南韓州遊記(2)尚州

2009/08/10 - 2009/08/10

2009夏、盆連休を利用して韓国南部の地方都市を巡回してきました。各都市の訪問記を連載します。
やや小説仕立てですが、全てドキュメンタリーです。

エリア その他の都市(韓国)

尚州ターミナル北、壬乱北川戦跡地へ向う。
漢陽から派遣された巡辺使・李鎰（イイル）は、兵力補強すべく鋭意、周辺農村から緊急徴兵し、尚州城北西、北川北岸丘陵で早朝から軍事訓練を実施。が、倭軍は前夜既に南郊外に達してた。その報を齎した使者を李は斬首し訓練続行したが、昼過ぎ小西・松浦・大村・五島ら丘を包囲し銃撃開始。漢陽で選抜した若き従事官らは壮烈な戦死を遂げたが、李自身は北方へ逃走する。
現場に立つと思いの外、高低差がある。北川が堀の様に巡り、戦闘が目的で集結した様に思われる。兵士の恐怖を煽る情報を遮断し直前迄訓練に集中させたのも、敵前逃亡防止の方便だったのか。
観光の目玉と位置付けられてか、商山館や太平楼等、城下にあった施設がこの古戦場に移築され、遠目にもテーマパーク的景観だ。

東へ4キロ歩き団地入口で立話する主婦に石仏坐像と幢竿支柱の場所を訊く。見慣れぬ倭人から超マニアックな質問を受け困惑露わ。孫連れて散歩帰りの老人が「石仏は団地が寺址に建った際、別所に移された。幢竿は住民センタで訊いてみなさい」と教えてくれた。
住民センタは公民館的施設と思うが事務机が所狭しと並び職員が忙しそうに働いてた。文化財課長的男が新品の大ワゴン車で案内してくれる事になり、まず石仏移転先へ向い、引返して幢竿支柱を見た。古代の旗掲揚台で、礎石に旗竿を立てる為の穴があき、左右に石造支柱が斜めに傾く。「村々の中心にあって行事の際は旗を掲げ村人が集合した」筆談も交え丁寧に教えてくれる。
ターミナル迄送って貰う車中、私は旅の趣旨を説明した。忠州迄は壬乱戦跡地探訪、その後は南韓の州の字のつく市巡り。男は壬乱の知識も豊富で片言乍ら意気投合した。別れ際、男は氏名・携帯番号を書き、道中何かあれば連絡なさい、と。

バス待ちの間、近くの安食堂でヨルムクッス4,000Ｗを注文。クッスは麺の意。冷し素麺が来たがヨルムは意味不詳。胡瓜・人参・トマト等千切りが載る。トンチミ（キムチ汁）のスープは美味しく飲み干した。