情緒纏綿 晩秋北摂紀行＜後編＞阪急池田駅界隈編

2013/11/24 - 2013/11/24

北摂 久安寺の紅葉を堪能した後、大阪の奥座敷と称され、今年（２０１３年）創業８０年を迎えた老舗温泉旅館「不死王閣」で昼食と温泉を愉しみました。紅葉狩りに温泉をセットしたゴージャスな一日でした。時間的にも、金銭的にも、近場だからこそできる業だと思います。まず、料亭「彩さい亭」にて季節の幸に舌鼓を打ち、その後、天然ラジウム温泉にのんびりと浸かりました。露店風呂では、咲き始めた淡桃色に染まった「寒桜」と艶やかな紅葉の競演を眺め、心身ともに癒されました。
その後、池田市街へ繰り出しました。池田市中心部の町並みは江戸時代にタイムスリップしたかの様に趣のある佇まいを今に留め、呉服神社と伊居太神社と言った松村呉春ゆかりの本養寺があります。また、ここ池田市はインスタントラーメン発祥の地でもあり、「インスタントラーメン発明記念館」は外せません。安藤百福氏の発明秘話がダイジェストで展示されており、驚いたり、感心したりの連続でした。創造力や知的好奇心を育む情操教育には格好のスポットです。時間の余裕があれば、オリジナルのカップ麺を作ってお土産にすることもできます。
秋の日は釣瓶落としと言われますので、暗くならないうちに最終目的地の「呉服（クレハ）神社」へ急ぎました。中国の呉の国から渡来し、日本に機織技術を伝えたとされる呉織媛（クレハトリヒメ）と仁徳天皇を祀った神社です。拝殿の板戸に場違いなステンドグラスを設えておられる「珍百景」に匹敵する神社だと思います。

エリア 池田(大阪)

• 旅行の満足度: 5.0

不死王閣
「不死王閣」の手前に流れる余野川に架けられた橋からのショットです。「不死王閣」は、今年（２０１３年）創業８０年を迎える老舗温泉旅館。養魚場で鮎を釣らせ、その場で料理して食べさせる料亭「伏尾の鮎茶屋」として１９３３年に創業しました。その後、２代目が泉源を掘り当て、温泉宿の営業をスタートさせています。屋号は、現在の伏尾町が昔「不死王村」と呼ばれていたのが由来だそうです。「死なない王様」という縁起を担いでいるそうです。

不死王閣
大阪の奥座敷と称される閑静な環境が魅力の老舗温泉旅館。大自然に囲まれた開放感溢れる露天風呂付き客室もあり、シーズン中は結構人気です。露天風呂からは、正面にやさしい稜線を描く五月山を見上げ、眼下に清流 余野川を見下ろせます。四季折々の風情を愛でながら、のんびりと湯浴みを愉しむというラグジャリーなひと時を過ごせます。
今回は、「昼食（季節のお弁当）＋温泉プラン＝２５００円」を利用させていただきました。入浴料だけでも１５００円ですのでお徳だと思います。

不死王閣
菊花も見事なのですが、極めつけはガラスに映った煌めく黄葉の銀杏と艶やかな紅色の紅葉の競演です。

伏尾温泉の「衣懸の湯」には２つの源泉が湧き、滔々と湧き出る天然ラジウム泉は不死王閣の一番の売りで、湯質が滑らかで体の芯まで温まれます。もう一方は重曹泉。自慢の庭園露天では、この季節は紅葉風呂が楽しめる趣向となっています。山々が紅色に彩られる紅葉シーズンの訪れに合わせ、寒桜がささやかに咲き始めます。澄んだ秋空に映える淡桃色の寒桜を眺めながら入る温泉はどこか神秘的な雰囲気があり、心身ともに潤います。
泉質：１号泉・単純放射能泉、２号泉・ナトリウム−塩化物・炭酸水素塩泉

不死王閣　彩あいの小径
昼食の予約時間まで３０分程あるので付近を散策することにします。久安寺ほどではありませんが、ちょっとした紅葉が見られます。
この紅葉は、葉が密集していませんが、日向と日蔭のコントラストが幽玄の世界を醸しています。薄紅色に染まる繊細な紅葉が、ペイントブラシでスプレーしたような儚い、ナイーブな感性を余すところなく表現しています。と言ってみても、この写真ではうまく再現できていません。

不死王閣　彩あいの小径
このような立派な紅葉の巨木もあります。

不死王閣　彩あいの小径
紅葉を上から見下ろせるロケーションならではのショットです。

不死王閣　彩あいの小径
鉄塔のある高台から、周囲を見渡した景色です。周りの山も秋色に衣替えを終えています。こうして改めて見てみると美しい山間の郷という表現がピッタリです。

不死王閣　彩あいの小径
ひと葉ずつ輪郭を見せる紅葉の美しさには、心癒される気がします。

不死王閣　彩あいの小径
美しいグラデーションを見せています。

不死王閣　彩あい亭
館内２Ｆにある割烹「彩あい亭」で昼食をいただきます。掘りごたつの間や景色が見えるテーブル席など、予約時に好みに合わせてオーダーすることができます。

不死王閣　彩あい亭
料理は、四季折々の旬の選りすぐられた食材を、冴えた技と真心を込めて調理され、季節の彩りが豊です。瑞々しい元祖 鮎料理をはじめ、北摂の自然を存分に活かした料理が味わえます。
季節弁当は「彩香弁当」でしたが、昨今の偽装表示問題の影響があるのかないのか、ＷＥＢにもお品書きが添えられておらず、どんな食材を使って料理されたものか判らなかったのが少々残念でした。折角、ビジュアル面とお味の方はＧＯＯＤでしたのに…。

不死王閣　彩あい亭
バナメイエビでもブラックタイガーでも学術的には車エビ科に変わりはないのに…。例え味に違いがあっても当方には見分けることができませんが、これを車エビと表示するとお客への裏切り行為と見做されるのですね。無意識にブランドに影響されてしまう日本人気質が禍しているような気もします。高価なもの＝美味しいものとは限りませんのに…。実際、中国などのコピー商品同様、値段から察してコピーと分かっていて確信犯として甘受されている方がほとんどでは？但し、偽ブランドで高級料亭並みの値段を付けるのは、ボッタクリ以外何ものでもありません。ですから、高級料理店が襟を正すことを求められているのでしょう。しかし、和食はお品書きを添えることが多いので、カタカナ名が混じると違和感がありますね！？本物を使って、値段を上げるのでしょうか？本物を使って今までと同じ値段で振る舞ったら、暴利をむさぼってきたのを暗に認めることになるはずですから…。いすれにしても、お客の足が遠のくのは必然の成り行きでしょう。
最近は家電でも医薬品のジェネリックをなぞらえた商品が売れているそうです。使うこともないような機能を絞り、中堅メーカーが顧客目線で安価に販売しているようです。このような、お客の実利を考える方法もあるのではないかと考えさせられました。
ところで、おせち料理は大変なことになるのでは？我が家のおせちは、例年同様にジェネリックに決定ですね！？

不死王閣
フロントの向かいの柱に手塚治虫氏の色紙が３枚飾られています。生前、氏は不死王閣をとても贔屓にされていたそうです。一番上は、「ジャングル大帝」。１９６５年〜放映。国産初のカラーアニメでした。真ん中の色紙は「鉄腕アトム」。１９６３年１月１日は、記念すべき日本初制作のアニメの放送日だそうです。１９７８年と書かれていますので、氏が５０歳の時の色紙です。一番下は、「リボンの騎士」のサファイア王子。１９６７年〜放映。同年代の方々は、昔を懐かしみながらご覧になってください。
氏は、不死王閣に時々ふらりといらしていたそうです。１９２８年に大阪府豊中市に生まれ、５〜２４歳まで兵庫県宝塚市で過ごされました。宝塚市には手塚治虫記念館があります。漫画家になられてからは東京在住でしたが、生まれ故郷の関西に戻られることも多かったのでしょう。

インスタントラーメン発明記念館
阪急池田駅から徒歩５分程の距離にあります。記念館へのプロローグとなる真っ直ぐの道は「ラーメンロード」と呼ばれています。でもこれは記念館をメインとしたネーミングですので、ラーメン屋さんが軒を連ねている訳ではありません。唯一、目に留まったのが福岡ラーメンのチェーン店「一風堂」さん。記念館の帰途に立ち寄ってもらおうという主旨でしょうね！
１９５８年、この池田市で世界初のインスタントラーメンが誕生しました。現在、インスタントラーメンの世界年間消費量は１０００億食を超え、天文学的な数字になっています。そして今や、宇宙飛行士が「宇宙食」に持参する勢いです。その業績を記念し、インスタントラーメンの歴史とその過程にあった「発明・発見」の大切さを後世に伝えるため、１９９９年に造られたのが発明記念館です。２００４年には２倍の大きさに拡張され、体験型食育施設となっています。チキンラーメンを発明した当時の研究小屋が再現されていたり、カップヌードル型の体感シアターでは開発エピソードや製造工程を紹介しています。また、小麦粉を練るところから始める「チキンラーメン手作り体験工房」（有料・要予約）、スープや具材をトッピングしてオリジナルのカップ麺が作れる「マイカップヌードル・ファクトリー」（有料・予約不要）で、発明と発見の原点を体験することができます。最終入場時間が１５：３０、１６：００閉館と結構早い時間ですので留意なさって下さい。
正式ＨＰです。
http://www.instantramen-museum.jp/about/index.html

インスタントラーメン発明記念館　安藤百福氏の銅像
建物の横には、カップヌードルの台座に凛と立ち、チキンラーメンの袋を片手に頬を緩めた銅像が佇みます。「控えおろう！こちらにおわすは、インスタントラーメン生みの親 安藤百福公であらせられますぞ」と自己紹介でもされているような微笑ましいお姿です。
百福氏は、１９１０年に日本統治時代の台湾で生まれました。若い頃から事業を手がけましたが、事業が成功したと思ったら空襲で全て焼かれたり、憲兵隊に連行されたり、戦後は脱税容疑で巣鴨プリズンに収監されたりでさんざんでした。しかし、一貫して日本が荒廃から立ち直るための事業に傾倒したそうです。それでも、懇願されて理事になった信用組合が倒産して無一文になったり、苦労の連続だったそうです。そして、無一文からチキンラーメンを発明して大成功したのです。まさに不屈の闘志を持った人物です。それを蔭で支援されたご家族も立派ですね！

インスタントラーメン発明記念館　研究室
最初に展示されているのは、再現された研究室。どう贔屓目に見ても「三匹のコブタ」に登場しそうなバラック小屋にしか見えません。ここにどんな秘密兵器があるのでしょうか？

インスタントラーメン発明記念館　研究室
軒下には、茹でられたラーメンを広げて乾燥させている様子が忠実に再現されています。

インスタントラーメン発明記念館　研究室
小屋の中には、巨大な釜と裸電球に振り子時計、ありきたりの台所用品がずらり。ハイテク装置を揃えた研究施設で開発されたイメージがあったのですが、このような台所で開発されたと知って驚きです。実は、奥さんが天ぷらを揚げているのを見て、油の熱で乾かす瞬間油熱乾燥法を思いついたそうです。百福氏はここに籠もってまる一年、寝食を惜しんで開発に没頭されたそうです。

インスタントラーメン発明記念館　研究室
戸外には、憐れにもスープにされてしまったニワトリの生前のお姿が…。
ところで、何故スープがチキン味になったのか？
ある日、飼っていたニワトリが調理中に暴れ、それに息子さんが驚き、以後トラウマで鶏肉が食べられなくなったそうです。しかし、鶏ガラスープのラーメンは喜んで食したことから、チキン味に決めたそうです。後に「世界で鶏を食さない国はない。だからチキン味は世界に受け入れられた」と仰っています。かくして元祖インスタントラーメンが完成し、お湯を注ぐだけで食べられるチキンラーメンは「魔法のラーメン」と呼ばれました。「調理が簡単」「常温保存可能」「手頃な価格」「衛生的で安全」、しかも「すぐできて、おいしい」。世界の食を変えた、２０世紀屈指の大発明と称される所以です。

インスタントラーメン発明記念館
チキンラーメンのキャラクター「ひよこちゃん」がナビゲーターを務めます。１９９１年に誕生し、２０１０年には現代風に少しデザインを変更しています。この時期は紅葉バージョンとなっています。
世界初のインスタントラーメン＝チキンラーメンは、１９５８年８月２５日に販売が開始されました。この日、阪急百貨店うめだ本店では試食販売が行われ、これを記念して８月２５日は「チキンラーメン誕生の日」とされています。

インスタントラーメン発明記念館
次は、何故「ラーメン」にそれほど拘ったのか？
モニターには、戦後の街の様子が映されています。百福氏は、終戦直後の冬の夜、闇市で一軒のラーメン屋台に何十人もの人々が並ぶのを見たそうです。こんなに寒い中、一杯のラーメンがこれほど人を惹きつけるものなのか…。この時実感した食への思いが発明に繋がっていきます。

インスタントラーメン発明記念館
１９９５年の阪神淡路大震災で大活躍したカップヌードル屋台「チキンラーメン号」の様子です。寒い戸外ですする一杯のカップ麺は、温かさと共に未来への夢も授けてくれました。日清食品は、１００万食の支援をしてくれたそうです。
ところで、カップヌードルが全国ネットでデビューしたのは、皮肉にも１９７２年に連合赤軍が立て篭った「浅間山山荘事件」がきっかけだそうです。寒い中、機動隊員らが温かいカップヌードルをすする場面が全国ネットで生中継されたのです。冬の浅間山は−１５℃程の極寒。配給される弁当が凍ってしまい、熱湯を注ぐだけで食べられるカップヌードルが非常食として重宝されたのです。

インスタントラーメン発明記念館
カップにラーメンを入れるための工夫をビジュアルに紹介しています。カップに上からラーメンを入れようとするとバランスを崩して右のように失敗しますが、ラーメンを置いて上からカップを被せると１００発１００中で成功します。
また、蓋は、飛行機の機内で配られたマカデミア・ナッツの蓋をヒントにしたそうです。生産性を向上させるため、本当に細部にまで創意工夫を凝らしているのが判ります。常日頃から問題意識を持っておられたからこそ、ひょんな所から発明のヒントが湧き出て来たのでしょう。カップヌードルは発明の塊と言えます！

インスタントラーメン発明記念館
カップ麺には百福氏のアイデアが満載です。例えば、カップの中央に麺を留める「宙吊り構造」は、カップに麺が密着するため、運搬中に麺もカップも壊れ難くなり、麺の下からもお湯が回って麺の戻りを均一にできます。
因みに、カットモデルの台座に腰かけているのは、韓国人と思しき女の子です。実際、中国や韓国からここを訪れる観光客が後を絶たないそうです。アジア圏では、発明家 安藤百福氏の人気は絶大ですから…。彼らのパワーは、今の日本の若者を遙かに凌駕しています。第二、第三のサムスンが台頭してくるのは間違いないでしょう。

インスタントラーメン発明記念館
２００５年、スペースシャトル・ディスカバリー号の宇宙飛行士 野口聡一氏と共に、世界初の宇宙食ラーメン「スペース・ラム」が宇宙へはばたきました。スープは、しょうゆ、みそ、カレー、とんこつ味の４種類。沸点７０℃という宇宙空間でも麺が戻るように日清食品とＪＡＸＡが協働開発しました。味覚が変わってしまう無重力空間でも地球上と変わらない味で、野口氏も絶賛したとか。シャトル内でラーメンを食べる野口氏はすごく幸せそうに見えた記憶があります。帰還後、野口氏は、上空から「記念館」のある辺りを撮した写真を持って来られたそうです。「記念館の姿は確認できませんでしたが、『ここや』と矢印で示していますので、目を凝らして見てください」という微笑ましい一幕もあったそうです。

インスタントラーメン発明記念館
海外でも食べられるようになったインスタントラーメン。パネルを見れば、どれほど世界に広まっているかが一目瞭然。世界地図には、国別に年間消費量が赤いカップヌードル印で表示されています。ディスプレイの前では、小学生と思しき少女が２人、熱心にメモをとっています。こうした様子を見ると、日本もまだ捨てたもんじゃないなと安堵を覚えます。

海外展開での秘話があります。
百福氏は、インスタントラーメンを世界にも広げようとアメリカへ視察に行きました。アメリカ人も興味深々でしたが、ここで難問。アメリカには丼ぶりもお箸もなかったのです。でもバイヤーは、紙コップにチキンラーメンを割って入れてお湯を注ぎ、そしてフォークで食べ始めました。ここで閃きました、そうです、「カップ麺」です。そして１９７１年に「カップヌードル」が誕生するのです。
小売価格は１００円。袋入りインスタントラーメンが、３０円だったことを考えると驚愕の高値でした。故に、なかなか売れなかったそうです。そこで警察署や消防署など夜勤の多い職場で試験販売を行ってＰＲしたそうです。それが奏功して「簡便性」と「完全調理済食品」という点に目を付けた自衛隊が大量購入してくれたそうです。

インスタントラーメン発明記念館　年頭所感
「食足世平（しょくそくせへい：食足りて世は平らか）」などの名言を残した「百福語録」や一年の計を元旦に定めて毛筆で認めた「年頭所感」、百福氏がアジアの英雄のひとりとして掲載されたＴＩＭＥ誌アジア版「６０年間のアジアの英雄」特集号なども展示されています。
その他、数々の勲章や表彰状、愛用品などで百福氏の足跡を辿ることができます。

インスタントラーメン発明記念館
最後はインスタントラーメンのタイムトンネルです。「チキンラーメン」から始まり、現在までに日清食品が発売したインスタントラーメンの商品パッケージが年代順に展示されています。パッケージの数は約８００種類。皆さん、思い出のある場所で足を止め、昔を懐かしんでおられます。受験勉強の時によく食べたなとか、「焼きそばＵＦＯ」が出た時はピンクレディーを踊りながら３分待ったなとか、ラーメンのパッケージを見ながら人生をアーカイブできる趣向となっています。出口付近には、時代を反映し、繰り返し使えるカップなども登場しています。カップ麺が今後どんな深化を遂げるのか、益々楽しみになってきました。

サンシティー
日が傾いてきたので発明記念館を後にして最終目的地の「呉服神社」へ急ぎます。発明記念館から徒歩１０分程の距離にあります。
サンシティの入り口では大きなゴリラが買い物客を出迎えています。名前は「サンサン」と言い、体はごっついですが愛嬌ある顔をしています。因みに、この広場は「サンサン広場」と呼ばれ、毎年クリスマスツリーがセットされるそうです。
何故ゴリラなのかは、池田市民積年の謎だそうです。

せせらぎモール
阪急池田駅とその西側にある専門店街「サンシティ」の間に水路が流れる遊歩道「せせらぎモール」が設けられ、街の美観をアピールしています。この水路には下水を処理したきれいな水が流れているそうです。水路の水の噴出口に碑があり、１９８８年に「大阪まちなみ賞」を受賞しているようです。

呉服神社
阪急電車の高架に沿った道路上に威風堂々とした石の鳥居が立っており、ここからが呉服神社へのプロローグとなります。
池田市は大阪府の北西に位置し、旧石器、古墳時代から人の生活の痕跡が遺される歴史ある町です。平安〜鎌倉時代には、秦氏や坂上氏など渡来人が台頭し、大宝律令制度下の池田には摂津国豊島郡の郡役所が置かれ、地域の中心地として栄えました。
室町〜戦国時代には、北摂の覇権を争った池田氏が本拠地を構え、「富貴無双」と評され、地域支配と共に金融業にも精を出し、その収益は１万石に匹敵したそうです。しかし、その栄華は長くは続かず、池田家内紛に乗じた荒木村重に翻弄されました。その後、村重は本拠地を伊丹に移し、池田城は事実上廃城となり、村重の乱による信長軍の攻撃を受けて完全に崩壊します。往時、池田炭は茶の湯に最上とされ、特産品として全国に名を馳せました。
江戸時代には、能勢街道の整備により、池田は能勢地域と大阪との中継地として栄え、酒造・金融業が隆盛しました。僧坊酒造に技術改良を加え、良質の酒を大量に醸造したのが池田と伊丹で、大坂に至近という地の利と猪名川の水質が辛口酒の醸造に適していたことが発展の勝因でした。また、こうした経済的繁栄を受け、松村呉春（日本絵画、四条派の祖）に代表される多くの文人墨客が去来し、池田文化が開花しました。歌人の津田道意・平間長雅、画家の桃田伊信、「呉江社」を興した儒者 田中桐江、山川正宣・広瀬旭荘などの活躍がありました。

呉服神社
「呉服」は通常「ゴフク」と読みますが、池田市では「クレハ」と読みます。一風変わった読み方は、織姫伝説が由来となっています。中国の呉の国から渡来し、日本に機織技術を伝えたとされる呉織媛（クレハトリヒメ）と仁徳天皇を祀っています。「日本書紀」や「古事記」には呉織と穴織らの縫工女が池田にやって来たという「呉織・穴織伝承」が記されており、世阿弥元清作の謡曲「呉服」の典拠となっています。因みに、呉服媛は西暦３８５年に１３９歳で天寿を全うしたと伝えられます。 その伝説は、西暦３００年頃に織物技術伝承のために織姫姉妹が渡来したというものです。姉妹の名は、姉が呉織媛で妹が穴織媛（アヤハトリヒメ）。後に仁徳天皇が姉妹の功績を称えて建立したのが、呉服神社と伊居太神社になります。因みに、絹布類を「呉服」と称するのは、呉織媛の名が起源だそうです。

呉服神社
今から５００年程前、大広寺に牡丹花肖柏という歌人がおられました。ある日、肖柏は、歌会の帰途にいつもは通り過ぎる猪名野 五社神社の境内にある古墳を覗いてみたくなりました。腰をかがめて古墳に潜り込むと、中は真っ暗で、死の世界へ閉じ込められたようで身震いしました。やがて、水のしたたる音がリズミカルな機織音に変わり、気がつくと目の前に鮮やかな薄物を纏った美女が２人立っていました。呉織と穴織と名乗り、応神天皇の時代に百済から筑紫に辿り着き、瀬戸内海を経て、難波津から武庫川を遡って猪名川に着いたと言います。仁徳天皇の指示で機織と裁縫技術を全国の婦女子に教えたとも語ります。ある夏、天皇に献上する布を翌朝までに織り上げなければならなかった２人は、一生懸命織り続けましたが日が沈んでもまだ仕上がりません。暗闇に困惑して五月山に流れた星に願ったところ、暗い夜空に満天の綺羅星が光輝き、その星明かりが手元を照らし、布を織ることが出来たということです。２人を祀った呉服神社と伊居太神社は人々に親しまれ、肖柏が巡り歩いた織姫ゆかりの地として大切に残されています。
呉服神社は、池田駅から徒歩５分、日本初の分譲住宅ができた室町の中心部に佇みます。阪急電鉄の創始者である小林一三氏が、私鉄経営とその沿線の不動産開発というビジネスモデルとして開発した住宅が建ち並びます。異国から来た織姫姉妹に思いを馳せて、池田の地を巡るのも趣あるものです。

呉服神社　拝殿
拝殿の正面奥には御鏡が安置され、さらに奥にはガラス越しに本殿が見えます。拝殿内陣の正面両脇には、板絵著色の衝立が奉納されています（池田市重文）。元は杉戸絵で、池田在住の狩野派絵師 桃田伊信の代表作だそうです。名前を聞いてもピンときませんが、与謝蕪村が１０歳頃の時に絵の手ほどきを受けた絵師だと岡田利兵衛 著『俳画の美』に記されているそうです。

呉服神社　拝殿　杉戸絵
右２面には、強風に吹かれる芦辺の群鶴が描かれているそうですが、御供え物などがありよく判りません。

呉服神社　拝殿　杉戸絵
左２面には、強風と対峙する岩上の鷹が描かれています。

呉服神社　拝殿　杉戸絵
鷹のズームアップです。

呉服神社　拝殿　ステンドグラス(右）
拝殿正面の左右外壁にはステンドグラスがあり、内陣の杉戸絵を模したモダンな絵が描かれているとの情報があったのですが、どう見ても両方とも鳳凰と思われます。何はともあれ、神社の板戸にステンドグラスと言うのは珍百景に匹敵するのでは？

呉服神社　拝殿　　ステンドグラス(右）
３８５年に呉織媛が死去し、その翌年に仁徳天皇がこの地に建立し、「呉服神社」は後醍醐天皇の命名によると伝えられます。その後、織田信長によって焼失し、豊臣秀頼が１６０４年に再建し、現在の拝殿は１９６９年に建替えられた一間社流造銅板葺です。
信長が燃やして秀頼（淀君）が再建する。摂津国の神社仏閣にはこの構図が、夥しい数認められます。きっかけは、秀頼の天然痘平癒のお礼だったそうです。医学が未発達の時代ですから、洋の東西を問わず「祈る」ことが最善の手段だったのでしょう。秀吉の遺産を削ぐために家康が豊臣家に迫った深謀遠慮説だとか、淀姫が神仏に帰依していたとか諸説あります。ところで淀君は信長の妹 お市の子。淀君にとって信長は血の繋がる叔父に当たります。比叡山焼打ちや石山合戦などを鑑みれば信長が神仏から怒りを買っていても不思議ではありません。また、信長と秀吉を合わせるとどれほどの人命を奪ったことでしょう。単純に祟を恐れた結果かもしれません。因みに、秀吉の残した遺産の規模は凄まじいもので、豊臣政権の筆頭家老職にあった家康が神社仏閣の改修程度で秀頼を裸にできるとは思っていなかったことでしょう。

呉服神社　拝殿
七五三参りのご家族がお祓いを授かっています。
織姫をお祀りする神社ゆえ、機織からイメージし易い「糸巻」が神紋に使われています。お守りも糸巻の形をしています。池田市の市章にも糸巻が入っており、機織り技術発祥の地という意味があるそうです。

呉服神社　本殿
拝殿は近代以降の建造物ですが、本殿は重圧で秀頼再建時のものと思われます。正面には金色の糸巻の神紋、奥には同じく菊の紋があります。
２人の織姫が実在したかどうかは定かではありませんが、数奇な運命に思いを馳せた一編の物語が浮かびます。１６００年を経た今なお織姫を慕い、顕彰されている地元の信仰心、伝承にも歴史の息遣いが感じられます。

呉服神社　恵比寿社
境内には、呉服神社の本殿・拝殿の他、多くの摂社が寄り添っています。
恵比寿社は「えべっさん」として親しまれ、阪急沿線西国七福神のひとつに数えられます。狩衣姿で右手には釣り竿を左脇には鯛を持った漁業、商売繁盛の福の神です。元々、栄本町にあった戎社を１８８９年にここに移し、１９９２年に今の社殿が新築されました。本殿の建築様式は流れ造りになっています。
因みに、えびすの標記には「蛭子」「戎」「恵比須」「恵比寿」などがあり、ルーツにも２つの説があります。
１つ目が、蛭子命とする説。記紀神話には、イザナギとイザナミの第１子である蛭子命は３歳になっても足が立たなかったため、葦舟に乗せられて流し捨てられたと記されています。兵庫の西宮の浦には流された蛭子命が天磐樟船に乗って漂着したという伝説があります。蛭子命が海からやってくる姿が海の神であるえびすの姿と一致したため、２神が同一視されるようになったそうです。その代表が兵庫県西宮市にある、蛭子命系えびす神社の総本社となる西宮神社。
２つ目が、大国主神の子「事代主神＝恵比寿」という説。代表格が、大前恵比寿神社。父の「大国様」を支え親子仲良く力を合わせて産業発展の礎を築かれました。また諸々の知恵を授けられ、人々に幸福を与えられて常に笑顔を絶やさないことから「福の神」として古来から尊ばれてきました。「二福神」とは「大国様」と「恵比寿様」を指します。
どちらかルーツなのかは判然としません。ともあれ来年は少しでも景気が良くなりますようにとお祈りさせていただきました。

呉服神社　恵比寿社
拝殿の右側には「たたき板」と「木槌」が供えられています。何故かと言うと、恵比寿は元々耳が遠く、大きな音をたてないと振り向いてくれないためです。住宅街の中心部にあるため、ご近所の方にとっては迷惑千万なことでしょうね！？

呉服神社　恵比寿社　本殿
アベノミクス唯一の成果と言われる円安は、米国がドル安誘導の手を緩めたことがトリガーで、世界中の投資家がそれに便乗したのが奏功しました。即ち、米国は、未だ療養中のＥＣを尻目に一足早く金融危機から脱したのです。その絶妙なタイミングで異次元の金融緩和をやった、まさに潮目を捉えた動物的勘は、例えまぐれであっても賞賛されるべきでしょう。しかし、円安の恩恵は、自動車メーカーなど一部の輸出産業に留まります。また、円安で利益は増えましたが、数量が伸びているわけではないので国民全体が浮かれる状況ではないはずです。米国経済が本格的に回復し、為替が現状で安定すれば、幾分期待が持てるかもしれません。こうしてみると、程度の差こそあれ、米国がくしゃみをすれば日本が風邪を引くという構図は、今も昔も変わりばえしないというのが実感です。

呉服神社　伊勢神宮
石標には伊勢月…と思しき文字が読み取れます。また、鳥居・社殿の建造様式はどちらも伊勢神宮内宮と同じで、鳥居は神明鳥居、社殿は神明造りとなっています。鳥居には大別して神明鳥居と島木鳥居（明神鳥居）の２種類があり、柱や笠木など主要部材の「照り」や「反り」という曲線加工の有無で分けられます。神明鳥居には照りや反りが施されていません。一見、素朴な鳥居と言えます。

呉服神社　伊勢神宮
ここは伊勢神宮の遥拝所（遠く離れた所から神仏などを拝むために設けられた場所）なのかもしれません。今年は第６２回式年遷宮の年に当たり、伊勢神宮は空前の賑わいを見せているようですが、暫く参拝に行けそうもないのでここでお参りさせていただくことにします。

呉服神社　天神社
天満宮とも呼ばれ、ご祭神として菅原道真が祀られています。道真は無実の罪を負わされて京都から太宰府に流され、そこで無実の罪を訴えながら亡くなりました。その後京都で天変地異が続発し、これらを道真の祟りと考えて怨霊を鎮めるために道真を祀ったのが太宰府天満宮です。
この天神社も、元は菅原町にあったものを１８７９年にここに移したものです。ここ室町は集合住宅発祥の地なのですが、それ以前には神社仏閣の集合地でもあったのですね！？

呉服神社　天神社
傍らには牛の像が安置されていますが、これは道真が丑年に生まれて丑年に亡くなったのが所以です。
手前にある箱はお賽銭箱のようですが、中身が丸見えで入れるのが憚かられます。何とかならないものでしょうか？

呉服神社　姫室
境内の左手奥まった所に天神社があり、その右奥へ進むと柵で囲われた大きな石碑があります。石碑には「姫室」と刻まれ、ここが姫室だと判ります。
この姫室は、１９０５年に箕面有馬電気軌道の開通により、古墳として軌道敷地内にあったものを発掘し、この地に移したものだそうです。ここには呉織媛の形見の三面神鏡が納められ、遺体は伊居太神社の梅室に穴織媛と共に葬られています。

住宅街の中心部にある神社ですので、このように写真に民家が写り込んでしまうのは止むを得ません。何となく違和感はありますが…。

呉服神社
「呉春」は能勢の「秋鹿」と並んで北摂を代表する銘酒のひとつです。「呉春」の「呉」は、ここ呉服神社の縁起により、池田が「呉服の里」とされたのが由来です。「春」は中国唐の時代、お酒のことを「春」と通俗的に呼んでいたことが由来だそうです。つまり「呉春」とは「池田の酒」と言う意味なのです。呉春の特徴は日本酒度０度（甘くも辛くもない）で、飲み易いのが特徴です。かの谷崎潤一郎氏も溺愛した酒で、氏は蔵元の方とも個人的な交友があったそうです。

おまけ１
主人が東京モーターショーに視察出張した際、新幹線の車窓から撮影した富士山の雄姿です。１１月２９日は大阪市では例年より２３日早く初雪が降ったほど寒い一日でした。大阪で１１月に初雪が観測されるのは、１９８９年の１１月２９日以来、２４年ぶりだそうです。
写真で見る限り、富士山は例年並みの積雪のように思います。
鉄橋を通過中に撮影したものですが、運良く橋梁が写り込んでいません。コンデジのシャッターのタイムラグを考えると奇跡に近い一枚と言えます。

おまけ２
東京モーターショー東京ビックサイトに会場を移して２回目、通算第４３回となります。今回のテーマは、「世界にまだない未来を競え」。美しさや技術、夢など多様な価値観を競い合う中で創生される「世界にまだない未来」を体験してもらおうというコンセプトです。日本の自動車メーカーの技術は世界でもトップレベルで、こうしたショーを通じて車を取り巻く社会の未来像を提案・発信することをここ数回進めています。と言うことで、メインは次世代の車 電気自動車、燃料電池自動車になりますが、自動運転や自動車事故ゼロを目指した取り組みも紹介されています。
しかし、気になるのは東京モーターショーの入場者数です。２００万人を超えた１９９１年をピークに減少傾向にあるそうです。今回は８４万人が目標だとか。主な原因は、少子高齢化と若者の車離れと言われています。昔と違って年収が上がらない時代ですので自動車は贅沢品なのでしょう。これからは、若者の心を惹きつけるために自動車もパソコン化を余儀なくされることでしょう。

おまけ３
トヨタ自動車は、２人乗りの次世代超小型モビリティ「i-ROAD」の走行パフォーマンスを披露。バイクのように乗り回せるのですが、バイクのようにドライバー自身がバランスを保つ必要が無く、スピードを上げるにつれて自動的にバイク顔負けのリーン体勢となり、遠心力を味方にして走る姿は美しく映ります。今年のグッドデザイン賞で金賞を受賞し、機能を追及した結果辿り着いたと感じさせる外観デザインは数ある超小型モビリティの中でも際立つ存在です。
２０１４年にはフランス グルノーブル都市圏における超小型ＥＶシェアリングに投入される予定だそうです。いよいよ実用化の幕開けです。

おまけ４
「カローラフィールダー」ハイブリッドのジーンズバージョン。なんと全身デニム生地でラッピングされ、内装もデニム生地です。この生地は、日本ジーンズ協議会に所属するカイハラが提供したそうです。実車から型紙を取り、生地を裁断し、貼り付けて作られた世界で１台しかないレアモデルです。リベットの部分にはカローラハイブッリッドジーンズのロゴも刻まれています。若者にアピールしたい気持ちが伝わってきます。
全体を写したかったのですが、通路となっているため人しか写らない状態でした。かろうじて撮れたのがこの写真です。

おまけ５
日産自動車は３人乗り電気自動車（ＥＶ）「ブレイドグライダー」を出展。三角翼型で空飛ぶグライダーをイメージしたスポーツタイプの次世代ＥＶです。
現在、自動車メーカーは自動運転技術の熾烈な覇権争いを繰り広げていますが、何と言っても応答性が命ですので、電動モータ駆動がエンジン駆動を凌駕するのは必然の成り行きです。日産は、事故軽減や省エネルギー、渋滞解消につながる自動運転技術を２０２０年に実用化すると豪語しています。日本政府も自動運転技術が次世代を担う産業だと認識を新たにしている模様です。円安で儲けた利益を海外投資にばかりに投入せず、自動運転技術の開発費に充ててもらい、国益や雇用確保に努めていただきたいものです。それが、国家あるいは国民に育ててもらった大企業の責務だと思います。

おまけ６
ダイハツ工業は燃料電池車（ＦＣＶ）のコンセプトカー「FC 凸 DECK」を展示。他社が水素燃料で実用化を狙う中、ダイハツは使い勝手の良い液体燃料にこだわっているのがミソです。何故なら、ＦＣＶ実用化のボトルネックはコストです。水素は爆発の可能性があり、危険回避するためにコストが嵩むのです。他社が開発を進めているＦＣＶは、水素を燃料とする固体高分子形燃料電池を搭載しています。そのため強い酸性雰囲気下で化学反応が進み、酸に侵されない貴金属の白金触媒が不可欠です。一方、液体燃料電池は、アルカリ性雰囲気下で化学反応が進み、白金触媒が不要になります。また、液体燃料電池は、燃料が液体なので既存の燃料タンクを使用できることも大きなメリットです。他社のものは燃料の水素を高圧状態で貯蔵するため、飛行機などに使われている炭素繊維強化樹脂等を使うのでコストが膨大なものになります。

おまけ７
ＫＥＮ・ＯＫＵＹＡＭＡブースには、レーシングカーの横にガンダム風の面構えをした農耕用トラクタが展示されていました。工業デザイナー 奥山清行氏が代表を務めるデザインスタジオで、氏はフェラーリや秋田新幹線「スーパーこまち」のデザインで有名な方です。
このコンセプト・トラクタは、２０１２年に創業１００年を迎えたヤンマーとのコラボレーション作品ですが、非売品だそうです。ヤンマーの競合先メーカーらしき方のつぶやきをまとめると、視界性やエンジンの冷却性能等に配慮されたデザインになっていない模様。恐らく、トラクタの機能に疎い奥山氏に押し切られてしまった結果なのでしょう。プロとしての矜持をお互いにぶつけ合いながら、より良いものにしていく謙虚な姿勢が求められると思います。かっこよくするだけならセンスがあれば可能ですが、実用性が乏しければ工業の本質から外れます。人の役に立ってこそ工業と言えるのです。
ところで、ネットで調べてみると、ヤンマーは「プレミアム・ブランド化」と銘打って奥山清行氏とユニクロコンビの佐藤可士和氏、滝沢直己氏を召喚した模様です。技術では世界トップレベルだそうですが、ブランドが付いていっていないそうです。お客様に課題解決を提供するものづくりがブランドづくりのコンセプトのようですが、具体的な取り組みは標榜されていません。ラグジャリーとコストパフォーマンスの対局同士が融合するとどんなことになるのやら…。尖がっているものを丸めてしまったら、気の抜けたビールのようなものにしかならないのでは？この先、目が離せません。唯一言えるのは、デザインやプロモーションはブランド向上の手助けのひとつに過ぎないということです。例え著名なデザイナーの作品であっても、フォーカスのボケたデザインであれば逆に足かせにしかなりません。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。恥も外聞もなく、備忘録も兼ねて徒然に旅行記を認めてしまいました。当方の経験や情報が皆さんの旅行の参考になれば幸甚です。どこか見知らぬ旅先で、見知らぬ貴方とすれ違えることに心ときめかせております。