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晴天続きの3連休の初日(9月13日)は絶好の登山日和なのに、前夜の飲み会で二日酔い。恨めしそうに快晴の空を眺めていました。<br /> <br />2日目の今日(9月14日)はどうしても山に登りたくて、目的はないけれどとにかく鈴鹿の朝明渓谷へ向かいました。駐車場に着くと、登山シーズンに入ったのか、有料になっていました。500円を払ってから、行き先を決めます。地図を広げて、ハライド→国見岳にするか、雨乞岳にするか迷っているうちに、イブネ、クラシの名前が目に入りました。鈴鹿最奥の秘境といわれるイブネ(1167m)へ行くことに決定、時間があればクラシまで足を伸ばすことにしました。往復8時間の長丁場です。午前9時の出発ですから午後5時ごろ下山の予定になります。もたもたしていると日没になってしまうというタイトなスケジュールで出発しました。<br /> <br />まず、根の平峠(ねのひらとうげ)に向かいます。ただひたすら岩でごろごろの道を登ること50分で根の平峠に到着。空はあくまでも青く晴れ渡っています。ここで若い男性二人組と会いました。走りながら登山をしているそうです。彼らと別れてわたしは滋賀県に向けて西へ進みます。ここからは初めてのルートです。比較的なだらかな道が続きます。人があまり歩かないルートなので、イノシシが掘り返した跡がたくさんあります。シカの声も林の奥から頻繁に聞こえます。木の皮がシカに食べられた跡がたくさんあり、シカの食害が目立ちます。途中何度も谷を渡り返します。ちょっと足を滑らすと水中に転落してしまうので慎重に岩を飛びながら渡ります。人が歩かないルートなので、目印の赤いテープは古くなって落ちたり退色したりしてあてにはできません。特に谷を渡渉する場所は分かりにくくて、仕方なく帰りにも目立つように自分で石を積み上げてケルンを作りました。もうヤマグリの実がたくさん落ちていました。ほとんどが何者かによって食べられてカラのイガだけが落ちている場合が多かったようです。カーブを曲がったところでイノシシ2頭が地面を掘り返している場所に遭遇しましたが、かれらはすばやく逃げ去り、写真に収めることができませんでした。<br /> <br />しばらく進むと板ガラスの破片や、陶器(皿や茶碗など)の破片、一升瓶などが土から顔を出しているのをたくさん見かけました。こんな山深いところになぜこんなものがあるのか不思議でした。しかし、突然石垣がたくさん築かれていて看板が立っているところに出て納得しました。明治時代にこのあたりに銀や銅を産出する鉱山があったのです。写真のような石で造った洗い場のようなものがたくさんあり、この中で掘り出した鉱石などを水洗いしたようです。石垣の下部の穴から水や土砂を流し出したようです。それ以外にも石の階段があり、上がって見ると平らな敷地になっているという場所も2ヶ所ありました。神社や小学校、鉱山事務所の跡かも知れません。こんなところにも小学校があったということは信じられません。時間があれば歩き回ってもっといろいろなものが発見できたかも知れませんが、今日は時間がなく次回に期待します。突然すぐそばの木から黒い鳥が5〜6羽驚いて飛び出しました。金属的な地鳴きの声からするとクロジのようです。双眼鏡を持っていかなかったので詳しくは観察できませんでしたが、遠目で見る限りクロジのようでした。<br /> <br />いやになるくらい歩くと杉峠に着きました。すぐそばに雨乞岳が大きくそびえています。左に進むと雨乞岳へ、右に進むとイブネ、クラシに向かいます。わたしは右に進みました。カンカン照りの道を進むと広く平らな台地に出ました。ここがイブネのようですが、看板も標識もありません。地図で確認するとイブネに間違いありません。とうとう憧れのイブネに登頂。昔はササに覆われていたようですが、シカの食害かササはまったくなく、低い木が少しとヒカゲカズラだけの単調な山上です。ここまで3時間50分かかりました。直射日光は強いのですが、木陰に入ると風が冷たいくらいです。気温は18度ぐらいです。根の平峠からは誰にも会わずにきました。こんなところに来る物好きはいないでしょうね。ここでランチです。頭上をイワツバメが飛び回っていました。ツバメは見なくなりましたが。イワツバメはまだ南へ帰っていないのですね。オオタカが2羽飛んできましたが、すぐ下界に下りて行きました。時間がないので、クラシに行くのは諦めました。クラシもどうやら同じような山のようです。<br /> <br />肌寒くなってきたので下山開始。すばらく進むと大きな荷物を背負った50代の夫婦(だと思う)らしき男女が登ってきました。話してみると今夜はここでキャンプとのこと。夜は冷えるのでは?と聞くと、寒さ対策はしてきたから大丈夫とのことでした。実は先月もキャンプをしたらしく、そのときは暑くて眠れなかったそうです。満点の星を眺めながらウィスキーでも飲んだら最高でしょうね。<br /> <br />かれらと別れてからは、わたしはひたすら山を下ります。積んでおいたケルンのおかげで道に迷わずに来れました。山の中は午後4時を過ぎるとかなり暗くなり不安になります。早足で下って何とか日没前に下山できました。<br /> <br />車で帰る途中の菰野町(こものちょう)の田んぼ道で、フクロウを連れて散歩している女性を発見。車を止めて話をすることができました。彼女はフクロウが大好きで、何とかこのベンガルワシミミズクを大阪のペットショップで手に入れて1年が経つと言っていました。食べ物はヒヨコ、ネズミなどを自分で細かく刻んで与えているということでした。しかし原産地がインドで、そこからの輸入物とのことですが、現地では多分密猟で商品を集めているのでしょう。紐で足を縛られた鳥にとってはかわいそうです。<br /> <br />とにかく今日は一日中鈴鹿を歩けて最高でした。歩行数は36,000歩以上でしたから、明日は筋肉痛かも知れませんが。

鈴鹿最奥の秘境 イブネ登山記

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2014/09/14 - 2014/09/14

237位(同エリア575件中)

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8

地酒大好きさん

晴天続きの3連休の初日(9月13日)は絶好の登山日和なのに、前夜の飲み会で二日酔い。恨めしそうに快晴の空を眺めていました。

2日目の今日(9月14日)はどうしても山に登りたくて、目的はないけれどとにかく鈴鹿の朝明渓谷へ向かいました。駐車場に着くと、登山シーズンに入ったのか、有料になっていました。500円を払ってから、行き先を決めます。地図を広げて、ハライド→国見岳にするか、雨乞岳にするか迷っているうちに、イブネ、クラシの名前が目に入りました。鈴鹿最奥の秘境といわれるイブネ(1167m)へ行くことに決定、時間があればクラシまで足を伸ばすことにしました。往復8時間の長丁場です。午前9時の出発ですから午後5時ごろ下山の予定になります。もたもたしていると日没になってしまうというタイトなスケジュールで出発しました。

まず、根の平峠(ねのひらとうげ)に向かいます。ただひたすら岩でごろごろの道を登ること50分で根の平峠に到着。空はあくまでも青く晴れ渡っています。ここで若い男性二人組と会いました。走りながら登山をしているそうです。彼らと別れてわたしは滋賀県に向けて西へ進みます。ここからは初めてのルートです。比較的なだらかな道が続きます。人があまり歩かないルートなので、イノシシが掘り返した跡がたくさんあります。シカの声も林の奥から頻繁に聞こえます。木の皮がシカに食べられた跡がたくさんあり、シカの食害が目立ちます。途中何度も谷を渡り返します。ちょっと足を滑らすと水中に転落してしまうので慎重に岩を飛びながら渡ります。人が歩かないルートなので、目印の赤いテープは古くなって落ちたり退色したりしてあてにはできません。特に谷を渡渉する場所は分かりにくくて、仕方なく帰りにも目立つように自分で石を積み上げてケルンを作りました。もうヤマグリの実がたくさん落ちていました。ほとんどが何者かによって食べられてカラのイガだけが落ちている場合が多かったようです。カーブを曲がったところでイノシシ2頭が地面を掘り返している場所に遭遇しましたが、かれらはすばやく逃げ去り、写真に収めることができませんでした。

しばらく進むと板ガラスの破片や、陶器(皿や茶碗など)の破片、一升瓶などが土から顔を出しているのをたくさん見かけました。こんな山深いところになぜこんなものがあるのか不思議でした。しかし、突然石垣がたくさん築かれていて看板が立っているところに出て納得しました。明治時代にこのあたりに銀や銅を産出する鉱山があったのです。写真のような石で造った洗い場のようなものがたくさんあり、この中で掘り出した鉱石などを水洗いしたようです。石垣の下部の穴から水や土砂を流し出したようです。それ以外にも石の階段があり、上がって見ると平らな敷地になっているという場所も2ヶ所ありました。神社や小学校、鉱山事務所の跡かも知れません。こんなところにも小学校があったということは信じられません。時間があれば歩き回ってもっといろいろなものが発見できたかも知れませんが、今日は時間がなく次回に期待します。突然すぐそばの木から黒い鳥が5〜6羽驚いて飛び出しました。金属的な地鳴きの声からするとクロジのようです。双眼鏡を持っていかなかったので詳しくは観察できませんでしたが、遠目で見る限りクロジのようでした。

いやになるくらい歩くと杉峠に着きました。すぐそばに雨乞岳が大きくそびえています。左に進むと雨乞岳へ、右に進むとイブネ、クラシに向かいます。わたしは右に進みました。カンカン照りの道を進むと広く平らな台地に出ました。ここがイブネのようですが、看板も標識もありません。地図で確認するとイブネに間違いありません。とうとう憧れのイブネに登頂。昔はササに覆われていたようですが、シカの食害かササはまったくなく、低い木が少しとヒカゲカズラだけの単調な山上です。ここまで3時間50分かかりました。直射日光は強いのですが、木陰に入ると風が冷たいくらいです。気温は18度ぐらいです。根の平峠からは誰にも会わずにきました。こんなところに来る物好きはいないでしょうね。ここでランチです。頭上をイワツバメが飛び回っていました。ツバメは見なくなりましたが。イワツバメはまだ南へ帰っていないのですね。オオタカが2羽飛んできましたが、すぐ下界に下りて行きました。時間がないので、クラシに行くのは諦めました。クラシもどうやら同じような山のようです。

肌寒くなってきたので下山開始。すばらく進むと大きな荷物を背負った50代の夫婦(だと思う)らしき男女が登ってきました。話してみると今夜はここでキャンプとのこと。夜は冷えるのでは?と聞くと、寒さ対策はしてきたから大丈夫とのことでした。実は先月もキャンプをしたらしく、そのときは暑くて眠れなかったそうです。満点の星を眺めながらウィスキーでも飲んだら最高でしょうね。

かれらと別れてからは、わたしはひたすら山を下ります。積んでおいたケルンのおかげで道に迷わずに来れました。山の中は午後4時を過ぎるとかなり暗くなり不安になります。早足で下って何とか日没前に下山できました。

車で帰る途中の菰野町(こものちょう)の田んぼ道で、フクロウを連れて散歩している女性を発見。車を止めて話をすることができました。彼女はフクロウが大好きで、何とかこのベンガルワシミミズクを大阪のペットショップで手に入れて1年が経つと言っていました。食べ物はヒヨコ、ネズミなどを自分で細かく刻んで与えているということでした。しかし原産地がインドで、そこからの輸入物とのことですが、現地では多分密猟で商品を集めているのでしょう。紐で足を縛られた鳥にとってはかわいそうです。

とにかく今日は一日中鈴鹿を歩けて最高でした。歩行数は36,000歩以上でしたから、明日は筋肉痛かも知れませんが。

旅行の満足度
5.0
観光
5.0
同行者
一人旅
一人あたり費用
1万円未満
交通手段
自家用車
旅行の手配内容
個別手配

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  • 登山道には早くもヤマグリの実がたくさん落ちていました。かなりのものは既に何者かに食べられて、カラのイガグリだけになっていました。イノシシかネズミかリスか、栄養豊富なエサになります。

    登山道には早くもヤマグリの実がたくさん落ちていました。かなりのものは既に何者かに食べられて、カラのイガグリだけになっていました。イノシシかネズミかリスか、栄養豊富なエサになります。

  • 谷を渡渉する場所や分かれ道などに、帰りにも道迷いしないように小石を積み上げて目印にするためのケルンを積み上げておきました。他の登山者にも役立つでしょう。

    谷を渡渉する場所や分かれ道などに、帰りにも道迷いしないように小石を積み上げて目印にするためのケルンを積み上げておきました。他の登山者にも役立つでしょう。

  • 深い山中に突然現れた鉱山跡地を示す看板。明治時代にはこのあたりで銀や銅の鉱山があり、300人以上の人が働いていたそうです。家族も入れるとかなりの人口があったと推測されます。小学校まで設けられていたそうで、子供たちは毎日こんな山中でどんな生活を強いられてしたのでしょうね。

    深い山中に突然現れた鉱山跡地を示す看板。明治時代にはこのあたりで銀や銅の鉱山があり、300人以上の人が働いていたそうです。家族も入れるとかなりの人口があったと推測されます。小学校まで設けられていたそうで、子供たちは毎日こんな山中でどんな生活を強いられてしたのでしょうね。

  • 鉱山の遺跡のひとつ。石垣を組んで鉱石を洗ったと思われる「水槽」。中は穴になっていて、その中で洗った余分な土砂や汚れた水は下部の穴から流し出したようです。谷の水が豊富に流されていたのでしょう。こんな施設がたくさんありました。<br />それ以外にも石垣を積んだところがたくさんあったので、調べて見ると興味深いものが発見されるでしょうね。<br />こういうような秘境にある産業遺産、生活遺産にたいへん興味があります。

    鉱山の遺跡のひとつ。石垣を組んで鉱石を洗ったと思われる「水槽」。中は穴になっていて、その中で洗った余分な土砂や汚れた水は下部の穴から流し出したようです。谷の水が豊富に流されていたのでしょう。こんな施設がたくさんありました。
    それ以外にも石垣を積んだところがたくさんあったので、調べて見ると興味深いものが発見されるでしょうね。
    こういうような秘境にある産業遺産、生活遺産にたいへん興味があります。

  • めったに人が来ない杉峠。写真中央には枯れた杉の大木があります。大昔、この杉を見て峠の名前を付けたようです。

    めったに人が来ない杉峠。写真中央には枯れた杉の大木があります。大昔、この杉を見て峠の名前を付けたようです。

  • イブネの頂上はシカの食害でササもなくなり、裸地になっています。向こうに見えるのは雨乞岳です。日陰も少なくカンカン照りです。でも風は涼しく気温は18度ぐらいでした。名古屋は30度前後だったときです。<br />それもそのはず、ここの標高1167mは、軽井沢と清里の中間ぐらいですから。

    イブネの頂上はシカの食害でササもなくなり、裸地になっています。向こうに見えるのは雨乞岳です。日陰も少なくカンカン照りです。でも風は涼しく気温は18度ぐらいでした。名古屋は30度前後だったときです。
    それもそのはず、ここの標高1167mは、軽井沢と清里の中間ぐらいですから。

  • イブネの広い頂上です。雲の位置が低く見えます。<br />植生はほとんどがヒカゲカズラでした。花もないのに、チョウがたくさん飛んでいました。ほとんどがヒョウモンチョウの仲間でした。避暑中のアキアカネもたくさん飛んでいました。まだ色が濃くなっていません。

    イブネの広い頂上です。雲の位置が低く見えます。
    植生はほとんどがヒカゲカズラでした。花もないのに、チョウがたくさん飛んでいました。ほとんどがヒョウモンチョウの仲間でした。避暑中のアキアカネもたくさん飛んでいました。まだ色が濃くなっていません。

  • 下山後、帰路の途中に菰野町の田んぼ道をフクロウを連れて散歩している女性を発見。フクロウの種類はベンガルワシミミズクでした。<br />かなり大きな種類で、彼女は重そうでした。<br />(本人の許可を得て撮影)

    下山後、帰路の途中に菰野町の田んぼ道をフクロウを連れて散歩している女性を発見。フクロウの種類はベンガルワシミミズクでした。
    かなり大きな種類で、彼女は重そうでした。
    (本人の許可を得て撮影)

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