2008/02/16 - 2008/02/16
331位(同エリア493件中)
もろずみさん
小名木川は慶長年間に徳川家康の命で掘削された運河です。隅田川と中川を結び、行徳の塩や諸国の産物を人口の増えた江戸に運び入れるために作られました。
その後、深川が埋立によって広がり、多くの堀が縦横にできて水の都の姿が形成されました。小名木川はその中でも幹線の役割を担って来ました。
東西に一直線に流れる小名木川ですからコースはいたって簡単です。
歌川広重の名所江戸百景に3つも名所が入っているのに、今までこのコースを思い付かなかったのが不思議なほど。
今回は中川から隅田川に向かって橋を巡りました。中川口には江東区の船番所資料館があり、小名木川水運の歴史を学ぶことから始めました。
距離はわずか4.6km、橋の数は14。周囲には見所もあって密度の高い散歩道でした。
- 交通手段
- 徒歩
-
小名木川が中川からひき込まれる所に、江東区の「中川船番所資料館」が建っています。「深川江戸資料館」、「芭蕉記念館」とともに江東区の三大資料館の一つです。
他の区では郷土博物館一つに集約してしまうところですが、江東区のように謂われのある場所毎に建っている方が良いです。 -
館内に入るとまず船番所の実物大ジオラマ。
展示物はダメですがこれは撮影可でした。
深川江戸資料館と同じく照明で朝から夕へと情景が変化します。
舟から波に洗われて軋む音もします。 -
撮影可のもう一ヶ所は展望室で、眼下に旧中川が流れています。
なかなか良い景色でしたね。 -
広重の「名所江戸百景」の「中川口」に江戸時代のこの場所の様子が描かれています。
あまり変わってないかも?
方向からすると写真とは反対側の上流の風景ですね。 -
館内の展示は江戸の水運に関する資料などが主です。
これから歩く小名木川水運や船番所の役割などが学べます。
階下に昔の釣具などの展示もありましたが興味なしでパスしました。
予習が終わって外に出ると目の前はそれらしい小公園でした。 -
で、中川船番所の跡地はと言うと工場が建ってました。
ここが正真正銘の船番所の場所です。
隔世の感ありですね。 -
1番・番所橋
気を取り直して橋づくしをスタートします。
小名木川は運河ですので上流下流がはっきりしません。
一応、慣習で隅田川の方が下流ということらしいので川下りになります。 -
川幅はそこそこ広いです。
まだ整備中ですが川沿いには江戸風情の遊歩道が作られつつあります。
「しおのみち」という名前になるそうです。 -
途中で遊歩道を上がって脇に入ると、稲荷山小名院宝塔寺。
ここで有名なのは「塩なめ地蔵」。ご覧の通りびっしりと塩に覆われています。
昔、小名木川を通る行徳の塩商人たちがここで休憩して塩を供えたのが始まりとか。 -
番外・人道橋(塩の道橋)
小名木川の橋は14ですが、橋間が長いので15番目の橋を建造中でした。できあがれば順番が変わります。
対岸に学校があるので通学のための人道橋のようです。
場所は仙台堀川公園の入口に近いです。 -
2番・丸八橋
南砂と小村井を結ぶ通りの名が丸八通り。語源はよくわかりません。
そこに架かるはしが丸八橋です。
川の手前からアーチ状になっていて橋を渡るときは太鼓橋みたいです。 -
丸八橋のたもとに芭蕉縁りの大島稲荷神社があります。
深川に住む芭蕉が、小名木川を船で桐奚宅を訪ねる途中、船をとめて立ち寄ったという謂われがあります。
時は元禄5年(1692年)のことです。 -
境内の森から滔々と流れる小名木川を眺めて一句。
『秋に添て行はや末は小松川 芭蕉』
芭蕉翁の石像とともに句碑もあって、俳諧の世界では名所のようです。 -
3番・砂島橋
元々は城東電気軌道(のちに都電となる)という路面電車のための電車橋でした。
整備されて歩行者専用の立派な橋に生まれ変わりました。 -
4番・進開橋
橋の幅が広いなぁと思ったら明治通りに架かる橋でした。
ここから緑道公園が始まってます。桜の木も植えられています。 -
番外・小名木川橋梁
橋は橋でも人も車も渡れません。JRの鉄橋です。
このすぐ南に小名木川駅があったはず。
鉄道ファンにはお馴染み。JR越中島線という貨物専用線です。 -
少し寄り道して、江東区スポーツセンターの前に「左行秀作刀旧跡」の碑があります。
幕末の名工・左行秀は土佐藩お抱えの刀工です。
ここで数々の名刀を作っていたわけですね。
もっとも、維新で刀はすっかり求められなくなり、藩もなくなって名工も時代に取り残されたという不運の人だったようです。 -
5番・クローバー橋
小名木川は横十間川と交差しています。
水路の交差点に架かるのがX型のクローバー橋です。
さて、この橋は小名木川で数えるのか、横十間川で数えるのか迷いますね。 -
川に高低差があるので横十間川に堰があります。
ここから南は親水公園になって流れていきます。
お洒落な橋は水門橋です。 -
クローバー橋はとても便利な橋で、猿江・大島・北砂・扇橋の好きな町へと渡れます。
出来たのは平成6年(1994年)と比較的新しい橋です。
小名木川のランドマークと呼ばれていますが、確かに景色も良いです。 -
横十間川を少し遡ると釜屋堀公園があります。
この辺りは江戸時代から鍋釜を作る鋳物工場があったということです。
有名なのは釜屋六右衛門と七右衛門、通称・釜六と釜七です。 -
大島橋のたもとには釜屋堀子育地蔵堂。
釜屋といえば品川の旅籠が思い浮かびますが、どうやら釜六・釜七とつながりがあるようです。
新選組が鳥羽伏見で敗れて戻って来たときに、江戸市中に入れずに釜屋に長逗留しましたっけ。
そんなエピソードから釜屋の名に反応しました。 -
6番・小名木橋
四つ目通りが渡る大きな橋が小名木橋です。
川名が橋名になっているくらいですから代表する橋ということでしょう。 -
松の木の下に大島にあった五百羅漢寺への道標が建っています。
文化2年(1805年)に建てられたという古いものです。
亀戸天神とともに江戸時代の観光名所だった五百羅漢寺は「本所のらかんさん」と呼ばれていました。
今は目黒に移転しています。いずれ訪問してみましょう。 -
さて、松の木はというと広重の名所江戸百景「小奈木川五本まつ」に描かれています。
当時の小名木川はカーブしていた?
そんなはずはないですね。広重の構図でしょう。
ここでは芭蕉も一句詠んでいます。
深川の末、五本松といふ所に舟をさして
『川上とこの川下や月の友 芭蕉』 -
その広重の絵が欄干にありました。
松は当然植えかえられているものですが、今は対岸と合わせて5本のはずです。(ちゃんと数えなかった・・・) -
7番・小松橋
小名木橋からは橋間隔が短くなります。
この川は小松橋のようなトラス橋が結構多いですね。 -
扇橋閘門
次の新扇橋との間は地図で見ると狭くなって2つの閘門があります。
この辺りは昔から工場で地下水を盛大に汲み上げたために地盤沈下を起こしました。
元々0M地帯と言われる所ですが、このために小名木川と隅田川の水位差が2M近くあります。
そこで船を通すために2つの閘門で水位調整を行っています。
パナマ運河と同じ方式なので「ミニパナマ運河」などと呼ばれています。 -
8番・新扇橋
続く新扇橋はアーチ橋です。
だんだん橋の見方も学習してきましたね。 -
番外・扇橋
新扇橋の先で大横川と交差します。
ここにもX型の橋が出来たら便利この上ないですね。
向こうに見えるのは大横川の扇橋です。大きく迂回しないと小名木川を辿れません。
「扇橋」は町名にもなっています。落語家の入船亭扇橋とは関係ありません。(^^; -
新扇橋のたもとに説明板がありましたが、この辺りに深川船番所があったようです。
明暦の大火のあと江戸の市街が本所深川まで拡張したため、小名木川の関所を中川口に移したわけです。
町中に関所があっても仕方ないですから。 -
9番・新高橋
大横川を渡れば深川の地。橋間もぐっと短くなります。
町に入るので見所は少なめですが・・・。 -
10番・大富橋
三つ目通りに架かる大富橋です。
幹線道路の橋は幅広ですが殺風景ですね。 -
11番・東深川橋
風景が変わらないのでちょっと飽きてきました。
北岸は森下、南岸が白河という深川情緒の町中を流れます。 -
森下の夜店通り、通称「のらくろストリート」に寄り道します。
森下文化センターには「田河水泡・のらくろ館」があります。
のらくろは戦前の少年倶楽部という雑誌に連載された日本漫画の草分け的存在。
懐かしがる人も多いですが、私たちの世代では少年倶楽部は知りません。 -
12番・西深川橋
森下も白河もお祭りの時に神輿を追っかけて走り回る所。
土地勘も十分あります。
と言っているうちに次の西深川橋を渡ります。 -
13番・高橋(たかばし)
時代劇にも良く出てくる名前の橋です。北斎先生も描いてます。
そういえば北斎先生に「諸国名橋奇覧」という橋づくしシリーズがありましたね。小名木川はないけど。
その高橋から続くのが芝翫河岸の遊歩道。
二代目・中村芝翫(四代目・歌右衛門)がこの辺りに住んでいたということです。
松井今朝子さんの小説に出てきますね。 -
14番・萬年橋
芝翫河岸の先に新小名木川水門を挟んで、最後の橋である萬年橋に出ます。
ここは芭蕉縁りの地ですし、赤穂浪士の凱旋でも渡った歴史を感じさせる橋です。 -
北斎先生も富嶽三十六景に「深川萬年橋下」という絵を描いています。
小名木川の船の上から大川を臨んだ構図です。
あまりに良くできた構図なので広重の名所江戸百景は作品名がないとわからない「深川萬年橋」で対抗します。
『亀は萬年』という洒落ですね、きっと。 -
番外・清洲橋
小名木川は隅田川に注いでここが終点です。
深川の代表的な景観である「ケルンの眺め」です。
ここから見る清洲橋はなかなかなもの。いつも同じ構図で撮ってます。 -
ということで小名木川の橋巡りをしてみました。
時代劇で必ず出てくる江戸を代表する大運河。
さすがに小名木川水運は過去のものになりましたが、阪神大震災以後、水路というものが見直されているそうです。
そのため随分と川面を眺められる所も増えたように感じます。
そう言えば昔はほとんど川は見えなかったような・・・。
江戸情緒もあってなかなか楽しいコースでした。
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この旅行記へのコメント (4)
-
- けーしちょーさん 2008/03/10 11:39:13
- ケルンの名前♪
- ヒミコ号に乗ったあとだから
この意味わかるっ!
ふっふー
けーしちょー拝
- もろずみさん からの返信 2008/03/10 21:18:16
- RE: ケルンの名前♪
- けーしちょーさん、コメント&投票ありがとうございます。
ヒミコでクルーズしたんですね。
清洲橋は世界で一番美しい橋であったケルンの吊り橋のダミーだそうですね。
元の橋が戦争で破壊されたので、今や世界で一番美しい橋?
昨年だったか、永代橋や勝鬨橋とともに国の重文になりました。
隅田川の橋づくしは船旅にするのも良いかな。
以前、ビールをケースで持ち込んでやったことがあります。
ヒミコじゃないけど・・・。
-
- めぐみ☆さん 2008/02/29 07:12:34
- 良いですね〜。
- のろくろさん、、漫画は見た事がありませんが、私たち世代でも有名です。
芭蕉さんの銅像は私もお目にかかった事があります(^^)v
橋巡り…良いです! 色んな橋があって面白いですね♪
船が通過すると開く橋もあったような…(記憶違い?)
長崎も中島川沿いに沢山の石橋がありましたが、水害で流出して、幾つかが無機質なコンクリート橋に変わりました(残念!!)
阿弥陀橋、高麗橋、桃渓橋、大出橋、編笠橋、古町橋、一覧橋、芋原橋、東新橋、魚市橋、眼鏡橋、袋橋、常盤橋等など…
橋の欄干に寄りかかってボーとしているのが好きでした
- もろずみさん からの返信 2008/02/29 23:55:08
- RE: 良いですね〜。
- 唐八景さん、こんにちは。
今まで地図を見ても道ばかり追っていました。
川に注目してみたら、時代劇に出てくる橋が結構あることに気づきました。
さすがに船を浮かべてというわけにはいきませんが、歩くだけでも結構面白いです。
正月の日本橋川(道灌堀)に続いての小名木川。こちらの方が見所も多く橋もいろいろでした。
本所、深川は江戸時代は水の都だったそうで、まだいくつかコースを作れそうです。
開く橋は隅田川の勝鬨橋です。(今は開かないけど)
隅田川は名橋揃いですが全部見ていくのは大変です。いずれ季節の良いときに・・・。
長崎の橋づくしもやってみたいですね。
どれも名前からして風情がありますし。
のらくろは知っていても読んだりした覚えはありません。
こんな所で今も生きているっていう感じですね。
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