1997/03/25 - 1997/03/29
91位(同エリア266件中)
北風さん
アラスカに来た理由は、
・カナダを跨る飛行距離なのにロスから国内線で飛んで来れる
・北米の最北端が見たい
・キング・サーモン・ステーキを死ぬほど食える
・氷点下の環境が好き
・ハスキー犬とじゃれる為
ではなかった。
理由は、あれほどテレビの画面では見慣れている「オーロラ」なる光が見たかったから。
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1997年3月25日、アラスカの夜
「寒い」口に出して言ってみた。
アラスカでは-15℃を越えてから、使う事を許される言葉だが、-40℃に手が届きそうな現在ならばいいだろう。
「痛い」身体の末端部分が悲鳴を上げている。
他の状況下なら、心当たりを指折り数えてしまう所だが、今回の原因ははっきりしている。
凍傷の初期症状、20本あるはずの指の感覚は、総ストライキをおこしていた。
耳はまだ、顔の横にくっついているんだろうか?
ロッジを出てわずか5分、アラスカの夜は、-37℃の牙を持って身体中の熱を、ひそやかに、しかし着実に奪っていっている。
カラータイマーが黄色のうちに、ロッジに帰らなければならないシーンだ。
が、しかし、あの煙の様なモヤが気になる。
あれは飛行機雲だろうか?
それとも・・・ -
あれが、そうなのだろうか?
期待と不安の中、青白いモヤが少しずつ、はっきりと、輝度を増す。
そして、細長く伸びだした。 -
瞬間、まるで手品のように鮮やかに、光の帯が夜空を貫いた。
天の川みたいなものかと思っていたが、とんでもない!
どこかのラブホテルのレーザー光線も、これに比べりゃえらく貧相に思える。
オーロラって、こんなに光り輝くものなのか? -
一本、二本、三本、巨大なグリズリーがえぐり残す様なマーキング(爪痕)が、北の夜空を大きな弧を描いて貫いていく。
えっ?展開が早くないか?
まだ10分も経ってないぞ。 -
それから、数分後、ぎりぎりまで延びた光の帯の輪郭が揺らめき始める。
-
揺らぎ始めた光の帯があちこちで崩れ始めた。
-
崩れかけた所からは、光の粒がこぼれ落ち、雪のように舞い落ちてくるようだ。
光のカーテンの誕生だった。 -
-40℃の空に浮かぶ虹は、ゆらゆら、ゆらゆらと揺らめきながら光の粒子を撒き散らす。
右に左に揺らめくごとに、いくつもの光のラインに分かれていった。 -
幻想的な光の群舞。
光が踊り、交わり、駆け抜ける。
オーロラが、これほど動きのある光だなんて!
一瞬たりとも同じ姿に留まってはいない。 -
やがて、光の流れがまとまりだしてきた。
飛び散った光の粒子が、空を白く浮かび上がらせる中、光は大きく渦を描き始める。 -
クライマックスは、光の渦だった。
すごい!もうどれぐらいの間、夜空を見上げたままなのかわからない。
身体は既に冷え切ってしまった。
だけど、この場から動けない。
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