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プノンペンからアンコール・ワットへ行く方法は、「空路」、「陸路」、「水路」の3つがあった。<br /><br />「空路」は<br />・・そんなもん使うぐらいなら、お供え物の豚の耳をかじったりしてない。<br />「陸路」は<br />・・つい最近、ツーリストがゲリラに襲われたばかり。<br />残る選択肢は、キャピトール・ホテルの食堂に貼られていたシェムリ・アップ行きのボートでの「水路」しかなかった。<br /><br />内陸部へボートで行く?<br />・・川をさかのぼり、湖を渡るらしい。

ANGKOR WAT(アンコールワット)へ!<SIEM REAP(シェムリアップ)への船旅>

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1994/08/04 - 1994/08/04

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北風

北風さん

プノンペンからアンコール・ワットへ行く方法は、「空路」、「陸路」、「水路」の3つがあった。

「空路」は
・・そんなもん使うぐらいなら、お供え物の豚の耳をかじったりしてない。
「陸路」は
・・つい最近、ツーリストがゲリラに襲われたばかり。
残る選択肢は、キャピトール・ホテルの食堂に貼られていたシェムリ・アップ行きのボートでの「水路」しかなかった。

内陸部へボートで行く?
・・川をさかのぼり、湖を渡るらしい。

同行者
一人旅
交通手段
  • 1994年8月4日、アンコールワット行きの船に飛び乗る。<br /><br />妙に船のサイズに比べて乗客が多い。<br />嫌な予感がする。<br /><br />ほどなく、船長から席が足りないので、船の屋根の上に上ってくださいとの説明があった。<br />これから、川を遡り、湖を縦断して、アンコールワット観光の拠点「シェムリ・アップ」村を目指すらしい。<br />・・・11時間かけて!<br /><br /><br />

    1994年8月4日、アンコールワット行きの船に飛び乗る。

    妙に船のサイズに比べて乗客が多い。
    嫌な予感がする。

    ほどなく、船長から席が足りないので、船の屋根の上に上ってくださいとの説明があった。
    これから、川を遡り、湖を縦断して、アンコールワット観光の拠点「シェムリ・アップ」村を目指すらしい。
    ・・・11時間かけて!


  • 船上には、山盛りのツーリストと共に、3人のカンボジア兵が船首、船尾に立っていた。<br />現在も活動しているポルポト派のゲリラ「クメール・ルージュ」の襲来に備えてとの事だ。<br />カンボジアの守護神は、ばかでかい銃とマシンガンで武装していた。<br /><br />出航の時、船長の短いアナウンスが鳴り響く。<br />「Good Luck!」<br /><br />・・それは、通常、見送る人が使う言葉だが、ここでは乗客に船長が告げる言葉なのか?

    船上には、山盛りのツーリストと共に、3人のカンボジア兵が船首、船尾に立っていた。
    現在も活動しているポルポト派のゲリラ「クメール・ルージュ」の襲来に備えてとの事だ。
    カンボジアの守護神は、ばかでかい銃とマシンガンで武装していた。

    出航の時、船長の短いアナウンスが鳴り響く。
    「Good Luck!」

    ・・それは、通常、見送る人が使う言葉だが、ここでは乗客に船長が告げる言葉なのか?

  • 照りつける熱帯の直射日光、ギラギラと反射するトタン屋根にはさまれて、両面焼きの魚の気持ちが理解できるようになった頃、船は小さな村でエンジンを停めた。<br /><br />「ラーンチ、タイム!」と船長が叫ぶ。<br />

    照りつける熱帯の直射日光、ギラギラと反射するトタン屋根にはさまれて、両面焼きの魚の気持ちが理解できるようになった頃、船は小さな村でエンジンを停めた。

    「ラーンチ、タイム!」と船長が叫ぶ。

  • すると、まるで海賊船のように、川岸から不審船が続々とこちらへむかって集まってきた。<br /><br />ゲリラにしては、おばちゃんだらけだ。

    すると、まるで海賊船のように、川岸から不審船が続々とこちらへむかって集まってきた。

    ゲリラにしては、おばちゃんだらけだ。

  • 小船には、ござの上に、ピクニック・セットのような物がぎっしり並べられていた。<br />おばちゃんは、黙々と船の上で魚を焼いている。<br /><br />これは、駅弁売りみたいなものだろうか?<br /><br />船の上の、地元の乗客が慣れた感じで小船のおばちゃん達に注文し始めた。<br /><br />

    小船には、ござの上に、ピクニック・セットのような物がぎっしり並べられていた。
    おばちゃんは、黙々と船の上で魚を焼いている。

    これは、駅弁売りみたいなものだろうか?

    船の上の、地元の乗客が慣れた感じで小船のおばちゃん達に注文し始めた。

  • 旅日記<br />『SIEM REAP(シェムリ・アップ)へ』<br /><br />もう、どれぐらい経ったんだろう?<br />こんがりトースト色に焼きあがった皮膚は、これ以上紫外線を浴びると皮膚がんに心変わりしそうな気がする。<br /><br />川幅が急に広くなった、どうやらトンレサップ湖に出たらしい。<br />黄土色だった水も、深い緑へと変わりつつある。<br /><br />トンレサップ湖は想像をはるかに越えてでかかった。対岸など360度見えやしない。<br />おまけにこの三角波は何だろう?本当は海なんじゃないのか?<br />目の前の視界が、激しく上下する。ボートはジェットコースターにモデルチェンジしてしまった。<br /><br />俺の前で、非常に安定性が良さそうなヒップを、吸盤のように甲板にへばりつかせている白人おばさんが、誰にとも無く話しかける。<br />「一週間前、ここでボートが転覆したんだって」<br />・・聞きたくない話だった。皆の顔が蒼ざめる。<br /><br />天然のライフジャケットを着込んだような、白人デブのあんちゃんが、<br />「大丈夫、俺は泳げる!」<br />と、自信満々に答える。<br /><br />おもいっきり、的をはずした回答の気がするが、「生存者は?」と聞かないだけ、ましな答えだったかもしれない。<br /><br />太陽が地平線に帰る頃、ボートは湿地帯の背丈ほどもある葦の林に滑り込んだ。<br />ぼろぼろの小船に掘ったて小屋を乗っけた水上集落が、ちらほら視界に飛び込んでくる。<br />接岸は近いらしい。<br /><br />突然、赤茶けた3階建てのビルが出現!<br />なんと、赤く錆びついたスクラップのフェリーだった。<br />地元の人々が蟻のように群がり、船窓からは洗濯物まで下がっている。<br />つまり、マンション代わりに使われているらしい。<br /><br />次々と見た事も無いような景色が現れる中、ボートが黄金色の空に到着の汽笛を鳴らした。

    旅日記
    『SIEM REAP(シェムリ・アップ)へ』

    もう、どれぐらい経ったんだろう?
    こんがりトースト色に焼きあがった皮膚は、これ以上紫外線を浴びると皮膚がんに心変わりしそうな気がする。

    川幅が急に広くなった、どうやらトンレサップ湖に出たらしい。
    黄土色だった水も、深い緑へと変わりつつある。

    トンレサップ湖は想像をはるかに越えてでかかった。対岸など360度見えやしない。
    おまけにこの三角波は何だろう?本当は海なんじゃないのか?
    目の前の視界が、激しく上下する。ボートはジェットコースターにモデルチェンジしてしまった。

    俺の前で、非常に安定性が良さそうなヒップを、吸盤のように甲板にへばりつかせている白人おばさんが、誰にとも無く話しかける。
    「一週間前、ここでボートが転覆したんだって」
    ・・聞きたくない話だった。皆の顔が蒼ざめる。

    天然のライフジャケットを着込んだような、白人デブのあんちゃんが、
    「大丈夫、俺は泳げる!」
    と、自信満々に答える。

    おもいっきり、的をはずした回答の気がするが、「生存者は?」と聞かないだけ、ましな答えだったかもしれない。

    太陽が地平線に帰る頃、ボートは湿地帯の背丈ほどもある葦の林に滑り込んだ。
    ぼろぼろの小船に掘ったて小屋を乗っけた水上集落が、ちらほら視界に飛び込んでくる。
    接岸は近いらしい。

    突然、赤茶けた3階建てのビルが出現!
    なんと、赤く錆びついたスクラップのフェリーだった。
    地元の人々が蟻のように群がり、船窓からは洗濯物まで下がっている。
    つまり、マンション代わりに使われているらしい。

    次々と見た事も無いような景色が現れる中、ボートが黄金色の空に到着の汽笛を鳴らした。

  • 旅日記<br />『Siem Reap(シェムリアップ)にて』<br /><br />日射病寸前でオーバーヒート<br />している身体を、甲板から引っぺがす。<br />行く手には、うさんくさいタクシードライバーが待ち受けていた。<br /><br />「いいホテル、安いホテル」と、片言の日本語でまくしたてるドライバーが、疲労の極地に達した脳みそにガンガン響く。<br />このしつこさ、日本のピンサロの呼び込みにスカウトしたいぐらいだ。<br /><br />とにかく、一番まともそうなドライバーに、プノンペンで聞いた「260ゲストハウス」の名を告げる。<br />ドライバーは、二カッと笑って、スプリングの飛び出たシートに案内してくれた。<br /><br />ほとんど原形をとどめていないボコボコのタクシーが、渾身の力で港の泥道を抜けると、いきなり乗り捨てられた戦車が出現!<br /><br />発展途上国では、車を乗り捨てる人間などいやしない。<br />壊れた車は、そのエンジンを、タイヤを、部品として売り払う事が出来るし、頑丈なボディは、鶏小屋でも、時には住居としても利用できるからだ。<br />しかし、戦車の場合、さすがにとんでもなく重いボディだけは、地元の人間のピラニアのような収集癖でももてあましたらしい。<br /><br />その後、道端で数台の同じ様な戦車が転がっているのを通り過ぎると、「260ゲストハウス」に到着した。<br /><br />評判どうり人の良さそうなオーナー夫婦が笑顔で迎えてくれていた。

    旅日記
    『Siem Reap(シェムリアップ)にて』

    日射病寸前でオーバーヒート
    している身体を、甲板から引っぺがす。
    行く手には、うさんくさいタクシードライバーが待ち受けていた。

    「いいホテル、安いホテル」と、片言の日本語でまくしたてるドライバーが、疲労の極地に達した脳みそにガンガン響く。
    このしつこさ、日本のピンサロの呼び込みにスカウトしたいぐらいだ。

    とにかく、一番まともそうなドライバーに、プノンペンで聞いた「260ゲストハウス」の名を告げる。
    ドライバーは、二カッと笑って、スプリングの飛び出たシートに案内してくれた。

    ほとんど原形をとどめていないボコボコのタクシーが、渾身の力で港の泥道を抜けると、いきなり乗り捨てられた戦車が出現!

    発展途上国では、車を乗り捨てる人間などいやしない。
    壊れた車は、そのエンジンを、タイヤを、部品として売り払う事が出来るし、頑丈なボディは、鶏小屋でも、時には住居としても利用できるからだ。
    しかし、戦車の場合、さすがにとんでもなく重いボディだけは、地元の人間のピラニアのような収集癖でももてあましたらしい。

    その後、道端で数台の同じ様な戦車が転がっているのを通り過ぎると、「260ゲストハウス」に到着した。

    評判どうり人の良さそうなオーナー夫婦が笑顔で迎えてくれていた。

  • <Danger!! Mine!!(地雷、危険!)><br /><br />シェムリアップ村の郊外には、あちこちに骸骨マークのサインボードが立ち並んでいた。<br /><br />場所によっては、掘り起こされた不発弾が、まるで八百屋の大根のように地面に並べられている。<br />しかも、周りはただポールで囲んでいるだけだ。<br /><br />ニュースでも度々話題に上がる、カンボジアの地雷の話は本当だった。<br />車が1台どうにか通れる道路のまわりのジャングルは、案山子気取りの赤いどくろのサインボードで埋め尽くされている。<br /><br />つまり、道路を外れたら命の保証はないらしい。

    <Danger!! Mine!!(地雷、危険!)>

    シェムリアップ村の郊外には、あちこちに骸骨マークのサインボードが立ち並んでいた。

    場所によっては、掘り起こされた不発弾が、まるで八百屋の大根のように地面に並べられている。
    しかも、周りはただポールで囲んでいるだけだ。

    ニュースでも度々話題に上がる、カンボジアの地雷の話は本当だった。
    車が1台どうにか通れる道路のまわりのジャングルは、案山子気取りの赤いどくろのサインボードで埋め尽くされている。

    つまり、道路を外れたら命の保証はないらしい。

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