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二年前に訪れたときは、レオマールビーチのコッテージに泊まった。隣接しているホテルに泊まろうと思ったのだが、当時、バックパッカー旅をしていた自分の予算とかけ離れていていた。<br />その近くにはナリナックホテルという更に高そうな宿があったが、今回はレオマールホテルに泊まることにした。 ホテルの前は遠浅の蒼いビーチが広がっている。波は殆どなく無く、波打ち際は湖のように穏やかだった。海面は、気持ちの悪くなるくらい、ぬるま湯のように温かい。遠浅なので焼け付く様な暑い陽光を浴びて、水温が猶更温かいのだろう。<br /><br />ホテルの前にはヤシの実の連なる木々にハンモックが幾つか掛かっていた。<br />日本から持参した数冊の文庫本を抱えては、日がな一日、ハンモックに寝そべり、木漏れ日を浴びながら、文庫本を読み耽った。<br />冷えたサンミゲールを飲みながら、うつらうつらするという至福の時を過ごした。私はこれがやりたくて、マニラから6時間もかけてここに来た様なものだった。時折、頬をかすめる海風が心地良かった。<br /><br />元来、旅先で熱心に観光したり、精力的に見学に出掛けたりというタイプでは全く無かった。旅先に居ても出不精なのだから訳が分からない。 ほとんどズボラな性格なのだ。バックパッカー時代も積極的に名所旧跡を訪ね歩くという事もなかったように思う。<br /><br />或る日、相方のKと浜辺で、フリスビーで遊んでいると、土産用の貝殻・装飾品売りの行商のおばちゃんの二人組が近づいてきた。我々にお土産に如何とピンク珊瑚のネックレスを勧める。 二人の顔を見たとき、あれ? もしや?と思った。 <br />「リメンバー ミー?」と問うと、二人は私の顔を繁々と見詰める。<br />私が二年前にここに来た事、二人と良くお喋りした事を話すと、合点が要ったような表情を浮かべ、二人はタガログ語で話すと、とても嬉しそうに微笑む。<br />「良く覚えているわよ」と云う。この二人、すんげぇ〜 調子を合わせているな〜と思った私である。ところが!!ところが!!である。 <br /> <br />貝殻売りの一人から、唐突に「kio-chan?」と云われたのだ。 突然、自分の名前を呼ばれ、心底 魂消た。相方のKも魂消ている。 何故においらの名前が出てくるの? 私は二人の名前なぞ勿論、覚えていない。このビーチを訪れる<one of them&gt;に過ぎないのに?<br />何故?なぜ?ナゼ〜〜〜? <br /><br />おばちゃんの一人が、やがて貴重品バッグから大事そうに数葉の写真を取り出して私に見せる。 そこには私と一緒にツーショット、或いはスリーショットで椰子の木をバックに皆が満面の笑みを浮かべている画像があった。 そして写真の裏を見せた。そこには間違いなく、私の文字で<with kio-chan&gt;と書かれてあった。私は二人と写真を撮った事も、その写真を日本から送った事も、すっかり忘れていた。 彼女は写真を仕事中もバッグに入れて、いつも大切に持ち歩いていると云った。<br /><br />お蔭で色々な事を思い出した。写真を撮った時にフィリピンに送ってくれと頼まれた私は、アドレスを尋ねたときに、名前の他に、ラウニオン州とビーチ名だけをノートに書き、これで届くの?と思ったが、キチンと届いたのだ。 すんげ〜〜 恐るべきフィリピンの郵便事情!!<br /><br />「kio−chan. 随分と太ったねえ?」二年前、バックパッカー旅をして最後に訪れたのがフィリピンだった。長い旅の間に、ヒモジイ思いをした訳でも無いのに、私は出発前と比べて15キロ近く、体重が落ちていた。だから太ったのではなく、元に戻っただけなのだ。<br />長い旅から帰国して数日後に体重計に乗ったら、帰国時より僅か数日間で、7Kも増えていて体重計が壊れたのかと思ったほどである。 復元力というか、なんとも云い様がないような気がする(―_―)!!<br /><br />二年前にKio―chanと云う名前を教えたら、日本人ではなく、中国人なのかと?問われた事も思い出した。Chanは日本ではニックネームのような軽い敬称だという事を話した。<br /><br />ここには何時までいる予定?と問われ、もう4.5日は滞在する予定でいることを告げた。<br /><br />翌日、昼頃、椰子の木の下のハンモックでウツラウツラしていると、私の名前を呼ぶ声に目が覚めた。昨日の行商のおばちゃんの一人が麻の袋にマンゴーを一つ一つ、紙に包んで袋一杯に持ってきてくれた。「写真のお礼だよ」と云いながら、随分と義理堅い事をするなあと思った。<br />マンゴー大好きな私は無邪気に喜び、有り難く頂戴した。<br />なかなかハンモックで寝そべっている私の元から離れず、何か言いたげな風情だった。<br />やがて おずおずと話し始めた。<br /><br />「kio-chan オンナ ホシクナイ カ?」!(^^)!<br />「ホシク ナイヨ?」<br />「kio−chan オンナ ヨリ オトコ ガ スキナノ カ?」(―_―)!!<br />「オンナ ダイスキ ダヨ。 デモ ヨル ノ オンナ ナラ イラナイヨ?」(#^.^#)<br />「 ハダ ノ イロ ガ シロイ キレイナ ワカイ ムスメ コンヤkio−chanノ ホテル ニ ツレテ クルヨ」!(^^)!<br />「ツレテ コナクテ イイヨ」<br />「kio−chan  ヤハリ オトコガ スキナノ カ? 」(―_―)!!<br />「ダカラ・・・・フツウ ノ フィリピン ノ ムスメ ナラ ショウカイ シテ ヨ デモ ヨル ノ オンナ ナラ イラナイッテバ」<br /><br />箸にも棒にもかからない愛想のない私の受け答えにおばちゃんは ようやく諦めたようだった。<br />このおばちゃん 観光客に貝殻細工売りながら<ポン引き>までこなす逞しさだった。<br /><br />

フィリピン再訪記ー4 浜辺の行商・ポン引きおばちゃん 編

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1981/08/09 - 1981/08/18

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kio

kioさん

二年前に訪れたときは、レオマールビーチのコッテージに泊まった。隣接しているホテルに泊まろうと思ったのだが、当時、バックパッカー旅をしていた自分の予算とかけ離れていていた。
その近くにはナリナックホテルという更に高そうな宿があったが、今回はレオマールホテルに泊まることにした。 ホテルの前は遠浅の蒼いビーチが広がっている。波は殆どなく無く、波打ち際は湖のように穏やかだった。海面は、気持ちの悪くなるくらい、ぬるま湯のように温かい。遠浅なので焼け付く様な暑い陽光を浴びて、水温が猶更温かいのだろう。

ホテルの前にはヤシの実の連なる木々にハンモックが幾つか掛かっていた。
日本から持参した数冊の文庫本を抱えては、日がな一日、ハンモックに寝そべり、木漏れ日を浴びながら、文庫本を読み耽った。
冷えたサンミゲールを飲みながら、うつらうつらするという至福の時を過ごした。私はこれがやりたくて、マニラから6時間もかけてここに来た様なものだった。時折、頬をかすめる海風が心地良かった。

元来、旅先で熱心に観光したり、精力的に見学に出掛けたりというタイプでは全く無かった。旅先に居ても出不精なのだから訳が分からない。 ほとんどズボラな性格なのだ。バックパッカー時代も積極的に名所旧跡を訪ね歩くという事もなかったように思う。

或る日、相方のKと浜辺で、フリスビーで遊んでいると、土産用の貝殻・装飾品売りの行商のおばちゃんの二人組が近づいてきた。我々にお土産に如何とピンク珊瑚のネックレスを勧める。 二人の顔を見たとき、あれ? もしや?と思った。 
「リメンバー ミー?」と問うと、二人は私の顔を繁々と見詰める。
私が二年前にここに来た事、二人と良くお喋りした事を話すと、合点が要ったような表情を浮かべ、二人はタガログ語で話すと、とても嬉しそうに微笑む。
「良く覚えているわよ」と云う。この二人、すんげぇ〜 調子を合わせているな〜と思った私である。ところが!!ところが!!である。 
 
貝殻売りの一人から、唐突に「kio-chan?」と云われたのだ。 突然、自分の名前を呼ばれ、心底 魂消た。相方のKも魂消ている。 何故においらの名前が出てくるの? 私は二人の名前なぞ勿論、覚えていない。このビーチを訪れる<one of them>に過ぎないのに?
何故?なぜ?ナゼ〜〜〜? 

おばちゃんの一人が、やがて貴重品バッグから大事そうに数葉の写真を取り出して私に見せる。 そこには私と一緒にツーショット、或いはスリーショットで椰子の木をバックに皆が満面の笑みを浮かべている画像があった。 そして写真の裏を見せた。そこには間違いなく、私の文字で<with kio-chan>と書かれてあった。私は二人と写真を撮った事も、その写真を日本から送った事も、すっかり忘れていた。 彼女は写真を仕事中もバッグに入れて、いつも大切に持ち歩いていると云った。

お蔭で色々な事を思い出した。写真を撮った時にフィリピンに送ってくれと頼まれた私は、アドレスを尋ねたときに、名前の他に、ラウニオン州とビーチ名だけをノートに書き、これで届くの?と思ったが、キチンと届いたのだ。 すんげ〜〜 恐るべきフィリピンの郵便事情!!

「kio−chan. 随分と太ったねえ?」二年前、バックパッカー旅をして最後に訪れたのがフィリピンだった。長い旅の間に、ヒモジイ思いをした訳でも無いのに、私は出発前と比べて15キロ近く、体重が落ちていた。だから太ったのではなく、元に戻っただけなのだ。
長い旅から帰国して数日後に体重計に乗ったら、帰国時より僅か数日間で、7Kも増えていて体重計が壊れたのかと思ったほどである。 復元力というか、なんとも云い様がないような気がする(―_―)!!

二年前にKio―chanと云う名前を教えたら、日本人ではなく、中国人なのかと?問われた事も思い出した。Chanは日本ではニックネームのような軽い敬称だという事を話した。

ここには何時までいる予定?と問われ、もう4.5日は滞在する予定でいることを告げた。

翌日、昼頃、椰子の木の下のハンモックでウツラウツラしていると、私の名前を呼ぶ声に目が覚めた。昨日の行商のおばちゃんの一人が麻の袋にマンゴーを一つ一つ、紙に包んで袋一杯に持ってきてくれた。「写真のお礼だよ」と云いながら、随分と義理堅い事をするなあと思った。
マンゴー大好きな私は無邪気に喜び、有り難く頂戴した。
なかなかハンモックで寝そべっている私の元から離れず、何か言いたげな風情だった。
やがて おずおずと話し始めた。

「kio-chan オンナ ホシクナイ カ?」!(^^)!
「ホシク ナイヨ?」
「kio−chan オンナ ヨリ オトコ ガ スキナノ カ?」(―_―)!!
「オンナ ダイスキ ダヨ。 デモ ヨル ノ オンナ ナラ イラナイヨ?」(#^.^#)
「 ハダ ノ イロ ガ シロイ キレイナ ワカイ ムスメ コンヤkio−chanノ ホテル ニ ツレテ クルヨ」!(^^)!
「ツレテ コナクテ イイヨ」
「kio−chan  ヤハリ オトコガ スキナノ カ? 」(―_―)!!
「ダカラ・・・・フツウ ノ フィリピン ノ ムスメ ナラ ショウカイ シテ ヨ デモ ヨル ノ オンナ ナラ イラナイッテバ」

箸にも棒にもかからない愛想のない私の受け答えにおばちゃんは ようやく諦めたようだった。
このおばちゃん 観光客に貝殻細工売りながら<ポン引き>までこなす逞しさだった。

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この旅行記へのコメント (4)

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  • ちぐささん 2012/06/24 12:05:58
    こんにちは

     ポンびき、おばちゃんとの、やりとり
     面白かったです  ちぐさ

    kio

    kioさん からの返信 2012/06/25 21:00:15
    RE: こんにちは

    ちぐささん こんばんわ
    書き込み&投票いただき ありがとうございます。

    >  ポンびき、おばちゃんとの、やりとり
    >  面白かったです  

    いつもながらの お馬鹿な会話でした(*^_^*)
    でも二年前に逢った時は、ぽんびき業務はしていなかったんですけどねえ(';')
    営業科目、増やしたのか?(ー_ー)!!
  • 唐辛子婆さん 2012/05/26 23:40:51
    リバウンドの王子様
    kioちゃん、こんばんは♪

    あはは、うっかりそうだよとでも答えたら
    男の子を連れてきたでしょうね。

    それにしても
    「長い旅から帰国して数日後に体重計に乗ったら、帰国時より僅か数日間で、7Kも増えていて」
    って唐辛子婆とおんなし^_^;

    あ、違った。

    唐辛子婆は帰国して必死にダイエットして10kg減らして
    外国にでるとあっという間に10kg増えるんでした(涙)

    続編待つ。

    唐獅子婆

    kio

    kioさん からの返信 2012/05/29 21:13:51
    RE: リバウンドの王子様
     唐獅子マダム こんばんわ

     書き込み&投票ありがとうございます。


    > あはは、うっかりそうだよとでも答えたら
    > 男の子を連れてきたでしょうね。

    やばいっすよねえ (ー_ー)!!
    自分はたとえ、どんなに綺麗でもミスターレディはアウトなんですよん
    こいつ 男なんだと思うともうダメっすね
    って何の話をしているんだ おいら・・・(*^_^*)

    そういえばマニラのリサール公園に<夜の大捜査線>に出かけたら、
    化粧したオカマがうじゃうじゃと溢れかえって気色悪かった事を
    思い出しましたよん(^_-)


    > 唐辛子婆は帰国して必死にダイエットして10kg減らして
    > 外国にでるとあっという間に10kg増えるんでした(涙)

    海外で肥えるって 彼の地の水が合っているんでしょうね
    自分は一ケ月の短い旅でも数キロ落ちてしまいますよん

    > 続編待つ。

    ダラダラと4編も書いてしまったので
    ど〜やってエンディングに持っていこうかと 思案中です

    最後はマニラ空港でのダメ職員との揉め事を書いて
    終えるつもりなんですけどね

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