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サンクトペテルブルグが全世界の観光客を引き付けて止まないのは、エルミタージュ美術館の存在である。所有点数300万点はルーブルの200万点、メトロポリタン、大英博物館をはるかに凌駕し、世界最大の美術館であることは間違いない。総面積は46,000m2、部屋をつなげると延長は約25km 300万点の所蔵品を1点1分ずつ見て、1日8時間かけた場合、17年以上かかる、という説明がされる。もちろん展覧されているのはほんの一部である。私は4日をフルに費やしたが、所蔵品のほんの一部を見たに過ぎない。この計算によれば8 x 60 x 4 = 1920点となり1%にも満たない。 <br /><br />エルミタージュ宮殿は即位したばかりのエカテリーナ2世が最初の住人となり、1721年、 歴代皇帝の冬の住居でとして建築されたのが冬宮、現在の冬宮はイタリア人フランチェスコ・ラストレッリにより設計され、1762年に完成した。 美術館の起こりは、1764年女帝エカテリーナ2世の命でゴツコフスキーというベルリンの商人から225点の絵画コレクションを受領したことに始まる。それは小エルミタージュ建設の年でもある。その後も美術品の大量買付けは精力的に続けられ、ロシアの財力と文化の高さを世界に示す政治的意図があった。エカテリーナ2世が、西欧諸国の中で野蛮な後進国とされていたロシアの評判を向上させた功績は大きい。 <br /> <br />その後、隣に絵画コレクションを収納するため、フランス語で「隠れ家」を意味するエルミタージュと名付けた建物(女帝はここでのどかなひと時を楽しんだ)、を追加、その後も収納場所が足りなくなって建物が追加されたのが旧エルミタージュであり、その約60年後ミュンヘンのアルテ・ピナコテークを建てたレオ・フォン・クレンツェが新エルミタージュ(写真3)を追加し現在の4つの建物ができあがった。 <br /><br />展示品について興味のある方は別途美術館案内ををごらんいただきたい。超目玉としては世界に十数点しかないレオナルド・ダ・ヴィンチの作品2点、「ベヌアのマドンナ」(写真6)、「リッタのマドンナ」(写真7)、ラファエロの「コネスタビレのマドンナ」、ミケランジェロの彫刻「うずくまる少年」(写真8)、ティツィアーノ「悔悛のマグダラのマリア」(写真9)、カラヴァッジョ「リュートを弾く人」、その他エル・グレコ、ヴェラスケス、ムリーリョ、ゴヤのスペイン美術、ルーベンス、ヴァン・ダイク、レンブラントのコレクションはアムステルダムに引けをとらない。美術の教科書でよくお目にかかるレンブラントの名作「ダナエ」(写真10)、「フローラ」(写真11)、「放蕩息子の帰還」(写真12)は実はここにあるのである。 <br /><br />「ダナエ」について一言、ゼウスが金色の雨となってダナエの部屋に入る瞬間を描いた 世紀の名作は、精神異常者(マニア)のために、1985年濃硫酸をかけられた上に2ヶ所の傷を受けた。その後12年間をかけた修復を経て、再び展示されることになった。この名作を間近で見ても傷は完全に修復されているが、濃硫酸が流れた、と思われる跡が残っている。 <br /><br />さらにすばらしいのは19世紀以降のフランスを中心に活躍した画家たちの名作、特にフランス印象派のコレクションの素晴らしいことには驚嘆させられる。ミレー、マネ、ピサロ、コロー、モネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーギャン、ドガ、クールベ、セザンヌ、マチス、ピカソ ‥ これらはもちろんエカテリーナ女帝以後に収集されたものである。収集者の鑑識眼の確かさに敬意を表したい。 <br /><br />独ソ戦のレニングラード包囲の直前、1941年に多数の所蔵品は約1000km離れたウラル山脈の近く、現在のエカテリンブルグに疎開させられ、難を逃れた。建物の一部は砲弾や爆弾で被害を受けたが、幸い激しい損傷は免れ、戦後に復旧された。 ソビエト時代になって政府はここを国家の威容を示す舞台と考え、冬宮が博物館に加えられ、その他の国中の美術品がここに強制的に集められて、現在の姿が出来上がったのである。<br /><br />注:私は2007年8月から2009年12月までロシア長期出張を繰り返した。写真はこの間に撮影したものである。

エルミタージュ美術館:人類の至宝300万点の隠れ家

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2009/12/05 - 2009/12/20

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サンクトペテルブルグが全世界の観光客を引き付けて止まないのは、エルミタージュ美術館の存在である。所有点数300万点はルーブルの200万点、メトロポリタン、大英博物館をはるかに凌駕し、世界最大の美術館であることは間違いない。総面積は46,000m2、部屋をつなげると延長は約25km 300万点の所蔵品を1点1分ずつ見て、1日8時間かけた場合、17年以上かかる、という説明がされる。もちろん展覧されているのはほんの一部である。私は4日をフルに費やしたが、所蔵品のほんの一部を見たに過ぎない。この計算によれば8 x 60 x 4 = 1920点となり1%にも満たない。

エルミタージュ宮殿は即位したばかりのエカテリーナ2世が最初の住人となり、1721年、 歴代皇帝の冬の住居でとして建築されたのが冬宮、現在の冬宮はイタリア人フランチェスコ・ラストレッリにより設計され、1762年に完成した。 美術館の起こりは、1764年女帝エカテリーナ2世の命でゴツコフスキーというベルリンの商人から225点の絵画コレクションを受領したことに始まる。それは小エルミタージュ建設の年でもある。その後も美術品の大量買付けは精力的に続けられ、ロシアの財力と文化の高さを世界に示す政治的意図があった。エカテリーナ2世が、西欧諸国の中で野蛮な後進国とされていたロシアの評判を向上させた功績は大きい。
 
その後、隣に絵画コレクションを収納するため、フランス語で「隠れ家」を意味するエルミタージュと名付けた建物(女帝はここでのどかなひと時を楽しんだ)、を追加、その後も収納場所が足りなくなって建物が追加されたのが旧エルミタージュであり、その約60年後ミュンヘンのアルテ・ピナコテークを建てたレオ・フォン・クレンツェが新エルミタージュ(写真3)を追加し現在の4つの建物ができあがった。

展示品について興味のある方は別途美術館案内ををごらんいただきたい。超目玉としては世界に十数点しかないレオナルド・ダ・ヴィンチの作品2点、「ベヌアのマドンナ」(写真6)、「リッタのマドンナ」(写真7)、ラファエロの「コネスタビレのマドンナ」、ミケランジェロの彫刻「うずくまる少年」(写真8)、ティツィアーノ「悔悛のマグダラのマリア」(写真9)、カラヴァッジョ「リュートを弾く人」、その他エル・グレコ、ヴェラスケス、ムリーリョ、ゴヤのスペイン美術、ルーベンス、ヴァン・ダイク、レンブラントのコレクションはアムステルダムに引けをとらない。美術の教科書でよくお目にかかるレンブラントの名作「ダナエ」(写真10)、「フローラ」(写真11)、「放蕩息子の帰還」(写真12)は実はここにあるのである。

「ダナエ」について一言、ゼウスが金色の雨となってダナエの部屋に入る瞬間を描いた 世紀の名作は、精神異常者(マニア)のために、1985年濃硫酸をかけられた上に2ヶ所の傷を受けた。その後12年間をかけた修復を経て、再び展示されることになった。この名作を間近で見ても傷は完全に修復されているが、濃硫酸が流れた、と思われる跡が残っている。

さらにすばらしいのは19世紀以降のフランスを中心に活躍した画家たちの名作、特にフランス印象派のコレクションの素晴らしいことには驚嘆させられる。ミレー、マネ、ピサロ、コロー、モネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーギャン、ドガ、クールベ、セザンヌ、マチス、ピカソ ‥ これらはもちろんエカテリーナ女帝以後に収集されたものである。収集者の鑑識眼の確かさに敬意を表したい。

独ソ戦のレニングラード包囲の直前、1941年に多数の所蔵品は約1000km離れたウラル山脈の近く、現在のエカテリンブルグに疎開させられ、難を逃れた。建物の一部は砲弾や爆弾で被害を受けたが、幸い激しい損傷は免れ、戦後に復旧された。 ソビエト時代になって政府はここを国家の威容を示す舞台と考え、冬宮が博物館に加えられ、その他の国中の美術品がここに強制的に集められて、現在の姿が出来上がったのである。

注:私は2007年8月から2009年12月までロシア長期出張を繰り返した。写真はこの間に撮影したものである。

同行者
社員・団体旅行
一人あたり費用
50万円 - 100万円
交通手段
タクシー 飛行機
航空会社
フィンランド航空
利用旅行会社
個別手配
旅行の満足度
5.0
観光
4.5
ホテル
3.5
グルメ
4.5

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  • エルミタージュ美術館のファサード

    イチオシ

    エルミタージュ美術館のファサード

  • ネヴァ川から望むエルミタージュ宮殿

    ネヴァ川から望むエルミタージュ宮殿

  • 新エルミタージュの入り口

    新エルミタージュの入り口

  • 当時の服装を着たモデルと写真撮影する観光客

    当時の服装を着たモデルと写真撮影する観光客

  • エルミタージュ美術館入り口のシャンデリア

    エルミタージュ美術館入り口のシャンデリア

  • ダ・ヴィンチの間の「べヌアのマドンナ」

    ダ・ヴィンチの間の「べヌアのマドンナ」

  • エルミタージュの誇る「リッタのマドンナ」

    エルミタージュの誇る「リッタのマドンナ」

  • ミケランジェロ作「うずくまる少年」

    ミケランジェロ作「うずくまる少年」

  • ティツィアーノ作「悔悛のマグダラのマリア」

    ティツィアーノ作「悔悛のマグダラのマリア」

  • レンブラント作「ダナエ」

    レンブラント作「ダナエ」

  • レンブラント作「フローラ」

    レンブラント作「フローラ」

  • レンブラント作「放蕩息子の帰還」

    レンブラント作「放蕩息子の帰還」

  • レンブラントの間

    レンブラントの間

  • ルーベンス作

    ルーベンス作

  • ミケランジェロの回廊

    ミケランジェロの回廊

  • スネイデルスの間

    スネイデルスの間

  • エルミタージュ美術館内部の天井採光

    エルミタージュ美術館内部の天井採光

  • 騎馬の兵士の絵

    騎馬の兵士の絵

  • エルミタージュ宮殿の花が植えられた中庭

    エルミタージュ宮殿の花が植えられた中庭

  • エルミタージュ美術館入り口からの眺めるクリスマスツリー

    エルミタージュ美術館入り口からの眺めるクリスマスツリー

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