2012/07/21 - 2012/07/21
135位(同エリア256件中)
どんぴさん
ワッショーイ!!!
というわけで、前回のかなまら祭りレポートが大好評だったため、お祭り男シリーズ第2弾を決行!
やって来たのは高知県香南市の赤岡で開催される「絵金祭り」!
"絵金"というのは赤岡に定住して多くの作品を残した絵師・金蔵(略して絵金)のこと。「絵金祭り」とは一年に一度だけ夏の夜に、それぞれの家が所有する絵金の作品を軒先に飾り、蝋燭の灯りに照らされた絵を鑑賞するというお祭りです。
絵金の描く絵はおどろおどろしくてグロテスク。それでいて、どこかユーモラスな独特の作風で、現代でも絵金には多くのファンがいます。
それでは幻想的な絵金祭りの世界をお楽しみください。
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 5万円 - 10万円
- 交通手段
- レンタカー JALグループ JRローカル
PR
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16:15、高知駅発の土讃線(土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線直通)に乗って赤岡へ。
ごめん・なはり線といえば高知県出身のやなせたかし(アンパンマンの作者)が各駅をイメージしたキャラクターを描いたことで有名。 -
ここで"絵金"こと絵師・金蔵のプロフィールをざっくり紹介。
1812年、現在の高知市生まれ。
絵金は江戸で狩野派の絵の修業を積んだ後、20歳の若さで土佐藩の家老・桐間家おかかえの御用絵師になるほどの才能の持ち主だった。
ところが、彼の才能を妬んだ者によって狩野探幽の贋作を作ったという疑惑をかけられ、狩野派から破門。土佐藩からも城下を追放されてしまい、流れ着いたのが赤岡。ここで絵金は多くの作品を残している。 -
「弁天座」
絵金の作品は歌舞伎など芝居を題材にした"芝居絵"が多いのですが、現在の赤岡にも芝居小屋があります。 -
絵金祭りの当日には弁天座地元有志による「土佐絵金歌舞伎」が上演されている。
無料で観劇できるということで立ち見が出るほどの大盛況。
なんか、動きがズグダンズンブンズンゲームみたいだった(笑) -
19:00、いよいよ絵金祭りが始まった。
防災無線からの絵を出すように指示が放送されると、わりとざっくばらんな扱い方で絵が飾られる。
絵金祭りで展示される絵は基本的に1.8m四方の正方形を二つ折りにした屏風の形をしている。
すべて歌舞伎などを題材にした"芝居絵"で、芝居の内容を表現している。
それぞれの絵に芝居の内容の超ざっくりしたあらすじを書いておくので、どんな状況の絵なのかお楽しみください(^_^) -
『木下蔭狭間合戦 石川五右エ門 壬生村』
(このしたかげはざまかっせん いしかわごえもん みぶむら)
子供のころに家を出た盗賊の石川五右衛門が十数年後に家に戻り、母の形見の品から実は自分がいいとこの身分の子供であることを知り、新しい悪事のために公家の衣装を着ているところ。 -
『浮世柄比翼稲妻 二幕目返し 鈴ヶ森』
(うきよづかひよくのいなづま ふたまくめかえし すずがもり)
江戸時代に処刑場があった鈴ヶ森で、白井権八(しらいごんぱち)は金欲しさに賞金首のならず者を次々と斬り殺す。
それを見ていた幡随院長兵衛(ばんずいいんちょうめい)は権八にほれ込んでしまう、というシーン。 -
長兵衛の足元には切り殺されたならずものが転がっている。
このスプラッターでグロテスクな作風こそ絵金の持ち味。
濡れ衣を着せられて追放されたせいか、絵金の絵にはドロドロとした感情が込められているようで、それが絵金の最大の魅力なのだ。 -
こちらの理髪店の前に飾られているのは…
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『源平布引滝 松浪検校琵琶の段(小桜責め)』
(げんぺいぬのびきのたき まつなみけんぎょうびわのだん こざくらぜめ)
鳥羽離宮に幽閉されている後白河法皇を救い出すためにスパイとして潜り込んだ琵琶法師の松波検校(まつなみけんぎょう)。 -
ところが、先に潜り込んでいた娘の小桜(こざくら)が捕まってしまう。目の前で娘が折檻されてるんだけど、自分の正体がバレたら困るので無視して歌うしかなくってツラいというシーン。
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こちらのお店では店員さん(?)によるガイドつきです。
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『花上野誉石碑 四段目 志度寺』
(はなのうえのほまれのいしぶみ よだんめ しどうじ)
坊太郎(前の写真で左上でジャンプしながら剣を振ってる子供)は父親の田宮源八(たみやげんぱち)が殺さたあと、志度寺にあずけられた。
身を守るために志度寺では言葉が話せないと偽っていたら、それを知らない乳母のお辻(おつじ)が坊太郎の病気の治癒と仇討を祈願して自害しちゃったシーン。 -
絵金祭りはあまり有名ではないですが、それでも多くの人が集まってきます。
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『東山桜荘子 佐倉宗吾子別れ』
(ひがしやまさくらそうし さくらそうごこわかれ)
領主の圧政に耐えかねた農民たちの代表である浅倉当吾(あさくらとうご)は将軍へ直訴することを決意する。当吾が出発する前に妻と子供と別れを惜しむシーン。
ちなみに、都にのぼって将軍に直訴した当吾は捕えられ、妻子とともに処刑されちゃいます(ヒドイ)。
そして怨霊となって将軍を苦しませたそうな。 -
『花衣いろは縁起 鷲の段』
(はなごろもいろはえんぎ わしのだん)
とある農村で夫婦が畑のすみに2歳の子供を寝かせておいたら大鷲にさらわれちゃった、というシーン。
その後、子供は人に拾われて、えらい坊さんになって、子供を探して諸国をまわっていた母親と再会して良かったね♪というストーリーだ。 -
子供が大鷲にさらわれるのを見てるそこらへんの農民。
表情やしぐさがユーモラスだ。今回の旅で絵金の作品には意外とユーモアの要素があることが分かった。 -
『菅原伝授手習鑑 寺子屋』
(すがわらでんじゅてならいかがみ てらこや)
菅原道実の子供の菅秀才(かんしゅうさい)が隠れていた寺子屋に敵がやってきて、菅秀才をかくまっていた武部源蔵(たけべげんぞう)に菅秀才の首を差し出せと迫られる。
源蔵は寺子屋に来た別の子供の首を切って差し出す(ヒドイ)。 -
ところがその子供は、斬られた首を確認する松王丸(まつおうまる、緑の服の人)の子供でした、というシーン。
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島崎米穀店の前では学芸員さんが絵の解説をしていた。
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『伊達競阿国戯場 累(土橋)』
(だてくらべおくにかぶき かさね どばし)
相撲取りの絹川の谷蔵(きぬかわのたにぞう、左下の男)は遊女の高尾(たかお)を殺害し、高尾の妹の累(かさね)と結婚する。
ところが、高尾の怨念によって累の顔はバケモノになってしまう。谷蔵は鏡を見せずに累の顔がバケモノになったことを隠し、累も自分を美人だと思っていた。
ところが累に本当のことをチクる奴がいて、累は半狂乱になって暴れまわるというシーン。 -
高尾はどうして谷蔵じゃなくて妹の累に憑りついたんでしょうね?恨む相手を間違っている気が…(笑)
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『東山桜荘子 佐倉宗吾子別れ』
(ひがしやまさくらそうし さくらそうごこわかれ)
さきほどの絵と同じシーンを絵金の弟子だった河田小龍が描いた作品。 -
『伊賀越道中双六 岡崎』
(いがごえどうちゅうすごろく おかざき)
和田志津馬(わだしづま)は義兄の唐木政右ェ門(からきまさえもん、緑の服の人)とともに志津馬の父親を殺した敵に仇討するために身分を隠して敵方に潜り込んでいた。 -
ところが、故郷に残した政右ェ門の妻が産まれたばかりの子を政右ェ門に見せるために来ちゃった。おまけに妻は持病で倒れ、通りがかりのブサイクにからまれる。でも、ここで助けたら自分の正体がばれるのでグッと我慢する、というシーン。
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『義経千本桜 鮓屋』
(よしつねせんぼんざくら すしや) -
なんか、ストーリーがよく分からないので省略(笑)
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こちらの金物屋さんの前に飾られているのは…
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『蝶花型歌島台 小坂部館』
(ちょうはながためいかのしまだい こさかべやかた)
小坂部音近(こさかべおとちか、中央の爺さん)のもとに2人の娘がやって来るが、2人はケンカを始める。
そこで、音近は姉の子供の笹市(ささいち)と、妹の子供の松太郎に勝負をさせて、買った方の味方につくと言う。
勝負は笹市が勝って、松太郎は切り殺されてしまいましたとさ。というシーン。 -
私のような観光客は絵金の作品ばかりに目が行きがちですが、地元の子供にとって絵金祭りは楽しい夏祭りだ。
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絵金祭りでは絵金の作品だけでなく、現代のアーティストの作品もいくつか展示されている。全ての作品は絵金と同じような二枚折りの屏風に描かれている。
絵金を意識しているのか、少しグロさがある作品が多かった。
今回いちばん笑った作品がコレ(笑) -
展示されているのは屏風絵だけではなく、こんな感じの絵金の作品が描かれた行燈を飾っている家も多かった。
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行燈の絵はあまり絵金らしさを感じない作品が多かった。
でも、中にはザ・絵金ワールドというものも… -
祭りも終盤を迎え、人の数も増えてきた。
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『楠昔噺 徳太夫住家』
(くすのきむかしばなし とくだゆうすみか)
百姓の徳太夫(とくだゆう、中央の爺さん)と2人の娘が家を訪れるが、2人がケンカをするので徳太夫が自害する(なんで?)、という話。 -
『競伊勢物語 春日野小芳住家(はったい茶)』
(はでくらべいせものがたり かすがのこよしすみか はったいちゃ)
老婆の小芳(こよし)の家に紀有常(きのありつね)が20年ぶりに訪ねてきて、喜んだ小芳ははったい茶でもてなす。 -
しかし、有常の目的は昔預けた娘の信夫(しのぶ)とその夫の豆四郎(まめしろう)を主君の井筒姫と在原業平との身代わりにするためだった。
かくして豆四郎は切腹し、信夫は有常によって首を斬られる、というシーン。
ひでぇ話だ(笑) -
『忠臣二度目清書 寺岡切腹』
(ちゅうしんにどめのきよがき てらおかせっぷく)
赤穂浪士の討ち入りの時、四十七士の中で唯一生き残った寺岡平右衛門(てらおかへいえもん、寺坂平右衛門)は大星由良之助(おおほしゆらのすけ、大石蔵之助)の家を訪れる。
そして切腹した由良之助とその息子の力弥(りきや)の位牌を由良之助の妻子に差し出す、というシーン。 -
実はこの絵をよく見ると、位牌が男根の形をしています。
絵金はときどきエロの要素を絵の中に隠して描き、江戸時代の人々を楽しませていたみたいです。
ディズニー映画『リトルマーメイド』のビデオパッケージの事件みたいだな。 -
どこかのテレビ局も取材に来てました。
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『菅原伝授手習鑑 寺子屋』
(すがわらでんじゅてならいかがみ てらこや)
前にあった作品の少し前のシーン。 -
この作品も子供がフリチンになっていたり、エロの要素が混ざっている。
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こちらのカマボコ屋さんの前に飾ってあるのは…
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『播州皿屋敷 鉄山下屋敷』
(ばんしゅうさらやしき てつざんしもやしき)
有名な怪談話ですね。
家宝の10枚セットの赤絵の皿のうち1枚を盗んだという濡れ衣をきせられたお菊(おきく)は殺されて、井戸に捨てられてしまう。 -
井戸からは夜な夜なお菊が「一枚、二枚…」と皿を数えるお菊の亡霊が現れる。
そして、お菊の亡霊に導かれたお菊の夫の船瀬三平(ふなせさんぺい)によってお菊を殺した青山兄弟を討ち取ってリベンジ達成…というシーン。 -
イベント会場のステージでは、せくしーな衣装のおねぇさんたちがフラダンスなのかベリーダンスなのかよく分からないダンスを披露。
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20:50。そろそろ祭りも終わりに近づいてきました。
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21:00、絵金祭り終了。
次々と屏風絵が片づけられていきます。 -
祭りが終わると人の波は消え、また赤岡の町に静寂が戻ってきます。
1年に一度、たった2時間だけの野外美術館は終わりました。
暗闇の中、蝋燭の灯りに照らされた絵金はとても幻想的で、想像していた以上に素晴らしい体験ができました。
わざわざ飛行機に乗って見に行く価値があるお祭りだと思います(^_^)
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