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■リシタンジャパンセンターの所長ナジロフさんとNORIKO学級の子供達<br /><br /> 今回の旅の締めくくりにと私は前回の旅行で訪れることができなかったフェルガナ地方への旅行を決めていた。フェルガナ盆地はタシケントから西に車で4時間ほど行ったところにあり、カザフスタン、キルギス、タジキスタンという3国に接している地域だ。フェルガナは陶器で有名なリシタン、伝統あるシルク工場を持つマルギランなど、どちらかというと文化的価値の高い地方と言えるかもしれない。<br /><br /> いったいフェルガナではどんな出会いがあるだろうと、私は期待に胸を膨らませていた。<br /><br />「こんにちはー!」<br /><br />NORIKO学級に一歩足を踏み入れると子供達が元気に日本語で挨拶をしてくれた。教室の中をのぞくと小さい子供達がまさに日本語の勉強をしている最中だった。<br /><br /> リシタンにある日本語学校「NORIKO学級」は8年前に日本人の故・大崎重勝氏によって創設された。NORIKO学級のNORIKOとは大崎氏の奥さんの名前で、当時この地に赴任していた大崎氏とともに学級の運営に力を注いだ紀子さんにちなんでつけられている。2001年に大崎氏に癌が見つかり、その後闘病生活の末、大崎氏は2005年に他界した。現在は大崎氏の教え子たちが、遺志を受け継ぎ運営している。<br /><br /> この学級は現地の子供達が日本語を学ぶ場となっているわけだが、普通の学校のように学費はかからない。文字通り無料で学ぶことができるのだ。<br /><br /> 子供たちの授業風景を見学させてもらい、NORIKO学級を出発しようとした時、入り口でこの学級を運営しているリシタンジャパンセンター所長のナジロフさんに出会った。<br /><br />「こんにちは!日本からいらしたんですか?」<br /><br />と目じりの下がった優しい顔が印象的なナジロフさんは握手をしながら私たちを歓迎してくれた。<br /><br />「せっかくいらしたのですから、日本青年センターにも来てください。」<br /><br />と言われ、私たちは是非とその誘いを快諾した。<br /><br /> 日本青年センターに着くと、ナジロフさん自らがセンター内を案内してくれた。ここも2階が教室になっていて、教室は全部で4部屋。日本語のクラス、英語のクラス、ロシア語のクラス、そしてパソコンを完備したコンピューター室だ。ここも言うまでもなく、無料で地元の子供達が教育を受けられる学びの場である。私が訪れたときも英語のクラスで子供達が学んでいるところだった。私たちが教室に顔を出すと、先生の掛け声で子供達が一斉にたちあがり、大きな声で自分達が今学んでいる英語でようこそと丁寧に挨拶をしてくれた。<br /><br /> センターの1階にはナジロフさんの所長室、先生達の部屋、また日本からくるボランティアの日本語教師を受け入れるための風呂付の部屋が3部屋ほど完備されていた。外には陶器を焼く釜戸がある小屋、シャワー室などがついた屋内体育館などがあり、まさに小さな学校という感じだった。<br /><br /> ひと通りセンター内を案内し終わると、ナジロフさんは私たちにお茶を入れてくれ、様々なお話を聞かせてくれた。今までここで教鞭をとった日本人ボランティアの人たちの話、ここを巣立って立派に社会で活躍している卒業生の話、そして今NORIKO学級が窮地に立たされているという事・・・。<br /><br /> 無料で学べる学校というのは、貧富の差など関係なく、どんな子供でも外国語が学べるチャンスがあるという最大のメリットがある一方、無料であるために学級の維持、運営に困難が生じるという問題があるのも事実だ。現にスポンサーがいない中でこの学級を運営していくのは難しいとナジロフさんは言っていた。そんな中、少しでも学級の維持費を稼ごうと、リシタンという土地柄を利用し、ナジロフさんの弟さんが陶器の作り方を学級で学ぶ子供達に教え、子供達が陶器を作りそれを学級で販売しているのだ。

忘れえぬ人々との出会い in ウズベキスタン(4)

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2007/10 - 2007/11

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JIC旅行センター

JIC旅行センターさん

■リシタンジャパンセンターの所長ナジロフさんとNORIKO学級の子供達

 今回の旅の締めくくりにと私は前回の旅行で訪れることができなかったフェルガナ地方への旅行を決めていた。フェルガナ盆地はタシケントから西に車で4時間ほど行ったところにあり、カザフスタン、キルギス、タジキスタンという3国に接している地域だ。フェルガナは陶器で有名なリシタン、伝統あるシルク工場を持つマルギランなど、どちらかというと文化的価値の高い地方と言えるかもしれない。

 いったいフェルガナではどんな出会いがあるだろうと、私は期待に胸を膨らませていた。

「こんにちはー!」

NORIKO学級に一歩足を踏み入れると子供達が元気に日本語で挨拶をしてくれた。教室の中をのぞくと小さい子供達がまさに日本語の勉強をしている最中だった。

 リシタンにある日本語学校「NORIKO学級」は8年前に日本人の故・大崎重勝氏によって創設された。NORIKO学級のNORIKOとは大崎氏の奥さんの名前で、当時この地に赴任していた大崎氏とともに学級の運営に力を注いだ紀子さんにちなんでつけられている。2001年に大崎氏に癌が見つかり、その後闘病生活の末、大崎氏は2005年に他界した。現在は大崎氏の教え子たちが、遺志を受け継ぎ運営している。

 この学級は現地の子供達が日本語を学ぶ場となっているわけだが、普通の学校のように学費はかからない。文字通り無料で学ぶことができるのだ。

 子供たちの授業風景を見学させてもらい、NORIKO学級を出発しようとした時、入り口でこの学級を運営しているリシタンジャパンセンター所長のナジロフさんに出会った。

「こんにちは!日本からいらしたんですか?」

と目じりの下がった優しい顔が印象的なナジロフさんは握手をしながら私たちを歓迎してくれた。

「せっかくいらしたのですから、日本青年センターにも来てください。」

と言われ、私たちは是非とその誘いを快諾した。

 日本青年センターに着くと、ナジロフさん自らがセンター内を案内してくれた。ここも2階が教室になっていて、教室は全部で4部屋。日本語のクラス、英語のクラス、ロシア語のクラス、そしてパソコンを完備したコンピューター室だ。ここも言うまでもなく、無料で地元の子供達が教育を受けられる学びの場である。私が訪れたときも英語のクラスで子供達が学んでいるところだった。私たちが教室に顔を出すと、先生の掛け声で子供達が一斉にたちあがり、大きな声で自分達が今学んでいる英語でようこそと丁寧に挨拶をしてくれた。

 センターの1階にはナジロフさんの所長室、先生達の部屋、また日本からくるボランティアの日本語教師を受け入れるための風呂付の部屋が3部屋ほど完備されていた。外には陶器を焼く釜戸がある小屋、シャワー室などがついた屋内体育館などがあり、まさに小さな学校という感じだった。

 ひと通りセンター内を案内し終わると、ナジロフさんは私たちにお茶を入れてくれ、様々なお話を聞かせてくれた。今までここで教鞭をとった日本人ボランティアの人たちの話、ここを巣立って立派に社会で活躍している卒業生の話、そして今NORIKO学級が窮地に立たされているという事・・・。

 無料で学べる学校というのは、貧富の差など関係なく、どんな子供でも外国語が学べるチャンスがあるという最大のメリットがある一方、無料であるために学級の維持、運営に困難が生じるという問題があるのも事実だ。現にスポンサーがいない中でこの学級を運営していくのは難しいとナジロフさんは言っていた。そんな中、少しでも学級の維持費を稼ごうと、リシタンという土地柄を利用し、ナジロフさんの弟さんが陶器の作り方を学級で学ぶ子供達に教え、子供達が陶器を作りそれを学級で販売しているのだ。

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  •  「鈴木さんも是非ここで日本語を教えてみませんか?科目は何でもいいんですよ。折り紙でも音楽でも、教えてくれるならいつでもビザを発行しますから!」<br /><br />と、冗談は一切抜きでナジロフさんは真剣に私に提案してきた。今学級が直面しているのは維持費の問題だけでなく、日本人の教師が不足しているという問題もあったのだ。もちろんここで日本語を教えるからには全てボランティアで行わなければならない。実際私たちが訪れた時も日本人教師がおらず、この学校の卒業生が先生として子供たちに教えていた。<br /><br /> しかしこのNORIKO学級は、ロシアをはじめ旧ソ連地域で行われている日本語コンクールにおいて数々の優秀な成績を収めているのも事実だ。それで様々な人々の注目を集め、ガイドブックの地球の歩き方にもこの学級の記事が載ったし、つい先日も読売新聞などに取り上げられている。<br /><br /> 私はこの学級を創設した大崎氏の志に思いを馳せながら、ナジロフさんの話を聞いていた。そして話を聞けば聞くほど絶対にこの学級を存続させたい、大崎氏の想いも子供達の学びの場も守っていきたいと強く思った。<br /><br /> 私たちは最後に青年センターの前で記念撮影をし、ナジロフさんが冬に日本を訪れる予定で、その際千葉県にある友人宅にお世話になるという話を聞き、日本での再会を約束してリシタンと日本語学校を後にした。<br /><br /> 旅をすることで得られるものはたくさんあるが、その中でも、美しい景色や歴史深き遺跡を観ることで得られる感動、そして何よりも現地の人々との出会いや交流は大きな旅の醍醐味であろう。<br /><br /> 今回は冒頭でも述べたとおり、私にとって2度目のウズベキスタン訪問であったが、再会と新たな出会いを繰り返し、初めての訪問に負けないくらい感動を覚え、そしてやはりまたウズベキスタンを訪れたいという想いは高まるのだった。

     「鈴木さんも是非ここで日本語を教えてみませんか?科目は何でもいいんですよ。折り紙でも音楽でも、教えてくれるならいつでもビザを発行しますから!」

    と、冗談は一切抜きでナジロフさんは真剣に私に提案してきた。今学級が直面しているのは維持費の問題だけでなく、日本人の教師が不足しているという問題もあったのだ。もちろんここで日本語を教えるからには全てボランティアで行わなければならない。実際私たちが訪れた時も日本人教師がおらず、この学校の卒業生が先生として子供たちに教えていた。

     しかしこのNORIKO学級は、ロシアをはじめ旧ソ連地域で行われている日本語コンクールにおいて数々の優秀な成績を収めているのも事実だ。それで様々な人々の注目を集め、ガイドブックの地球の歩き方にもこの学級の記事が載ったし、つい先日も読売新聞などに取り上げられている。

     私はこの学級を創設した大崎氏の志に思いを馳せながら、ナジロフさんの話を聞いていた。そして話を聞けば聞くほど絶対にこの学級を存続させたい、大崎氏の想いも子供達の学びの場も守っていきたいと強く思った。

     私たちは最後に青年センターの前で記念撮影をし、ナジロフさんが冬に日本を訪れる予定で、その際千葉県にある友人宅にお世話になるという話を聞き、日本での再会を約束してリシタンと日本語学校を後にした。

     旅をすることで得られるものはたくさんあるが、その中でも、美しい景色や歴史深き遺跡を観ることで得られる感動、そして何よりも現地の人々との出会いや交流は大きな旅の醍醐味であろう。

     今回は冒頭でも述べたとおり、私にとって2度目のウズベキスタン訪問であったが、再会と新たな出会いを繰り返し、初めての訪問に負けないくらい感動を覚え、そしてやはりまたウズベキスタンを訪れたいという想いは高まるのだった。

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