2008/06/15 - 2008/06/15
342位(同エリア670件中)
シベックさん
東海道の古い街並みの残る絞りの町・有松を、久振りに歩いてきました。
今でも江戸時代の商家が昔のまま残り、美しい景観を誇る有松は、慶長13年(1608)古戦場で知られる桶狭間村の分村として誕生したそうです。
当時、貴重品だった木綿地に絞りで染めた手拭をつくり、旅人に売ったのが「絞り」の始まりで、徳川五代将軍綱吉の将軍職就任を祝い、絞りで馬の手綱を作り献上した頃から「有松絞り」の名が全国に広がり、東海道一の名産として名をあげたそうです。
旅行記は、街を東側と西側に分けた2部構成です。この旅行記は東町側です。
写真は、旧東海道に面して建つ服部家住宅(県指定文化財)。
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- 自家用車
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有松の案内地図
地図は上が北。西町の立て看板から・・。
旧東海道の有松の街は、名鉄有松駅前の大通りから
東と西に分かれています。
この旅行記は、東側の半分を散策した時のものです。
散策したルートを「赤い点線」で示しました。
(青色点線は、旅行記2/2のルートです。) -
旧・東海道有松
大通りから、東側の町並みを見ています。
旧・東海道の街道一美しい景観を誇る
有松の町屋は、総瓦葺き、格子、塗り篭め造り、
なまこ壁、虫篭窓(むしこまど)が特徴の造りで、
今でも十数軒が軒を連ねて当時を
思いおこさせてくれます。 -
黒い漆喰の土蔵と町屋
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古民家・神半家住宅
13代続いた絞問屋「神谷半次郎」の
旧家を改造した古民家。
腰壁の海鼠(なまこ)壁が印象的です。
この古民家には3つの店舗がに入っていました。
絞りの店や食事処、石窯パンの店。 -
神半家住宅のパン屋さん
土蔵の中に焼き上がったパンが
積み上げられていました。
石窯パンの香ばしい香りが漂って・・。 -
パンが並ぶ棚
インテリアは昔のまま・・黒光りする木材と漆喰壁。 -
美味そうな石窯パンが並ぶ
-
神半家住宅の土蔵へ
パン屋さんが入る土蔵へのアプローチ。
店内から振りかえって見た、玄関と土間の通路。
殆ど手をかけないで使われています。
今風の店舗が入っても、違和感はありません。 -
有松の町屋
旧・東海道に面して建つ総瓦葺き、格子、
塗り篭め造り、なまこ壁、虫篭窓(むしこまど)
のある歴史を感じる民家。
絞りの店が入っていました。 -
服部家住宅(県指定文化財)
旧・東海道に面して建つ建物の多くは、
愛知県や名古屋市の「指定文化財」の
指定を受けています。
有松は、名古屋市の町並み保存の第一号地で、
文化財「からくり人形山車」、史跡「桶狭間古戦場」
の町としても知られています。 -
店先の行灯
服部家住宅の井桁屋行灯。
現在のご当主は8代目で、井桁屋(いげたや)という
名前で絞製品の卸・小売業を営んでおられます。 -
絞りの店・商い中!
-
服部家住宅
東側から見た佇まい。
江戸末期頃の造りで、当時の絞り問屋を
色濃く残していると言われる服部家住宅。
木造2階建の塗籠造で、
1階街道側は格子の開口部、2階部分は虫籠窓。
妻側壁には、卯建(うだt)が
設けられています。
小さな屋根を持つ卯建が印象的です。
手前の禄錆の雨樋と相まって、
江戸の昔が偲ばれる街の佇まいです。 -
有松・鳴海絞会館
有松の中心的な施設。観光の必須スポットです。
1階では絞り製品の展示販売が、
2階は有料ゾーンで絞りに関する資料の展示や、
絞りの実演などが行われています。
希望により、絞り教室もできるそうです。 -
絞り会館の展示ケース
徳島・藍住町の藍染絞りが展示されていました。 -
絞り会館2階
ホールの絞り実演コーナーで、
糸で布を絞る作業の実演が行われていました。
有松絞り染めは、布地を縫ったり、糸でくくったり
してから染料で染め、ほどいた時にできあがる
様々な柄を生かした染め技法のことです。
作業の様子を収録するTVカメラが1台・・。
延々と収録のため、横切って作品展示室には
行けずじまい・・。 -
絞りの作業
手の動きが早く、目にも止まらぬ早業です。
さすがは熟練の方々・・世間話をしながら
楽しそうに、でも、手は高速で動いていました。
この日の、お二人の技法は、
看板に「手蜘蛛絞り」と「巻上げ絞り」と
書かれていました。
絞りの種類や技法は、
「巻上げ絞り」、「鹿の子絞り」、
「縫い絞り」、「蜘蛛入柳絞り」などで、
その種類は数え切れないほどあるそうです。
絞り専用の道具や、針と糸を使って絞られた
布地の染め上がりは実にさまざま。
同じ技法でも、人の手により作られるので、
ひとつひとつ表情もいろいろだそうです。 -
絞り会館1階売店 1
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絞り会館1階売店 2
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絞り会館1階売店 3
絞りの布や製品が並ぶ店内。
有松絞り(と鳴海絞り)は、数ある絞り工芸の中で
もっとも技法の種類が多いといわれているそうです。 -
絞り会館1階売店 4
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絞り会館1階売店 5
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絞り会館に立つ石碑
慶長13年(1608)に、江戸や京、
お伊勢参りの旅人達の休憩のために、
尾張藩が間の宿(あいのしゅく)として、
鳴海宿と池鯉鮒宿(知立)の間に町をつくることに
なったそうです。それが有松の町。
そのとき尾張藩の奨励を受けて、
この地を開拓し移り住んだなかに
知多・阿久比の竹田庄九郎がいました。
庄九郎は、農業の副業として、
当時国内有数の木綿の産地であった知多の木綿に
付加価値をつけてこの地で売ろうと、
九州の豊後絞から、
新しい絞の技法「九九利染」を考案し、
それを手ぬぐいなどに染めて往来する旅人に
売たそうです。
これが有松絞りの始まりだそうです。
その竹田庄九郎の功績を讃えて立てられた石碑。 -
有松山車会館
有松には、名古屋市の民俗有形文化財に
指定された3台の山車があるそうです。
こちらの入場は有料ですが、
2階建の会館内部が見学出来ます。
常時、3台の山車のうち1台が展示され
煌びやかな山車を
間じかに見ることができます。 -
有松の山車
山車会館は、有松の素晴らしい山車をより多くの
方々に見ていただくために建てられたそうです。
3台の山車には名が付いていて、「布袋車」
「唐子車」「神功皇后車」と呼ぶそうです。
この日展示されていたのは、清安町の幕を持つ
「唐子車」でした。
「唐子車」のいわれは、3体のからくり人形が全て
唐子であることから、そう呼ばれているそうです。
この山車は、天保年間(1830頃)に知多の豪商が
20余年をかけ作った個人持ちの山車で、
明治8年に有松に譲られたものだそうです。
この山車の人形、文字を書くそうです。 -
山車会館2階
2階からは、山車が俯瞰で見られます。
他の壁面は展示ケースになっていて、
からくりや珍しいものが展示されていました。
その一つ・・名古屋大人形。
大人の目の高さは、人形の胸のあたりだとか・・。 -
山車会館2階大人形
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山車会館2階・からくり
-
山車会館の書籍
大人形の活躍記事と写真。
今でも神社の祭りで、お出ましになるそうです。
緑区や南区、豊明市、東海市の地方に
昔から伝えられている大人形で、
現在中断中も含め、33ヶ所の神社の
祭りでみられるそうです。 -
民家にかけられた赤い絞りの布
-
昔の旅のグッズ
わらじは・・昔履いたことあり。 -
民家の垣根に咲く紫陽花
-
民家の花壇に咲くスイセンノー
-
名古屋鉄道・名古屋本線
有松の空き地に咲く野草の向こうを、
赤い電車が轟音と共に通り過ぎました。
手前の野草はヒメジオンの群落。 -
空き地に咲く野草・ヒメジオン
-
路地の緑
人しか歩けない、
狭い路地に入ってみました。
木々の緑が綺麗で、
ホッと一息つける静かな空間・・。 -
夏草の絡まる銭湯の煙突
-
路地に面した門構え
格子の門扉から、中を拝見・・。
狸と蛙がいました。どちらも縁起物・・。
タヌキは、他を抜くとも言い、
立身出世を表すとも言われます。
カエルは、お金や幸せが帰る・・無事家に帰る
などともいわれ、どちらも八相なるものがあり
縁起があるそうです。
実は、我が家も信楽のタヌキとカエルが
置いてありますが、御利益は・・? -
石で作られた樋受け
-
立ち葵の咲く有松・旧東海道
-
タヌキの置物
玄関にデーンと置かれた大きな焼き物・・食事処。 -
旧・東海道 有松の街
有松は、天明4年(1784)の大火で
全戸の建物を消失したそうです。
そのため、商家を建築するにあたり、
さまざまな防火対策が施され、
現在では有松ならではの風情を醸し出す
土蔵や塗籠造り、
卯建などを持つ建物が立ち並びます。 -
玄関の前に写楽の暖簾
-
西町方面へ
犬矢来(いぬやらい)のある街、旧東海道・有松。
東町側の主だった建物や施設を見て回りました。
これから駅前の大通りを横断して、
西町側に移動します。
絞りの町・有松西町 【2/2】に続きます。
〜つづく〜
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この旅行記へのコメント (7)
-
- nanachanさん 2008/07/23 16:08:21
- こんにちは
- シベックさん。お久しぶりです。
鳴海で生まれ、現在は有松付近に住んでいます。
有松の旧東海道は、ちょくちょく車で通過しますし、寿限無のうどん屋さんに、たまに食べにいきます。美味しいのですよ。
近すぎて、歩くことなど無かったのですが、シベックさんの写真を見て、
寿限無の帰りに、歩いてみたくなりました。
お祭りの大人形、地元では、猩猩と言ってます。
あれに大きな手をつけて、子供を追いかけるのです。
小さい頃は、怖かったです。懐かしい・・
久しぶりに、夏祭りや秋のお祭り見てみたくなりました。
ついでに、蓮の写真も素敵でした。
私も、シベックさんみたいに素敵な写真撮れるようになりたいです。
- シベックさん からの返信 2008/07/24 13:09:24
- RE: こんにちは
- nanachanさん、こんにちは!
コメント・投票、ありがとうございました。
連日の暑さに、早くもグロッキー気味のシベックです。
>鳴海で生まれ、現在は有松付近に住んでいます。
有松の旧東海道は、ちょくちょく車で通過しますし、寿限無のうどん屋さんに、たまに食べにいきます。美味しいのですよ。
知りませんで・・。地元も地元ですね。
以前、豊明に住んでいましたので、鳴海・有松はよく行ったのですが、
日進駅近くに引っ越してからは、とんと御無沙汰でした。
当日も有松と鳴海を間違えて、鳴海駅に着いてしまい、駅前の変りようにびっくり・・。
店の人に訪ね、鳴海を有松だと勘違いしている自分に、
時の流れと脳のボケ具合に呆れました。
恥をかいたあと、1号線を引返し有松へ・・。こちらも駅前が大変貌していて驚きました。
うどん屋さん今度行ったとき、是非寄ってみます。
>近すぎて、歩くことなど無かったのですが、シベックさんの写真を見て、
寿限無の帰りに、歩いてみたくなりました。
古き江戸の面影を残す良い街ですね。近くにお住みで、羨ましいです。
>お祭りの大人形、地元では、猩猩と言ってます。
あれに大きな手をつけて、子供を追いかけるのです。
小さい頃は、怖かったです。懐かしい・・
久しぶりに、夏祭りや秋のお祭り見てみたくなりました。
一週間早く行っていれば、「絞り祭り」だったのですが、
事前調査をせず行きましたので、後のまつりでした。
大人形の「しょうじょう」は迫力がありますね。
オランウータンの和名だそうですね。
大酒を飲み、人間語が分かる大猿の怪獣だとか・・。
宮崎駿の「もののけ姫」にも登場しているそうですよ。
大人でも怖いのに、子供が見たらもっと怖いことでしょう。
子供時代の懐かしい思い出・・ですね。
7/26日のイベントは、出来れば行きたいと思っています。
>ついでに、蓮の写真も素敵でした。
私も、シベックさんみたいに素敵な写真撮れるようになりたいです。
ありがとうございます。蓮の咲く星名池は有松から近く、前後駅の南です。
近じか「立田の花ハス」をアップする予定です。よければ、また、ご覧ください。
写真お褒めくださりうれしいです。でも、まだまだです。
シベック
- nanachanさん からの返信 2008/07/27 00:31:03
- RE: RE: こんにちは
- シベックさん。
今日はMAXに暑かったですね〜。
> 当日も有松と鳴海を間違えて、鳴海駅に着いてしまい、駅前の変りようにびっくり・・。
> 店の人に訪ね、鳴海を有松だと勘違いしている自分に、
> 時の流れと脳のボケ具合に呆れました。
> 恥をかいたあと、1号線を引返し有松へ・・。こちらも駅前が大変貌していて驚きました。
そうなんです。去年の冬に、鳴海は高架の立派な駅に変貌し、駅前の建物も移転したりして、驚かれたでしょうね。
有松もマックスバリューが出来たりロータリーも立派になりましたしね。
最近、緑区は、昔に比べお洒落になりましたよ。
徳重から先は、かなり変わっていますよ。
また、緑区散策よろしくお願いします。
楽しみにしていますね。
-
- 義臣さん 2008/07/11 17:31:22
- 懐かしく
- 懐かしく見せて頂きました。
見る目が違うと見えるものが違う
当たり前ですが。
確認したようです。
義臣
- シベックさん からの返信 2008/07/11 19:49:09
- RE: 懐かしく
- 義臣さん、こんばんは!
有松見てくださり、お気遣いありがとうございました。
>懐かしく見せて頂きました。
見る目が違うと見えるものが違う
当たり前ですが。
確認したようです。
義臣さんも行かれた有松ですが、人によって見方や感じ方が違い、
旅行記にまとめると更に面白いですね!
同じ人が日をずらして行っても、多分、違う旅行記になるでしょうね。
あらためて、義臣さんの「有松旅行記」拝見しょうと思っています。
近じか伺いますので、よろしくお願いします。
シベック
-
- いっちゃんさん 2008/07/11 17:15:35
- 有松の旧東海道
- シベックさん
実は製作中の写真だけの時に一度お邪魔しました。
きっと、こうなるだろうな・・
と、思い書き込みを我慢しました。
今日、再び訪問して・・
思った通りのシベックさん流・・
素晴らしいコメントが入り
いっちゃんが一人で有松を散策するより
よほど素晴らしい散策になりました。
“わらじ”
いっちゃんも、昔、夏山の沢登ではいたことがあります
懐かしいですね。
ちなみに、いまザックに
おばあちゃん手作りの草鞋をマスコットに付けています。
いっちゃん
- シベックさん からの返信 2008/07/11 19:31:28
- RE: 有松の旧東海道
- いっちゃんさん、こんばんは!
いつもありがとうございます。2度も見てくださってうれしいです。
コメントは・・どうも苦手です。
でも、必要最低限の書き込みはしなければと思い、簡単ですがこの程度で失礼しています。
今回の有松訪問は、近くに居ながら何十年か振りでした。
旧東海道あたりは以前と変わりませんが、駅前あたりが見違えるほどに変貌していました。
以前は、車で行っても駐車に困ったものですが、新しく作られたSCの駐車場が
2時間までタダで止められますので、これには助かりました。
ただ、今回多少時間オーバーしましたので数百円の足がでましたが...(^^ゞ。
>“わらじ”
いっちゃんも、昔、夏山の沢登ではいたことがあります
懐かしいですね。
ちなみに、いまザックに
おばあちゃん手作りの草鞋をマスコットに付けています。
良いお話で・・。
マスコットということは、小さい草鞋を作ってもらわれたのでしょうか。
我が家にも、祖母が生前作った草履があり、壁に飾ってあります。
小学生のころは、毎日草履のお世話になりました。今でも草履や草鞋は手ずくりできるかと・・??
古い町を楽しんでいただけ良かったです。近じか2/2も掲載予定です。
よろしかったらまたご覧ください。
シベック
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