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<br />1976年7月<br /><br />ある日総務課長のンポイが、「頼みごとがある」と、深刻な顔で私の部屋に入ってきた。<br /><br />何事かと姿勢を正せば、「あなたの名前が欲しい」という。<br /><br />「?」<br /><br />「実は、初孫が生まれたのです・・・」<br /><br /><br />この国では子供の名前に、しばしば家族に大きな影響を与えた人の名前を貰うらしい。<br /><br />「親族会議で相談の上決めたことですから、ぜひお願いします」<br /><br /><br />名前を貰われた人はたいへんな光栄で、今後その赤ちゃんの成長を見守らなければならないという。<br /><br />また現地の風習では、名前を貰われた人はお祝いの気持ちとして、生きた羊一匹に綱をつけて、赤ちゃんの生まれた家まで引いて行くことになっている。<br /><br /><br />赤ちゃんはンポイと同居しており、その家はキンシャサにあるザイール人居住区のほぼ真ん中、ブンブ区にある。<br /><br />私のマンションからほぼ8キロと遠く、全行程羊を引きながら歩くことはたいへんなので、相手の家の近くまで羊を運んでもらうことにする。<br /><br /><br />ブンブ区は、ザイール人居住区の中では中流の上くらいのところだろうか。<br /><br />ヴァン・キャトル・ノヴァンブル(11月24日)通りをずっと南へ下り、マカラ監獄の前で西に曲がり、そこで車を降りて待っていてくれた羊を受け取る。<br /><br />これから先は、洪水で流された橋が仮の丸太橋になっていて、車は渡れない。<br /><br />羊が足を踏み外して川に落ちないよう、あるいは私自身も羊と運命を共にしないよう、なかなかの難路である。<br /><br /><br />丸太橋を渡り切った辺りで、何人かの子供が私を見つけて、「カタセ、カタセ」と私の名前を口にしながら、ゾロゾロ付いてくる。<br /><br />ブンブは今ンポイ三兄弟のおかげで、キンシャサ一のテニス処となった。<br /><br />それで市民の関心が深く、私が有名人になっているようだ。<br /><br /><br />これまでのキンシャサ日記は、「ソフィーさんのマイページ」をご覧ください。<br />http://4travel.jp/traveler/katase/<br /><br />スイスの写真が美しい、「片瀬貴文さんのマイページ」(写真2,400枚)<br />http://4travel.jp/traveler/takafumi/<br /><br />文字が大きくて読みやすい「片瀬貴文の記録」(記事1,500文)<br />http://blog.alc.co.jp/d/2001114<br /><br />もっと大きな文字は「人生漫歩録」<br />http://kk1717.blog83.fc2.com/<br /><br />などにも、御来訪をお待ちします。<br />

キンシャサ日記【671】赤ちゃん「カタセ」の誕生

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1976/07 - 1976/07

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ソフィ

ソフィさん


1976年7月

ある日総務課長のンポイが、「頼みごとがある」と、深刻な顔で私の部屋に入ってきた。

何事かと姿勢を正せば、「あなたの名前が欲しい」という。

「?」

「実は、初孫が生まれたのです・・・」


この国では子供の名前に、しばしば家族に大きな影響を与えた人の名前を貰うらしい。

「親族会議で相談の上決めたことですから、ぜひお願いします」


名前を貰われた人はたいへんな光栄で、今後その赤ちゃんの成長を見守らなければならないという。

また現地の風習では、名前を貰われた人はお祝いの気持ちとして、生きた羊一匹に綱をつけて、赤ちゃんの生まれた家まで引いて行くことになっている。


赤ちゃんはンポイと同居しており、その家はキンシャサにあるザイール人居住区のほぼ真ん中、ブンブ区にある。

私のマンションからほぼ8キロと遠く、全行程羊を引きながら歩くことはたいへんなので、相手の家の近くまで羊を運んでもらうことにする。


ブンブ区は、ザイール人居住区の中では中流の上くらいのところだろうか。

ヴァン・キャトル・ノヴァンブル(11月24日)通りをずっと南へ下り、マカラ監獄の前で西に曲がり、そこで車を降りて待っていてくれた羊を受け取る。

これから先は、洪水で流された橋が仮の丸太橋になっていて、車は渡れない。

羊が足を踏み外して川に落ちないよう、あるいは私自身も羊と運命を共にしないよう、なかなかの難路である。


丸太橋を渡り切った辺りで、何人かの子供が私を見つけて、「カタセ、カタセ」と私の名前を口にしながら、ゾロゾロ付いてくる。

ブンブは今ンポイ三兄弟のおかげで、キンシャサ一のテニス処となった。

それで市民の関心が深く、私が有名人になっているようだ。


これまでのキンシャサ日記は、「ソフィーさんのマイページ」をご覧ください。
http://4travel.jp/traveler/katase/

スイスの写真が美しい、「片瀬貴文さんのマイページ」(写真2,400枚)
http://4travel.jp/traveler/takafumi/

文字が大きくて読みやすい「片瀬貴文の記録」(記事1,500文)
http://blog.alc.co.jp/d/2001114

もっと大きな文字は「人生漫歩録」
http://kk1717.blog83.fc2.com/

などにも、御来訪をお待ちします。

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