上海から新幹線でPM2.5に煙る北京へ～京滬高速鉄道の商務座（特等）での旅

2013/11/02 - 2013/11/02

昨年（2012年）香港～広州を鉄道で旅した職場の仲間と、「今度は上海～北京の高速鉄道に乗ってみたいな」という話になり、2011年に開通した、京滬高速鉄道に乗ることに。

乗車列車は、上海虹橋駅～北京南駅の約1,300kmを、最速4時間48分で走る、Ｇ２次を選択。

せっかく乗るなら、一番豪華な座席に乗ろうと言うことで、奮発して商務座（特等）の切符を購入しました。
どんな車内サービスが提供されるのか、興味があります。

折しも北京は大気汚染が話題ですが、果たしてどうなるやら？
マスクを用意して、上海へとやってきました。

エリア 上海(中国)

• 旅行の満足度: 4.0
• 交通: 4.5

• 同行者: 社員・団体旅行
• 一人あたり費用: 5万円 - 10万円
• 交通手段: 鉄道 高速・路線バス
• 航空会社: 中国国際航空
• 旅行の手配内容: 個別手配

列車の切符は、以前上海～天津の夜行列車の切符を手配してもらった、上海の旅行会社「南風旅遊」さんに依頼しました。

パスポートのコピーを送付し、費用（切符代＋手数料）を振り込むと、引換証をメールで送って来てくれます。

乗車当日の切符引換でも良いのですが、何かあった時に旅行社に対応してもらうことも考え、前日に上海駅へと切符の引き換えにやって来ました。

上海駅 駅

列車は「上海虹橋駅」発ですが、切符は「上海駅」でも発券することができます。

上海駅の建物の東側に、切符売り場専用の建物があります。

引換証とパスポートを窓口に出すと、見事切符が発券されました。

上海駅 駅

切符の左下には、名前とパスポート番号が印刷されています。

1,748元と、日本円で３万円近い金額になります。
中国の物価水準を考えると、なかなかの金額です。

翌日、ホテルから地下鉄２号線に乗車し、虹橋火車駅へとやってきました。

高速鉄道に乗るには、Ａ／Ｂ区の出口から。

地下鉄の自動改札を抜け…

商店の並んだコンコースを、延々と歩きます。

上海虹橋駅 駅

出発ロビーは２Ｆ。エスカレーターで上がります。

上海虹橋駅 駅

中国の駅ではおなじみ、荷物検査。
１か所しか開いておらず、ちょっと混雑しています。

上海虹橋駅 駅

中国の駅らしく、だだっ広い待合室。

上海虹橋駅 駅

私たちは商務座の切符を持っているので、専用の待合室を使うことができます。
どこにあるのかと探してみると、待合室の一角が仕切られています。

出発前にネットで調べていた情報では、３Ｆにもっと広い待合室があるはずでしたが、なんだか違うような。

上海虹橋駅 駅

受付の女性に切符を見せ、中に入ります。

他には誰も乗客がいません。

上海虹橋駅 駅

ペットボトルのお茶（砂糖入り）や、ミネラルウォーターは自由に持って行けます。

豆菓子やクラッカーも。
豆菓子はビールに合うような味でした。もう一つもらっておこう。

紅茶も飲めるのか！と見てみると、箱にはトワイニングのロゴがありますが、ティーバックはリプトンで、全部緑茶のもの。

コーヒーはレギュラーでした。

パソコンとプリンタもありますが、電源は切れています。

日本語は入力できないでしょうから、使っても仕方ないかも。

改札開始までの間、しばしくつろぎますが、案内放送など聞こえにくいので、時間管理には気をつけないと。

あと、ラウンジ内にトイレはありません。

（ネットで見ていた情報で）期待値が高かっただけに、ちょっと残念な内容でした。

出発時刻の20分前に外へ出てみると、すでに改札が始まっていました。

ネット情報では、専用改札があるはずですが…。

上海虹橋駅 駅

大勢の乗客と並んで、改札を通り抜けます。

上海虹橋駅 駅

エスカレーターで１番ホームに降りると、列車とご対面。

上海虹橋駅 駅

うーん、この車両は…。

上海虹橋駅 駅

ドイツのICEのそっくりさん、CRH380BL型電車でした。

JR東日本のE2系新幹線ベースの、CRH380AL型電車に乗ることを期待していたので、ちょっとガッカリ。

上海虹橋駅 駅

CRH和諧号がずらり。壮観です。

しかし、何番線まであるんだ…？

車内は禁煙らしく、乗客たちはホームの端で煙草をせっせと吸っています。

お掃除のおばさんに吸殻を渡して行く乗客も…。

発車時刻が近づいてきました。
指定された３号車（商務座）へと乗り込みます。

カプセルの様なシートが並んでいます。

うーん、これは期待できる。

赤いレザーシートが贅沢な雰囲気を出しています。

生まれてこれまでで、一番贅沢な座席かも知れない。

Ｇ２次は定刻9:00に、上海虹橋駅を出発しました。

席に着くと、さっそく服務員の女性が、おしぼり（布製）を持ってきてくれます。

発車後は、ワゴンで飲み物とお菓子の詰め合わせのサービス。

飲み物はジュースや炭酸飲料もありますが、どうせ冷えていないので、温かいお茶をもらいます。

お茶は時々、こちらが頼みもしないのに、継ぎ足してくれます。

トイレへも行ってみました。

便器は普通なので、写真はなし。

発車後すでに、トイレットペーパーがなくなっています。
誰か持って行ったのかな？

シートは電動で、リクライニングやレッグレストが動きます。

腰のあたりのサポートが弱い気もしますが…付属のクッションを入れると良い感じ。

窓の外の眺めも最高…ではありませんね。

肘掛には、テーブルと、液晶テレビが内臓されています。

テレビを出して、電源を入れてみましたが、映画と音楽のメニューはあるものの、コンテンツが入っていません。

鉄道ＰＲの映像が延々と流れるので、さっさと肘掛に仕舞います。

コンセントは各座席の肘掛下に一か所。

日本のプラグもそのまま使えます。（電圧は220V）

無線LANの電波が飛んではいますが…ネット接続はできませんでした。

同行者は９号車の食堂車へ行って、点心を買ってきました。

そうしているうちに、唯一の停車駅、南京南駅に到着。

かなりの乗客が降りますが、それ以上に乗ってきます。

商務座は半数の席が埋まりました。

南京南を出発して、しばらくすると、長江を渡りますが、まったく眺めが利きません。

川に浮かんでいる船が、ぼんやりと見える程度。
大気汚染なのか、ただの霧なのか…。

列車は300km/hを維持して走っていきます。
揺れもなく、素晴らしい乗り心地です。

南京南駅を出発してしばらくすると、服務員が、「食事が出るのだが、要るか？」と聞いてきます。
「食べる、要る！」と答えると、
「ビーフとポークのどちらにするか？」と注文を取って行きました。

相変わらず車窓の景色はつまらない…。

座席をフルフラットにしてみますが、落ち着きません。

座席の問題でなく、乗る人（自分）の素養の問題ですが…。

退屈してきたので、トイレに行きがてら、他の車両を覗いてみます。

２等車は乗客でびっしり。
日本の新幹線の普通車と同じ様な座席ですが…。
荷物がたくさんなのと、乗客が賑やかなので、かなり雰囲気が違います。

こちらは１等車。
窓割りと座席配置が合っておらず、外の全く見えないハズレの席もあります。

気持ちよさそうに眠っているなあ。

というか、このおじさんは乗車スタイルが板に付いているな。

後ろでは、服務員が荷物置き場に腰かけて、スマートフォンを触りながらのおしゃべりに夢中になっています。

12時近くになって、食事が出てきました。

電子レンジでチンしただけの弁当ですが、買えば40元するものです。

温かい玉子スープも付いています。
パッケージには日本語の表記が。

視覚的にはイマイチですが、味はまずます。

コンビニ弁当並みの味で、完食しました。

服務員は寝ている乗客がいれば、毛布を持ってきてかけてくれます。
丁寧にブラインドも降ろして行きます。

細かいところは色々問題はありますが、中国の鉄道でこんなサービスを受けられるとは、期待以上でした。

列車は天津へとやってきました。
北京南まで、あと30分少々です。

相変わらず窓の外は、どんよりとした霧。

全く見通しが利きません。

太陽が見えるので、「晴れ」ているはずなのですが…。

スマートフォンで、大気汚染の数値を調べると、とんでもない数値が。

PM2.5の値も、325と、外出自粛の基準値の70μg/立方メートルを大きく超えています。

北京南駅が近づいて来ました。

和諧HXD3C型電気機関車に牽引された、客車列車とすれ違います。

高速鉄道もいいけど、ああいう客車列車にも乗りたい！

アナウンスが流れ、乗客たちは降りる支度を始めます。

ほぼ定刻（14:48）に北京南駅に到着するようです。

北京南駅に到着しました。

車外に出ると、空気が悪いのが感じられます。

なんだかモヤっている感覚です。

隣のホームには、CRH380AL型電車が。これに乗りたかったなぁ…。

北京南駅 駅

北京南駅は、５年前に天津から京津城際鉄路で到着して以来、２度目ですが、やはりその大きさに圧倒されます。

北京南駅 駅

煙草を我慢していた乗客たちは、ホームで一服。

北京南駅 駅

乗客たちが駅出口に向かいます。

改札口は自動改札ですが、切符を機械に通さなくても外に出られます。

北京南駅 駅

上海からの4時間48分の鉄道の旅が終了しました。

以前、CRH2型のD31次で10時間かけて旅した時も、「早くなったなぁ」と思いましたが、今回もスピードアップぶりに感心しました。

あと、まだまだ磨く余地はありますが、サービスレベルの向上ぶりにも感心しました。

北京南駅 駅

北京南駅は、前回来たときにはなかった、地下鉄4号線が開通していました。

交通カード（Suicaの様なもの）を買おうとしますが、窓口が見つかりません。

仕方なく、現金で切符を購入。

地下鉄で天安門広場にやってきました。

スモッグで太陽がぼんやりとしか見えません。

広場向こうの人民大会堂も、霞んでいます。

人民は誰もマスクをしていませんが、マスクをしていても、喉がいがらっぽくなるし、目もショボショボしてきます。

有難くないですが、北京の大気汚染の深刻さも、実感することができる旅になりました。

天安門広場 広場・公園