2012/05/30 - 2012/06/02
68位(同エリア106件中)
極楽人さん
フランス国境に近い東のパンプローナから西端の聖地サンチャゴ・デ・コンポステーラまで、『巡礼の道』(北の道)に沿って1週間の旅をしました。
総延長は850kmとか。巡礼者が1~3ヶ月かけて歩く苦難の道を、路線バスと列車で“安直に”進みました。そのため、どうしても町と町を線でつなぐだけの旅になり、憧れの田舎道にはなかなか遭遇できません。手抜きの旅ですから、ご利益も“それなり”だということでしょう。
独自の文化を持つ特色ある地域が多く「闘牛とフラメンコ以外のスペインが顔をのぞかせる」(ガイドブック)とあって、一度は訪ねてみたいところでした。旅はパンプローナからサン・セバスチャン経由でビルバオまで、バスク地方(広義)の横断から始めました。
*ガイドブックではブルゴス経由の“内陸ルート”がよく紹介されていますが、私は景色が良さそうな“海沿いルート”(『北の道』という)を選びました。
全体の行程は:MADRID(1泊)~PAMPLONA(1泊)~SAN SEBASTIAN(通過)~BILBAO(1泊)~SANTANDER(通過)~SANTILLANA DEL MAR(1泊)~OBIEDO(通過)~LEON(1泊)~SANTIAGO DE COMPOSTELA(1泊)~SALAMANCA(1泊)~MADRID(1泊)の、7泊8日です。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 鉄道 高速・路線バス
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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15:15 EASY-JETで、スイスのバーゼルからマドリッドへ。
LCCはほとんどが自由席、早めに並んだので窓際の席が取れました。運賃は“早割り”で往復¥4,000弱ですが、預託荷物分としてほぼ同額支払いました。大きな荷物をスイスに置いておく手もありましたが、手元にあるほうが便利と思い決めました。 -
17:40 マドリッド・バラハス空港着。
ホテルは中心街のSOL駅に近い、安宿街の一角です。
すぐ横に私の好きなマヨール広場があること、事前にメールで「荷物預かる」と返事をもらったことで決定しました。もちろん、予算も。 -
『HOSTAL MURCIA』
スイスから移動して来たこともあって、物価の安さに感激しきり。
この宿に限らず、旅の全体を通して清潔で居心地の良い宿が 20〜40ユーロの範囲で見つかりました。スイスならスーパーでも¥700したサンドイッチが¥150程度、バールもレストランも段違いの親切価格です。
ただし、ここは階段の4階。荷物を持つと木製の階段がきしみます。WiFi無料。 -
翌朝9時過ぎ、7日分の荷物をリュックに詰めて出発。
大きなキャリーは、約束どおり預かってもらいます。
快晴のSOL広場、満開の花が見送ってくれます。 -
ご存知不況の折、公共料金はつい最近、軒並み上がったようです。
便利で使いやすいメトロも、1.0→1.5ユーロに。 -
メトロのアベニーダ・デ・アメリカ駅は、バスターミナルと直結しています。
バルセロナや北へ向かう長距離バスは、ほとんどここから出発します。
前日、空港から直行してチケットを購入していたので、今日は並ぶ必要がありません。バスはALSA社、片道28ユーロ。10:30発車です。 -
そのチケット購入時、「パンプローナ行きはない」と言われて仰天。
要するに「直行便はない」という意味で、ソリア(SORIA)で他社のバスに乗り換えれば問題ありません。それはちゃんと調べてきています。
暗いバスターミナルで「バスはどこ?」と探す日本青年に逢いました。サンタンデールの展覧会に自分の絵を出品しているという、画家で俳優の二枚目でした。バスは間もなく見つかりました。 -
10:30 ソリア行きのバスが発車。
驚いたことに、空席は僅か。
座席はチケットに印刷された番号どおりに座ります。 -
運転席上のモニターに、運行状況が映し出されます。
“進化”ですね。 -
隣の席は、オランダから来たという30代の女性。
3週間の休暇を、仲間4人でパンプローナから巡礼の道にチャレンジするようです。「1日25km歩いて、レオンまでたどり着けるかしら」と。
バスは遅れ気味で、ソリアでの乗換えに不安が出てきました。心配になった彼女が運転手に聞きにゆくと、「待たせとく」の返答。 -
言葉どおり、乗り継ぎバスは15分待っていてくれました。
今度はCONDA社のバス。
大手バスALSA社では、『乗り放題券』を出しています。
1週間券は99ユーロと微妙。計算すると僅かにメリットが出ますが、”ALSA縛り”では却って不便。今回の乗り継ぎにしても、断念して正解でした。 -
汚れたバスの窓に、好ましい田舎の景色が流れてきました。
こんな寂れた静かな町を想像していたんですが・・・ -
パンプローナは近代的な大都市でした。
ちょっと拍子抜けしましたが、スペイン北部一帯は欧州でも屈指のの商工業地帯。南部と違って、強い経済力を背景に街も人もとても豊かです。
スイス旅行のリサーチに時間を取られるあまり、よく調べておかなかったツケが回ってきたようです。 -
それでも旧市街に入ると・・・
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ひっそりと中世が佇んでいます。
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昔ながらの街並み。家の造りにも独得の技法が見られます。
実は、ここが本日の宿です。
予約サイトで写真を見て気に入り、すぐ予約してしまいました。
今回のスペインではいちばん高く、朝食付き41ユーロ。WiFi無料。 -
『HOTEL ESLAVA』
昔は騎士の邸宅だったのでしょう。
小さなロビーにも薄暗い廊下にも、そんな名残りが見て取れます。
フロントには品のいい老婦人。流暢ななフランス語を話します。
(だから私とは目と手で会話。娘さんは英語ができます。)
フランスに近いせいか、バスク地方では英語より仏語の方がよく通じるように感じました。 -
公園側から見た、ホテルの全景。
ホテルは街を囲む城壁の、北西の城門近くにあります。
城壁と街並みとの間は、公園になっています。 -
北西の城門。
下を流れるのは、アルガ川。 -
川向こうの新市街。
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川の手前の旧市街。
こちら側を歩きます。 -
城壁に沿って東へ進むと、ナバーラ美術館。
『ナバーラ』は7世紀頃この地に興った王国の名前で、現在ではパンプローナが所属する県名になっています。 -
右へ折れると、市庁舎前広場。
有名な7月の牛追い祭り(サン・フェルミン祭)では、市長がバルコニーから「祭りの開始」を宣言します。 -
路地の美しさが際立ちます。
この狭い通りも、牛が疾走するんでしょうか?
サン・フェルミン祭を描いた小説。
『日はまた昇る』(へミングウェイ)の退廃、
『地図にない国』(川上健一)のかすかな希望・・・
一週間の“非日常”は人々を熱狂させ、やがて空しい“あとの祭り”がやってきます。 -
ナバーラ美術館下の広場から闘牛場までの800mを男たちが牛を追い込んで、祭りは最高潮に達します。毎年必ず何人かが亡くなるという、激しい祭りでもあります。
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旧市街の中心は、カスティーリョ広場。
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瀟洒な建物が四方を囲んでいます。
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広場の真ん中に、これは何?
何かのイベントが開催されていますが、この舞台は使っていません。 -
広場横の荘厳な建物は、役所のように見えます。
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そして東の外れに、カテドラル。
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闘牛場は木立に囲まれて、全体が見えません。
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メインストリートのサラサーテ通り。
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『ツィゴイネルワイゼン』を作曲したパンプローナ生まれの音楽家の名を冠してあります。
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バスクは“美食の国”でもあります。海と山の両方から、潤沢な食材が得られます。
サン・ニコラウス教会周辺に、地場料理の店がたくさん集まっています。
ホテルで紹介してもらったイチオシ・レストランは、残念ながら本日閉店でした。
仕方なく近くのBARで食事を済ませましたが、美味しいハムが出てきました。 -
一泊した翌朝、サン・セバスチャン経由でビルバオまで行きます。
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パンプローナの近代的なバスターミナル。
サン・セバスチャンまでは約1時間、バスは頻繁に出ています。
09:45発 CONDA社のバスは片道7.29ユーロでした。 -
サン・セバスチャンは海辺の高級リゾート地です。
見たい景色があるので、ここで3時間ほど散策します。
バスターミナルは南の外れ。ウルメア川の辺です。
川に沿って15分ほど歩くと、鉄道駅の横に旧市街へ繋がる橋が見えてきます。 -
これが、それ。
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カテドラルの尖塔を目印に進み、更に行くと・・・
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一気に視界が開けて、まぶしい砂浜が眼に飛び込んできました。
おお、こんなところに『江ノ島』が・・・ -
美しい入り江は、『ビスケー湾の真珠』と呼ばれているそうです。
『相模湾の真珠』といい勝負です。 -
湾はちょうど“クロワッサン”の形をしていて、
これが右側の角(つの)、 -
こちらが左側の角(つの)にあたり、
なだらかに湾曲する岸はコンチャ海岸というそうです。 -
いま目指しているのは、左の角の突端です。
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ゴージャスなホテル群を横目で見ながら・・・
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海沿いのトンネルをくぐると・・・
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ミラマール宮殿?
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こっちがそうかも???
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それはともかく、目的はこれです。
フニクラ(ケーブルカー)、山頂まで往復2.8ユーロ。 -
この景色が見たかったわけです。
左の角の上から、コンチャ海岸の全体が眺望できます。
向こうの丘はモンテ・ウルグル、こちらの丘はモンテ・イゲルトと言います。 -
この島はサンタ・クララ島。
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関所か要塞のようにも見えます。
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展望台の裏は崖になっていました。
美食の町、ジャズ・フェステイィバルや映画祭も有名なところだそうですが、私にとっては、ここを見ればもう充分です。 -
バスターミナルに戻って、次の目的地ビルバオへ向かいます。
14:30 ビルバオ行きはPESA社。片道10.10ユーロ -
16:00 ビルバオ着
ここは「寝るだけの街」という位置づけです。
バスターミナルから猛暑の中を歩いて30分、人に聞きながらユースホステルを探しました。赤が基調のモダンなホステルは小学生の団体で一杯でした。
『BOTXO GALLERY HOSTEL』
何とかベッドを確保できたのは、三段の真ん中。上(美人)も下(?)も若いお嬢さんでした。朝食付き19ユーロ。WiFi無料ですが、喧しくてやっていられません。 -
ビルバオ川を挟んだ対岸には、グッゲンハイム美術館。
この街には奇抜な形状の建造物が多く、街の個性づくりに一役買っているようです。 -
美術館の庭には、巨大な金属スパイダー。
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新しいモダンな建造物は、街の勢いをそのまま現しています。
誇り高いバスクの首都であり、ヨーロッパ有数の工業地帯の中心地。豊かな経済は、文化や芸術の領域でも主導権を発揮したがっているようです。
独自の言語と文化を持ち、強い経済力を背景に独立への旗を振り続けるバスクは「スペインの中の非スペイン」、その象徴がビルバオなのでしょう。 -
メインストリートもこの通り。
古いものと新しいものの、「調和」なのか「不調和」なのか。
シュールな街並みは、好きな人にはいいのでしょうが・・・ -
橋の向こうが、旧市街です。
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こちらは少しゴミゴミしていて、
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昔の建物が昔のまま建ち並んでいます。
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旧市街の中心はカテドラル。
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バールやレストランが密集して、下町の風情があります。
少し、ほっとします。 -
夕食を済ませてホステルに帰る道、またモダンな街に戻りました。
トマトとキノコのクレープ、軽めですが絶品の味にも出会えました。
この日、夕方7時過ぎで39℃を記録しました。異常な暑さは雨雲を呼び、夜半からすさまじい雷雨となって稲妻を落としました。神の怒りか? やっぱり、この街の“シュール”はちょっとやりすぎのようで。 -
翌朝のバスターミナル。
サンタンデールを経由して、待望の田舎町サンティリャーナ・デル・マルに向かいます。
(つづく)
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