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<ドニエプル川のカリーナの夏><br /><br />■国際フォーク・フェスティバル<br /><br /> 8月20日〜25日、ウクライナ・ポルタワ州のコムソモリスクという町で、「ドニエプル川のカリーナの夏」(ウクライナ語:Калинове л&#1110;то на Дн&#1110;пр&#1110;)と題し、第12回国際フォーク・フェスティバルが開催されました。<br /><br /> コムソモリスクは若い町です。1960年に創立され、1972年に町になりました。住民の大半は、町にあるポルタワ鉱業濃縮工場の労働者でした。現在の人口は5万人くらい。町はちょうどウクライナの中心部に位置し、ドニエプル川のドニエプルゼルジンスク貯水湖の左岸にあります。貯水湖のダムは長さ35キロと世界で一番長いダムの一つです。コムソモリスクからわずか20キロのところにクレメンチュクという町があります。クレメンチュクの歴史は長く、クラーズという大型自動車メーカーの工場があり、ウクライナ経済で大きな役割を果たしています。近隣には、ポルタワ(110km)、キロヴォグラード(150km)、ドニエプロペトロフスク(180km)といった大きな都市があります。<br /><br /> あちこちに採石場があり、大きな工場の建物やフルシチョフ時代の灰色のアパートで特徴づけられるこの町で国際的な文化イベントが行われるなんて信じられないことでしたが、フェスティバルは2000年に始まり、今年はもう12回目を数えます。<br /><br /> フェスティバルは、ウクライナの独立記念日(8月24日)と重ねて、8月下旬に行われます。毎年、数ヶ国から参加者があり、これまでロシア、アメリカ、ドイツ、インド、中国、トルコ、タイ、イスラエル、イタリアなど、20ヶ国以上のアーチストが出演しています。カリーナ(注)はウクライナを象徴する木のひとつです。カリーナを歌った民謡がたくさんあります。ですから、フェスティバルの名称には「遥々遠くから私たちの国ウクライナにようこそ!」という意味が込められています。<br /><br /> 私は、このフェスティバルに、タリンで所属しているフォーク・アンサンブルとともに参加し、ロシアとウクライナの民謡を歌いました。私たちのアンサンブルには、11人の演奏家と12人の男女歌手がいますが、バスをチャーターして出かけました。今年は9カ国のアンサンブルがフェスティバルに参加しました。

まちを歩いてみれば(3)

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2012/08/20 - 2012/08/25

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JIC旅行センター

JIC旅行センターさん

<ドニエプル川のカリーナの夏>

■国際フォーク・フェスティバル

 8月20日〜25日、ウクライナ・ポルタワ州のコムソモリスクという町で、「ドニエプル川のカリーナの夏」(ウクライナ語:Калинове літо на Дніпрі)と題し、第12回国際フォーク・フェスティバルが開催されました。

 コムソモリスクは若い町です。1960年に創立され、1972年に町になりました。住民の大半は、町にあるポルタワ鉱業濃縮工場の労働者でした。現在の人口は5万人くらい。町はちょうどウクライナの中心部に位置し、ドニエプル川のドニエプルゼルジンスク貯水湖の左岸にあります。貯水湖のダムは長さ35キロと世界で一番長いダムの一つです。コムソモリスクからわずか20キロのところにクレメンチュクという町があります。クレメンチュクの歴史は長く、クラーズという大型自動車メーカーの工場があり、ウクライナ経済で大きな役割を果たしています。近隣には、ポルタワ(110km)、キロヴォグラード(150km)、ドニエプロペトロフスク(180km)といった大きな都市があります。

 あちこちに採石場があり、大きな工場の建物やフルシチョフ時代の灰色のアパートで特徴づけられるこの町で国際的な文化イベントが行われるなんて信じられないことでしたが、フェスティバルは2000年に始まり、今年はもう12回目を数えます。

 フェスティバルは、ウクライナの独立記念日(8月24日)と重ねて、8月下旬に行われます。毎年、数ヶ国から参加者があり、これまでロシア、アメリカ、ドイツ、インド、中国、トルコ、タイ、イスラエル、イタリアなど、20ヶ国以上のアーチストが出演しています。カリーナ(注)はウクライナを象徴する木のひとつです。カリーナを歌った民謡がたくさんあります。ですから、フェスティバルの名称には「遥々遠くから私たちの国ウクライナにようこそ!」という意味が込められています。

 私は、このフェスティバルに、タリンで所属しているフォーク・アンサンブルとともに参加し、ロシアとウクライナの民謡を歌いました。私たちのアンサンブルには、11人の演奏家と12人の男女歌手がいますが、バスをチャーターして出かけました。今年は9カ国のアンサンブルがフェスティバルに参加しました。

  •  5日間にわたるフェスティバルでは、各国各地から参加したフォーク・アンサンブルが、開会式と閉会式をはじめ、文化会館や野外の舞台に出演し、ストリート・パレードに参加しました。今年は特別に、ドニエプル川の上にも舞台が作られました。<br /><br /> その他、市内の聖ニコライ教会で礼拝が行われ、ウクライナの伝統民芸品の展示販売会や、絵画・写真展、花火のショーなどが行われました。聖ニコライ教会で行われた礼拝のあと、それぞれのアンサンブルの何人かが自分の国の歌を無伴奏で歌っていて、その歌は各民族のお祈りのように、非常に感情をこめた雰囲気でした。<br /><br />コムソモリスク市内の観光もしました。上記の鉱業濃縮工場は特に面白かったです。幅3キロ、長さ7キロ、深さ400メートルぐらい、見渡す限りの広大な採石場。職工服を着て、展望台で記念撮影しました。採掘された鉱石は、ダンプトラックで工場へ運ばれて、加工され、ペレット状にして全世界へ輸出されます。多くのダンプトラックは日本製(日立)で、ペレットは日本へも輸出されています。<br /><br /> フェスティバルに出演する参加者には、コムソモリスク滞在の宿泊代、食事代と市内移動費が無料で提供されます。日本からも参加可能です。参加希望のフォーク・アンサンブルがあったら大歓迎です。<br /><br /> コムソモリスクへのアクセスは、首都キエフから車かバスが便利です。(所要5〜6時間、距離300km)。

     5日間にわたるフェスティバルでは、各国各地から参加したフォーク・アンサンブルが、開会式と閉会式をはじめ、文化会館や野外の舞台に出演し、ストリート・パレードに参加しました。今年は特別に、ドニエプル川の上にも舞台が作られました。

     その他、市内の聖ニコライ教会で礼拝が行われ、ウクライナの伝統民芸品の展示販売会や、絵画・写真展、花火のショーなどが行われました。聖ニコライ教会で行われた礼拝のあと、それぞれのアンサンブルの何人かが自分の国の歌を無伴奏で歌っていて、その歌は各民族のお祈りのように、非常に感情をこめた雰囲気でした。

    コムソモリスク市内の観光もしました。上記の鉱業濃縮工場は特に面白かったです。幅3キロ、長さ7キロ、深さ400メートルぐらい、見渡す限りの広大な採石場。職工服を着て、展望台で記念撮影しました。採掘された鉱石は、ダンプトラックで工場へ運ばれて、加工され、ペレット状にして全世界へ輸出されます。多くのダンプトラックは日本製(日立)で、ペレットは日本へも輸出されています。

     フェスティバルに出演する参加者には、コムソモリスク滞在の宿泊代、食事代と市内移動費が無料で提供されます。日本からも参加可能です。参加希望のフォーク・アンサンブルがあったら大歓迎です。

     コムソモリスクへのアクセスは、首都キエフから車かバスが便利です。(所要5〜6時間、距離300km)。

  • (注)カリーナ;Калина スイカズラ科の落葉低木、ガマズミの木またはその実。秋に白い花を咲かせた後、赤い実をつける。ジャムや果実酒に利用される。ロシア民謡のカリンカはカリーナの愛称。

    (注)カリーナ;Калина スイカズラ科の落葉低木、ガマズミの木またはその実。秋に白い花を咲かせた後、赤い実をつける。ジャムや果実酒に利用される。ロシア民謡のカリンカはカリーナの愛称。

  • <モスクワ近郊の古都、コロムナ><br /><br /> モスクワに1週間もいて、大都会の生活がうるさいなと感じたら、コロムナへ日帰りツアーに出かけてみてはどうでしょう。<br /><br /> コロムナは、古代ロシアの主要都市の一つで、900年の歴史を持つ古い町です。モスクワの南東部100キロほど離れたところにあり、モスクワから古都・リャザンまでのちょうど中間点にあたります。<br /><br />■コロメンスコエの故地<br /><br /> 13世紀にタタール人が来寇したとき、コロムナ周辺が戦場となりました。戦闘でロシア側は敗北し、コロムナの住民の一部がモスクワ近くまで逃げて、コロメンスコエという村を創立したという伝説があります(ロシア語のコロメンスコエは、「コロムナ系」という意味)。今、コロメンスコエはモスクワの一部となっていますが、ユネスコ世界遺産に登録されたヴォズネセーニエ教会で知られています。<br /><br /> 14世紀にモスクワ公国がその領土を拡張し始めたとき、コロムナは最初にモスクワ公国に組み入れられました。モスクワ川とオカ川の合流点に位置するコロムナは、15世紀には交易で栄え、モスクワ公国第二の都市になっていました。現在のコロムナは、モスクワ州の町のひとつです。<br /><br /> 前置きはこれくらいにして、まずはコロムナに行ってみましょう。コロムナには何がありますでしょうか。<br /><br />■7つの塔を持つクレムリン<br /><br /> まずは、ロシアの古い町と同じく、コロムナにはクレムリンがあります。クレムリンは7つの塔と城壁の一部からなっています。もちろん、モスクワのクレムリンとは比べ物になりませんし、しかも一部しか残っていませんが、それでもコロムナの旧市街はとても美しく見えます。クレムリンの塔のひとつは、マリンキナ・バーシニャ(マリーナの塔)と呼ばれています。偽ドミトリー1世の妻であったポーランド美人マリーナ・ムニーシェクがその塔に監禁されて亡くなったのですが、マリーナは烏に変わって飛んでいったという伝説が残されています。<br /><br /> モスクワ川とオカ川が合流する岬に位置するゴルートビン修道院も面白い建築物です。ロシア・ゴシックの塔で囲まれた修道院は、昔の河川交通のランドマークとなっていました。<br /><br /> スポーツに興味がある方は、コロムナ・スピード・スケート・センターを訪問しましょう。2008年にこの地でスピード・スケートのヨーロッパ選手権大会が行われた際に新しく建設されたスポーツセンターです。

    <モスクワ近郊の古都、コロムナ>

     モスクワに1週間もいて、大都会の生活がうるさいなと感じたら、コロムナへ日帰りツアーに出かけてみてはどうでしょう。

     コロムナは、古代ロシアの主要都市の一つで、900年の歴史を持つ古い町です。モスクワの南東部100キロほど離れたところにあり、モスクワから古都・リャザンまでのちょうど中間点にあたります。

    ■コロメンスコエの故地

     13世紀にタタール人が来寇したとき、コロムナ周辺が戦場となりました。戦闘でロシア側は敗北し、コロムナの住民の一部がモスクワ近くまで逃げて、コロメンスコエという村を創立したという伝説があります(ロシア語のコロメンスコエは、「コロムナ系」という意味)。今、コロメンスコエはモスクワの一部となっていますが、ユネスコ世界遺産に登録されたヴォズネセーニエ教会で知られています。

     14世紀にモスクワ公国がその領土を拡張し始めたとき、コロムナは最初にモスクワ公国に組み入れられました。モスクワ川とオカ川の合流点に位置するコロムナは、15世紀には交易で栄え、モスクワ公国第二の都市になっていました。現在のコロムナは、モスクワ州の町のひとつです。

     前置きはこれくらいにして、まずはコロムナに行ってみましょう。コロムナには何がありますでしょうか。

    ■7つの塔を持つクレムリン

     まずは、ロシアの古い町と同じく、コロムナにはクレムリンがあります。クレムリンは7つの塔と城壁の一部からなっています。もちろん、モスクワのクレムリンとは比べ物になりませんし、しかも一部しか残っていませんが、それでもコロムナの旧市街はとても美しく見えます。クレムリンの塔のひとつは、マリンキナ・バーシニャ(マリーナの塔)と呼ばれています。偽ドミトリー1世の妻であったポーランド美人マリーナ・ムニーシェクがその塔に監禁されて亡くなったのですが、マリーナは烏に変わって飛んでいったという伝説が残されています。

     モスクワ川とオカ川が合流する岬に位置するゴルートビン修道院も面白い建築物です。ロシア・ゴシックの塔で囲まれた修道院は、昔の河川交通のランドマークとなっていました。

     スポーツに興味がある方は、コロムナ・スピード・スケート・センターを訪問しましょう。2008年にこの地でスピード・スケートのヨーロッパ選手権大会が行われた際に新しく建設されたスポーツセンターです。

  • ■パスチラ博物館<br /><br /> 一番興味深いのはコロムナのパスチラ博物館です。パスチラ(пастила)とは、ロシアの伝統的なお菓子です。まさにコロムナで14世紀頃にこのお菓子がはじめて作られました。パチスラは、甘酸っぱいリンゴやベリーの果肉のピューレ、蜂蜜(もしくは砂糖)、卵の白身、の3つの成分から作られます。これらをよく混ぜ合わせ、織物に敷いて、ペーチカにいれます(ロシア語で「敷く」という言葉はпостилать「ポスチラーチ」といい、そこからパスチラという名前がついたそうです)。そうして乾燥したらもう食べられます。

    ■パスチラ博物館

     一番興味深いのはコロムナのパスチラ博物館です。パスチラ(пастила)とは、ロシアの伝統的なお菓子です。まさにコロムナで14世紀頃にこのお菓子がはじめて作られました。パチスラは、甘酸っぱいリンゴやベリーの果肉のピューレ、蜂蜜(もしくは砂糖)、卵の白身、の3つの成分から作られます。これらをよく混ぜ合わせ、織物に敷いて、ペーチカにいれます(ロシア語で「敷く」という言葉はпостилать「ポスチラーチ」といい、そこからパスチラという名前がついたそうです)。そうして乾燥したらもう食べられます。

  •  この伝統菓子はソ連時代にほぼ失われていましたが、2009年からコロムナに博物館ができ、パスチラ製造が復元されました。最初から最後まで手作りのパスチラが購入できるのは、ここコロムナだけです。博物館は2つに分かれており、1カ所目で製造過程を見学し、2カ所目ではお茶を飲みながらいろいろな種類のパスチラを味わうことができます。

     この伝統菓子はソ連時代にほぼ失われていましたが、2009年からコロムナに博物館ができ、パスチラ製造が復元されました。最初から最後まで手作りのパスチラが購入できるのは、ここコロムナだけです。博物館は2つに分かれており、1カ所目で製造過程を見学し、2カ所目ではお茶を飲みながらいろいろな種類のパスチラを味わうことができます。

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