ランカスター (ペンシルベニア州) 旅行記(ブログ) 一覧に戻る
ニューヨークを発ってフィラデルフィアに到着した。フィラデルフィアでは、サンアントニオ在住の親友であるジェームズが車で案内してくれた。彼はサンアントニオ交響楽団のコントラバス奏者であり、副業で不動産業を営んでいる。もともとは不動産屋さんとして付き合いが始まったが、私も趣味でコントラバスを弾くため、すぐに親しくなって、サンアントニオ交響楽団の演奏会はほとんどすべて、家族全員招待券をもらって聴きに行った。家族を伴って右も左もわからず戸惑っていたころに、家探しから、子供の必要物資や食料の買出し、衣食住関係のショッピング、レストランなどあらゆる方面で絶大なサポートを惜しまなかった。いくら感謝しても感謝しきれない、大恩人でもある。フィラデルフィアで音楽を学んだ彼は、かの黒人ピアニスト、アンドレ・ワッツと同期で、親しいと言う。<br /><br />まずは彼の母親と昼食を共にした。アメリカ人は本当に親切だ。足が不自由であるにもかかわらず、レストランまで来てくれて、子供たちにいろいろと会話をしてくれた。しかし彼女は、我々が帰国してしばらくしてお亡くなりになった、というメールをジェームズからもらった。<br /><br />ジェームズにお願いして案内してもらったのは、フィラデルフィアから1時間ほど走ったランカスター市に近いアーミッシュの村である。アーミッシュとは厳格なキリスト教の一派で、未だに古ドイツ語を話し、移民当時の生活様式を守る人々である。電気を使用せず、電話など通信機器も家庭内にはない。原則として現代の技術による機器を生活に導入することを拒み、近代以前と同様の生活様式を基本に農耕や牧畜を行い自給自足の生活を営んでいる。1985年のアメリカ映画『刑事ジョン・ブック/目撃者』で紹介され話題となった。ハリソン・フォード演じる主人公の刑事が、偶然殺人事件を目撃したアーミッシュの子供を守るため、アーミッシュの家庭に身を寄せるうちにその母親と恋に落ちるという物語である。<br /><br />アーミッシュの中心地はペンシルベニア州のランカスター市、ここにアーミッシュ博物館があり、その生活様式を紹介し、民芸品を販売、家庭料理のレストランなどがあって人気がある。しかし本当のアーミッシュの人々と接することは容易ではなく、写真を撮ったりすることもまず困難である。私も以前訪れた時に、人々にドイツ語で話しかけたことがあるが、現代ドイツ語とは大きく異なり、会話は弾まなかった。<br /><br />次にジェームズのお勧めで訪れたのは、ランカスターから程近いストラスブルグ(昔ストラスブールからの移民が作った町なのであろう)にある鉄道博物館であった。動態保存してある蒸気機関車やクラシックなディーゼル機関車が走っている。そして実際に蒸気機関車が牽引する列車が、往復1時間ほどの小旅行に出掛け、子供たちは興味津々で、また陽気な女性の車掌さんたちが楽しませてくれた。<br /><br />蛇足になるが、フィラデルフィアにはアメリカのメージャー・ファイブの一つ、フィラデルフィア管弦楽団がある。ディズニー映画の「ファンタジア」は、名指揮者ストコフスキーとともにこのオーケストラが使われた。歴代指揮者には、ユージン・オーマンディ、リッカルド・ムーティ、ヴォルフガング・サヴァリッシュ、クリストフ・エッシェンバッハ、シャルル・デュトワらが務め、2012年からはヤニック・ネゼ=セガンが音楽監督に就任した。歴代指揮者を見てもわかるように、世界有数のオーケストラだ。パワーだけでない、ヨーロッパの伝統あるオーケストラのような繊細な表現力を持ち、私はアメリカのオーケストラでは、クリーヴランド管弦楽団とともに好んで聴く。サヴァリッシュの「ドイツレクイエム」とエッシェンバッハのブルックナー、ブラームスの名演は忘れられない。<br /><br />ジェームズと楽しいドライブをして、翌日再びアーミッシュ料理を楽しんだ後、フィラデルフィア駅からメトロライナーでワシントンD.C.(コロンビア特別区)に向かった。

アメリカ東海岸の旅No.2 : フィラデルフィアから映画「目撃者」の舞台になったアーミッシュの村を訪ねる

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2005/08/09 - 2005/08/11

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ハンク

ハンクさん

ニューヨークを発ってフィラデルフィアに到着した。フィラデルフィアでは、サンアントニオ在住の親友であるジェームズが車で案内してくれた。彼はサンアントニオ交響楽団のコントラバス奏者であり、副業で不動産業を営んでいる。もともとは不動産屋さんとして付き合いが始まったが、私も趣味でコントラバスを弾くため、すぐに親しくなって、サンアントニオ交響楽団の演奏会はほとんどすべて、家族全員招待券をもらって聴きに行った。家族を伴って右も左もわからず戸惑っていたころに、家探しから、子供の必要物資や食料の買出し、衣食住関係のショッピング、レストランなどあらゆる方面で絶大なサポートを惜しまなかった。いくら感謝しても感謝しきれない、大恩人でもある。フィラデルフィアで音楽を学んだ彼は、かの黒人ピアニスト、アンドレ・ワッツと同期で、親しいと言う。

まずは彼の母親と昼食を共にした。アメリカ人は本当に親切だ。足が不自由であるにもかかわらず、レストランまで来てくれて、子供たちにいろいろと会話をしてくれた。しかし彼女は、我々が帰国してしばらくしてお亡くなりになった、というメールをジェームズからもらった。

ジェームズにお願いして案内してもらったのは、フィラデルフィアから1時間ほど走ったランカスター市に近いアーミッシュの村である。アーミッシュとは厳格なキリスト教の一派で、未だに古ドイツ語を話し、移民当時の生活様式を守る人々である。電気を使用せず、電話など通信機器も家庭内にはない。原則として現代の技術による機器を生活に導入することを拒み、近代以前と同様の生活様式を基本に農耕や牧畜を行い自給自足の生活を営んでいる。1985年のアメリカ映画『刑事ジョン・ブック/目撃者』で紹介され話題となった。ハリソン・フォード演じる主人公の刑事が、偶然殺人事件を目撃したアーミッシュの子供を守るため、アーミッシュの家庭に身を寄せるうちにその母親と恋に落ちるという物語である。

アーミッシュの中心地はペンシルベニア州のランカスター市、ここにアーミッシュ博物館があり、その生活様式を紹介し、民芸品を販売、家庭料理のレストランなどがあって人気がある。しかし本当のアーミッシュの人々と接することは容易ではなく、写真を撮ったりすることもまず困難である。私も以前訪れた時に、人々にドイツ語で話しかけたことがあるが、現代ドイツ語とは大きく異なり、会話は弾まなかった。

次にジェームズのお勧めで訪れたのは、ランカスターから程近いストラスブルグ(昔ストラスブールからの移民が作った町なのであろう)にある鉄道博物館であった。動態保存してある蒸気機関車やクラシックなディーゼル機関車が走っている。そして実際に蒸気機関車が牽引する列車が、往復1時間ほどの小旅行に出掛け、子供たちは興味津々で、また陽気な女性の車掌さんたちが楽しませてくれた。

蛇足になるが、フィラデルフィアにはアメリカのメージャー・ファイブの一つ、フィラデルフィア管弦楽団がある。ディズニー映画の「ファンタジア」は、名指揮者ストコフスキーとともにこのオーケストラが使われた。歴代指揮者には、ユージン・オーマンディ、リッカルド・ムーティ、ヴォルフガング・サヴァリッシュ、クリストフ・エッシェンバッハ、シャルル・デュトワらが務め、2012年からはヤニック・ネゼ=セガンが音楽監督に就任した。歴代指揮者を見てもわかるように、世界有数のオーケストラだ。パワーだけでない、ヨーロッパの伝統あるオーケストラのような繊細な表現力を持ち、私はアメリカのオーケストラでは、クリーヴランド管弦楽団とともに好んで聴く。サヴァリッシュの「ドイツレクイエム」とエッシェンバッハのブルックナー、ブラームスの名演は忘れられない。

ジェームズと楽しいドライブをして、翌日再びアーミッシュ料理を楽しんだ後、フィラデルフィア駅からメトロライナーでワシントンD.C.(コロンビア特別区)に向かった。

旅行の満足度
4.0
観光
4.0
ホテル
4.0
グルメ
4.0
交通
4.0
同行者
家族旅行
一人あたり費用
5万円 - 10万円
交通手段
鉄道 レンタカー 徒歩 飛行機
旅行の手配内容
個別手配
  • ランカスターのアーミッシュの村の風景

    ランカスターのアーミッシュの村の風景

  • アーミッシュの村の博物館の馬車

    アーミッシュの村の博物館の馬車

  • アーミッシュの村の博物館の馬車

    アーミッシュの村の博物館の馬車

  • ストラスブルグの鉄道博物館に保存された機関車

    ストラスブルグの鉄道博物館に保存された機関車

  • ストラスブルグの鉄道博物館に保存された機関車

    ストラスブルグの鉄道博物館に保存された機関車

  • ストラスブルグの鉄道博物館に保存された機関車

    ストラスブルグの鉄道博物館に保存された機関車

  • ストラスブルグの鉄道博物館に保存された機関車

    ストラスブルグの鉄道博物館に保存された機関車

  • 鉄道博物館の蒸気機関車が牽引する観光列車

    鉄道博物館の蒸気機関車が牽引する観光列車

  • 保線用の作業車も稼働している

    保線用の作業車も稼働している

  • 陽気な観光列車の車掌さん

    陽気な観光列車の車掌さん

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この旅行記へのコメント (4)

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  • tadさん 2015/01/22 00:42:13
    この映画見たことがあります
    アーミッシュの映画見た記憶があります。
    フィラデルフィアの思い出も多いのですね。フィラデルフィア管は、最近セガンと日本にきましたね。NHKのビデオ見ましたが。アジア系の楽員が増えていますね。セガンは3月にロンドンでききましたし、演奏会後、すぐそばでぶつかりそうになりましたが、(BBC放送で座談会を公開スタジオでやっていました)才気煥発だとは思います。サンサーンスのオルガン交響曲でした。

    ハンク

    ハンクさん からの返信 2015/02/02 23:48:41
    RE: この映画見たことがあります
    tadさん、こんばんは。

    パリに今年1月14日、フランスの建築家ジャン・ヌーヴェルが手掛けたコンサートホール「フィルハーモニー・ドゥ・パリ」がオープンしたというニュースを見つけました。ピエール・ブーレーズらの夢が実現したようです。2,400席ということで、ベルリンフィルハーモニーホールを曲線を使って改造したような斬新なホールのようです。
    近いうちに訪れたいものです。
    http://bequiet.tv/music/307-1122

    それにしても今年は、パリの襲撃に始まって、日本人まで殺害するなどイスラム国の残虐行為は目に余るものです。我々にとっても無関係ではいられません。話の通じる相手ではないようで、できるだけリスクを避けて行動するしか対応策はありませんね。

    それでは失礼します。ハンク
  • winningさん 2015/01/21 00:13:25
    Witness
    ハンク様

    旅行記拝見し映画思い出しました。
    「目撃者(原題;Witness)」素晴らしい映画でした。
    インディ・ジョーンズシリーズやスターウォーズじゃなく、この映画がハリソン・フォードのベストだと個人的には思ってます。

    旅行記を見て、その場所に行きたいというだけでは無く、そこに関連する映画や舞台などを見たいと思わせてくれる事はとても素晴らしいです。
    改めて映画見ようと思います。

    また訪問します。
    それでは。

    ハンク

    ハンクさん からの返信 2015/01/22 22:57:09
    RE: Witness
    winningさん、こんばんは。メッセージをありがとうございました。

    私も「目撃者 Witness」がハリソン・フォードの数多い映画の中でもベストであるというご意見に賛成です。近代文明を拒否したアーミッシュの人々の純朴さと、美しい農村を背景にした映像が印象的でした。またアーミッシュの人々の会話がドイツ語で交わされていることも興味深く、何度も見てしまいました。

    実際にランカスターの博物館には、この映画の撮影に使われたセットや、撮影風景の写真などの展示されています。また現代とは思えない、実際のアーミッシュの人々の生活をうかがい知ることができました。

    それではまた、旅行記でお会いしましょう。ハンク

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