SANTA MARIA de JESUS（サンタマリア・デ・ヘスス）のエキサイティング・ロディオ！

1997/08/16 - 1997/08/16

アンティグアの近くの村でお祭りがあった。

噂では、暴れ牛を乗りこなす「ロディオ」をやるらしい。

・・・ん？ロディオって、馬でやるもんじゃなかったんだろうか？

エリア アンティグア(グアテマラ)

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: 高速・路線バス

アンティグアを見下ろす富士山の様な美しい山ボルカン・デ・アグアの麓の村「サンタマリア・デ・へスス」にて興味深い祭りがあると白人ツーリスト達が騒いでいた。

アンティグアからミニバスで30分ぐらいの距離なのだが、さすがに中米一の観光都市から来た場合、この村との文明のギャップにビックリ！

ロディオ会場は丸太を高くくみ上げた柵に囲まれていた。

かなり人気がある祭りなのだろう。
既に柵の上には村の若者が鈴なりに登っている。
（それとも娯楽が少ないから？）

ん？
柵の下の人の隙間に小さな女の子が！

危なくないのかな？

一際歓声が盛り上がった！

「牛、登場！」

もうもうと土煙を上げてフェンス内を暴れ狂う！
俺の上ったフェンスにも体当たりをかます！
さすがに足下１mの所で暴れ狂う獣は迫力満点！

・・・と、いうか、これってかなりリスキーな観覧席かも？

そして、赤い布を片手に男達も登場！

さぁ、「闘牛」の舞台は整った。

・・・ん？俺は「ロディオ」を見に来たのでは？

スペインの闘牛では赤い布を持ったマタドールが華麗に牛をさばいていた。
ここでは、赤い布を持った村人が何度も牛にど突かれている。
さすが、田舎の暴れ牛！
日頃の鬱憤を晴らすべく、本気で人間を狙っている。

男が一人、目の上を突かれ血まみれでぶっ倒れた！
次の獲物を狙う牛、ますますエキサイトする観衆！

・・・なんか、すごくないか？これ。

スペインでは、そろそろナイフを持ったマタドールが登場する頃だろう。
しかし、ここではロープを持った男達が現れた。

一息ついている牛めがけて投げ縄を宙に放り上げる！
「ナイス！」牛の首にうまく収まった！

が、男２人がかりで中央の柱に縛りつけようと引っ張るのは無理があった。
牛は、走る！暴れる！突きまくる！
ロープにつかまった男２人を引きずりながら。

まるで水上スキーの様に男達はブーツから土煙を上げながら、フェンス内を右に左に引っ張りまわされる。

さらにエキサイトする観衆！

・・・笑うシーンなのか？ここは？

ようやく、中央の柱に牛を繋げる事ができた。
結局、村の男４人がかりの大仕事だった。
牛もさすがに疲れたらしい。
荒い息の下でおとなしく立ち止まっている。

そして、なにげに小柄の男がヒョコヒョコ出てきた。
えっ？
さりげなく牛に飛び乗りなさった！

それが、牛の起動スィッチだったらしい。

縛られていたロープが放たれる！
背中にいきなり乗ってきた無作法な奴を振り落とそうと牛が跳ぶ！飛び跳ねる！

すごい、これが牛の動きなのか？
牛ってこんなに跳ね回れる動物だったのか！
（中にアメリカ産の馬でも入っているのでは？）

息をもつかせない展開の中、いつしかロディオが始まっていた。

背中の人間を振り落とそうと散々跳ね回った牛も少々疲れてきたらしい。
人間で言えば「フウーッ」と一息ついた感じで立ち尽くしている。

いや、ただ戦法を変えただけなのか？
いきなり観客席に体当たりをしながら柵の周りを暴走し始めた！

何人か目に飛び乗ったお兄ちゃんは、かなりの凄腕だった。
ひざでギュッと牛の首根っこを挟み込んで、両手で角を掴みハンドルみたいに牛を方向転換！

牛の動きが止まった。

ここぞとばかり、背にしがみついていた男が動き出す。

クルッと新体操ばりの回転を見せて、後ろ向きに跨り直し、そのまま足を牛の首に絡めた！

すごい！
一連のアクションが流れるような動作で綴られる。

・・・こいつ、プロだ。（何の？）

そして、そして、男が身体を振り子のように振りながら自ら地面に転がり落ちた！

いや、落ちてはいない。
男がぶら下がった牛の首には、男の足が絡みついていた。

これほどの技は、なかなかプロレスでも見れないのではないだろうか？
普通のレスラーなら今頃首からマットに叩き落されている気がする。
もっとも今回の相手は牛だが・・・

牛の身体がゆっくりと傾き始めた。
ねじられた首の方向へと踏ん張っていた足が崩れる。

その瞬間、１トンを越える牛の身体は赤茶けた地面に叩きつけられていた。

うぉぉぉっ、これがガテマラ流のロディオか！