった。
記事を読むとバゲルハット、ワニ、遺跡の近く、野生、等々の語句。
早速S氏に知らせると、
S「あいつや…」
と故鰐を偲ぶ神妙なコメントが返ってきた。
はるか5000キロ以上離れた土地の、しかも野生動物の逝去の報を聞くことになるとは思いもよらなんだ。
僕の知らぬ間に随分と情報化社会になったというか、グローバル化が進んだというか。)
お土産話を聞くうちに小腹がすいてきたので、ホテルの前の商店からお菓子を買ってきて頂いた(上の写真のもの全部で100タカ、美味しかった)
僕はもうこの暗闇の中を一歩たりとも歩きたくない、と駄々をこねる28歳男性を見かねて、心優しき友人が代わりに買ってきてくれたのだった。
このエピソードをS氏の両親が聞いたら、うちの息子をなんだと思ってるんだ!と怒り狂う事であろう。
しかし見知らぬ土地でクライシスでデンジャーな列車に乗せようとした事を僕の両親に話せば、同じくらい怒り狂うだろうとも思う。 -
※例のワニ、死因は観光客の餌のあげ過ぎからくる肥満(らしい)
-
昨晩交わした無責任なジムでの約束(と書いてプロミス)を果たすことなく、我々は3日目の朝を迎えた。
朝食には相変わらず美味しいカレーや新鮮なフルーツが並び、レストランのテレビからはクリケットの試合映像が流れていた。
合間に入るニュースは台北101から撃ちあがる花火を映す。
これが唯一、季節感のないバングラデシュで年明けを感じさせるコンテンツだ。
ここでS氏が、今日は空港への移動をしてみないかと切り出してきた。
確かに昨日街歩きは楽しんだし、出来る事なら今日のうちに少しでもダッカに近付いておきたい。
そして何より、ぼったくりチャーター車7000タカはやはり高い。
このプチリッチ気分を味わえるホテル生活に別れを告げるのは名残惜しく、またこの状況で幹線道路を通るのは不安もあった。
ただ彼の経験上行けると踏んだようで、半ば勢いでホテルをチェックアウトする事にした。
済ませるものを済ませ、いざ空港のあるジョショールまでの移動が始まる。
バスは無いので、まずは今日も休みのバスターミナル近辺で電動リキシャを探す。
クルナからジョショールまでは地図目測で約100キロ弱あり、一台で行く事はほぼ無理だろう。
なので隣の集落まで乗せてもらう事を繰り返し、何とか暗くなるまでにたどり着こうという作戦だ。
ただ集落の名前も分からず、某ガイドブックを開いても勿論地名まで細かくは乗っていない。
どうするか。ここで文明の利器、グーグルマップの登場である。
走ってくれそうなあたりの町の名前を何となく言って連れて行ってもらう、なかなかのギャンブルである。
一台目はほどなく捕まる、某街まで100タカ。
最初の目的地は我々が決めたが、途中当然のように現地人と乗り合いになる。
リキシャ待ちの人の前を行き先を告げながら徐行し、乗るそぶりを見せればそこで交渉成立、乗車と相成る。
車両は後部座席に四名、助手席一名の五名乗車が可能。
だが後ろの席は非常に狭く、前に人が乗ると膝同士がぶつかりそうになる。
発車とほぼ同時に男性客が助手席に乗り込み、運転手合わせて四名で運転開始。
途中何度か客の乗り降りがあり、それを観察していると料金交渉などせずに無言でお金のやり取りをしている。
5分少々の乗車で10タカ程度を渡しているように見えた。
これが現地の相場のようだ。
またしばらく走ると、サリーを着た母娘と思われる二人組が後部座席に乗ってきた。
お母さんの方が気さくな方で、色々な事を聞いてきた。
現地の言葉だったのだが、身振り手振りで何となく伝わってきて、僕らもあれこれ片言ですらない会話を楽しんでいた。
ふと年齢の話になった時に、お母さんが何かを話した後に娘がニコリと笑顔になった。
これは完全な推測だがS氏とも見解が一致した、恐らくお付き合いの相手にどうかと言っているのではないか、と。
残念ながらS氏は既にホテルでプロミスしてしまっていたので、今回は僕が娘さんを…と伝えようとしたところで二人は降りて行ってしまった。
合計で40分くらい走ったところで、リキシャは不意に止まった。 -
少し大きめな街だが、どうやらまだ目的地ではない様子。
運転手は別のリキシャ引きと少し話し、それが終わると僕らのほうに向きなおった。
これはもう乗れないからこっちのリキシャに乗り換えてくれという。
どうしてもこれで行きたいんだとしぶとく交渉するも駄目。
この5分くらいの間にまたしても人だかりができてしまった。
親切心からだろう、このリキシャであなた方の行きたいところまで行ける、と周りの人達はいうのだが、そもそも我々は行きたいところが分かっていない。
そんな説明もできるはずもなく、半分なすがままリキシャに乗せられてしまった。
しかもこのリキシャというのがなかなかに曲者で、座席のない、リヤカータイプとでもいうべきものだった。
僕らのお尻は木の板にダイレクトで乗っかった。
乗り方が分からずふにゃふにゃしている僕に、周りの人は親切に乗り方を教えてくれる。
手はここ、足はここと逐一教えてくれて、いつの間にかリキシャと料金交渉も済んでいた。
この国の人たちは本当に優しい。
お礼を言って出発、二台目は貨物用リキシャ、10分くらいの距離を10タカ。
乗ってすぐに未舗装路に入り、ガタガタと揺れながら細い道をベルをならして突き進む。
行き先が分からない以外は順調だ。朝方心配していた天気も今のところ大崩れしそうな雰囲気はない。
どんどん進むリキシャだが、人気は確実に減ってきた。
さっきまでの賑やかさが嘘のように、田んぼが目に入ってくるようになった。
電動リキシャが見えたところでここで十分とストップをかけ降車。
少し身構えていた支払も事前交渉通りで終了、良い運転手だったようだ。
3代目J SOU…三台目の電動リキシャの交渉も難航。
4台位並んだリキシャはあまりやる気が無さそうで、どうしてもというなら300タカでという。
今更引き返すわけにもいかず、その料金でお隣まで行ってもらうことに。
途中乗り合いにならず、するそぶりも見せないことから自身もぼったくりの自覚はあるようだ。
何故か運転手がもう一人乗車して4人で出発。
途中バッテリーのトラブルだろうか、何度か止まったので具合を尋ねると、
運「ノープロブレム」
そのヒューズボックスの開け閉めは何らかの問題に見えなくもないが、気にしても仕方ないので気長に待つ。
この区間は左手にずっと水田が広がっており、黄金の国ベンガルの一端を垣間見る事が出来た。
また気付くと運転手とS氏が木陰で出すものを出していた。
これもある意味黄金の国ベンガルの一端なのだと思う。いや違うか。
二人が隠れている木はまさに亜熱帯植物の風貌で、遠い国に来たのだと実感する。
1時間位時速20キロのまったり旅を楽しむと、目の前に大きな市街地が見えてきた。ノアパラの町だ。 -
今までの集落よりも規模がかなり大きく、リキシャの数も都会ほどではないがかなり増えた。
交渉も滞りなく終えるかと思いきや、ここでホルタルが牙を剥いてきた。
ジョショールまで行きたい旨を伝えると、この先の道路が封鎖されているため通れないという。
何台か確かめても同じ回答で、行き詰ってしまった。
それでもめげずにS氏が数台と交渉すると、400タカで途中の町まで行ってくれるという一台の電動リキシャを見つけた。
お願いしますと乗り込むとリキシャはすぐ小道に入る。
どうやら幹線道路を通らず、大きく迂回してジョショール(正式には次の集落)を目指すと言っているようだ。
あぜ道の様な所を進んでいくと、農村部の家々が軒を連ねている。
大きな木の葉を屋根にして枝や藁で壁を作る、本や映像の中でよく見た事のある光景だ。
土と木で構成された地味な色の景色に洗濯物の美しい色合いがひと際目を引く。
少し小雨が降ってきたが電動リキシャは屋根付きで安心だ。
この風景の中で聞く屋根を打つ雨音は少し心地よいものだった。
1時間以上乗っていたように思う、何度か通り抜けたものと同じようなとても小さな集落で電動リキシャは止まる。
周りを見渡すが、電動どころかリキシャは一台もない。 -
どうやらこの集落まででこのリキシャは終わりの様子。
とても長距離を走ってもらったので、チップ代わりに100タカ乗せて支払った。
少し元気のない様子でUターンをし、トコトコとあぜ道を帰って行った。
しかし我々はここからが問題であった。
先の運転手が言うには、ここからはバイクタクシーしかないという。
実際視界内で終わる小さな集落にはバイクが数台、リキシャや車の類は一切通る気配すらない。
バイクの運転手たちが話しかけてくるが、S氏はこれを一旦拒否。
僕個人としてはなんだか楽しそうだったのだが、これを「危ない」という。
彼の危険センサーの働きどころがいまいちよくわからない、電車よりはるか安全に見える。
が、断ったところでここにいるわけにもいかず、S氏は2台で行きたいと交渉開始。
料金が二倍になるぞと言われ即行で決裂(今思えば150円位なのだが)。
人生二度目のバイク体験は、3ケツノーヘルになりそうだ。
普通の250ccクラシックの様な風貌のバイクに、前から運転手、S氏、そのリュックを抱えるように僕が跨った。
ステップはS氏が使ってしまっていたので、足置きのない僕は足をぷらぷらしているとバイクは発車。
すると後ろから大きな声でバイクが呼び止められ、10数メートル後方になった乗り場から走ってきた親切なおじさんが僕に足の置き場を教えてくれた。
やっぱり優しい現地の人、バングラデシュの魅力は間違いなくこの人柄だと思う。
改めて発進すると、サスが付いている乗り物なだけあってお尻が全然痛くならない。
細い田んぼ道を抜けると、ほどなく大きな舗装路に乗った。
ジョショールから南に10キロ程にあるマニランプール近郊のバイパスに出たのだ。
太く整備された道路は自動車や横綱大型バスの姿は無く、たまに貨物を積んだリキシャが走っている程度。
そんな空いた道路を走っていると暇なのか、たまに運転手がミラーを僕の顔に合わせてニコニコとほほ笑んでくる。
空気も街中の埃に比べればかなり綺麗で、気温も20度前後と心地いい。
一見なんでもないこのバイク移動は、僕の中で今も圧倒的な色彩を放ち鮮明に心に残っている。
どこまでも真っ直ぐな道路、見渡せば亜熱帯植物に水田、古びたレンガの建物。
ノーヘルの解放感と相まって最高のツーリング環境だった。
同じ事を仮に国内でやるには春秋限定に加え相当の地主である必要か、相応の社会的制裁を覚悟せねばなるまい。
30分も走っていない辺りで、ガソリンスタンドで給油。
何故か油代は僕ら持ち、100タカを支払う。
再びバイクにまたがるとスタンドの店員から乗車指導が再度、僕の乗車姿勢はそこまで不安を掻き立てるものであったのだろうか。
更に15分ほど走ると、ついに目指してきた街ジョショールが見えてきた。
(追記)以下帰国後覚えていた右左折を頼りに作ったルート表
マジットサラニ通り 徒歩
ソナダンガバスターミナル前乗車 電動リキシャ一台目
MAバリストリート(迂回路)
アウターバイパスロード(迂回路)
クルナジョショールダッカハイウェイ(本道)
ファルバリゲートバス停前乗り換え
KUETロード 貨物リキシャ(迂回路)
クルナユニバーシティオブエンジニアリング近郊乗り換え
クルナシティバイパス 電動リキシャ2台目(迂回路)
クルナジョショールダッカハイウェイ(本道復帰)
ノアパラ近郊乗り換え
ノアパラマニランプールロード? 電動リキシャ3台目(細い道のため詳細不明、迂回路)
途中農村集落乗り換え(詳細不明)
ノアパラマニランプールロード? バイクタクシー
ジョショールチャックナガーロード(迂回路)
クルナジョショールダッカハイウェイ(本道復帰)
ジョショールシティバイパス(本道)
ジョショールバスターミナル到着まで約5時間 -
降りた際現在地が分かりやすいように、大きなバスターミナル前につけてもらい降車。
支払いの際運転手が小腹がすいたから200タカくれと言っていたが、S氏が一蹴。
200タカはさすがに言い過ぎたと彼も思ったのかあっさり引いた。
モノには言い方があると思うが、ぼったくりをするには運転手の心はちょっときれいすぎたのだ。
強いて言えば相手が悪かったというのもある。
インドで今にも死にそうなばあさんの火葬用の薪代すら出さなかったと噂のS氏が、ピンピンしている人間の昼食代を出すはずなど無かった。
親切な人々に囲まれないようこっそりガイドブックを開き、比較的清潔そうなハッサンインターナショナルホテルを発見、そのままチェックイン。
荷物を置いて街に繰り出す、お腹がすいていたのでガイドブックに書いてあった中華レストランへ向かう。
しかし地図を見ても全然見つからず、テナントが入っているビルの前を気付かずに2度通り過ぎてしまった。
埒があかなかったので歩いている人に聞いてみると、こっちだと案内してくれた。
その先は電気もついておらずシャッターも半閉まりで、どうみても廃ビルの様子。
かなりおっかなびっくりでついていくと、お目当てのレストラン、チュンビューがあった。
ご丁寧にドアまであけていただいて、入店と相成った。 -
第一印象は、とにかく照明が暗い。
クラブやライブハウス並みに暗い。
メニューを貰ったが読むのに少し明るい方向に傾けなければ読めない位に暗い。
関係あるかどうかわからないが店員さんもまずまずの暗さだ。
ここではチュンビュースペシャルフライドライス300タカと、コーラ60タカを注文。
料理の写真は暗過ぎて手持ちのケータイでは美味しそうに撮影できなかったため割愛。
なかなかの美味であったはずなのだが、超がつきそうな大盛りと照明の色の毒々しさがあり印象的にはちょっと損をしている感じだ。 -
※写真のノイズの多さから暗さが分かる店内
-
※崩壊しかけのビル
-
腹ごしらえを済ませてジョショールの町を歩く。
ケータイショップや家電製品店が並び、見た目とは裏腹に近代を感じさせる街である。
ビリヤード場の看板なんかもあり、ビリヤードを趣味の一つとしている僕は非常に気になったが入ることはなかった。
碌に手入れされていない道具ではきっと満足なプレーもできないだろうし、なんなら台がビルごと傾いている位はあってもおかしくないだろう。
同じ通り沿いの家電店からは爆音でレゲエミュージックがかかっているが、正直これもこの町にはミスマッチだ。
ここまで大きな音を出しても営業できるバングラデシュのおおらかさは、保育所すら作らせてもらえない日本では考えられない事だと思う。
しかしホテルから近いので、部屋に聞こえてこないか少々心配になる。
目抜き通りを一本入り目についた商店にてマンゴージュース購入にチャレンジ。
するとレジ横の一人の青年がさっそく話しかけてきた。
青「おう、どこから来たんだ?」
僕「日本からきてるよ、バングラデシュはいいところだね(のようなニュアンス)」
青「おおそうか、どこのホテルに泊まってるんだい?」
僕「そこのハッサンホテルに泊まってて、今マンゴージュースを買いに来たんだ(のような雰囲気)」
青「よし、じゃあ俺がマンゴージュースをごちそうしてやろう」
そういってレジでマンゴージュース代を出して青年はいなくなってしまった。
親切もここまで来ると罪悪感すら覚えてしまう。
すると店員さんがコップに一杯のジュースを注ごうとしたのであわてて静止、奥にあったボトルを持ってきてこっちが欲しいとお願いする。
青年にはなんだか少々申し訳なかったが、差額をお支払して購入、確か40タカ位。
1リットルの水が15タカ位なので、ジュースはぜいたく品のようだ。 -
※市街を歩く
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※ビリヤード場の入る雑居ビル
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ホテルに戻りエレベーターに乗った時にふと気づく。
どちらも上るボタン。
点字表記(があることにも驚いた)が非対称なところを見ると、どうやらエレベータの知識がない人間がボタンをつける方向を間違ったようだった。
室内には室内灯のスイッチ、換気扇など客が操作する必要が全くないスイッチ群がむき出しになっている。
無駄に好奇心の旺盛なS氏は室内灯を消したりしてまっ暗闇のスリルを楽しんでいた。
メーカーも最大登場人数も不明のチープなエレベーター。
申し訳程度の呼び出しボタンは、押したところで誰かが出るとも思えない。
タワーオブテラーはこのディティールを参考にしてもいいかもしれない。 -
部屋に戻ってルームサービスでも呼ぼうとメニューを見るとミニバーの表記を発見。
この国では御法度とされる酒を置いているとはさすが観光客を意識しているのであろうか。
バングラ産ビールなるものも一応あるようだ、お酒好きとしては一度飲んで見たい代物である。
早速フロントで確認すると「ノー、俺らはムスリムだぞ?」と強めに言われてしまった。
双方得をしない出来事、何とも理不尽である。
あてにならないメニューはもうポイーしてシャワーを浴びる事にした。
昨日までとは違い、バスタブはない。
ホットシャワーが出ると聞いていたが、給湯器が弱過ぎて一向に温まる気配はない。
ぬるさすら感じないそれはほぼ水といってもいい温度。
しかし埃を落としてから布団に入りたかったので気合いの水シャワーを敢行。
気候は温暖とはいえ寒がりには非常に辛い行水であった。
外は暗く特にやる事もなくなってしまったので明日に備えて早めの就寝。
そういえばこの日は元日、S氏の誕生日でもあったので心の中でだけお祝いしておいた。 -
※気に入って飲みまくっていたマンゴージュース
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朝7時、町はまだ喧騒に包まれておらず、大半のお店のシャッターも閉ざされていた。
昨日まで心配していた天気は若干うす曇りだが晴れており、風も穏やかだ。
これも日ごろの行いのよさの賜物であろう、S氏の蛮行の数々を相殺して余りある徳を積んでおいて本当によかったと思う。
朝ご飯は宿泊費(ツイン1800タカ)に含まれていたので、食堂で食べていくことにした。
降りると既に先客の観光客が何組かと、現地のビジネスマン風の男性が数人。
この国の食事は暗い所で取らなければいけないのか、と思うくらいここの食堂も薄暗い。
先に窓際の明るい席を確保し、バイキング形式の料理を取りに行く。
すると、テーブルの上には何匹ものゴキブリ。
料理を温める火の温かさにつられてなのか、皿の下から出てくる出てくる。
本来であれば大パニックなのだが、S氏含め誰しも当然とでも言わんばかりのすまし顔で料理を取り分けていくため、あぁそんなものかとゴキブリを尻目に料理を黙々盛っていった。
初日のトイレ事件から信じられない程の急成長である。
朝食を食べ終わってもホテルでチャーターしてもらったタクシーは来ておらず、また来る気配もない。
この辺のおおらかさは初日から織り込み済みだったのですぐ3輪タクシーを捕まえた。
空港までは比較的近く、のんびりとした移動を楽しめそうだ。 -
※鶏がドナドナされていく風景
-
※熱帯植物と水田の間を抜けるおなじみの風景
-
空港の建物はこじんまりとしていて比較的きれいに保たれていた。
さっきまで泊っていたホテルよりも清潔感あふれるロビーだった。
受付カウンターで書類を記入している最中に、
受「そのカメラはいくらするんだ?」
と首から下げた愛機の値段を聞かれた。
僕「5万タカ位ですかね、ハハ」
嘘である。恐ろしくて事実は伝えられなかった。
ここなら人が少なくて目立たないな、と思って出したそばからこれである。
もう少し気楽なカメラをもって来るべきだったと後悔。
話を聞くとディレイも特になく、帰国がすぐそこまで見えてきた。
そもそも初の海外旅行で帰国が危ぶまれるって…といった事実に気がつくのは帰国してからの他の友人との会話中の事である。 -
※雨上がりの空港前
-
※客待ちリキシャ
-
※国内線チケット
-
1時間ほど待つと乗る機が到着したようで移動を促された。
これまた人生初のプロペラ機。
乗り込むとボロボロの革シートとシートベルト。
最後の方まで楽しませてくれるな、と思う。
轟音を発して離陸した後、機内軽食のサービス。
乾パンと飴、お水のセット。
口にするもお水以外全部美味しくない、というあまりありがたみのないセットだった。
特に揺れる事もなく1時間、ダッカの空港に下り立った。
初日にあれだけの苦労をした移動がこんなにあっさり終わるとは、飛行機は神の乗り物であると感じる。 -
※件の美味しくないセット(何故か未開封で撮影)
-
国内線出口から出ると、初日と変わらず人、人、人。
ハリウッドスターでもここまで人は呼び寄せられないように思う。
警備員にチケットを見せてターミナルに入場すると、IDをつけたスタッフが話しかけてきた。
どうやら先に出国カードを書かなければいけない様子。
パスポートを出すと代わりに書いてくれるという。
この辺りでピンときたこの手口、後からお金取られるパターンまっしぐら。
その旨S氏にこそっと伝えると、
S「タダだよね?」
係「um...」
と非常に玉虫色の返答、これは間違いない。
僕のカードの方が先に書き終わりパスポートを返してもらう。
そしてS氏のカードもほどなく記入された直後、
係「よし、書いてやったからチップをくれたまえ」
予想通りの回答が返ってきた、さあS氏はどう出るのだろうか。
僕は念のため(というかいざとなったら置いて行かれそうなので)半歩下がって逃げる準備は万端。
S「Oh,no,no. Kindness is no money! Thank you!!(原文ママ)」
そう言ってテーブル上のパスポートと出国カード(記入済み)を取ると颯爽と一人で身を翻し入場ゲートへ歩いて行った。
そしてやっぱり置いていかれた。が結果下がった半歩のおかげでぎりぎり助かった。
千尋の谷に突き落とすタイプの教育方針により、危険予知能力バングラデシュにて開花す。
親切な方に書いていただいた出国カードのおかげで問題なく手続きも完了。
空港のお土産屋のラインナップはあまり魅力的でなく、余った現地通貨は再両替とした。
待合室には観光中一切合わなかった日本人の人たちもたくさんいた。
この人たちはどこを見てきたんだろう、と考えながら今日までの旅路を振り返る。
結果万事順調とは行かなかったが、間違いなくオンリーワンな旅の一つであったように思う。
観光自体あまり産業として発達していない国故、不便なところも多々あったがおかげでその国の素に近い風景が見れたのかもしれない。
一カ国目にしてはかなりハードルが高く感じ、あまりバングラデシュの持つ魅力に直に触れられなかった様な気はした。
なのでいつか来るであろう旅慣れた将来、その時にもう一度来てみよう。
それまでこの混沌さと人の温かさが残っていれば良いと思う。
くたくたの身体を乗せた飛行機が飛び立つと、埃と活気を纏った空気が眼下に広がった。
―完― -
編集後記的なもの
遅筆を極め約半年遅れでの全編掲載。
なるたけフレッシュな気持ちでは書いたつもりです。
読み返せば乱文で読みづらいことこの上ないですね、反省。
しかも店の名前やらが超適当で備忘録にすらなっていない始末。
でもハイライト(大して無かったのですが笑)は大体網羅してるはず、です。
正直予想していた旅よりも大分タフな旅になりました。世の中のバックパッカーの皆さんはすごいと確信しました。
誰もしないとは思いますが、一カ国目にはオススメしません!
言葉(英語通じづらい)、交通(整備されていない)、トイレ事情(今回はかなり恵まれていました)、全部なかなかきついものがあります。
反面慣れてる人には良い国かもしれません。
そこまでぼったくられないようですし、何度も書いていますが皆さん親切で外国人に興味深々です。
食べ物も全部カレー味ですが美味しいですし。
最後に旅行中僕の我儘に最大限付き合わせた揚句、旅行記まで盛り上げてもらったS氏に深く感謝です。
素敵な風景を見せてくれて本当にありがとう。
次回予告:一人でいってきマレーシア編、近日執筆予定!
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この旅行記へのコメント (1)
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- くんくんさん 2016/01/18 14:07:08
- 最高です!
- t-swanさんの旅行記を
拝見して飛んできました。
もう最高です!
4トラさんで
こんなアナザーストーリーを
拝見できるなんて。。。
なんだろ、、笑い泣きなんて
久しぶりww
本当に無事に帰ってこられて
良かったです。
次の旅行記も楽しみにしています!
くんくん
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