1997/05/08 - 1997/05/08
73位(同エリア150件中)
北風さん
「何でそんなリスキーな事をするの?」
ロスの安宿のおばちゃんに、来週はメキシコに行くと告げた時に頂いたお言葉だった。
どうも、アメリカンにとってお隣の国はあまり良い評価を持たれていないらしかった。
アメリカンは不思議だ。
現代文明の代名詞、世界のリーダーを自認しているこの国の住人に、アメリカ以外の国で出会う機会は意外と少ない。(日本を除いて)
これだけ世界を周っているが、アメリカン・バックパッカーと飲んだ記憶がない事を考えると、この国の住民は世界的には意外と出不精で、テレビを通じてだけ世界を知っている人々が意外と多いのかもしれない。
おばちゃんに言わせると、メキシコは「アメリカの犯罪者が逃げ込む所」「泥棒天国」「不法労働者の国」との事。
俺に言わせると、メキシコは「タコス」「タバスコ」「カラムーチョ」・・・
(俺は粗末な食い物を通じてだけ世界を知っているだけかもしれない)
おばちゃん、リアルなメキシコを語る為に、俺は明日アメリカを出国します。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 高速・路線バス
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ティファナのアメリカ〜メキシコ国境は、高速道路のインターと間違えそうなほど大規模な立派なゲートだった。
唯一の大きな違いは、料金所のような国境管理ゲートに「MEXICO」と表示され道路脇に「U-TURN U.S.A.」とサインボードが立っている事だろうか? -
旅日記
『メキシコへ』
1997年5月8日、コトコトとチンチン電車に揺られる事40分、(40分も乗り続けられるチンチン電車も珍しい)熱帯の木、パーム・ツリーの彼方にアメリカ〜メキシコ国境が見えてきた。
ちんちん電車の終点が国境とはなかなか洒落ている。
が、しかし、これだけでっかく「MEXICO」と書かれているのに肝心のメキシコ国境管理事務所の入り口が見つからない。
白い壁に囲まれた中立地帯をあちこちさ迷い歩く。
迷路に放り込まれてIQテストをされているモルモットの気持ちがわかる気がしてきた。
メキシコは俺のIQを試しているのだろうか?
やっと探し当てた管理事務所は、なんと壁の外にあった。
「何故?」と問いかけるのはやめよう。
インドで問いかけた時、「Because ここはインドだから」と返答が帰って来た事を思い出したから。
46ヵ国中、初めて目にした「ツーリストカード」なる紙切れに、ようやく入国スタンプを押してもらった時、既にアメリカ出国から30分が経過していた。
(まぁベトナム入国の時、管理官に意地悪されて4時間も幅50mの中立地帯に置き去りにされた事に比べると今回は楽勝と言えるかもしれない) -
中立地帯からメキシコへと続く橋は、50mもありそうな川幅を全てコンクリートで固めた上に架かっていた。
川底は干上がり、ところどころに密集するゴミの中には車の残骸まである。
橋の上では5mおきに座り込んでいる乞食が一斉に手を差し出していた。
2時間前に旅立ってきたアメリカの近代都市とのギャップがものすごい。
インドを旅していなかったなら、かなりのカルチャーショックを受ける光景だった。
世界共通の「金くれ!」ポーズ。
右手を高く差し伸べる軍隊の敬礼の様な仕草が俺の行く手に続いている。
まだ見ぬ世界への橋への不安と期待を胸に、遠くから流れてくるメキシカン・ミュージックをBGMにズンタ、ズンタと歩調をあわせ、いざ、砂煙る灰色の国、メキシコへ! -
旅日記
『メキシコ入国30分後』
2ヶ月前には−40℃の土地にいた俺の肩に、はちきれんばかりに膨らんだ灼熱の太陽がのしかかっている。
まるで中東の砂漠だ!
泣きたくなるほど暑い!
唯一寒さを与えてくれる物と言えば、英語を話せる人間に出会う確率が、日本でカブトガニを見つける確率と
変わらないという冷たい事実だけだった。
「Mercado」、「Oni Bus」、「Dinero」、
俺の知っている単語が一つもない!
なんだここは?
アメリカから20分しか離れていないんだぞ!
英語は何処に行ったんだ?
が、しかし、カブトガニはいた!
さまよい歩いてようやく見つけたツーリスト・インフォメーションにちょこんと座っていた。
かわいい栗毛のセニョリータだ。
情熱に燃えるような真っ赤な唇が、俺の質問に答えてゆっくりと動く。
「メキシコじゃ、長距離バスは郊外から出るの。そこまでは市バスで行くのよ」
・・・ここが日本でも、アメリカでも、インドでも、その言葉だけで用は足りるかもしれない。
しかし、肝心のスペイン語がさっぱりわからない現在、どうやってその市バスを見つけられるんだ?
「スペイン語はガテマラで勉強するつもりなので、ここはどうか英語で勘弁してください」
と頼んだ所で、バスの運ちゃんの中にカブトガニがいるとは思えない。
10分後、手当たり次第にバスに乗り込み、「Centoral Bas Terminal ?」と聞きまくる俺がいた。
何度目かでしかめっつらした運ちゃんのあごが、「こくん」とうなずいたのを俺は見逃さなかった。
後はここがルーマニアじゃない事を祈るだけだ。
(ルーマニアの表現では、NOの時はうなづいた) -
長距離バスターミナルは意外と近代的な建物だった。
日本のバスターミナルより立派かもしれない。
バスも、「ふざけてんのか?」と叫びだしたいぐらいSF的なスタイルだった。
内装も、まぁ許せる範囲だ。
トイレは、・・・無かった。
このバスは夜行バスのはず?
「ふざけてんのか!」
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