2009/01 - 2009/01
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JIC旅行センターさん
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この連載、始まってから、そろそろ2度目の夏が来ようとしていますが、もう今さら気にすることないですよね?季節感とか。
バタガイ方面から山を下ってヴェルホヤンスクにやってくると、まず出くわすものは、滑走路です。実はこの町、空港があるのです。でも、現在発着する定期便はひとつもありません。休止中なのです。アナトリーさんの運転するウアズ(ロシア製四輪駆動車)は、ためらいなく滑走路を横切っていきます。一機も飛行機がいない静かな無人空港。うっすら雪に覆われた滑走路には、いつもこんなふうに車が横切っていると思しきタイヤの跡がはっきりと刻まれています。
かつてはここにも、アエロフロート「ソビエト」航空が飛んでいたのでしょう。ソ連時代のアエロフロート国内線は、日本の旧国鉄を何倍にもしたような空の怪物組織でした。超広大な国土の隅々を、採算度外視の激安運賃で結びまくっていたのです。たぶんこのヴェルホヤンスクは、そんな巨体の毛細血管の端っこで、日本ならさしずめ、国鉄バス沿線という感じでしょうか。飛んでいたのは、まさにマイクロバスみたいな機体(多分アントノフ2あたりの?)だったはずです。
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今、ヴェルホヤンスクは、羽根(飛行機)をもがれ、足(バス)も切られて、もう外部とつながる公共交通はなんにもありません。この期に及んで言うのもなんですが、我ながらこんなところへよく来たものです。
空港の敷地を抜けて、小さな橋を渡ると、眼前にドーンとそびえる奇抜なモニュメントが現れます。天を突き刺す2本の長ーいマンモスの牙、その間にВЕРХОЯНСК(ヴェルホヤンスク)、と形どられた立体文字が架かっています。つまりここが町の入り口というわけです。
大体、ソビエトという国はこの手のモニュメントが本当に大好きだったようで、国中ほとんどの町、州境、共和国境とか、もう色々あちこちにこういうオリジナリティ溢れるデザインの作品が設置されています。
それにしても特に凝った作品ですよこれは。まめに管理されているらしく、周りにはたくさんの幟(のぼり)状の旗がパタパタしています。色とりどりで、チベットのタルチョみたい。傍らにはちゃんと、気温-67.8℃が観測された、北半球の寒極の町であることを記した金属製のプレートも設置されています。
どれもこれも、日々ここに暮らす人々には特に何の恩恵もなさそうなオブジェクトですが、たまーにやってくる訪問者にとっては、「我ヴェルホヤンスクに到達せり」との実感をガンガン煽り立ててくれる、旅情満点の記念碑です。ソビエト文化ばんざい!(←都合のいいことにはすぐ迎合する)
では、町へ入っていきましょうか。 -
我々が真っ先に案内されたのは、学校でした。ここまでの道中に立ち寄ったストルブィでもそうでしたが、こう、たびたび学校を訪れる旅というのも、めったにありません。でも、なぜ学校へ?さっきサルダナさんが説明してくれたところでは確か、オリンピックの博物館へ行くとか言っていたような。いやいや、ヴェルホヤンスクでオリンピックとか、場違いすぎてもうわけわかんないんですけど・・・。
学校は2階建ての大きな建物です。中に入ると暖房が効いていて、ぶっとい温水パイプが廊下を這っているのが見えます。この町にはアタプレーニエ(集中暖房)があるんですね。そう言えば、黒い煙をもくもく吐いている煙突が遠目にも見えていましたが、きっとあれが温水供給設備に違いありません。
しかしまあ、この廊下の歪みっぷりはなかなかのものです。永久凍土の影響(詳しくは連載の前々回をご覧ください)でしょう。ちょっと平衡感覚に違和感を覚えつつ、奥へ奥へと案内してくれる男性の先生と一緒に進むと、体育館に出ました。ここもやっぱり傾いています。ちょうどレスリングの練習中で、興じる子供たちの歓声と先生の熱血指導の叫びが混ざりあって賑やかなこと!しばし圧倒され、さらに奥へ進みます。こりゃずいぶん広い学校だ・・・。 -
体育館に隣接する一室に通されて、ようやく事態が飲み込めてきました。部屋中がスポーツ選手関連グッズやパネル展示で埋め尽くされているのです。ざっと見た感じ、オリンピックを含む国際大会や、旧ソ連国内で行われた大会での、サハ出身の選手たちの活躍史をテーマに収集している様子。キャプションがほとんどヤクート語で書かれていて、私には固有名詞を読むのがやっとですが、なるほどこれは確かに、博物館です。
案内してくれたピョートルさんという男性の先生がおっしゃるには、何と全部、この先生が自ら収集したコレクションなんだそうです。そして、ピョートルさん自らも、レスリングのトレーナーとして一流の方らしく、この学校で子供たちの指導に当たり選手を養成していらっしゃるのだとか。もう、あまりに予想外の展開にただ感嘆してしまいました。私を打ちのめしたのはつまり、次の3つの事実です。
1.これだけの規模の収集、さらに整理展示作業をほとんど1人で成し遂げたこと。
2.こともあろうに学校の設備を割いて博物館を開いていること。
3.よりによってヴェルホヤンスクにそんなものがあること。
私は内心ひそかに、この町の「最果て感」のようなものを期待していたのですが、今、それが急速に萎えていくのを止めることができませんでした。世界の果てのひとつと思って訪れた町からは、むしろ、スポーツ界の層の厚みに貢献するほどの文化力の余裕がにじみ出て見えるではありませんか。うーむ。
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