2005/06/06 - 2005/06/06
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yasyasさん
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(表紙の写真はカラクリ湖)
5.カラクリ湖観光・・・悪路の連続・高山病・民族舞踊
3日目。今朝は6時起床。砂塵のためか空はどんよりと雲って青空は見えない。でも雨の心配はなさそうだ。昨夜は休息時間がたっぷり取れたので、休養十分である。今日は1日がかりで標高3600mのパミ−ル高原に横たわる世界で二番目に高いカラクリ湖行きである。(世界一高い湖は南米のペル−・ボリビア間に横たわるチチカカ湖で標高3800m)。天候に恵まれれば7000m級のパミ−ルの山々が拝めるのだが……。そんな期待を胸に抱きながら、いざ朝食へ。
朝の風景
朝の涼しい空気に当たりながら、敷地の片隅にある昨夜と同じレストランへ向かう。その前にちょっと辺りの様子を見てみよう。ホテル前を走る色満路に出てみると、早朝7時過ぎとあって車や人通りも少なく、ひっそりとしている。やはりこの街では自転車組が多いようだ。道路向かいには食堂や店舗が並んでいるのだが、その看板文字が面白い。アラビア文字に似たウイグル文字と中国語が併用表示されているのだ。このことが中国内とはいえ、異民族のウイグル人社会であることを端的に物語っている。
カラクリ湖へ
相変わらずの中華料理で朝食を済ませると、いよいよ出発である。8時半、マイクロバスに乗った一行は、これから190km離れたカラクリ湖へ向けて登坂する。時速100kmで走れる舗装された高速道路であれば、わずか2時間の距離である。ところが、ここではそうは問屋が卸さない。ここから5時間以上はかかるはるか彼方の山上である。ここカシュガルの標高が1300mだから、これから数時間かけて標高差2300mを上りあがることになる。
標高3600mといえば、完全な高山病発症の高度である。高山病は南米ペル−のクスコとチチカカ湖でいやというほど体験しているので、その症状はわかっている。問題は現地滞在時間がどのくらいかだ。それが長ければ、確実に発症すること間違いない。そんな思いが中巴道路を西へ向けて走り始めたマイクロバスの中でふと脳裏をよぎる。山岳地帯を走るので、安全をとって小型のマイクロバスで向かうことになる。
すさまじい悪路
郊外に出ると、それまでの舗装道は切れて地道に変わる。途端にガタピシと上下振動が激しくなる。ガイド君がにやにやしながら、「これからマッサ−ジ道路が始まりま〜す。」とのたまう。これはとんだマッサ−ジの連続だ〜……。そんな揺れる車窓からポプラ並木や黄金色に波打つ麦畑の風景が流れ込む。この地もいま麦秋の季節なのだ。日本と同じ風景に、つい懐かしさを感じてしまう。
後方座席は揺れが大きいだけに、そこに座っている人は大変なようだ。時折、車が大きくバウンドするごとに、座席から跳ね上げられて頭が天蓋にぶっつかりそうになる。それに先行車や対向車が巻き上げる砂塵がものすごく、それは砂嵐同然で前方が全く見えなくなってしまう。それに建設中のハイウェイの道路工事がいたるところで行なわれており、迂回させられたりして余計に揺れがひどく、時間もかかる。
人力作業
その道路工事たるや、ツルハシとショベルだけの手作業でのんびりと進められている。ブルド−ザ−の姿を見るのは希で、人力に頼る作業が主である。この国では、作業の効率よりも人海戦術による雇用の創出を優先しているようにみえる。炎天下で暑いためか、よく作業を休んでいる姿が見られる。
軍用トラックの隊列
ガタピシと揺られながらどんどん進んで行くと、間隔をとりながら走行する軍用トラックの長い隊列に追いつく。もうもうと砂塵を巻き上げながら走るトラックの後方につくと大変である。バスはトラックを追い越しながら走るが、いくら追い越してもトラックの列は途切れない。それもそのはず、なんと30台以上のトラックが行列をつくっているのだ。その積み荷はどれもコ−クスを満載している。これはこの先の国境にあるクンジェラブ峠(標高5000m)の警備兵宿舎の暖房用燃料だという。酸素が薄いため石炭は燃やせず、コ−クスでなけばだめなのだという。冬に備えて今から準備しているのだ。
休憩ストップ
周囲に草木はなくなり、瓦礫が広がる砂漠に出る。その遠く向こうに、ようやく目指す山並みが見えてくる。カラクリ湖はあのパミ−ル高原の一角にあるわけだ。バスはここで休憩ストップである。折角追い越したトラックの行列が、粉塵を巻き上げながら横を通り過ぎていく。またこの後に続けば砂塵をかぶることになるのだが……。
ラクダ探し
ふと見ると、1頭のラクダが付近を徘徊している。話によると、このおじさん、行方不明になった自分のラクダを探し回っているのだという。この果てしもなく広がった砂漠の中を当て度もなく探すのは大変だろう。このラクダ乗りのおじさん、帰路に夕方通った折にもまだ探し続けている姿が見られたのだが……。その後、どうなったかは知る由もない。
最果てのウパール村
再びバスに乗車し、ひとしきり揺られながら走っていると、小さな村にさしかかる。ここはカシュガル地域の最果ての村で、キルギス人の住むウパ−ル村だという。ここから先は人の住む町や村はないそうだ。ここには村人たちが観光客相手に露店や店を出して果物や飲食物を売っている。規模は小さく、住民も少ないようだ。ここで見物を兼ねてトイレストップとなる。
フォトストップ
この村を離れてひとしきり走っていると、前方の山並みがぐ〜んとクロ−ズアップされて迫ってくる。ここで再度フォトストップとなる。今日は天候に恵まれ、冠雪した白銀の山並みがくっきりと眺められる。あれは7000m級の山々だろうか? あの山並み一帯はパミ−ル高原(タジキスタンから中国、アフガニスタンにまたがって広がる平均高度3500m〜4500mの高原)で、2500kmも連なる崑崙山脈の西端に当たるのだろう。
検問所
雄大な眺めをたっぷり観賞した後は、再びバスにガタピシと揺られながら先を急ぐ。しばらくすると検問所が見えてくる。ガイド君が下車して手続きをしている。しばらく待っていると、全員下車してパスポ−トチェックを受けてくれという。なかなかやっかいなことである。国境に通じる道なので、検問が厳しいのだろう。各自パスポ−トを係官に提示して検閲を受ける。みんなバスに戻って待っているが、なかなかガイド君が戻らない。ようやく戻ってきた彼が言うには、これまでより手続きがうるさくなって手間取ったとのこと。
快適な舗装道路
やっとここを通過して奥へ進んで行く。すると、これまでの長かった凸凹の地道が終わって、きれいな舗装道路に変わる。ガタピシ道に揺られ続けて来ただけに、この快適なドライブウェイにみんなほっとする。しばらく走っていると、鉄錆色の珍しい山肌が両側に迫ってくる。この奥まった場所に小さな土産品店がぽつんと建っている。ここのトイレを借りるために休憩ストップとなる。
赤茶けた山肌が周囲を囲むようにそそり立って、奇妙な風景をつくりだしている。鉄分を多く含む山らしく、それが錆びてこんなに赤茶けて見えるのだという。カシュガルまで86kmの表示盤が見えるが、これだとまだ半分も来ていないことになる。これまで平地ばかりを走行して来たが、これから山間部に入るのだろうか?
ここを後にすると、快適なドライブウェイをさらにひた走る。川沿いを走ったりしながら、次第に山間部に分け行っていく。ガイド君の話によれば、8月には雪解け水で川が氾濫し、しばしば通行止めになることがあるという。8月にカラクリ湖観光に訪れる場合は注意が必要だ。折角の観光ができなくなってしまう。
バスは少しずつ高度を上げながら山間を走り抜けて行く。車窓からは冠雪した山々が見え始める。知らぬ間に、かなり高度を高めたようだ。しかし、七曲りの急坂登山道路を上る感じはまったくなく、山間を縫いながらいとも緩やかな勾配と曲線道路を快適に走って行く。
ブロンクリ湖
すると間もなく、盆地のような広い空間が現れる。標高3200mのブロンクリ湖なのだ。今は干上がって干潟のようになっており、道路沿いのごく一部に鏡のような湖面が残っているだけである。ここは素敵な眺望が広がっているだけに、休憩するには絶好のポイントである。当然のごとくバスストップとなり、ここでトイレタイムを取る。そろそろ高山病発症の高度にさしかかったといえる。
対岸を見ると白っぽいグレイ色に輝く柔らかい曲線の山並みが静かに横たわっている。普通の山と違って奇異にも思える山の感じだが、これは長年の間に飛来した砂が覆い被さってできた砂の山らしい。それにしても、この小さな手前の湖面に映る逆さ風景がなんとも美しいものである。これが満々と水をたたえていたら、もっと美しい光景を見せてくれるに違いない。8月の雪解け時には満水になるのだろうか?
カラクリ湖到着
ここで少々の時間をつぶした後は、目的地のカラクリ湖めざして走り上る。終着点はもう間もなくのようだ。ここからひとしきり走ると、遠くに朱色の門が見えてくる。ようやくにして標高3600mのカラクリ湖到着である。時計は14時20分を示している。途中、何度か休憩はあったものの8時30分〜14時20分と都合6時間あまりかかっている。長い道程ではある。今のところ高山病の症状はその気配もない。
期待はずれ?
バスを降りて広場に立つと、草木のない殺伐とした風景の中にブル−の湖面が静かに広がっている。あれ〜? これがパミ−ル高原最大の塩湖であるカラクリ湖なの……? その広さは364k?、最大水深は236mもある大きさなのだが、この観光基地の位置が悪いためか湖のほんの狭い一部分しか見えず、その全景が見渡せない。だから最初に湖が目に飛び込んだ瞬間、な〜んだこれは……6時間もかけてやって来たのに!と期待外れの感じになってしまう。もっと神秘的な奥深い湖かと勝手に想像していただけに、見事に裏切られた感じである。
雲で視界開けず
だが、狭い湖面を隔てた向こうには、万年雪を抱いた7000m級の山並みが屏風のように立ち塞がっているのは圧巻である。しかし、この折角の大景観も雲が視界を遮ってその全貌を見せてくれない。恥じらいなのか? それとも出し惜しみしているのか? とまれ、これで観光価値は半減してしまう。写真左手の前方にはゴンク−ル山(7719m)、右端にはムスタ−グ・アタ山(7546m)の雄姿が見えるはずなのだが……折角の機会だけに残念でならない。
このパミ−ル高原には最大塩湖のカラクリ湖をはじめ全部で1450の湖と220の川があるという。カラクリ湖の最大水深は236mで氷河時代に形成されたと考えられており、湖底や湖岸の一部は永久凍土に覆われている。次の衛星写真を見ると、その全容が分かる。
物売りが・・・
湖畔に広がる瓦礫の敷地には観光客相手に露店の土産物売りが店を並べている。民族帽子、民族衣装、玉、民芸品、食べ物など雑多なものを売っている。側に近寄ると、「コレセンエン、コレゼンブデセンエン」などと、たちまち売り子に攻め立てられることになる。馬の方へ行くと、これまた乗れ乗れとうるさく迫ってくる。ここの人たちは、ペルシャ系のタジク族の人たちで、男性の帽子の形が少し違う。
パ オ
標高が高いだけに、渡る風は冷たく、ひやっとしている。時間が経つと、合いのジャケットを着込んだだけでは少し寒いくらいである。子供たちも毛物などを着込んでいる。
敷地の後方に幾つかのパオが並んでいる。入口が開いているので中の様子をうかがう。客の宿泊用に設けられたものらしく、中には上等の蒲団が何組も畳んで並べられ、中央にはスト−ブが置かれている。ちょっと待てよ……。夜のトイレはどうするのだろう? 明かりもない真っ暗な中を数十メ−トルも離れたバラックの野外トイレまで行くことになるのだろうか? 冷えた野外での青空トイレは震え上がるに違いない。
唯一のレストラン
敷地の高台には唯一の瀟洒なレストランがあり、ここで昼食となる。団体の観光客が入れ替わり立ち替わり入って賑やかである。そのため順番待ちになり、今やっと食事にありつけるわけだ。料理はこの高山でも同じ中華料理で、これまでよりピリカラの味付けが多い。高山で身体が冷えるからだろうか? 料理の種類は豊富で、やはりここでも持て余してしまう。
やはり高山病が・・・
この地で食事時間も入れて1時間半ほど過ごし、午後4時ごろ下山となる。下りは早く、もと来た快適な舗装道路をどんどん走り下る。バスがスタ−トし始めると、何だか気分がすぐれなくなる。頭が重く、少しむかつく感じだ。やはり高山病の症状が始まったらしい。標高3000mレベルに入ってから、すでに2時間以上が経っている。これでは症状が出始めてもおかしくないころだ。でも、下りは早いから、間もなく解消されるだろう。
バスはブロンクリ湖を通り抜け、山間を縫いながら次第に高度を下げて行く。車内ではこの時間を利用して、ガイド君によるウイグル語の講習が始まる。手際よく準備されたウイグル語のプリントが配られ、これを見ながら一緒に発音する。でも、まだ気分がすっきりせず、元気が出ない。そうこうするうちに、トイレに立ち寄ったみやげ品店に到着し、ここで再び下車。ここまで来ると気分はすっきりとして、高山病の症状はきれいに回復している。
砂 嵐
ここからさらに走り、再度検問所に至ると全員下車し、今度はパスポ−ト検閲なしに通り抜ける。しばらくすると、これまでの舗装道路は終わり、再びあの悪夢の凸凹道に入る。砂塵を巻き上げながらのマッサ−ジ道路の走行が始まる。ふと窓外を見ると、遠くに砂嵐が起こっている。局部的な範囲のようだが、あれに巻き込まれたら砂だらけになってしまう。上下振動で身体が十分にほぐされたところで、やっと今朝立ち寄ったウパ−ル村に到着。ここで再び休憩となる。
(この続きはこちへ・・・⇒ http://yasy7.web.fc2.com/taklamakan-6.htm)
- 旅行の満足度
- 4.0
- 観光
- 4.0
- グルメ
- 4.0
- 同行者
- 社員・団体旅行
- 交通手段
- 観光バス
- 旅行の手配内容
- ツアー(添乗員同行あり)
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