2005/08/27 - 2005/09/06
35位(同エリア195件中)
Katsyさん
- KatsyさんTOP
- 旅行記22冊
- クチコミ1件
- Q&A回答4件
- 162,509アクセス
- フォロワー22人
かつて唐代の詩人、李白に「蜀道の難きは 青天に上るよりも難し」とその道の難儀さを詩句に謳わせた秦嶺(シンレイ)山脈。
中国内陸部の陝西省南部を中心に広がる秘境・秦嶺山脈は、手付かずの自然が残る野生動物たちの楽園でもある。
現在、一帯にはいくつもの国家級自然保護区が点在し、国を挙げて野生動物に対する研究、調査や保護が行われている。
動物園ではダントツ人気のジャイアントパンダ。
日本でも一度は絶滅してしまったトキ。
「西遊記」に登場する孫悟空のモデルとされるキンシコウなど…
国家一級重点保護野生動物に指定されている仲間を始め、様々な種類の動物たちを撮影するために特別に入境許可を得て、いざ秦嶺山脈へ!
NHKの自然ドキュメンタリー番組でも紹介され、動物写真家・岩合光昭氏も訪れた中国陝西省・秦嶺山脈…
秦嶺山脈は世界の生物地理区における東洋区と旧北区の境界に位置するため、見られる動物の種類も豊富と聞いて期待も膨らむ。
果たして動物たちとのどんな出会いが待っていたのか…
この旅行記では、佛坪国家級自然保護区での初トレッキングの様子などを紹介します。
- 旅行の満足度
- 2.5
- 観光
- 2.5
- ホテル
- 1.5
- グルメ
- 3.5
- ショッピング
- 1.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 20万円 - 25万円
- 航空会社
- 中国国際航空
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
佛坪国家級自然保護区のゲートタウンとなる佛坪県に到着。
-
メインストリートに面しているショッピングセンターやスーパーマーケット。
-
これから先1週間は山中の研究・調査基地で過ごすことになるので、食料品や飲料などを買出しする。
鶏精肉店では卵をダンボールのケースごと買い込んだ。 -
ここは 、秦嶺人と自然情報・教育センター。
秦嶺山脈における自然保護活動プロジェクトを教育目的に活用するため、佛坪県に建てられた施設。
一般観光客は保護区へ入山する前に、まずはここで簡単なレクチャーを受けることになる。 -
写真のような視聴覚室では、秦嶺山脈に生息する動物たちとその保護活動に関するビデオ(英語版)を見る。
-
館内には自然保護区内で見られる動植物の剥製や標本が展示され、あたかも博物館のようである。
見学すると秦嶺山脈という場所が、いかに生物多様性に満ちたエリアであるかがわかる。
写真は、大変珍しく希少な茶色いジャイアントパンダ・ダンダンの剥製。
それにしても、この色は突然変異だろうか… -
教育センターには宿泊設備も整っている。
とりあえずは、佛坪県で一泊して翌日に自然保護区へと向かう。
ビデオで見たようなすばらしいパンダの写真を撮ることができれば最高なのだが…
とにかく、少しでも多くの種類の動物が撮影できることを願う。 -
途中、簡単な昼食をとるために凉風亞保護站に立ち寄る。
自然保護区内には各所にこのような、保護站(保護局)が設置されている。
これらの保護站は、研究者や現地スタッフが保護区内に滞在するために必要なベースキャンプ。
そして我々は、さらにここから奥地を目指して移動する。 -
行けるところまでは極力車での移動となるが、写真のように崖道が崩れている箇所も結構ある!
専用車のドライバーもかなり慎重に運転していた。 -
車を降りてからは、目的地の保護站まで森の中に続く細い山道をひたすら歩く。
道はかなり整ってはいるが、場所によっては未舗装の泥道もある。 -
パンダが出てきそうな道中には、いたる箇所に写真のような碑が備えられている。
写真の碑に書かれているのは「パンダが寝ているから起さないでください。」という意味のことらしい。
要するに、動物たちを刺激しないように静かに歩きましょう、ということか… -
山道のそばを流れる渓流。
涼しげで、暑い夏のトレッキングには一服の清涼剤のような景色…
しかし、こうして見ると日本の山の中となんら変わらないようでもある。 -
車を降りてから山道を歩くこと3時間、ようやく目的地の三官廟保護站に到着。
ここは佛坪国家級自然保護区の中では最大規模を誇る保護站。
保護区内に滞在中はここを拠点として、野生動物たちを探索、追跡することになる。 -
ローカルガイドが必要な荷物を小生の部屋に運び入れてくれた。
-
ここが小生の部屋。
室内にトイレやシャワー、洗面台はなく、すべて共同の設備を利用する。
電気が使えるのは午後7時~10時までの夜間のみ。
夜は自室で充分に睡眠をとり、鋭気を養う… -
さて、いよいよパンダを始めとする野生動物たちを追跡するトレッキングのスタート!
ここからは、自然保護区内のウォーキングサファリの様子をお伝えする。
写真は李家勾といわれている尾根。
トレッキングといっても山中には道らしい道はなく(細い獣道のような道さえも)、このような尾根伝いを歩いたり、急な斜面の登り降りの繰り返しである。
まあ考えてみれば、この自然保護区は昔から地元に住んでいる農家や自然保護目的の研究スタッフ以外、外部一般人の立ち入りが厳しく制限されてきたので、山の中に道らしい道もあろうはずがない。
-
まして野生動物たちからしてみれば、道などは特に必要ないはずであろう。
逆に、だからこそ手付かずの自然が残せているのだと思う。
ここは碑房紙場勾という尾根。
原生林の中に一面笹竹が生い茂る斜面を、笹竹を切り払いながら登っていく。 -
これは碑房勾瀑布という滝。
保護区内に流れる渓流には橋が少ない。
トレッキング中は、ときには橋のかかっていない渓流を渡らなければならない場合もある。
流れのところどころから頭を出す岩々を飛び移りながら渡ることもしばしばで、とかく滑りやすいので注意が必要。
こんなときには、竹などでスティックを作って利用すると渡りやすいかもしれない。
足元はトレッキング用の丈夫なブーツなどよりも、底が柔らかで滑りにくくなっていて軽いズックのような靴が理想。 -
山の斜面からは清水が湧いていた。
こんな小さな一滴が集まって渓流になる。 -
さらに視点を上げて広く見回してみると、尾根の上からは光頭山という山を望めた。
-
トレッキング中に見つけた植物の葉っぱ。
といっても透けているせいかよくわからない。 -
フラッシュを焚いて撮影すると浮き出た姜柏桝葉。
長い月日の間に葉っぱの肉だけ腐食し、葉脈だけが残った。
自然が作り出した造形美のひとつといえるだろう。
秦嶺山脈で見かけた植物のいくつかを紹介する。 -
これは刷把菌というキノコの一種。
淡いピンクが、洋県で見たトキの羽を思い出させた。 -
こちらはまるで珊瑚のような刷把菌。
紫色が神秘的で美しい… -
日本の山でも見かけることがあるホタルブクロの一種。
-
竹の間に一際目立って咲いていた紅毛槭。
-
野生のホオズキのオレンジも山道で見ると印象的。
-
しばらく山の斜面を登っていると、ついに出た!!
今回のサービスショット:その①
目の前でとぐろを巻く菜花烙鉄頭(ミヤマハブ)に出くわした!
秦嶺山脈に住んでいるのはパンダやキンシコウなどの人気動物ばかりではない。
毒蛇や吸血蛭など遭遇したくない輩もウヨウヨいる。
このハブも突然我々の行く手に現れた。
写真のハブのような派手な柄模様は、藪の中では落ち葉や木漏れ日に擬態していて一見認識しづらい。
秦嶺山中をトレッキングするときには誤って触れてしまわないよう、足元などには充分気をつけなければならない。
-
ただ、中国では蛇料理や毒蛇酒など日本に比べて蛇が庶民の生活・文化に溶け込んでいるようなので、このハブも見方によっては中国的な被写体といえるかもしれない。
確かに、毒蛇の種類が多いのは東洋区の特色のひとつでもあるし…
佛坪自然保護区内をサファリ中に撮れた毒蛇は、ミヤマハブの他に秦嶺蝮蛇(シンレイマムシ)。
ここで、佛坪で出会った小動物の一部をお見せする。 -
今回のサービスショット:その②
山道の脇でうごめいていたチュウカヒキガエル。
夏の秦嶺山中は、かなり湿度も高くジメジメしているからか、カエルやヘビなどの両生・爬虫類が生息するのに適した環境なのだろう。
ジメジメした山中では、斜面や泥道もぬかるんで滑りやすくなっているので要注意! -
今回のサービスショット:その③
こちらは別種のカエル、チュウゴクアカガエル。
水の澄んだ渓流の岩陰で見つけた。 -
今回のサービスショット:その④
日本の雑木林などでもよく見かけるヒョウモンチョウの仲間。 -
今回のサービスショット:その⑤
花の周りを舞うカラスアゲハの一種。
それはそうとこうして見てくると、どれもほとんどが日本でも見られるようなものばかり。
日本と中国が地理的に近く、気候も似かよっていることがわかる。
しかしここまで来ると、小生としても大動物(パンダなど)との出会いを期待したくなる。
やはり、パンダやキンシコウなどを撮ることで“中国”の秘境たる秦嶺山脈を実感したい。 -
そんなことを考えながらサファリをしているうちに、ついに発見!
パンダの糞である!!
野生のパンダを追跡するには重要な手がかりとなる。
この糞は5、6日ほど前のものらしい。 -
これはもっと新しい、前日か2日ぐらい前のもの。
前出の写真の糞に比べて色がまだ緑色をしている。
小生も今までにずいぶんといろんな動物の糞を見てきたが、これほどきれいな緑色の糞は見たことがない。
パンダの食事はほとんどが笹や竹の葉なので、排泄されるものも葉っぱの色そのものだそうだ。
つまり緑色が鮮やかなほど、新鮮な糞ということになる。
これはまだ新しい糞なので、パンダがまだ近くにいるかもしれないという期待感が膨らんだ。 -
パンダを探すには糞や足跡の他にも手がかりがある。
これは、パンダがこもる岩穴。
特に8月の終わり頃から9月にかけては、パンダが子育てをする季節らしい。
パンダの母親たちは、山間の急な岩場の洞で子育てをする。
佛坪に滞在中は、主にそんな岩穴を巡ってサファリをすることになった。
ただやみくもに糞や足跡を追跡するより、パンダの岩穴を覗いてみたほうが確実にパンダを撮影できるに違いないからだ。 -
佛坪にはかつてNHKのドキュメンタリー番組の取材スタッフが動物写真家の岩合光昭氏と長期にわたり取材に訪れている。
その様子は、形を変えていろんな番組で何度も放送されていた。
BS1以外のNHKのすべてのチャンネルで確かに見た覚えがある。
これは、岩合さんが撮影したパンダの親子がこもっていた岩穴の入口。
岩合さんがカメラを設置していたという跡地から小生もカメラを向けてみた。
この岩穴の入口の真下は急な崖になっていて危険だったため、ローカルガイドに頼んで岩穴の中を確認してもらうことにした。
しかし結局、岩穴の中にはパンダはいなかったようだ。 -
さらにこれは別の岩穴。
佛坪では、全部で20箇所ほどのパンダの育児用岩穴が確認されている。
どの穴もかなり急な斜面の岩場にある。
岩場が崩れる心配はないが、崖にへばりつきながら行く場合は足場(足がかり)も狭いのでがっちりした登山靴やトレッキングブーツなどは不向き。
登山靴などだと岩の斜面で滑ってしまうだろう。 -
狭い入口から中へと入ってみた。
-
もしやと期待していたが、パンダはすでにいなかった…
入口の狭いわりには、中は結構広かった。
ローカルガイドの張氏が立っていられるほど充分な高さがある。
張さんは、佛坪で暮らしているベテランの案内人。
佛坪で育ったために保護区内の山中については庭のように熟知している。
我々が苦労して進行しなければならなかった岩場や崖も、彼なら楽々と超えて行く。
また、彼は長年のカンでパンダのいそうな場所の見当をつけるのがうまいらしい。
実際、NHKの番組の中では岩合カメラマンのガイドとして映っていた。 -
岩穴の中でパンダの糞を発見!
色がまだ緑っぽかったので、3日ほど前まではここにいたようだ。
タッチの差でパンダに会えなかった。 -
パンダを見つけるために岩穴巡りは続く。
佛坪に滞在した8日間で15箇所ほどの岩穴を見て回った。 -
それでも、結局パンダを探し出すことはできなかった。
-
ただ、ここにも糞はあった。
パンダがいたという気配と痕跡だけが残っていた。
例年なら、9月頃なら必ずどこかの岩穴で遭遇できるはずらしいのだが、2005年はなぜか岩穴を訪問すべき時期が少しずれていたようだ。
何とも悔しい限りである! -
パンダの岩穴の入口にて。
かなり狭いことがわかる。
パンダたちが急な岩場をよじ登り、こんなに狭い岩の隙間から入り込めるのが本当に不思議である!
それにしても、パンダたちは一体どこに行ってしまったのだろうか?
本当はこんな風におどけている場合ではないのだが… -
ここは、岩合カメラマンがカメラを設置していた場所。
雨風を避けるためにひさしが設けられている。
NHKの番組取材スタッフたちと岩合氏は山中にこのような撮影ポイントを数箇所セッティングしていたそうだ。
パンダの移動に合わせて撮影場所を変えていたらしい。
長いときは1箇所に1週間も留まっていたそうだ。
まあ、相手が動物ならそれだけ時間をかけなければ、いい写真や映像は撮れないということか…
この撮影ポイントからは、パンダの岩穴を見上げることができた。
少し距離があったので、望遠かズームレンズで狙っていたに違いない。 -
三官廟保護站の裏手から見える山景色。
パンダなどの野生動物は山中だけでなく、ときには三官廟保護站周辺の里にも現れることがあるようなので、山中トレッキングが早めに終わった日には保護站近辺も見回ってみた。 -
三官廟保護站の近くを流れる東河。
この東河沿いでもよく動物たちが見られるそうだ。 -
動物たちはたまに山から降りてきて、水を飲むためにこの川縁に現れることもあるとか…
-
保護站近隣に住む農家の人から情報を得ようとするローカルガイドの張氏。
-
早くも秋の到来を感じさせる風景。
手前にパンダがいればさぞかしいい写真になったであろう。
山中に引き続き、またも景色だけに終わった… -
さて、秦嶺山脈での野生動物追跡サファリ最後の一手は、標高の高い場所まで行ってみること。
7~8月の暑い時期は、パンダを始めとする野生動物たちも涼しく過ごしやすい高地へと移動している。
9月の佛坪は高所とはいえ、残暑の季節。
案外、動物たちもまだ高地で過ごしている可能性があるわけだ。
写真は山中の尾根から望んだ頂棚寨という峰の頂。
頂棚寨を目指して行ってみることになった。 -
頂棚寨登頂に挑戦中、登って来た方向にカメラを向けた。
70度ほどの勾配になるだろうか、ご覧のようにかなり急な崖である。
ウッカリ足を滑らせたりすると、それこそ一瞬にして某ドリング剤のCMのように「ファイト~ッ!イッパ~ツ!!」的な状況に陥る。
スリルを楽しみたい人にはワクワクするようなアトラクションだが、高所恐怖症の方にはあまりお勧めできない。 -
急勾配との格闘の末、ようやく山頂付近の岩棚に到着。
再び上から下に向けて撮ってみたが、山の木々に隠されてもはや崖の下の風景は見えない。 -
岩棚の上は畳2畳ほどのスペース。
ほとんど身動きがとれない状況…
岩棚の端に座って、やはりカメラを真下に向けて撮ってみた。
鬱蒼とした木々のテッペンが見えるだけで一見どうということはないが、前述のとおり木々の緑の向こうには険しい崖が待ち構えている。
ウッカリ滑り落ちでもしたら、まず一貫の終わりだろう。 -
頂棚寨の岩棚からの眺め。
昼食を兼ねてしばらくはこの岩棚から周囲を見張ってみることにした。
頂棚寨付近はさすがに標高が高いからか、植生も松などの針葉樹が多く見られる。 -
幸い天気もよかったので、風光明媚な眺望を堪能できた。
ただ、ヤッパリどこか日本に似てるんだよナ…
ときおり、はるか上空を猛禽類の一種が帆翔しているのが確認できた… -
岩棚から見張ること1時間ほど、ついに発見!
今回のサービスショット:その⑥
向かい合う崖の上にターキン登場!!
ターキンは中国国家一級重点保護野生動物に指定されている希少種。
ジャイアントパンダやキンシコウ、トキと並んで「秦嶺四獣」の一つに数えられている。
中国名で「羚牛」と書くだけあってさすがにウシに似ているが、大型のカモシカの仲間である。
このターキンを撮影できたことは、日本国内で例えるとニホンカモシカを撮影することに匹敵する収穫である!
しかし!しかしである。
とにかく遠かった…!
小生たちのいた岩棚からターキンが現れた崖までの距離は200メートルほどはあっただろうか。
こちらも向こうもお互いに崖の上にいたので、アプローチしようにもしようがない。
いつも他の旅行記では比較的遠目のサイズの動物写真ばかりを掲載して申し訳ない気持ちもあるが、今回のターキンについては400ミリレンズを最大限に生かしても本当に小さいサイズでしか撮れなかった。
まあ、それでもようやく秦嶺山中で中国らしい動物写真は撮れたかナァ…
はるばる険しい崖を登ってきた甲斐もあった。 -
ターキンのことが気になって岩棚を後にする。
我々はターキンのいた崖の辺りまで近づいてみたが、ターキンはすでにいなかった。
そこには写真のような岩の屋根があるだけだった。
この岩屋根は背梁石という場所。
背梁石の両側は切り立った急な崖になって落ち込んでいる。 -
背梁石付近から見えた秦嶺山脈の山並み。
-
背梁石からは我々が休憩をとりながらターキンを見つけた頂棚寨の岩棚が望めた。
-
背梁石にてメモリアルショット。
ローカルガイドの張氏が撮影。 -
いろいろあったが秦嶺山脈サファリ最後の夜は、地元の農家にてお別れディナーパーティー。
今回訪問したご家庭は、小生の専属ローカルガイド・張さん宅。
張さんの自宅は三官廟保護站のすぐそば裏手にあり、本業は農家。
主にトウモロコシを中心に栽培して生計を立てているが、その他にもウシとブタを数頭とニワトリを多数飼っている。
また、養蜂も手がけている。
張さんは、そんな忙しい農作業の合間に三官廟保護站でナチュラリストガイドの仕事を請け負っている兼業農家。 -
玄関から入って向かって正面の壁には、なにやら額縁が…
-
中国の家庭(特に地方や田舎の)にはよく掲げられている毛沢東と周恩来の肖像。
20世紀アジアの歴史に名を残す2大巨星は、今でも現代中国建国の英雄として奉られている。 -
厨房では、張さんの奥さんが小生をもてなすための料理を調理中。
張さんがガイドを務める傍ら、奥さんは保護站でゲストやスタッフの賄いを担当している。
三官廟での毎日の食事は基本的に野菜主体のメニューがほとんどだったが、この日はニワトリを丸ごと煮込んだ料理などが出された。
自然保護区の奥地での食事といっても、味付けが醤油や味噌など日本で使われるものに近い調味料でなされているので、結構おいしくいただけた。 -
この後、応接間でディナーをいただいた。
食べることに集中するあまり、テーブル上に並んだ料理の数々を撮らなかったことが悔やまれる。 -
いよいよ佛坪国家級自然保護区滞在の最終日、三官廟保護站でジャイアントパンダ研究センターの主任研究員・雍厳格氏と。
雍さんはジャイアントパンダの調査・研究において中国国内でも高名な第一人者。
NHKの番組でもパンダ研究のエキスパートとして紹介されていた。
小生も一般旅行者としてでなく、彼を手伝うかたちで政府の追跡調査に参加すれば野生のジャイアントパンダの写真が撮れたかもしれない。
-
ついに三官廟保護站ともお別れ。
迎えの車が待つ凉風亞までは3時間ほどのウォーキング。
荷物は写真のようにガイドの張さんのウマに担がせて運ぶ。
なので、やはり荷物をまとめるにはスーツケースなどよりもバッグパックが望ましい。 -
旅の最後に、凉風亞で小生の中国サファリ旅行を支えてくれたスタッフたちと記念撮影。
右から、
マネージャーの雷新軍氏、
ローカルガイドの張安興氏、
小生、
通訳(英語)兼ツアーコーディネーターの左登玉女史、
アシスタントの朱鵬君嬢。
NHKの取材スタッフも案内したベストメンバーで臨んでくれた、はずだったが…
佛坪に滞在して10日あまり、撮影できた主な動物が小鳥に小動物、ターキン(しかも遠くから)だけだったとは…
ただ、彼らスタッフはよくやってくれたし、実動日の8日間もできる限りの手は尽くした。
今回の敗因の一つには、来た時期もよくなかったのかもしれない。
小生が訪れた9月という時期は秦嶺山中もまだ暑く、動物探索にとってベストシーズンではないことを現地に着いてから知った。
実際には、もう少し寒くなってくる10月中旬以降のほうがベターなようだ。
秋になると寒さでパンダなどの動物たちも高地から里まで降りてくるし、木々の葉が落ちて森の中でも特にキンシコウなどは見つけやすくなるという。
このように渡航時期について、事前リサーチの詰めが甘かったことは反省している。
しかし、それでも、この山中で野生動物を探すことは非常に難しい…!
さらにスタッフの話では、NHKの番組取材班ですら2ヶ月間山中を歩いて何も撮れなかったこともあったとか…
ケニアのサバンナやブラジルのパンタナール、カナダのツンドラなどの開けて見通しのいい環境がどれだけ動物を見つけやすいことか…
何しろ、小生にとってこれほど動物の写真が撮れなかった旅行も珍しい。
とにかくほとんどシャッターを切っていないので、動物撮影用のフィルムも大量に余ってしまった…
ここでパンダやキンシコウなど現地固有の動物が撮れなければ、日本の山登りと大して変わりはない。
山中の道程も体力的にはそれほどキツくはなかったが、険しい崖やぬかるんだ斜面など危険が多く、細心の注意と備えが必要なこともわかった。
結論を述べると、この旅では秦嶺山脈という場所が世界有数の生物多様性に満ちたエリアにありながら、最も野生動物の撮影が困難な地域の一つであることを改めて強く認識した。
その難易度は、おそらく世界最高レベルであろう。
だが、このままではどうしても諦めきれない!
いつの日かリベンジするために必ずやこの地を再訪することを誓って、小生の2005年の夏は終わった…
この旅行記のタグ
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
0
70