2014/12/27 - 2015/01/04
8位(同エリア47件中)
国電さん
■はじめに
今年の年末年始は昨年度のニュージーランドと同じくオセアニア地域、オーストラリアである。理由は単純であり、「この時期の欧州(北半球)は日が短いから」というものが大きい。南半球ならば日が暮れるのも遅いし、何より寒すぎることもない。
もちろん鉄道的にも、オーストラリアはネタの宝庫である。私自身にとっても未訪の地であるため、さて何に乗るべきか、選択肢が多過ぎて困るくらいである。
結局、一番有名と言っても過言ではない「インディアン・パシフィック」号(東岸のシドニーから西岸のパースまで3泊4日で走破)の乗車をメインにすることにし、春先のかなり早い段階に航空券とインディアン・パシフィック号の座席を予約決済しておいた。
その後あれこれと検索と検討を重ね、主な旅程は以下のようになった。
12月27日:午前の便でシンガポールへ移動(トランジット)。夜にカンタス航空(JALコードシェア)でブリスベンへ向かう。(機内泊)
12月28日:早朝にブリスベン着。予定外の鐡ネタである「ザ・サンランダー」号の最終便を駅で見送る(詳細後述)。その後、郊外にある鉄道博物館(The Workshops Rail Museum)訪問。近郊路線にも乗車(ブリスベン泊)
12月29日:ブリスベンからシドニーまで、XPT号で約14時間かけて移動。(シドニー泊)
12月30日:首都であるキャンベラまで日帰り鉄道旅行。(シドニー泊)
12月31日:午前中は市内で鐡ネタを拾い、午後にインディアン・パシフィック号に乗車。(車内泊)
1月1日:早朝、ブロークンヒル(停車駅)で散策。夕方、アデレード(停車駅)で散策。(車中泊)
1月2日:午前、クック(停車駅)で散策。夜、カルグーリー(停車駅)で散策。(車内泊)
1月3日:午前、終着駅であるパースに到着。その後、近郊路線の乗車や普通の観光。パース空港へ行き、夜中にシドニー行の便に搭乗。(機内泊)
1月4日:早朝にシドニーに到着。成田行のJALに乗り継ぎ、夕方に成田へ。
詳細は後述しているが、上記以外にも細々した鐡ネタを拾い続けている。
なお、旅程の後半で車中・機内泊が4つも続いているのが玉に瑕である。実は最初は、パースに到着した日はホテルに宿泊し、翌日(4日)の午前中にパース発シンガポール行の便に乗り、そこから乗り継いで5日の早朝に羽田に着く便のチケットを買っていた。しかし購入後数か月経って予約詳細が確認できなくなってしまったためJALに問い合わせたところ、どうやらパース発シンガポール行のカンタス航空がなくなってしまったとのことであった。やむを得ず搭乗予定便を変更してもらい、それにより「ホテル以外で4連泊」になってしまったが、飛行機はともかく列車は比較的熟睡できるから大丈夫だろう、と考えていた(実際は、そう甘くはなかった)。
@クック駅にて
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 30万円 - 50万円
PR
-
■2014.12.27
羽田からシンガポール(チャンギ空港)へ。ここでトランジットとなるが、約3時間あるためラウンジの充実度合が重要なところである。あれこれ調べたが、結局カンタスのラウンジが良さそうであったので、そこに滞在することにした。
シャワーを浴び、あとは酒と料理でまったりとする。ここのラウンジは注文した品も供してくれ(ご飯物とメイン料理)、今日のメインは魚料理であった。その魚料理+その他の食材で酒を飲み続け、締めのご飯物(今日はグリーンカレー)を注文する際にはさらに魚料理も追加でお願いした。
@充実 -
20時過ぎにガラ空きのカンタス便に乗り込み、アルコールのおかげで離陸も気づかぬまま豪州へ飛び立った。
■2014.12.28
7時頃にブリスベン空港に到着。残念ながら雨模様である。
ここから市内までは連絡鉄道で移動することになるが、ネットで事前決済をすると少し安くなるようであったので(17豪ドル→15.3豪ドル)、それを購入済である。
印刷した紙を改札近くにいた人に見せて機械に翳し、ホームへ降りて行った。ほどなくして、市内方面へ行く鉄道が入線してきた。
@豪州初鐵(ゴールドコーストにも行けます) -
8時08分発の列車で移動し、8時32分にローマストリート到着。駅から歩いて5分ほどのところにある安ホテル(と言ってもオーストラリアなので1万円以上するが)に荷物を預けて、再び同駅に戻ってきた。
まずは、今後の移動を踏まえてICカード(ゴーカード)を購入する。デポジットが10豪ドルと高いが、日曜だと割引率も高いため、3回以上乗るのであればカードの方が安上がりなのである。
@購入 -
ホテルからすぐに駅に戻ってきたのには、理由がある。というのも、ブリスベンからケアンズまで行く「ザ・サンランダー」号(この列車の詳細については、ネットで検索願います)が、なんと今日をもって運行を終了するのである。そして最後となる列車の出発時刻は朝の9時20分、間もなくである。
これを知ったきっかけは、JALの会員向け雑誌であった。2014年末に終了するという記述だけであったため公式サイト等で調べたところ、最終列車の出発が偶然にも私がブリスベンに到着する12月28日だったのである。
一番端にある10番ホームには、長大な(しかし結構ボロい)編成が入線していた。10番ホームは車両に隠れている(向こう側にある)が、見送りや撮影目的の人も多いようである。
@テレビ局も撮影に -
私がいる8・9番線は使用停止中で立入り禁止であったが、駅員と1人のおじさんが入っていたため(恐らく、鉄道ファンであるおじさんが「入れてくれ」と頼んだ模様)、私もそれにあやかって入り込んでいる。
9時20分、廃止を惜しむようなゆったりとした汽笛を合図に、ザ・サンランダー号は雨の中ゆっくりと出発していった。
@さようなら(最後尾) -
列車を見送ってからは、鉄道博物館(The Workshops Rail Museum)への移動である。9時30分発の近郊列車に乗り、博物館の最寄駅であるイプスウィッチには10時26分に到着した。
博物館までは路線バスでの移動が推奨されていたが、地方の路線バスは調べるのも乗るのも面倒である。そこで出発前に地図を見てみるとたったの2キロ弱であったので、歩くことにしている。
「歩けば何かある」というのが持論であり、今日も途中で「イプスウィッチ鉄道発祥の地の碑」を偶然発見した。
@ネタは足で稼ぐ -
雨の中を歩き続け、駅から約25分で鉄道博物館に到着した。「片田舎にある小さな博物館だろう」と高を括っていたが、駐車場は満杯で路上駐車まであり、入口にも人が並んでいるくらいの混雑であった(後で知ったのだが、どうやら特別イベントをやっていた影響もあるらしい)。
しばし行列に並び、入場料をカードで決済して敷地内に入った。イベント会場では子供向けの「きかんしゃトーマス劇場」みたいなものも行われている。
@イベントなので、トップハム・ハット卿もオーバーリアクション -
屋内展示では、ディーゼル機関車や旧い客車、また各種資料の展示など歴史的なものも数多くあり、大人でも充分に満足の行く内容であった。どこもかしこも家族連れで大賑わいであったが、イベントのない時ならばもう少し落ち着いた雰囲気で見学できるのかもしれない。
@展示の一例 -
復路くらいはバスでもと思ったが、適当なバスがないので結局歩いて駅へ戻った。
しかし、歩けばそれなりに収穫はあるものである。駅近くの大型ショッピングモールで夜用の食材を少し探したりしたのだが、その施設のすぐ脇は大きな橋を含む廃線跡であった。更地にせず、きちんと残しているのはさすがである。
@鉄道に関する展示物も(右側) -
12時37分発の列車で市内(ローマストリート駅)へ戻り、ホテルにチェックインしたが、時刻はまだ14時過ぎである。雨も上がり、早い雲の流れによって青空も覗いてきているので、プチ鐵旅に出ることにした。
行先は、事前に目星を付けておいたクリーブランドである。近郊列車などどれに乗っても似たようなものであるが、どうせなら海が見えるところへ行きたい。地図で見たところ、クリーブランドは運河も多くて面白そうなところである。
その前に、初ブリスベンということで、一般的な観光である。博物館や美術館など(オーストラリアは無料のところが多い)、あれこれ歩いて見て回った。
@おのぼりさん的に -
観光後にローマストリート駅へ行き、クリーブランド行の列車に乗り込んだ。近郊列車であるが、ロングシートではないので景色は楽しめるようになっている。
地味な景色を見続けること約1時間で、終着のクリーブランドに到着した。駅周辺の運河には高そうなヨットが数多く係留しており、その周囲にはカフェやレストラン、その奥は住宅街となっており、予想外に賑わっていた。
@駅は静か -
適当に散策してから市内へ戻り、アジア系のスーパーでウーロン茶や缶詰などを買ってホテルに戻った。
さて、あとは事前にスーパーやボトルショップ(オーストラリアではコンビニ等でアルコールは売っておらず、免許を持っている専門店で買う必要がある)で入手しておいた食材と酒で一献である。
ちょうど19時を過ぎたころであったので、テレビをニュース番組に合わせてみた。すると、トップニュースのうちの一つが、ザ・サンランダー号の廃止についてではないか。
@偶然(そういえば駅にテレビクルーがいた) -
過去の歴史から始まり、今日の乗客の紹介(以前はこの列車の関係者で、今日初めて乗る人など)、運転士の紹介などがあり、今朝ホームで見かけた女性(アナウンサー)が車内を案内し、そして最後の出発の映像を流していた。この列車の最後の出発日に訪問したのも偶然、そして関連ニュースを目にしたのも偶然であるが、面白い巡り合わせである。
■2014.12.29
列車の出発時刻の関係で朝の3時台に起床し、4時20分にはチェックアウトした。4時半頃にはXPTが出発するローマストリート駅の2番線に着いたが、すでに列車は入線していた。
@今日は一日中これに缶詰 -
前後を機関車に挟まれた「プッシュ・プル方式」であり、客車はAからGまでの7両。A号車が寝台、B・C号車がファーストクラス(C号車にカフェ併設)、残りがセカンドクラスである。私の座席はB号車、ファーストクラスを買ってある。
ファーストクラスの座席もそれなりに立派であるが、試しにセカンドクラスを覗いてみると、どういうわけかほとんど同じ(見た目では区別ができないくらい)である。この時点では理由が不明であったが、後で車内誌に目を通してみると、違いはリクライニングの角度(私は利用しないから関係なし)と、座席の前後間隔が10cmだけ広い(東洋人の私には関係なし)だけの違いであった。ブリスベンからシドニーまで、セカンドなら91豪ドル程度であるが、ファーストだと128豪ドル程度、37ドルもあれば立派な夕食を食べられるくらいであり、ファーストにしたのは結果的には失敗であった。
@せめて横3列くらいにしてほしい… -
シドニーまでは989キロ、乗車時間は14時間を超える。この区間を直通する列車は、1往復のみである。「早朝4時台に出発して半日以上走り続ける特急(1日1往復のみ)」となると、往年の鉄道ファンは「白鳥」(青森−大阪)を思い出すかもしれない。ただし、XPTの「4時55分発」というのはブリスベンの時間であって、パンフレットの時刻表(シドニー時間)では5時55分であるが。
出発の15分前に手荷物預かり窓口が閉まり、5分前には車両のドアも閉まり、定刻ぴったりの4時55分に出発した(すぐに時計を1時間進める)。もうすでに薄明るいが、今日も雨模様である。
ゆっくりとしたスピードで市内を走り抜け、次第にスピードが上がり、車掌が予約表の確認をしに来た頃には、雨は上がって曇り空になっていった。
@これはこれで味わいあり -
7時過ぎには、初めてカンガルーの群れ(5〜6匹)が飛び跳ねているのが見えた(この時点では「どうせそのうち飽きるほど見るのだろう」と思っていたが、実際にはカンガルーが見られるのは稀であった)。
オーストラリア東部は平原ではないため、それなりに勾配があり列車は左右にゆっくりとカーブしながら走り続けている(時折、トンネルもある)。8時頃には、青空も見えるようになってきた。
@やっぱり晴れの方が -
9時53分、ぴったり定刻にグラフトンに到着した。アナウンスによるとここで乗務員が交代となるため、数分の停車時間があるとのこと。せっかくなので下車して撮影のため先頭まで行ってみたが、ホームの端ギリギリまで停まっているため機関車の正面からの撮影は不可能であった。
@駅名標 -
同駅を出発後しばらくして、カフェへ行ってチキンのラップを買い、ブランチ替わりにそれを自席で頂いた。11時11分、定刻より6分遅れでコフスハーバーに到着。その後、ちょこまかと小駅に停まり(時刻表によると、SawtellとUrunga)、一瞬だけだが海も見えた(後にも先にも、海が見えたのはこの時のみ)。
今日は満席になるとのアナウンスがあったが、幸いにも私の隣りは誰もいない。そのうち車掌が来て、「ここに男性は座っていませんでしたか?」と訊いてくる。どうやらその人は次の駅で降りるらしく(乗客の乗降を把握しており、1〜2人しか降りないような小さな駅では車掌が直接確認に来る)、それを確認に来たらしい。そもそも誰も乗っていなかったので、その人は乗車自体を取り止めたようであった。
@貨物もあり -
その後も長閑な景色の中を走り続け、14時02分には対向のXPTとすれ違った(さすがに写真撮影は不可能)。そして14時35分、タリーに到着した。定刻の出発時間まで5分以上あるため、多くの乗客がホームに降りている(ほとんどの人の目的は喫煙)。私も下車して撮影を試みたが、やはりホームの端ギリギリまで車両が停まっている(機関車に至ってははみ出しいている)ため、中途半端な撮影になってしまった。要するに、これらの駅には、XPTより長い編成が停まることはないのである。
@でも天気が良いからよしとする -
同駅を定刻から1分遅れで出発した後も、相変わらずの丘越えが続き、路盤はゆっくりと左右に曲がりながら続いて行った。景色は素晴らしいが、午後になり太陽の向きが変わってきて逆光になってきたため、撮影はままならなくなってきた。
さすがに3時起きが影響し、しばらくウトウトとした後、16時44分にダンゴックに到着した。ここでもやはり数分の時間があるため、喫煙目的の乗客がホームにわらわらと降り立って行った。私も当然降りてみたが、気温は確実に30度を超えており、突き刺すような暑さである。
@暑い -
出発時刻直前に車内に戻ったが、すぐには動き出さない。どうしたのかと思っていたら、反対側のホームに貨物列車が入線してきた(予想外であったため、撮影はできなかった)。
同駅を出発してしばらくした17時19分頃、保存鉄道のような車両がちらほら見えたので、看板らしきところに書いてあった「THE RAIL MOTOR SOCIETY」というのをメモしておいた。帰国後に調べたが、やはり保存鉄道+博物館のようであった。
17時36分、定刻より4分遅れでメートランドを出発した。ここからはコミューター路線も並走するようになり、路盤も複々線となっている。
@重厚な駅の壁 -
駅に停まるごとに少しずつ遅れが増えていき、湖が左右に開け、終着駅であるシドニー(セントラル駅)まであと一歩(地図で判断すると約2キロ程度)のところで一旦停止した。時刻は20時半頃、まだ外は薄明るく、定刻(20時12分)から20分の遅れならば充分合格の範囲である。
と思っていたが、ここから急に動かなくなった。田舎の単線区間や事故が理由ならたまにあることであるが、都心部では珍しい事態である。オージー訛りの英語であるため完全には聞き取れなかったが、アナウンスでは「間違ったレーンに入った」「安全上の問題で」「対処方法がない(We have no idea)」などなど、なんだか支離滅裂である。
待ち続ける間、数えきれないくらいのコミューター列車に抜かれ、結局動き出したのは40分以上経ってからであった。セントラル到着は定刻から1時間5分遅れの21時17分、なんだか最後の最後になって精神的に疲れ果ててしまった。
@お疲れです -
駅前にあるスーパーで最低限の食材を揃え、歩いて3分程度のところにある安宿(しかしオーストラリア+年末ということもあり、2泊で3万円程度する)に投宿した。
■2014.12.30
6時台に起床し、あわただしく準備をしてセントラル駅へ向かった。今日は首都キャンベラへの日帰り旅行を予定しており、往路の出発予定時刻は7時04分である。
7時前にホームに到着したが、編成は3両と短いものであり、そのうち先頭のみがファーストクラス(+カフェ)である。先述したとおりファーストとセカンドの差はほとんどないが、ネットで決済しているためファーストに乗らざるを得ない。
@今日はこれに乗る -
ファーストの乗車率は40%程度である。7時05分に出発し、しばらくはノロノロと走り続けた。昨日(雨のち晴れ)とは違って、今日は雲一つなく「これぞオーストラリア」という天気である。左手には空港があり、ちょうど日本から来たJAL便が着陸しようとしているところである。
住宅街を抜けると田園風景となるが、逆光が激しいため撮影はかなり厳しい。しかし路盤が左右にうねっているため、時折日差しが反対側になることもある。
@そういう瞬間に撮影 -
7時49分にキャンベルタウンを出発した後、8時台には小まめにいくつかの駅に停まっていった。大幅に遅延することなく、各駅とも比較的定刻に近い出発時間である。
駅周辺にはちらほらと集落があるが、基本的には沿線風景は田園である。あまり変化はないが、時折川が現れたりして変化を加えてくれている。
@人工的な滝のようなものも -
ゴールバーンを出発すると、左手に単線が分岐するのが見えてくる。しかし、私が乗っている列車はその分岐に入っていく。右側にある複線は、メルボルン方面行く路盤なのである。要するに、目的地キャンベラは首都ではあるが、鉄道的には「盲腸線の終着駅」なのである。
分岐点ではゆっくりと走行したため、路盤近くにいたウサギも撮影することができた。
@中心にいます -
ファーストの車内はすでに乗車率10%以下となっていたため、逆光を避けるために反対側の空いている席に座り続けた。所々に木々があり、その周辺を大きなインコのような鳥が舞っているが、さすがにそれをカメラに収めることは不可能である。
11時15分を過ぎ、本来ならあと7分で終着のキャンベラであるが、人家どころか逆に景色は険しくなり、やたら流木の多い渓谷が右手に見え始めた。
@終着はまだ? -
渓谷を登り終えるとやっと人家が増え、クイーンビーアンに到着。同駅を出発してしばらくすると終着のキャンベラで、到着は定刻より14分遅れの11時36分であった。
みなさんご存知の通りキャンベラは政治機能しかないような町であるため、駅周辺も長閑なものである。
@お疲れさま -
さて、復路の出発までは6時間弱ほどあるが、いつも通りに「徒歩旅」でネタ集めをするだけである。まずは池沿いに市内を歩き(キャンベラの歴史を紹介した壁絵にSLあり)、野生インコを眺め、黒鳥やペリカンの写真を撮り、博物館へ行き(鉄道模型やトラムの車輪など、ちょっとした鐡ネタがあり)、国会議事堂を見学し、夜用の食材をスーパーで買い、駅へと戻ってきた。5時間も歩き続けたため、かなり足が痛い。
あれこれ歩いていて気づいた点は、「高地にあるため意外と涼しい(しかし昼以降はかなり暑くなった)」「商店等は一か所に固まっているため、途中で喉が渇いてもジュースすら買える店がない」などなどである。
@街中で拾った鐡ネタ -
17時20分、復路のシドニー行が定刻に出発した。キャンベラ駅周辺には、旧い客車やSLが数多く係留されている。ほとんど放置状態なので荒れ放題であるが、あれらを纏めて小奇麗に展示すればちょっとした鉄道博物館くらいにはなりそうである。オーストラリア国内では意外に旧車両などがあちこちで展示されていたりするので、ぜひここでもお願いしたいところである。
@車内より撮影 -
復路の車窓は、基本的に午前の逆回しである。時折カンガルーがいるが、彼らは木陰などにちょこんと座っていて目立たないので、合計で5~6匹は見かけたがどれも写真に撮ることはできなかった。
シドニーに戻り、キャンベラで買った鶏肉で一献してから就寝。
■2014.12.31
さて、今日はメインであるインディアン・パシフィック号への乗車であるが、出発は14時55分であるため、それまでは市内で鐡ネタを集めることにしている。シドニーで一番有名な鐡ネタはサールミアにある鉄道博物館(Trainworks)であるが、上手く乗り継いでも現地滞在が1時間弱であり、復路の乗り継ぎに失敗をするとインディアン・パシフィックの出発に間に合わなくなるため、今回は見合わせることにした。昨日キャンベラに行かずに鉄道博物館に行くという選択肢もあったが、私の興味の対象は①長距離列車、②展示物関係、③近郊列車の順であるため、これはこれで仕様がない。
鐡ネタを集める前に、まずは「おのぼりさん」的な観光である。シドニーに初めて来て、オペラハウスすら見ないのではさすがに味気がない。
8時頃にセントラル駅へ行き、ノースショアラインの近郊列車に乗り込んだ。
@橋を渡る区間は景色が綺麗です -
ミルソンズポイントで下車し、壮大なハーバーブリッジを徒歩で歩き始める。左手には、これまで観光ガイドブックなどで何度も見てきたオペラハウスがあり、やっと「オーストラリアに来たな」という実感を満たすことができた。
市内を適当に観光しながら徒歩でセントラル駅近辺まで戻り、ホテルでチェックアウトの手続きをして荷物を預け、続いての鐡ネタである「パワーハウス・ミュージアム」へ向かった。歩いて行ったのだが、トラムに沿って歩き続けたため、近距離ではあるがせっかくだからこれに乗れば良かったかとも思った。
@まぁ、見るだけでも充分でしょうか -
件の博物館は市内にあるもので、鉄道博物館ではないが交通手段に関連する展示物がいくつかあり、鉄道関連もそれに含まれているのである。
入場料は15豪ドルであるが、有料の博物館はだいたいこのくらいから20豪ドルはするので、普通の範囲である。入口から入ってすぐのところにSLと客車数両があり、また一番下のフロアにもSLや客車やトラム、またセントラル駅で使用されていた行先案内板など、いくつかの鐡ネタが展示されていた。
@こういう展示は押さえておく -
博物館を後にして、13時くらいにセントラル駅に戻ってきた。2番線および3番線には、すでにインディアン・パシフィック号が入線していた(長大な編成であるため、二分割の状態で係留されているのである)。編成は、以下の通りである(プラチナとゴールドは寝台、レッドは座席)。
【2番線】(←パース側先頭)電源車、N号車(乗務員用)、P1〜P2号車(プラチナ)、E〜G号車(ゴールド)、ゴールド用ラウンジ、ゴールド用食堂車×2両
【3番線】ゴールド用食堂車、ゴールド用ラウンジ、H〜K号車(ゴールド)、S号車・R号車(レッド)、レッド用カフェ、荷物車、N号車(乗務員用)、電源車
(この時はまだ連結されていなかったが、先頭に機関車2両と自動車運搬用貨物車が1両連結される)
@車両側面 -
スーパーで大量の水やストック用の食材を買い、ホテルで荷物を受け取って駅へと戻った。余所様の旅行記では「事前にチェックインを」などのような記述があるが、荷物を預ける人は別として、私のように「ネット手配済み」の場合は直接乗車すればよいだけのようである(システムの簡易化であろうか)。
そのことを知らなかったため、少しく手持無沙汰である。係員からは、「14時になったら乗車できます」と言われたので、それまでホームで適当に時間を潰した。年末年始という中途半端な時期のためか(連休になるのは日本くらい)、ホームにいる人はかなり少なく、これなら平和な車内が過ごせるかもしれない。
ゴールドの乗客はすでに食堂車内に乗り込んでシャンパンを飲んだりしている。ホームで待つ私とはえらい違いであるが、こちらはネット割引で約5万円、あちらは20万円以上であるから、この程度の差は仕方がない。
@右も左もインディアン・パシフィック号 -
14時を過ぎてから、車両内に入った。かなり早い時期に切符を手配したためか、私の座席はR号車の1番(最前列窓側)である。それはそれで構わないのであるが、なんと高校生の集団が乗ってきてしまい、車内は耳栓が必要なくらいの大喧噪となってしまった。
こりゃやりきれないと思い、「S号車が空いていれば座席を変えてもらおうか」と思っていたところ、車掌が来て「あちらが空いているので、明日のアデレードまで変えましょうか? それにあちらの方が静かですし(笑)」と言ってきてくれた。ありがたく、荷物を纏めてそそくさと隣りへ移動させてもらった。
@こちらは平和 -
出発まで50分近くあるため、しばらく車内でウトウトとする。14時50分くらいに目を開けると、すでに2番線には車両がない。恐らくいったん出発して、こちらの編成の前側につなぐための作業をしているのであろう。
座席自体はかなり余裕があり、リクライニングもかなり横になる。唯一の欠点はフットレストがない所であるが、今回私は生まれて初めてキャリーバックを持って海外旅行をしており(通常はバックパックのみ)、それを足元に置くとちょうど良い具合に足置きになり、まさに最適であった。
係員が来て、車両の中央で英語であれこれ説明をし始めた(シャワーやトイレの位置、タオルの存在やカフェカーの営業など)。
定刻の14時55分、インディアン・パシフィック号はゆっくりと動き出した。
@さようならシドニー -
市街地を抜けると、路盤は右へ左へと大きくうねり、車輪もキーキーと音を立てて走り続けた。山岳地帯というほどではないが、それなりの丘陵である。
3時間半以上走り続けた頃、左手に旧い車両やSLが見えてきた。「ZIG ZAG RAILWAY」という文字だけをメモしておいたが、これもやはり保存鉄道のようであった。
19時前になってから、車内にあるシャワーを浴びた。今日からこの車両内で3泊するが、シベリア鉄道のような「修行感」がないのは、やはりシャワーがあるためである。タオルも無料で使用できるため、この点は大変ありがたい。
@片方のシャワーはトイレと共用だが広い(もう片方はトイレとは別々だが狭い) -
その後は、安食材と安ワインでの一献である(註:建前上、アルコールについては車内で購入したもののみが認められており、持ち込みは不可のようなのでご注意を。ただし、明らかに持ち込みのものを飲んでいる乗客もちらほらいたため、厳しくは監視されていないようである。なお、私のワインはコーラのペットボトルに入っているので、見た目にはわからない)。
私が何が好きかといえば、「夜行列車での酒→翌朝知らない土地にいる」という状況である。以前は国内でも簡単にできたのであるが、あれもこれも廃止になってしまい、今となっては風前の灯である。久々に、その感覚を楽しみながら酔いどれていく。
■2015.1.1
昨晩は明るいうちに寝入ったが、目が覚めた時点でもうすでに明るかった(さすが日の長い南半球)。辺りに鉱山のようなものが多くなり、列車の速度が落ちたかと思うと、駅に到着した。ここがブロークンヒルであり、到着時刻は定刻から11分遅れの6時41分であった。
お決まりのパターンで先頭車両方面へ行ってみたが、「はみ出ている」というレベルを超えて、編成の半分くらいはホームに掛かっていなかった。それだけ、この列車が長大であるということである。
@先頭が見えない -
インディアン・パシフィック号は各停車駅(ブロークンヒル、アデレード、カルグーリー)でツアーが用意されており、ゴールド以上は参加費が切符代に含まれており、レッドの乗客でも追加費用を払えば参加可能である。事前にそのツアー内容を調べてみたが、あまりそそられるものではなかったため、いつも通りの「徒歩旅」をすることにしている。
見事な「初日の出」の中を歩き続けたが、公園や住宅街があるだけである。教会などの写真を撮り、「さすがに鐡ネタはないな」と思い始めたころ、なんと旧いトラム(Silverton Tramway)の駅跡に巡り合った。やはり、「歩いてみると何かががある」のである。
@今日の収穫 -
流石に鐡ネタはこれで打ち止めかと思って歩き続けると、なんと今度は大量のSLや客車が見え始めてきた。どうやら博物館のようであるが、外から敷地内を見ただけでも、SLが3両に客車も数両、ディーゼルカーのようなものもあり、さながら鉄道博物館のような展示内容である。開館時間は10時からということで残念ながら近くで見ることはできないが、予想外の大漁の鐡ネタを得ることができたので、個人的にはこれで満足である。
@いろいろ展示あり -
それにしても、静かな街並みである。まだ朝の8時前ということもあるが、よく考えたら今日は元日であり、ほとんどの店は営業しない日なのである。
あれこれ歩いたため少しくお腹が空いたが、コンビニなどどこにもない。諦めかけたが、サブウェイ(日本にもあるサンドウィッチチェーン店)があり、なんと元日も8時から営業すると書いてあるではないか。よって店の前で8時過ぎまで待ってみたが、なんだか準備が遅れているようであったので(お姉さんがあくせく作業している)、8時10分過ぎには諦めて駅へ戻った。
同駅を定刻から27分遅れの8時47分に出発(こんなに遅れるのが事前にわかっていればサブウェイで買い物ができたが、それは無理な話である)、列車は平原の中を走り続けた。
それにしても、一言で表現すれば「何もない」場所である。ちらほらと鳥を見かけたが、彼らがどうやって生活しているのかは謎である。
@不毛の地 -
11時10分過ぎになり、カフェへ行って昼食を頼んだが、「あと15分待ってください。ランチは11時から」と言われてしまった。そういえば、時刻的にはすでに南オーストラリア州に入っているため、昨日とは30分の時差があるのである。国内で時差があるのは構わないが(逆に中国のように左右に広いのに時差がないと弊害がある)、しかし、30分というのはややこしいのでやめてほしい気がする。
いずれにせよ、カフェ内で15分ほど待ち、直訳すると「あなた自身のロールを作る(build your own roll)」というパンを頼んだ。実際に作るのは係員であるが、内容をあれこれ注文できるのである。要するに、サブウェイと同じである。
肉はビーフにし、野菜はニンジン以外すべてを入れてもらった。これで約700円(コーヒーは約350円)は高い気がするが、オーストラリアの物価が高いことを考量すれば普通であろう。
@美味しく頂きました -
11時30分、列車が次第にゆっくりとなっていった。辺りには家も多くなり、どうやら駅に停車するようである(公式サイトにはツアーをやるような大きな駅の停車時刻しか乗っていないが、それ以外にも停車扱いをする駅があるようで、昨日も小さな駅で1人の乗客を乗せている)。
近づいてきた駅名標によると、ピーターバラ(Peterborough)であり、駅近辺には旧い客車やSLも展示されていた(後で調べたのであるが、市内には鉄道博物館もあるようである)。列車が長大すぎて運転手はどこで停めていいかわからないため、車掌が無線連絡をし、「はい、ここで止めて」のようなやり取りをして列車を停止させていた。大きな荷物を持った女性が1人、私がいるS号車に乗り込んできた。
@駅近くに展示されているSL -
手持無沙汰であったため車内誌を手にしてみると、インディアン・パシフィック号の詳細な時刻表が載っているではないか。これは重要な情報になるため、参考用に頂いていくことにした(後日、ネットでもPDFで見つけることができたが…)。
列車は次第に進行方向を西から南へ変えていき、沿線風景も平原から穀倉地へと変貌していった。しかし人工物は限りなく少ないため、トラックや農機具などが見えるとそれだけで珍しいため、それらを写真に撮り続けていった。
@それにしても広い -
何本かの貨物列車と行き違ったが、米国のアムトラックと同じように貨車部分を二つ重ねている部分もあった。じきに人家が多くなり、遠くに高層ビルが見え始め、アデレード(パークランド・ターミナル)には15時11分に到着した。ここで、3時間半近い停車となる。
実質的にはアデレードで運行系統が大きく二分されているため、多くの乗客が下車することになる(というか、車内整備等のためにいったん下車しなければならない。そもそも座席利用の乗客でシドニーからパースまで通しで乗る人は、ほとんどいないようであった)。
これから市内へ向かう予定であるが、ツアーバスは利用しない。20豪ドルするだけでなく、鐡ネタが拾えないからである。よって、毎度おなじみの徒歩旅である。
駅から歩き始めたが、痛いくらいの強い日差しであった。日焼け止めを塗っているしサングラスもしているが、それでも不十分なくらいである。
@編成が長すぎるためアデレード駅には入れないため、郊外にあるターミナルで発着する -
パークランド・ターミナルのすぐ近くに近郊列車の駅(ショーグラウンド駅)があるが、30分に1本しか列車がなく、つい先ほど出たばかりである。よって、まず最初の鐡ネタとしてトラムに乗車することにした。
最も近いトラムの駅はグッドウッド駅(パークランドから南方面)であるが、あえて東へ歩いてサウス・テラスへと向かった。というのも、アデレードのトラムは市街地区間が無料なのである(有料区間も改札や切符確認がないのでそのまま乗ることができるが、キセルは精神的によろしくないのでやらないことにしている)。
強烈な日差しに晒されながら公園内を25分ほど歩き続け、サウス・テラスに到着した。待つこと約5分で、上手い具合にトラムがやってきた。
@今日の鐡ネタ -
市内までトラムに乗り、まずは無料の博物館へ向かった(残念ながら鉄道関係展示物はなし)。その後は今晩用の食材を揃えるためにスーパーに向かったのであるが、何やら慌ただしい。というのも、どうやら年始ということで17時(つまりあと5分)で閉店なのである。慌ただしく、値引きシールの貼ってある惣菜やパンなどを買い込んだ。
食材を揃えてからは、パークランドへ戻る近郊列車に乗るためにアデレード駅へ移動した。重厚な建物の駅であり、頭端式のホームになっていて味わいがある駅構内である。しかしホームの一つひとつはかなり短いものであり、仮にここにインディアン・パシフィック号を入線させようとしたら、ホームを4〜5本使わなければならないであろう。
@近郊列車専用という感じ -
17時30分の列車に乗り、ほんの6分程度でショーグラウンド駅に到着した(英語のウィキペディアにはこの駅とパークランド・ターミナルが歩道(footpath)で結ばれていると書いてあるが、これは過剰表現である。実際には案内板もないし大きな道を横断歩道で渡ったりするので、地図を用意しておく必要があるだろう)。
インディアン・パシフィック号はホームに停まったままであるが、あれこれ入れ替えがあったようである(自動車運搬用の貨物車は2両に増え、座席車は1両に減ってR号車のみになっている)。
@パークランド・ターミナル -
出発までまだ1時間弱あるため、まずはシャワーを浴びて小ざっぱりした。だんだん車内は混雑してきて、結局満席になってしまった。私の隣りには太めのおばあさん(「太めの」と書かなくても、9割方の高齢女性は太っている)が座っており、リクライニングの調子が悪いため「他の席はないの?」と訊いているが、「あいにく満席です」と断られている。
昨日と同様に、出発前に係員が車内設備等に関する詳細な説明をし始めた(ただ単に機械的に説明するではなく、ウィットを交えて笑いを取ったりする辺りが、日本の車掌とは違う点である)。
18時43分に同ターミナルを出発。カフェへ行って缶ビールを買い、19時過ぎには一献を始めた。
@スーパーの割引惣菜で(日本にいる時と同じパターン) -
それにしても、ひどい揺れである。今日は本来の席(R号車の1番)にいるのであるが、車両の一番端であるためかなり揺れているのである。列車の端は構造的に揺れることは知っていたが、これまでは気にしたことがなかった(それどころか、サンライズ号の車両の端にある寝台などは、私のお気に入りである)。日本の車両は改良された台車や空気バネなどを使用しているために気にならないのかもしれないが、インディアン・パシフィック号のこの車両は、それはもう凄まじい揺れ(地震を体験をする機械での震度4くらい。メモも取れなければ、ビールも口からこぼれそうになるくらい)である。私は乗り物に強いからいいが、そうでない人ならば5分で吐きそうになってしまうであろう。
20時頃、夕日が左手に落ちていった(なかなか芸術的な写真を撮ることができた)。毛布代わりのバスタオルを掛けて寝入ろうとしたが、凄まじい揺れが影響し、1時間以上は寝入ることができなかった。
@夕日は良かったが… -
■2015.1.2
激しい揺れに何度か起こされたため、朝の5時過ぎまで寝たがあまりすっきりしない。シャワーを浴びて目を覚まさせ、6時30分くらいから外も明るくなってきたので車窓を見続けた。何か動くものがいたのでそちらに目を向けると、なんと野生のラクダであった。
しばらくすると、無造作に平原上に置かれている貨車が目に入ってきた。実用的に利用されているとは思えず、これはどう考えても「事故→そのまま放置」されているようである。
@脱線事故? -
放置されているのは貨車に限らず、一番目に付くのは旧いレールである。保線作業で取り換えたらしいレールが、あちらこちらで投げ捨ててあるのである。「持ち帰って溶かして再利用すればいいのに」と思うが、資源に乏しい日本とは事情が違うのであろう。この国は資源自体豊富であるし、旧いレールを持ち帰って再利用するための人件費や経費を考慮すると、放置が最良の選択肢なのかもしれない。
レール以外に、枕木(コンクリート製)もあちこちで放置されている。これはこれで、日本でも再利用はあまりできないであろうから、仕方ないかもしれないが。
@あちこちに放置(枕木の場合) -
車内アナウンスがあり、「現在7時10分」ということであった。私の時計は南オーストラリア州の時間(8時10分)を指しており、西オーストラリア州(現在5時40分)とは2.5時間の時差がある。西へ移動したからといっていきなり2.5時間早めるのではなく、ローカル時間(?)に合わせるようで、よくはわからないがとりあえず言われるがままに時計を7時10分にした。
列車は、ナラボー平原の中を走り続けている。鉄道における世界一長い直線区間(478キロ)がどこから開始するのかは不明であるが、もうどこからでもいいような気がしてきた。
8時50分、クックに到着した。辺りには廃墟みたいな住宅がちらほらあるくらいで、何もないところである。おかげで、下車後に先頭車両の写真をやっと撮ることができた(表紙写真)。
@その先にも、鉄路がまっすぐ伸びている -
ここで30分ほどの停車時間があるということで、乗客のほとんどが下車して適当に散策している。しかし見るものと言っても、学校跡などがちらほらある程度である。
意外に鐡ネタは多く、①学校跡にあったSLの壁絵、②トロッコらしき旧い車両、③民家の庭にあったドラム缶の列車(きちんとレールまである)、などである。
@駅と言うよりは、荒野の中 -
クックを9時46分に出発したが、相変わらず何もない平原の中を走り続けるため、変化は乏しい(しかし、日常を逸するにはこれで充分である)。
11時10分頃に引込線が増え、何やら看板のようなものが見えたが、どうやらこれが「駅」のようである(車内誌の時刻表によれば、Deakinという駅)。複線になっている+引込線があるだけであるから、行き違いの信号場程度のものである(当然、乗降客などいるはずもない。そもそも、辺りは人工物が皆無であり人なぞ住んではいない)。
その次の「駅」であるForrestには11時56分に通過したが、こちらは飛行場などが近くにあり、久々に「駅らしい駅」であった(ホームなどはないが)。なんだか、久しぶりに「人間の存在」を感じた気がする(動く車を見たのも、今日初めてである)。
@人工物があるだけで目新しい(Forrest駅付近にて) -
列車の揺れは、相変わらずである。路盤との相性で揺れが止まることもあるが、基本的にはゆさゆさと揺れ続けている。
11時過ぎにカフェに行き、パイとジュースを買ってみた。カフェ車両はたいして(ほとんど)揺れていないので、やはり揺れの原因は、車両の古さではなく位置のようである。私の隣りにいるはずのおばあさんは揺れに辟易としていて、基本的にカフェに居座り続けている。
12時過ぎた頃、やっとカンガルーを1匹発見した(飽きるほどいるものと思っていただけに、カンガルーがほとんど見つけられないのは意外な点であった)。12時45分頃にまた複線になったので「駅らしくない駅」かと思ったが、時刻表にはないようである。駅名標も剥げており、どうやら廃駅のようであった。
@読めません -
自席から景色を眺め続けていると、カフェに居飽きたおばあさんが戻ってきて「カンガルーは見たかしら」と尋ねてきた。「ほんの1匹」と答えると、「私は2匹。あとラクダも」ということで、やはりめったに見られないようである(結局、私がインディアン・パシフィック号の車内から見ることができたカンガルーは1匹だけであった。それ以外に道路で横たわっている(事故死している)2匹も見かけたが、これはカウント外である)。
久々に人工物が多くなり、15時27分にRawlinnaに到着した。時刻表によると同駅出発は14時26分であるため、また1時間戻ったようである。とりあえず、時刻表に合わせて時計を1時間戻した。
@Rawlinna駅前郵便局(使う人はいるのか!?) -
同駅通過後に、久々(今日は初めて)の家畜を目にした。緑(木々)についても、若干多くなってきた感じがする。今日2台目となる「動いている車」を発見したが、こういう判断基準が自分でも面白くなってきている。
16時過ぎに、急に日差しの向きが変わって車内に光が入り込んできた。つまり「路盤の向きが変わった」ということであり、直線区間が確実に終わったという証左である。
背の高い木々が増えてきて、もうすでに「平原」ではなくなっている。何やら看板があったので写真に撮ってみたが、なんと「パースからアデレードまでの鉄道で最も高い地点」と書いてあるではないか。「こんなところが?」と思うくらい平坦なところであるが、地味に登り続けてきたのであろう。
@ここが? -
晴天であったがだんだんと雲が多くなり、今にも雨が降りそうである。18時40分頃にアナウンスがあり、「現在18時10分」ということで、やっと西オーストラリア州の時間になったようである(時計を30分戻す)。
18時20分頃に停車したが、どうやら燃料補給をしているようであった。18時40分からは大雨が降り始め、18時50分には燃料を補給していたトラックが先に走り去ってしまったが、列車は動こうとしない。こういう場合時間調整であることが考えられるが、案の定、18時59分になってやっと動き出し、19時10分(本来の到着時刻)にはカルグーリー駅に入線し始め、19時13分に完全に停止した。どうせなら早着すればいいのにと思うが、ツアーの手配など様々な事情があるのであろう。
@駅の高架橋から(あと5分早着していれば綺麗な夕日が!) -
さて、ツアーに参加しない私がすべきことは、夕食の入手である。駅からすぐのところにスーパーがあることは調べておいたが、行ってみるともう閉店(19時閉店)であった。さてどうしたものかと思ったが、すぐ近くにレッドロブスターならぬ、レッドルースター(rooster=おんどり)があったので、そこでチキンを買うことにした。
車内に戻り、チキンで一献である。フライドチキンではあるが、KFCのようなスパイシーさはなく、地域ネタで申し訳ないが小樽市にある「なると」のような塩味中心の味付けであった。
@オーストラリアのチェーン店とのこと -
同駅出発予定は、22時40分である。当然それを待たずに、酔いどれてから20時半頃に就寝。
■2015.1.3
停まっているうちに寝入ったので昨日よりはよく寝られたが、それでも激しい揺れのために何度か目を覚ました。結局、4時過ぎには起きてしまった。
シャワーを浴びて準備をしているうちに、4時半くらいには日が昇って明るくなっていった。牧草地が多くなり、所々に住宅地もある。昨日までの「人の気配すら感じられない」大地とは大違いである。
木々も多く、その合間ではインコの群れが飛び回っている。何のためのものかわからないが、パイプラインがずっと沿い続けている。
@調べてみたら、どうやら水道用とのこと -
そのうち、塩湖のような景色が続き始めた。パース近郊にある有名な塩湖とは違うようであるが、基本的に塩分が高い地域なのかもしれない(確証なし)。
@こんな景色 -
人家が増えていき、サイクリングロードが並走するようになり、定刻より8分早い9時02分にパース(イースト・パース)に到着した。長いといえば長く、あっけないといえばあっけない4日間であった。
多くの乗客は、ツアーに参加したりするためにバスなどを待っているが、私にはその必要がない。とりあえず鐡ネタ拾いということで、駅北側にある大きなSLや、駅構内にある旧い客車や関連資料などをあれこれ見ていった。
@屋外のSL -
さて、あとは適当にパース観光をして帰るだけである(日帰り鐡旅も検討したのであるが、バンベリーまでの中距離列車は時間的に無理であった)。
そうはいっても、何らかの鐡ネタは拾うのが私の旅である。まずは近郊列車に乗り、観光地であるフリーマントルへ行くことにした。
イースト・パースから近郊列車に乗り、パースで乗り換え、そこから約25分でフリーマントルである。
@風格あるフリーマントル駅舎 -
カフェが密集する通りを歩き、マーケットをあれこれ見て歩き(詳細は書く紙幅がないが、なかなか面白かった)、トラム「もどき」のバスを見たりして駅に戻り、パース市内へ戻る列車に乗り込んだ。
市内に戻ってからは繁華街のフードコートでハンバーガーの昼食を済ませ、その後はもう鐡ネタもないので(近郊列車は他にもいくつかあるが、恐らくどれに乗っても大した差はない)、あとは動物園に行くことにしている。なんだかんだでカンガルーも数えるほどしか見ていないから「補給」が必要であるし、時間潰しにも最適である。
船と徒歩で動物園まで行き、ディンゴやコアラ、エミューやカンガルーを中心に見続けた。カンガルーは柵に囲まれていない場所におり、のんびりした奴がロープを越えてうろうろしていたので、そいつの背中を触ったりして(予想外に「ふわふわ」)、ゆったりとした時間を潰した。
@「何か問題でも?」 -
その後は博物館へ行き、スーパーでお土産を買い、そして路線バスで国内線ターミナルへと向かった。「国内線だからラウンジも大したことないだろう。夕食はどうしようかしら」という私の危惧をよそに、カンタスの国内ラウンジは国際線に負けないくらい豪華であった。シャワーもあったので今日の疲れを洗い流してから、豪州産ビールを棚にある種類だけすべて試し続けた。フライト時間は4時間半しかないため寝不足は必至であるが、シドニー到着後は成田行に乗り継ぐだけであるから、それでも問題はない。
4日もかけてせっかくパースに着いたのに、その日のうちにシドニーへ戻るなんてもったいない、と思われるかもしれない。その辺りの説明は、阿川弘之氏が『南蛮阿房第2列車』の「カンガルー阿房列車」にて以下のように著している。
「汽車だけがお目あてで、パースに着いたら、空路すぐにシドニーへ引返して来る。内田百鬼園先生以来それが鉄道を愛する者の伝統」
@旅の締め括りはパース空港の夜景を見ながら
*旅行記および私の詳細については以下で。
「鐡旅」http://www2u.biglobe.ne.jp/~kokuden/tetu.htm
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