跳ね！　飛び！　舞い！　　浮いて　笑って　夢のような　福井勝山「左義長祭り」

2013/02/23 - 2013/02/24

毎年２月の最終土日に開催される福井県勝山市の
「左義長祭り」。

・２月に全国各地で行われる「どんと焼き」のひとつで、櫓（やぐら）の上で奏される笛・太鼓・三味線の音、そしてそれらに乗って披露される唄と踊りが実に見事らしいこと。

・地元の人たちが本当に、心から、自分達の祭りを楽しんでいるらしいこと。

この２つだけの心許ない情報に、なぜか惹かれて出かけました。
そしたら・・・・。

想像をはるかに超える、素晴らしい！、心躍る！、夢のように楽しく幸せな祭りでした。

勝山から帰って２カ月近く経った春になっても、祭囃子の響きと唄、踊り手の素晴らしい舞いと生き生きとした笑顔が、幾度となく思い起こされます。

櫓の上の素敵な表情。
どうぞご覧下さい。

エリア 勝山(福井)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0

• 同行者: カップル・夫婦
• 旅行の手配内容: 個別手配

福井駅から終点の勝山駅まで、
えちぜん鉄道勝山永平寺線で約１時間。

左義長祭りの赤い法被を着た女性車掌の発音は
「さぎちょう」祭りでしたが、
地元勝山では
「さぎっちょ」と撥ねていました。

勝山駅のすぐ東側を流れる九頭竜川を渡れば、そこが祭りの会場。

勝山の街です。

祭りの開始時刻（午後１時）までの１時間ほど、祭りの行われるいくつかの町内の路地を散策しましたが、屋台の出店はほとんどがまだ準備中。

人の流れや人混みのようなものもありません。

祭りは１２ある参加地区の内、その年の当番となった地区の櫓で奏される「ふれ太鼓」を合図に開始されるとのこと。

今年の当番の中後地区の櫓の前も、まだ閑散としています。

しかし、１時になって市長や役員衆による櫓の上からの挨拶が始まる頃には多くの観客が櫓を取り巻き、某芸能人夫婦を交えての豆まきならぬ餅まきが終了すると、ふれ太鼓。

当地区の子ども達による左義長ばやしが始まります。

少し歩いて別の地区の櫓。

そしてまた違う櫓へ。
この時間帯の櫓は、どこも子供たちが主役のようです。

櫓の前に、餅まきを終えた某おしどり芸能人夫婦が、大勢のカメラマンを引き連れてやって来ました。

ちなみにこの夫婦、
奥さんは１０代目金原亭馬生の娘にして５代目古今亭志ん生の孫。
旦那さんは（元？）俳優にして現バラエティータレント（失礼！）の中尾さんです。

幾つかの櫓を巡ってから目指したのがここ上長淵区。

案内所でもらった祭りの予定表に、
「各地区の腕に覚えのある打ち手がここに集合」
とあったので出向きました。

着いてみると、ここも今はまだ子供の時間。

はしゃいでいる母親たちと比べ、子供の顔は緊張気味でした。

そしていよいよ大人の時間。

私のつたない文章と下手くそな写真では、この祭りの素晴らしさを伝えるのは到底無理ですが、次々と登場する舞い手たちの生き生きとした表情から、櫓の熱気と祭りの楽しさが少しでも伝わればと思います。

子供たちが退場すると、入れ替わり、この櫓での道化役を演じる事になるお兄さんの太鼓が、お囃子の開始を告げます。

おかめやひょっとこのお面を頭の後ろにかぶった人が、観客に背を向けて太鼓の向こう側に腰掛けると、
この櫓の踊り手の親方らしき男性が、短いバチを両手にリズムを刻み始めました。

一人が太鼓に腰掛け、
もう一人が太鼓の左側に立って一定のリズムを刻み、
右手から登場する人が、太鼓を叩いたり自由な舞いを披露したりしながら、太鼓の回りを半周して次の舞い手に引き継ぐ。

そんな手順になっているようです。
おかめのお面が太鼓に合わせ、右に左に首をかしげる仕草をするのですが、これが何とも可愛らしい！

（ちなみに、勝山左義長では太鼓は「叩く・打つ」とは言わず、「浮く」と表現するようなので、私も以下、「浮く」を使うことにします）

そして、１番手の美しくも愛くるしい女の子が登場。

登場した時はとっても可愛いおかめのお面をかぶって出てきたのかと思いましたが、ゴメンナサイ。
素顔でした。

しばらくの間は彼女がこの櫓の主役、ヒロインです。

眺めていると、浮いたり舞ったりしている最中のヒロインの口は、堅くキュッと結ばれることが無く、柔らかく笑っている時のように、あるいは遠くの親しい人に呼びかけている時のように、にこやかに開かれています。

見ている者の気分をこの上もなく幸せなモノにしてくれる理由のひとつはこんなところにあるのかな、と思いました。

浮いたかと思うと、自由に舞って半周し、

リズムを刻む役に移ります。

彼女の可愛らしいおかめの笑顔は、見事に、最後まで変わりませんでした。

右から新しい浮き手の女の子が登場。

続々と可憐な女の子。
皆が皆、とても良い顔をしています。

そしてまたもや可愛らしい、いや、美しい女性。

最初から飛ばします。

躍動感あふれる生き生きとした動きを伝え切れないのが、なんとも残念でなりません。

次々と現れる浮き手は誰もが皆、魅力的な笑顔で、それぞれに楽しく、心地よく、見事だったけれど、中でもひときわ素晴らしいリズム感の持ち主だったのがこの女性。

機械的なリズムでなく、三味線の音や自らの舞いと一体となった、一点の淀みもない快調で豪快で心地良いリズム。

「なにやら頭に色々刺さってるけど、かんざし？割り箸？ナイフ？フォーク？　
なんだか弁慶みたいだな～」

夫の言葉です（笑）

その抜群にかっこいい弁慶の彼女も役割交代。
次の魅力的な浮き手が現れます。

三味線抱えて脇に座り、たくさんの浮き手たちを支え続けたお姉さんも、

ついに、

立ち上がります。

二人のおかめに見守られ、

浮いて、踊って、

気合いを入れて、

脇の三味線に戻ったそのとき,
真っ白な雪が舞ってきました。

大粒の雪が、一気に。

しかし櫓の上からは熱気が発散され続け、
じわじわと増えてきた観客のほとんども（私も）、頭や肩に雪を積もらせながら、傘も差さずに見守り続けます。

そして最後に紹介するのがこの女性。
夫の１番のお気に入り。
長い髪が素敵な美人です。

他のすべての浮き手同様、花のように、太陽のように微笑みながらも、気合い充分の登場でした。

跳ねて、飛んで、

浮いて、

舞って。

長く美しい髪を激しく振り乱しながらの素晴らしいパフォーマンス！

思い切り浮いて踊って、櫓を降りても・・・

まだまだ暴れ続けます。

櫓の上の仲間を見守りながら、

飛んだり、跳ねたり、歓声を上げたり。

親方が櫓の上の三味線に、身振りで曲目の変更の合図を送る脇でも、

飛んで、
跳ねて、
暴れ続けるお姉さんたち！

この頃には観客のカメラの多くは、櫓の上でなく、前で飛び跳ねる彼女たちの方に向けられていました。

観客の心をこんなに心地良くはずませ、熱くし、この上なく幸せな気分で満たしてくれながら、
何よりも自分たちこそが、年に１度の祭りの時を思い切り楽しんでいる。

こんなに素晴らしく気持ちの良い祭りに立ち会えて、
本当に幸せでした。

時おり激しく雪の舞う中、立ったまま１時間以上眺め続けた櫓の前を離れた途端、身体がガタガタと震え始めて歯が鳴り、心底冷え切っていることに気付かされました。

見ている間は全く感じなかったのに。

夕刻、メインの通りの左右にはたくさんの屋台が並び、出番を終えた浮き手達も繰り出します。

一夜明けた祭り二日目の日曜日。

街なかにある「一本義」の酒蔵には、年に一度、この日にだけ販売されるという槽口（ふなくち）と言う酒を求める人の大行列が出来ていました。

行列の消えた頃を見計らって再度訪れ、四合瓶を６本買って配送を依頼し、帰途につきます。
アルコール度数２１度の濃厚な美酒でした。

この日も３０分後には、昨日のメンバーによる再度の舞台が始まり、夜には九頭竜川の河原でのどんと焼きもあるのですが、こんなに！こんなに！素敵な祭りとは知らず、早々に街を出なければならない行程を組んでしまったことが悔やまれます。

が、来年の２月に、この上なく大きな楽しみを残せました。

福井勝山左義長祭り

素晴らしい祭りに感謝！！！

この旅行記へのコメント （3）

• まむーとさん 2020/12/10 22:07:43

  さぎっちょ

  はなだいこさん、お久しぶりです!
  
  私もどうされているかなと思っていました。
  ふとGoogleマップにマーキングしておいた、はなだいこさんいきつけの居酒屋を見たら閉業となっていて驚きました。残念。
  
  さぎっちょの様子に驚きました。
  私の子どもの頃、さぎっちょは男の子の祭りで女の子は見るだけでした。
  正月飾りを焼くどんど焼きでした。
  勝山のさぎっちょは女性がイキイキとされていますね!
  
  ところで返信しようとしたら、４トラのシステムが変わり
  【はなだいこさん に返信することはできません。
  フォローされていない相手へのメッセージ送信は1通までとなっています】となり不可でした。
  一通も無理でした¯\_ಠ_ಠ_/¯。。
  
  海外も行けないし、日本国内にしてもなんだか罪悪感を少し持つような感じでほんとコロナに腹が立つ!
  私は「ソウルに集合!」と言われたら、わりに行ける感じになりましたのに、、、
  
  年末年始は関西におられるのですね!
  タイミングが会えば、滋賀を案内出来るかと思います( ╹▽╹ )
  滋賀は密ないですよ～
  

• cacahさん 2013/04/15 21:09:15

  ありがとうございました

  はなだいこさん〜こんばんは♪
  
  初めまして先日は私の旅行記ご覧頂き投票までありがとうございますm(((＿＿*)m☆
  
  福井勝山の左義 長祭りのお写真とても躍動感ががあり素敵なお写真ですね〜
  
  拝見しててとても楽しくなりました!
  
  ＭＩＮ
  

  はなだいこさん からの返信 2013/04/19 09:48:21

  こちらこそ ありがとう!

  minmin1000さん
  
  送っていただいた感想、嬉しく拝見しました。
  
  勝山の旅行記は作るつもりが無かったので写真もあまり撮らず、
  それ以前に、そもそも撮影の腕前がなってないものだから、
  かなりためらったのですが、舞い手たちの、心から祭りを楽しんでいる様子だけでも伝わればと思い、公開に踏み切りました。
  
  （写真は撮らなかったと言うより、舞台に見とれていて撮るのを忘れていた、という感じです）
  
  嬉しい感想、本当にありがとうございます。
  
  はなだいこ
  
  
  
  
  > はなだいこさん〜こんばんは♪
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  > 初めまして先日は私の旅行記ご覧頂き投票までありがとうございますm(((＿＿*)m☆
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  > 福井勝山の左義 長祭りのお写真とても躍動感ががあり素敵なお写真ですね〜
  >
  > 拝見しててとても楽しくなりました!
  >
  > ＭＩＮ
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