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1). 旅のはじめに<br /><br />             百草が 春風聞くも 山眠る<br /><br />  太湖の南西岸に、浙江省「湖州市」という街がある。唐代安禄山の乱の頃、『茶は南方の嘉木なり』で書き始められた『茶経』というお茶の本を著した「陸羽」は、都長安の戦乱を逃れ、この地に住み付き、この地で亡くなっている。<br />  <br />  「日本には、いつ、誰がお茶を持ってきたのか」は、いろいろと説があるようだ。「弘法」さんが、お茶の木を携えて帰国したとか、禅寺とお茶との関係の深さから、「建仁寺」の栄西さんだとか、禅宗のお坊さんで、お茶の産地である福建省出身の「隠元」さんも、関係していたのではと、思い付くのだが…。<br /><br />2). 湖州市へ<br />  <br />  湖州市の北はずれ、江蘇省宜興市との境に、「顧渚山」がある。ここが唐代から始まった進貢茶の産地である。この一帯で採れるお茶を『陽羨茶』と呼び、その中でも、最高級のものを『(顧渚)紫筍茶』と言い、紫色した筍状の若芽だけで作るお茶である。当時は野生の新茶を抹茶にし、それを団子状に丸めて、茶餅にするのだが、それを毎年「清明節」(新暦の4月5日ごろ)までに、皇帝に捧げる進貢茶として都長安に届けるのである。そのためには春節直後には、この山に入り、野生のお茶の摘み取りを始めていた。<br /><br />3). 「顧渚山」へ<br />         <br />  今年の「春節」(2月7日)は、江南地方も、その前から降り続いた大雪に見舞われ、至る所で交通の渋滞やら遮断などで、混乱していた。僕がこの地を訪れたのは、お金儲けの神さまを爆竹で迎える「迎財神」の日の「初五」(2月11日)であった。湖州までは、バスで向かい、湖州からはタクシーに乗り換えた。途中の町々は降り続いた雪が道の両脇に小山のように積まれており、窓から見える遠くの山々は真っ白であり、近づくにつれ、その雪の深さに、次第に気が重くなってきた。「顧渚山」に至る道は除雪されてはいたが、山道に入ると両側の雪は一段と深まり、やがて真っ白な山の中腹に、巨大な建物が見えてきた。建築中の「大唐貢茶院」で、今年中に完成とのことであった。車で行けるところまで行き、その後、歩いて行くと、建築中の塔の背後に、雪に覆われた「顧渚山」の頂上が、見えてきた。<br /><br />4).「顧渚山」での「進貢茶」<br /><br />  この山一帯は、嘗ては「常州」と「湖州」に跨る地であったので、この二つの州の刺史(知事)は、この「顧渚山」の麓にある「境会亭」に陣取り、共同してこの「進貢茶」の作業を監督したのである。「白楽天」が蘇州の刺史であった825年の今頃、彼と進士合格の同期である湖州刺史「崔玄亮」と、常州刺史「賈〇〇」が、今僕が立っているこの地で、「進貢茶」のため会っているのを、太湖の対岸の蘇州の地で、「白楽天」が羨んでいる様子を、僕は想像していた。<br />  「白楽天」は、『夜、賈常州、崔湖州、茶山に境会するを聞き、歓宴を想い羨み、因ってこの詩を寄す』と言う題で、「はるかに聞く,境会茶山の夜、・・・・、紫筍,斉しく嘗め、各新しきを闘かわす、・・・・」と,七言律詩を詠んでいる。<br />      <br /><br />5). 旅の終わりに<br /><br />   帰国する日、昼食に、『上海老飯店』に出掛けた。酒は、「石庫門黒標」の老酒、肴は、「松仁双筍」、「松鼠桂魚」、そして此処の名物料理の「蟹粉豆腐」、野菜料理は、「鮑汁百霊」、スープは、「三絲湯」(金華ハム、鶏肉、筍を円柱状にして上湯の中央に盛り付けたスープ)、そして、食後のデザートには、甘酒の香がする、少し甘い「酒醸圓子」を、楽しんだ。(完)<br /><br /><br /><br />表紙写真:顧渚山の麓に建築中の巨大な「大唐貢茶院」                          <br /><br /> * Coordinator:  H. Gu <br />                                  <br /><br />

【浙江省】  湖州 * 顧渚山での茶摘の宴を羨やむ白楽天と 旅する

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2008/02/09 - 2008/02/13

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彷徨人MU

彷徨人MUさん

1). 旅のはじめに

             百草が 春風聞くも 山眠る

  太湖の南西岸に、浙江省「湖州市」という街がある。唐代安禄山の乱の頃、『茶は南方の嘉木なり』で書き始められた『茶経』というお茶の本を著した「陸羽」は、都長安の戦乱を逃れ、この地に住み付き、この地で亡くなっている。
  
  「日本には、いつ、誰がお茶を持ってきたのか」は、いろいろと説があるようだ。「弘法」さんが、お茶の木を携えて帰国したとか、禅寺とお茶との関係の深さから、「建仁寺」の栄西さんだとか、禅宗のお坊さんで、お茶の産地である福建省出身の「隠元」さんも、関係していたのではと、思い付くのだが…。

2). 湖州市へ
  
  湖州市の北はずれ、江蘇省宜興市との境に、「顧渚山」がある。ここが唐代から始まった進貢茶の産地である。この一帯で採れるお茶を『陽羨茶』と呼び、その中でも、最高級のものを『(顧渚)紫筍茶』と言い、紫色した筍状の若芽だけで作るお茶である。当時は野生の新茶を抹茶にし、それを団子状に丸めて、茶餅にするのだが、それを毎年「清明節」(新暦の4月5日ごろ)までに、皇帝に捧げる進貢茶として都長安に届けるのである。そのためには春節直後には、この山に入り、野生のお茶の摘み取りを始めていた。

3). 「顧渚山」へ
         
  今年の「春節」(2月7日)は、江南地方も、その前から降り続いた大雪に見舞われ、至る所で交通の渋滞やら遮断などで、混乱していた。僕がこの地を訪れたのは、お金儲けの神さまを爆竹で迎える「迎財神」の日の「初五」(2月11日)であった。湖州までは、バスで向かい、湖州からはタクシーに乗り換えた。途中の町々は降り続いた雪が道の両脇に小山のように積まれており、窓から見える遠くの山々は真っ白であり、近づくにつれ、その雪の深さに、次第に気が重くなってきた。「顧渚山」に至る道は除雪されてはいたが、山道に入ると両側の雪は一段と深まり、やがて真っ白な山の中腹に、巨大な建物が見えてきた。建築中の「大唐貢茶院」で、今年中に完成とのことであった。車で行けるところまで行き、その後、歩いて行くと、建築中の塔の背後に、雪に覆われた「顧渚山」の頂上が、見えてきた。

4).「顧渚山」での「進貢茶」

  この山一帯は、嘗ては「常州」と「湖州」に跨る地であったので、この二つの州の刺史(知事)は、この「顧渚山」の麓にある「境会亭」に陣取り、共同してこの「進貢茶」の作業を監督したのである。「白楽天」が蘇州の刺史であった825年の今頃、彼と進士合格の同期である湖州刺史「崔玄亮」と、常州刺史「賈〇〇」が、今僕が立っているこの地で、「進貢茶」のため会っているのを、太湖の対岸の蘇州の地で、「白楽天」が羨んでいる様子を、僕は想像していた。
  「白楽天」は、『夜、賈常州、崔湖州、茶山に境会するを聞き、歓宴を想い羨み、因ってこの詩を寄す』と言う題で、「はるかに聞く,境会茶山の夜、・・・・、紫筍,斉しく嘗め、各新しきを闘かわす、・・・・」と,七言律詩を詠んでいる。


5). 旅の終わりに

   帰国する日、昼食に、『上海老飯店』に出掛けた。酒は、「石庫門黒標」の老酒、肴は、「松仁双筍」、「松鼠桂魚」、そして此処の名物料理の「蟹粉豆腐」、野菜料理は、「鮑汁百霊」、スープは、「三絲湯」(金華ハム、鶏肉、筍を円柱状にして上湯の中央に盛り付けたスープ)、そして、食後のデザートには、甘酒の香がする、少し甘い「酒醸圓子」を、楽しんだ。(完)



表紙写真:顧渚山の麓に建築中の巨大な「大唐貢茶院」

* Coordinator:  H. Gu


同行者
一人旅
交通手段
高速・路線バス タクシー
  • <br />湖州市の「顧渚山」に建築中の「境会亭」 の完成図<br /><br />


    湖州市の「顧渚山」に建築中の「境会亭」 の完成図

  • 湖州市の「顧渚山」に建築中の「境会亭 」<br /><br />

    湖州市の「顧渚山」に建築中の「境会亭 」

  • 湖州市の「顧渚山」に建築中の「境会亭」の一部 <br /><br />

    湖州市の「顧渚山」に建築中の「境会亭」の一部

  • 湖州は筆の町である。公園には、その筆にまつわるモニュメントが多くある。

    湖州は筆の町である。公園には、その筆にまつわるモニュメントが多くある。

  • 筆のモニュメント

    筆のモニュメント

  • 鉄の観音像の沿革を書いたもの

    鉄の観音像の沿革を書いたもの

  • 湖州市内にある、鉄観音像(中央)

    湖州市内にある、鉄観音像(中央)

  • 上海の虹口にある「四達里ロンタン」の入り口。

    上海の虹口にある「四達里ロンタン」の入り口。

  • 虹口にある「魯迅故居」の近くの江陰路。この道に面して「四達里」ロンタンの入り口がある。

    虹口にある「魯迅故居」の近くの江陰路。この道に面して「四達里」ロンタンの入り口がある。

  • 虹口にある「四達里」ロンタン連棟式建物

    虹口にある「四達里」ロンタン連棟式建物

  • ロンタン(上海の街中にある連棟建物様式)の建物の伝統的な入り口(石庫門)

    ロンタン(上海の街中にある連棟建物様式)の建物の伝統的な入り口(石庫門)

  • 江南料理の代表のひとつ、「松鼠桂魚』(桂魚の甘辛から揚げに松のみを載せたもの)

    江南料理の代表のひとつ、「松鼠桂魚』(桂魚の甘辛から揚げに松のみを載せたもの)

  • 「三糸湯」(金華ハム、鶏肉、筍をそれぞれ細切りしたものを円柱状にまとめ上湯のスープ)<br />

    「三糸湯」(金華ハム、鶏肉、筍をそれぞれ細切りしたものを円柱状にまとめ上湯のスープ)

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