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ヴァイキングの島アイスランドへ

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2007/07/01 - 2007/07/31

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kazhideさん

古い旅行記ですいません。某サイト閉鎖に伴い亡命してきました。
子供の頃に憧れていたヴァイキング。名画「ヴァイキング」の白目を剥いたカーク・ダグラスの熱演は子供心にも迫力満点、敵役なのにすっかり感情移入して見たものです。そのヴァイキング達の末裔が住む島、アイスランドへ遠征してきました。
no photo画像は以下よりお借りしています
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=1047201

同行者
カップル・夫婦
航空会社
フィンランド航空
旅行の手配内容
個別手配
  • アイスランドへは直行のチャーター便も不定期で出ているが、日程が合わず2回の乗り換えの末にようやく到着。空港から首都レイキャビクへの道筋には荒涼とした大地が広がり、「最果ての島に来た」気分が盛り上がる。森どころか林といえるような木立すらない、どこか月面を思わせる光景は緑豊かな他の北欧諸国とは対照的である。<br />やがて少しずつ人家が増え、レイキャビク市内に到着。何だか「文明社会に戻ってきた」ような感覚でホッとする。何しろアイスランドは押しも押されもせぬ先進国なのだ。物価の高さでも有名なので、あらかじめ空港内の免税スーパーでビールを調達。銘柄はもちろん「VIKING」。

    アイスランドへは直行のチャーター便も不定期で出ているが、日程が合わず2回の乗り換えの末にようやく到着。空港から首都レイキャビクへの道筋には荒涼とした大地が広がり、「最果ての島に来た」気分が盛り上がる。森どころか林といえるような木立すらない、どこか月面を思わせる光景は緑豊かな他の北欧諸国とは対照的である。
    やがて少しずつ人家が増え、レイキャビク市内に到着。何だか「文明社会に戻ってきた」ような感覚でホッとする。何しろアイスランドは押しも押されもせぬ先進国なのだ。物価の高さでも有名なので、あらかじめ空港内の免税スーパーでビールを調達。銘柄はもちろん「VIKING」。

  • 深夜になっても窓からの景色はぼんやりと明るく、夜らしい夜になることもなく夕方からそのまま朝になる感じ。何となく寝付けないまま初めての朝を迎える。午前中はレイキャビク市内を散策。町並みは清潔で車も少なく、高い建物も目立たず開放感のある快適な場所である。どこか以前に訪れたパタゴニアの港町、プンタ・アレーナスを思い出させるのは、地理的条件も気候も似通っているからであろうか。チョルトニン湖畔は市民の憩いの場となっていて、やたら人懐こい水鳥達が餌をねだりに寄ってくる。<br />徒歩でペルトランへ。ここは地熱で暖めた温水を市内に供給するセンターだが、レストランや博物館も併設した複合施設。この温水でレイキャビク全市の暖房が賄われ、世界で一番クリーンな首都と言われているとか。館内の「サガ・ミュージアム」にはヴァイキング到達以前からの歴史が迫力満点のマネキンで展示されていてマニア心をくすぐってくれる。今は豊かさを享受しているアイスランドも、かつては貧しい生活を余儀なくされていたのであろうことが伝わってくる展示内容だ。純血の北方ゲルマンと思われがちなアイスランド人だが、当時のアイスランド男性の1/4、女性の1/2がアイルランドから奴隷として連れてこられた人々だったんだとか。最初にアイスランドに到達したのも実はアイルランドの修道士たち、両島には名前が似ているだけではない深い関わりがあったのですね。<br />

    深夜になっても窓からの景色はぼんやりと明るく、夜らしい夜になることもなく夕方からそのまま朝になる感じ。何となく寝付けないまま初めての朝を迎える。午前中はレイキャビク市内を散策。町並みは清潔で車も少なく、高い建物も目立たず開放感のある快適な場所である。どこか以前に訪れたパタゴニアの港町、プンタ・アレーナスを思い出させるのは、地理的条件も気候も似通っているからであろうか。チョルトニン湖畔は市民の憩いの場となっていて、やたら人懐こい水鳥達が餌をねだりに寄ってくる。
    徒歩でペルトランへ。ここは地熱で暖めた温水を市内に供給するセンターだが、レストランや博物館も併設した複合施設。この温水でレイキャビク全市の暖房が賄われ、世界で一番クリーンな首都と言われているとか。館内の「サガ・ミュージアム」にはヴァイキング到達以前からの歴史が迫力満点のマネキンで展示されていてマニア心をくすぐってくれる。今は豊かさを享受しているアイスランドも、かつては貧しい生活を余儀なくされていたのであろうことが伝わってくる展示内容だ。純血の北方ゲルマンと思われがちなアイスランド人だが、当時のアイスランド男性の1/4、女性の1/2がアイルランドから奴隷として連れてこられた人々だったんだとか。最初にアイスランドに到達したのも実はアイルランドの修道士たち、両島には名前が似ているだけではない深い関わりがあったのですね。

  • 午後は有名な露天温泉、ブルーラグーンへ。ツアーバスがレイキャビクから頻繁に出ている。温泉といってもそこは外国、実態は巨大な屋外温水プールといった趣で、日本の温泉のような情緒は薬にしたくもないですな。<br />バスを降りて岩の中に掘り進まれたような小道をしばらくいくと硫黄の臭いが漂いはじめ、やがて健康センターのような建物が。チケットを買い改札口を通って入場。脱衣場の下駄箱からは何ともいえない臭いが鼻を刺す。いやはや欧米人の体臭は強烈だ。<br />この温泉、元々は単なる廃水用池だったものの再利用だそうで、底にはぬるぬるした泥が沈殿している。お陰で足を滑らせて頭まで沈没するはめに。この泥を利用した泥パックが大人気だそうだ。あまりに広大なため湯の温度は場所によってかなりの差があるのだが、全体的に相当ぬるめ、江戸っ子なら「こんな水風呂に入ってられるかい、べらぼうめ」と怒り出すだろうね。<br />施設にはレストランとショップも併設しており、温泉の湯を利用した化粧品を売っている。ただ日本人にはどうも湯上りの満足感が今一つというか、国内の温泉で感じるあの心からの開放感が足りないんだよね・・・これは水着着用のせいだけなのかな?ローマ風呂の例を引くまでもなく、欧州にも元来は入浴を楽しむ文化があった筈なんだが、どうもキリスト教の影響で入浴が単なる排泄行為に転落し、トイレと同じ部屋に浴槽が追いやられてしまったようだ。<br />

    午後は有名な露天温泉、ブルーラグーンへ。ツアーバスがレイキャビクから頻繁に出ている。温泉といってもそこは外国、実態は巨大な屋外温水プールといった趣で、日本の温泉のような情緒は薬にしたくもないですな。
    バスを降りて岩の中に掘り進まれたような小道をしばらくいくと硫黄の臭いが漂いはじめ、やがて健康センターのような建物が。チケットを買い改札口を通って入場。脱衣場の下駄箱からは何ともいえない臭いが鼻を刺す。いやはや欧米人の体臭は強烈だ。
    この温泉、元々は単なる廃水用池だったものの再利用だそうで、底にはぬるぬるした泥が沈殿している。お陰で足を滑らせて頭まで沈没するはめに。この泥を利用した泥パックが大人気だそうだ。あまりに広大なため湯の温度は場所によってかなりの差があるのだが、全体的に相当ぬるめ、江戸っ子なら「こんな水風呂に入ってられるかい、べらぼうめ」と怒り出すだろうね。
    施設にはレストランとショップも併設しており、温泉の湯を利用した化粧品を売っている。ただ日本人にはどうも湯上りの満足感が今一つというか、国内の温泉で感じるあの心からの開放感が足りないんだよね・・・これは水着着用のせいだけなのかな?ローマ風呂の例を引くまでもなく、欧州にも元来は入浴を楽しむ文化があった筈なんだが、どうもキリスト教の影響で入浴が単なる排泄行為に転落し、トイレと同じ部屋に浴槽が追いやられてしまったようだ。

  • アイスランド観光の「目玉」ゴールデンサークル。とはいえガイドブックを見る限りでは目玉というほどの凄さは感じられず、「単にレイキャビクから日帰りで行けるところをまとめて適当にネーミングしただけでは?」なんて疑問が涌いてくる。果たして実際はどうなんでしょうか。<br />一日観光のバスはまずクヴェーラゲルジという小さな町へ。ここには地熱を利用したグリーンハウスがあり、サボテンやバナナが栽培されちょっとした熱帯植物園といった趣。これが全て化石燃料を使わないエコ施設というのは大したものだが、何だか既視感が・・・併設のみやげもの屋やアイスクリームなどのスタンドを含めて、いかにも日本の温泉地にありそうな感じなんですね。ここが熱海だといわれても信じてしまいそう。<br />次いでバスはケリズ火口湖へ。3000年前の噴火でできたクレーターだが、ここでもデジャヴが・・・熱海の次はそう、「阿蘇」。バスの中に東洋人は我々夫婦二人だけだが、これが日本人団体専用バスだったら完全に気分は国内旅行というところ。<br />さていよいよ「ゴールデン三本立て」の一角、黄金の滝グトルフォスへ。意外に豊富な水量を誇り、中々どうして結構な迫力である。もっともイグアスやヴィクトリア瀑布を見てきた目にはスケールの小ささは否めないが。比べるほうが悪いんですけどね・・・<br />実はこの滝、百年前にイギリス資本による電力開発計画が持ち上がり、近在の少女がたった一人「計画を強行するなら滝に身を投げます」と必死の反対運動を行って守ったんだとか。そのエピソードを聞いて勝手に可憐な美少女を想像していたのだが・・・滝のそばに刻まれている彼女のレリーフを見るとこれが田中真紀子ばりの猛々しい強面。これは推進派もさぞやたじたじとさせられたことであろう。<br />

    アイスランド観光の「目玉」ゴールデンサークル。とはいえガイドブックを見る限りでは目玉というほどの凄さは感じられず、「単にレイキャビクから日帰りで行けるところをまとめて適当にネーミングしただけでは?」なんて疑問が涌いてくる。果たして実際はどうなんでしょうか。
    一日観光のバスはまずクヴェーラゲルジという小さな町へ。ここには地熱を利用したグリーンハウスがあり、サボテンやバナナが栽培されちょっとした熱帯植物園といった趣。これが全て化石燃料を使わないエコ施設というのは大したものだが、何だか既視感が・・・併設のみやげもの屋やアイスクリームなどのスタンドを含めて、いかにも日本の温泉地にありそうな感じなんですね。ここが熱海だといわれても信じてしまいそう。
    次いでバスはケリズ火口湖へ。3000年前の噴火でできたクレーターだが、ここでもデジャヴが・・・熱海の次はそう、「阿蘇」。バスの中に東洋人は我々夫婦二人だけだが、これが日本人団体専用バスだったら完全に気分は国内旅行というところ。
    さていよいよ「ゴールデン三本立て」の一角、黄金の滝グトルフォスへ。意外に豊富な水量を誇り、中々どうして結構な迫力である。もっともイグアスやヴィクトリア瀑布を見てきた目にはスケールの小ささは否めないが。比べるほうが悪いんですけどね・・・
    実はこの滝、百年前にイギリス資本による電力開発計画が持ち上がり、近在の少女がたった一人「計画を強行するなら滝に身を投げます」と必死の反対運動を行って守ったんだとか。そのエピソードを聞いて勝手に可憐な美少女を想像していたのだが・・・滝のそばに刻まれている彼女のレリーフを見るとこれが田中真紀子ばりの猛々しい強面。これは推進派もさぞやたじたじとさせられたことであろう。

  • さて、ツアーバスはいよいよ目玉中の目玉、間欠泉ゲイシールへ。コテージ風のロッジやレストラン、カフェに併設された展示室などがある一角へバスは駐車。ここで昼食を兼ねて約2時間ほど過ごす。道路を渡った反対側の荒野にはグラグラと沸き立つ熱湯を湛えた穴ぼこがいくつも空いており、さながら大地が湯沸かし器となったかのごとき有様。中でも一番元気なのがストロックル間欠泉で、数分おきに数十メートルもの湯の柱を盛大に吹き上げている。ただそれだけのことではあるのだが、これが意外に面白い!グラウチの私が思わず子供のようにはしゃいでしまった。ここは童心に返って天然のアトラクションを素直に楽しむべし。噴出していない泉にも吸い込まれるように青い(本当に吸い込まれたら石川五右衛門の釜茹で状態だが)ミニ・ブルーホールがあったりとそれぞれ面白みがある。ちなみにオリジナルの「ゲイシール」(英語のgeyser)は現在ほとんど休眠状態。運がよければ吹き上がっているところに出会えるが、すっかり衰えて往年の面影はないとか。<br />〆は世界遺産シンクヴェトリルへ。地質学的には旧大陸と新大陸の境であり、歴史的には世界最古の民主議会アルシングが開かれた聖地。地球の割れ目を目の当たりにするのはかつてアフリカの大地溝帯を通った時以来二度目だ。ここは当然徒歩での大陸横断にトライ!この裂け目には小川も流れ、近くには湖もありこれまでの訪問地に比べると植生も豊か、ちょっとしたピクニック気分に浸れる。最後にアルシングの開会を宣言したという岩に立ち、自由を求めて故国を捨てこの北の果てまでたどり着いたヴァイキングたちの想いを偲ぶ。日本人にとっては未だにお仕着せの感が拭えず軽い言葉となっている「民主主義」だが、ここでは先祖以来の血肉と化した重みが伝わってくるような気がした。<br />

    さて、ツアーバスはいよいよ目玉中の目玉、間欠泉ゲイシールへ。コテージ風のロッジやレストラン、カフェに併設された展示室などがある一角へバスは駐車。ここで昼食を兼ねて約2時間ほど過ごす。道路を渡った反対側の荒野にはグラグラと沸き立つ熱湯を湛えた穴ぼこがいくつも空いており、さながら大地が湯沸かし器となったかのごとき有様。中でも一番元気なのがストロックル間欠泉で、数分おきに数十メートルもの湯の柱を盛大に吹き上げている。ただそれだけのことではあるのだが、これが意外に面白い!グラウチの私が思わず子供のようにはしゃいでしまった。ここは童心に返って天然のアトラクションを素直に楽しむべし。噴出していない泉にも吸い込まれるように青い(本当に吸い込まれたら石川五右衛門の釜茹で状態だが)ミニ・ブルーホールがあったりとそれぞれ面白みがある。ちなみにオリジナルの「ゲイシール」(英語のgeyser)は現在ほとんど休眠状態。運がよければ吹き上がっているところに出会えるが、すっかり衰えて往年の面影はないとか。
    〆は世界遺産シンクヴェトリルへ。地質学的には旧大陸と新大陸の境であり、歴史的には世界最古の民主議会アルシングが開かれた聖地。地球の割れ目を目の当たりにするのはかつてアフリカの大地溝帯を通った時以来二度目だ。ここは当然徒歩での大陸横断にトライ!この裂け目には小川も流れ、近くには湖もありこれまでの訪問地に比べると植生も豊か、ちょっとしたピクニック気分に浸れる。最後にアルシングの開会を宣言したという岩に立ち、自由を求めて故国を捨てこの北の果てまでたどり着いたヴァイキングたちの想いを偲ぶ。日本人にとっては未だにお仕着せの感が拭えず軽い言葉となっている「民主主義」だが、ここでは先祖以来の血肉と化した重みが伝わってくるような気がした。

  • 「研究者か探検家ならともかく、観光客がグリーンランドなんて行けるのか?」<br />それが実は結構簡単に行けるのですよ。アイスランドの現地旅行社では日帰りから一週間程度のものまでいろいろなグリーンランドツアーを扱っており、日本からネットで予約も可能。その中でも手軽な日帰りツアーを申し込んでみた。<br />レイキャビクを10時に発った飛行機は、約2時間のフライトの後、グリーンランド・クルスク空港へ10時に降り立つ。・・・・そう、時差が丁度2時間なのだ。クルスクというと「大戦車戦」とか「原潜沈没」とかを連想してしまうが(私だけ?)、このKulusukはロシア語ではなくイヌイット(エスキモー)語。ちなみにグリーンランドはデンマーク領なのでパスポートが必要。香港からマカオ日帰りツアーに行くのと手続き的には同じだ。<br />小さなターミナルを一歩出るとそこは極北の大地。緯度的にはアイスランドとそれほど違わないというのに、海には流氷が浮かび身を切るような寒風が肌を刺す。ヨットパーカーのみでセーターを用意しなかったことを大いに後悔。<br />この極寒の大地を「緑の島」と名づけた人間の気が知れないというところだが、その男の名は「赤毛のエイリーク」 984年、アイスランドで殺人を犯し3年の所払いとなった彼はこの島を発見、入植者を募るためグリーンランドと名づけた。詐欺も同然のひどい話だが、当時のグリーンランドは温暖化が叫ばれる今よりさらに温暖で、南岸では牧畜も可能だったとか。この手の怪しい話に乗せられるカモはいつの時代にもいるもので、最終的には入植地の人口は3000〜5000人にもなったという。しかし、やがて気候はどんどん寒冷化し、アイスランドとの交易も途絶え、イヌイットのように寒冷地に適応できなかった白人は消滅してしまうのであった。<br />ちなみにこの赤毛のエイリークの息子が、コロンブスより前にアメリカに到達した男、レイフ・エイリクソン。アイスランドでは今でもそうだが、彼らには苗字というものがなく「〜ソン(〜の息子)」「〜ドッティル(〜の娘)」を名前の後に付けていたのだ。日本人にも馴染みの「ジョンソン」とか携帯電話の「エリクソン」などはそれが苗字化したもの。スラブの場合はこれが「〜ビッチ」になるわけ。<br />

    「研究者か探検家ならともかく、観光客がグリーンランドなんて行けるのか?」
    それが実は結構簡単に行けるのですよ。アイスランドの現地旅行社では日帰りから一週間程度のものまでいろいろなグリーンランドツアーを扱っており、日本からネットで予約も可能。その中でも手軽な日帰りツアーを申し込んでみた。
    レイキャビクを10時に発った飛行機は、約2時間のフライトの後、グリーンランド・クルスク空港へ10時に降り立つ。・・・・そう、時差が丁度2時間なのだ。クルスクというと「大戦車戦」とか「原潜沈没」とかを連想してしまうが(私だけ?)、このKulusukはロシア語ではなくイヌイット(エスキモー)語。ちなみにグリーンランドはデンマーク領なのでパスポートが必要。香港からマカオ日帰りツアーに行くのと手続き的には同じだ。
    小さなターミナルを一歩出るとそこは極北の大地。緯度的にはアイスランドとそれほど違わないというのに、海には流氷が浮かび身を切るような寒風が肌を刺す。ヨットパーカーのみでセーターを用意しなかったことを大いに後悔。
    この極寒の大地を「緑の島」と名づけた人間の気が知れないというところだが、その男の名は「赤毛のエイリーク」 984年、アイスランドで殺人を犯し3年の所払いとなった彼はこの島を発見、入植者を募るためグリーンランドと名づけた。詐欺も同然のひどい話だが、当時のグリーンランドは温暖化が叫ばれる今よりさらに温暖で、南岸では牧畜も可能だったとか。この手の怪しい話に乗せられるカモはいつの時代にもいるもので、最終的には入植地の人口は3000〜5000人にもなったという。しかし、やがて気候はどんどん寒冷化し、アイスランドとの交易も途絶え、イヌイットのように寒冷地に適応できなかった白人は消滅してしまうのであった。
    ちなみにこの赤毛のエイリークの息子が、コロンブスより前にアメリカに到達した男、レイフ・エイリクソン。アイスランドでは今でもそうだが、彼らには苗字というものがなく「〜ソン(〜の息子)」「〜ドッティル(〜の娘)」を名前の後に付けていたのだ。日本人にも馴染みの「ジョンソン」とか携帯電話の「エリクソン」などはそれが苗字化したもの。スラブの場合はこれが「〜ビッチ」になるわけ。

  • さて、一行は徒歩でクルスクの集落を目指す。行程約一時間。道中には高山植物がちらほらと花を咲かせ、左手には山々が峰を連ねさしづめトレッキングといった趣だが、右手には流氷を湛えた北極海。何と言うコントラスト。温帯では高地でしか見られない植生が気候の関係でこんな海岸沿いで見られるのだ。<br />クルスクの集落は人口350人、マッチ箱のような家々の中にやはり木造の掘っ立て小屋のようなスーパーや土産物屋、教会が立っている。氷の家に住み毛皮のアノラックを纏い、犬ぞりやカヌーを操っていたのは過去の話なのだろう。子供達の身に着けているのは古びたセーターやスニーカー、ボートにはYAMAHA製エンジンが積まれ、暇そうにしている犬達は観光客を見かけると大喜び。本多勝一の「極限の民族」によれば、イヌイットの犬を見る目は我々にとっての牛や馬と同じ、完全な使役用の家畜で愛玩の要素は全くなかったらしいが、今では変わってきたのだろうか。犬達はやたら人懐こく愛想を振りまいてくれる。本が書かれたのは今から40年も前であるから、文明化はさらに進んでいるのだろう。<br />村に一軒のスーパーは意外なほど品揃えが豊富。もっとも輸送量などが上乗せされるせいか値段はかなり高く、現金収入の道が乏しいであろうイヌイット達がどうやりくりしているのか気になるところである。土産物屋には巨大なホッキョクグマの剥製などが展示されているが、こちらも結構なお値段。展示されている写真には100年前のイヌイット達の生活も写されている。まだアザラシの皮のテントに住み、家の中では裸族だったころの姿である。かつては「生活そのもの」だったそれらが今ではショーとして観光客の前で行われているのだ。崖のそばの小さな野原に腰掛けてカヤックでの狩りとドラムダンスの鑑賞。何だか滅び行く文化の哀しさを感じてしまう。もっとも演じている当のイヌイット達は何とも思っていないのだろう、にこやかな表情でサービス精神旺盛なのがまた複雑な気持ちにさせられる。<br />帰路は別料金で空港まで海上をボートで戻る。ボートの上から見る流氷は陸からと違い「氷山」と言ってもいい迫力。この冷たい海で転覆したら心臓麻痺を起こしかねないから、心配性の人は陸路が無難かも。<br />

    さて、一行は徒歩でクルスクの集落を目指す。行程約一時間。道中には高山植物がちらほらと花を咲かせ、左手には山々が峰を連ねさしづめトレッキングといった趣だが、右手には流氷を湛えた北極海。何と言うコントラスト。温帯では高地でしか見られない植生が気候の関係でこんな海岸沿いで見られるのだ。
    クルスクの集落は人口350人、マッチ箱のような家々の中にやはり木造の掘っ立て小屋のようなスーパーや土産物屋、教会が立っている。氷の家に住み毛皮のアノラックを纏い、犬ぞりやカヌーを操っていたのは過去の話なのだろう。子供達の身に着けているのは古びたセーターやスニーカー、ボートにはYAMAHA製エンジンが積まれ、暇そうにしている犬達は観光客を見かけると大喜び。本多勝一の「極限の民族」によれば、イヌイットの犬を見る目は我々にとっての牛や馬と同じ、完全な使役用の家畜で愛玩の要素は全くなかったらしいが、今では変わってきたのだろうか。犬達はやたら人懐こく愛想を振りまいてくれる。本が書かれたのは今から40年も前であるから、文明化はさらに進んでいるのだろう。
    村に一軒のスーパーは意外なほど品揃えが豊富。もっとも輸送量などが上乗せされるせいか値段はかなり高く、現金収入の道が乏しいであろうイヌイット達がどうやりくりしているのか気になるところである。土産物屋には巨大なホッキョクグマの剥製などが展示されているが、こちらも結構なお値段。展示されている写真には100年前のイヌイット達の生活も写されている。まだアザラシの皮のテントに住み、家の中では裸族だったころの姿である。かつては「生活そのもの」だったそれらが今ではショーとして観光客の前で行われているのだ。崖のそばの小さな野原に腰掛けてカヤックでの狩りとドラムダンスの鑑賞。何だか滅び行く文化の哀しさを感じてしまう。もっとも演じている当のイヌイット達は何とも思っていないのだろう、にこやかな表情でサービス精神旺盛なのがまた複雑な気持ちにさせられる。
    帰路は別料金で空港まで海上をボートで戻る。ボートの上から見る流氷は陸からと違い「氷山」と言ってもいい迫力。この冷たい海で転覆したら心臓麻痺を起こしかねないから、心配性の人は陸路が無難かも。

  • クルスクを発った飛行機がレイキャビク国内空港(一応は国際線のはずなんですが)に着いたのは午後6時。といってもまだまだ昼間のような明るさ、市内までのんびり歩いていくことにする。その道中で考えたというわけではないが、閑話休題。<br />コスタリカと並び軍隊のない国として知られるアイスランドだが、ないものがもう一つ、それが「現金」。もちろん紙幣や硬貨自体は存在するのだが、おそらく世界一のキャッシュレス社会であろう。どんな小額の支払いでも普通にカードが通用し、チップの習慣もないので旅行者がアイスランドクローナへ両替する必要は全くないといっていいほどだ。過去にハイパーインフレに見舞われた際、現金より小切手が流通するようになり、やがてカードが取って代わったのだとか。<br />そんな「バーチャル通貨」と化しつつあるアイスランドクローナ(ISK)だが、今話題のFXでは一大注目株。何しろ同国の政策金利は14%を超えており、ATMの手数料で利息が吹っ飛んでしまうどこかの国民にとっては羨ましい限りだ。(注:これは2007年時点での話。その後のアイスランドが金融破綻でとんでもないことになったのは皆さんご承知の通りです)<br />下手な投資信託よりも有利な利率でさぞかし優雅な金利生活者が多いのかと思うとさにあらず、町を歩く限りではアイスランドの人々の生活は非常に質素である。何しろごく普通の一回の食事代だけで数千円が飛んでいくほどの物価の高さに加えて高い税金(つい最近まで消費税24.5%!)、インフレなどで庶民の暮らしは決して楽なものではないらしい。<br />ちなみに軍隊のない国アイスランドも戦後にイギリスと「タラ戦争」を繰り広げている。漁業権を巡る経済紛争だが、沿岸警備艇を出動させ相手船への体当たりや砲撃(火薬抜きですが)を行い死者(事故死ですが)まで出るほどの激しいものだった。結果はアイスランドの完全勝利。中途半端な軍備を持ちながらまるで外交力のないどこかの国に爪の垢を煎じて飲ませてやりたいものですね。<br />

    クルスクを発った飛行機がレイキャビク国内空港(一応は国際線のはずなんですが)に着いたのは午後6時。といってもまだまだ昼間のような明るさ、市内までのんびり歩いていくことにする。その道中で考えたというわけではないが、閑話休題。
    コスタリカと並び軍隊のない国として知られるアイスランドだが、ないものがもう一つ、それが「現金」。もちろん紙幣や硬貨自体は存在するのだが、おそらく世界一のキャッシュレス社会であろう。どんな小額の支払いでも普通にカードが通用し、チップの習慣もないので旅行者がアイスランドクローナへ両替する必要は全くないといっていいほどだ。過去にハイパーインフレに見舞われた際、現金より小切手が流通するようになり、やがてカードが取って代わったのだとか。
    そんな「バーチャル通貨」と化しつつあるアイスランドクローナ(ISK)だが、今話題のFXでは一大注目株。何しろ同国の政策金利は14%を超えており、ATMの手数料で利息が吹っ飛んでしまうどこかの国民にとっては羨ましい限りだ。(注:これは2007年時点での話。その後のアイスランドが金融破綻でとんでもないことになったのは皆さんご承知の通りです)
    下手な投資信託よりも有利な利率でさぞかし優雅な金利生活者が多いのかと思うとさにあらず、町を歩く限りではアイスランドの人々の生活は非常に質素である。何しろごく普通の一回の食事代だけで数千円が飛んでいくほどの物価の高さに加えて高い税金(つい最近まで消費税24.5%!)、インフレなどで庶民の暮らしは決して楽なものではないらしい。
    ちなみに軍隊のない国アイスランドも戦後にイギリスと「タラ戦争」を繰り広げている。漁業権を巡る経済紛争だが、沿岸警備艇を出動させ相手船への体当たりや砲撃(火薬抜きですが)を行い死者(事故死ですが)まで出るほどの激しいものだった。結果はアイスランドの完全勝利。中途半端な軍備を持ちながらまるで外交力のないどこかの国に爪の垢を煎じて飲ませてやりたいものですね。

  • 今回投宿したのは「ホテル・ノルディカ」。アイスランド航空系列のホテルということで、近代的で快適な宿である。一階のレストラン「VOX」は地球の歩き方HPでも絶賛されていたが、確かに美味。ワインリストも良いものが揃っている。何故か中国系(台湾人&香港人)の客が多いようで、2日目の朝食はチャイニーズメニューとして中華粥や点心も用意されていた。こちらの味のほうは欧州の大都市のチャイナタウンで出される平均的なレベルか。旅行中もアジア系の旅行者を見かけると聞こえてくるのは中国語ばかり。南アフリカやアルゼンチンでも中国(台湾)系団体客の多さに驚いたが、日本人にとってはマイナーな旅行先もあちらではメジャーなのかも。<br />最終日は早朝5時にホテルを出発。欧州方面への便が集中する時間帯のため、朝早くにも関わらず空港は大混雑。オスロ・ヘルシンキを経由して帰国の途に。日本はすでに夏真っ盛り、うだるような暑さに「帰ってきた」という実感とともに、またアイスランドへ引き返したくもなったのでした。<br />

    今回投宿したのは「ホテル・ノルディカ」。アイスランド航空系列のホテルということで、近代的で快適な宿である。一階のレストラン「VOX」は地球の歩き方HPでも絶賛されていたが、確かに美味。ワインリストも良いものが揃っている。何故か中国系(台湾人&香港人)の客が多いようで、2日目の朝食はチャイニーズメニューとして中華粥や点心も用意されていた。こちらの味のほうは欧州の大都市のチャイナタウンで出される平均的なレベルか。旅行中もアジア系の旅行者を見かけると聞こえてくるのは中国語ばかり。南アフリカやアルゼンチンでも中国(台湾)系団体客の多さに驚いたが、日本人にとってはマイナーな旅行先もあちらではメジャーなのかも。
    最終日は早朝5時にホテルを出発。欧州方面への便が集中する時間帯のため、朝早くにも関わらず空港は大混雑。オスロ・ヘルシンキを経由して帰国の途に。日本はすでに夏真っ盛り、うだるような暑さに「帰ってきた」という実感とともに、またアイスランドへ引き返したくもなったのでした。

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