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なぜグラナダとレオンへ行こうと思ったかというと、この2都市はニカラグアの歴史の中で重要な位置を占めて来たからだ。<br />スペイン人が最初に入植した1524年に作られたのがこの2つの町。<br />つまりニカラグアの古都、日本で言えば京都や奈良というところだ。<br />独立闘争やソモサ政権との戦いの中でグラナダは保守勢力、レオンは革新勢力の中心都市であった。<br />またどちらも内戦での破壊が激しかったという噂を聞いている。<br />もちろん他に見るところがあれば見たいのだが、現在はまだ内戦中で、ニカラグアのカリブ海側へ入るのは無理だ。<br />それに時間もない。<br />グラナダとレオンは日帰り出来る距離だし、丁度2日あるということは『ニカラグア・二都物語』を読めということなのだろう。<br />しかしまずTICAバスの事務所でコスタリカの首都サンホセへの切符を買う。<br />午前6時に出発し、その日の夕方4時には目的地に着くという。<br />まだ明るいうちにサンホセに着けるから時間的にはちょうどいい。<br />料金は25ドルのキャッシュ払い。<br />実は、コスタリカの入国についてはちょっと問題がある。<br />コスタリカに入るにはビザは要らないのだが、出国切符が必要という話があるのだ。<br />つまり、飛行機で入るなら出国航空券、バスで入るなら出国用のバスの切符。<br />これを確かめる。<br />この件はLAを出発する前に『ホテル加宝』に泊まっていた旅行者から『バスの切符を買えばいいのさ』と聞いていた。<br />しかし事務所のおじさんは『ここで買わなくてもいい。問題ない』とあっさり答えた。<br />そう言うならそうなのだろう。現地の情報が一番なのだ。<br />さて、まずどちらの町へ行こうか。<br />これは決まっている。グラナダ。<br />グラナダと聞けば思い浮かぶのがスペインアンダルシア地方にあるアルハンブラ宮殿で有名なグラナダだ。<br />この長い旅に出るきっかけになったアンダルシアの旅を思い出す。<br />卒業旅行の時期で、アルハンブラ宮殿で知り合った学生3人と昼食をするのに『女がいないんじゃおいしくない』と女学生2人に声をかけて誘い、6人でレストランの2階を借りきって大宴会をやった楽しい思い出がある。<br />今となってはもうずいぶん昔の話だ。<br />みんな立派な社会人になっているだろう。<br />僕は相変わらずこんなところを貧乏旅行しているが。<br />いやいやセンチになっちゃいけない。<br />人には一人一人その人の運命というものがあるのだ。<br />だから、今日グラナダへ行くのも僕の運命さ。<br />市内バス#109に乗ってエドアルド・コントレーラス市場へ。<br />ここは僕がエステリから着いたバスターミナルだ。<br />あの時のタクシー代は1万コルドバだったが、今日のバス代は450コルドバ。<br />バスに乗る場所を聞く時には、頼りになりそうな中年男性を捕まえることが大切だ。<br />ラテンアメリカには自分で知らなくても親切に教えてくれる気の好い人が多いので、適当な人に聞くと大変なことになる。<br />今回は『セニョール。グラナダへ行くバスはどれですか?』と聞いて教えられたバスにはっきりと『グラナダエクスプレス』と書いてあったので、問題はなかった。<br />料金は2150コルドバ、2500出したら300のお釣りをくれた。<br />出発は午前10時50分。グラナダへの到着は正午。<br />着いたのはほこりっぽい広場。<br />広場を出た道端にクッキーを売っている女性がいた。<br />彼女にグラナダ中心部への道を聞くと、とても親切に教えてくれる。<br />非常に上品な中年の女性だ。<br />若い頃は素晴らしい美人だったろう。<br />この革命や内戦の中でなにか運命の転換があったのだろうと、だれでも予想が着く。<br />でも、旅行作家と旅行者の違いはそこにストーリーを創りあげるか、それをそのまま受け入れて傍観するかだ。<br />旅行者はただ行き過ぎていくものであって、積極的にコミットするものではない。<br />心を残しながら町の中心へと歩く。<br />バスターミナルから歩いてソカロに面した豪華なカテドラルで祈る。<br />中南米のコロニアル都市の中心はソカロとそこにあるカテドラルと相場が決まっているのだが、グラナダへ来たら見るものがもう一つある。<br />ニカラグア湖だ。<br />ニカラグア湖はサンフアン河によってカリブ海とつながっていて、以前は海賊がニカラグア湖へ侵入してきてグラナダを襲ったという。<br />だから、パナマ運河に替えてここに運河を作ろうという話もあったのだ。<br />考え方によればグラナダはカリブ海に面した港町なのだ。<br />旅行者が港町に来たら港を見なければ話にならない。<br />だからソカロからそのまま歩き続けてニカラグア湖の湖畔に着いた。<br />道が湖にぶつかるところに桟橋があって、船が着いていた。<br />どうやら出港寸前らしく船は満載状態で、喫水はぎりぎりまで下がっている。<br />湖岸に面してがらがらの大きなレストランがあった。<br />誰もいないが中に入って行って『誰かいませんかー?ビールを飲みたいんです!』と叫ぶとボーイが出てきた。<br />ビールが一本4500コルドバ。ちょっと高い。<br />大きな青空の下、湖を見ながらがらんとしたレストランの庭でビールを飲む。<br />船がゆっくりと桟橋を離れて行くのを見ていた。<br />もう一本ビールを頼んで、そのままグラナダでの時間を過ごした。<br />帰りのバスに乗る前にさっき話をした中年女性と、グラナダの美しさを話して、彼女が売っていたクッキーを買った。<br />結局食べなかったけれどね。<br />バスは異常に馬力がなくて、ちょっとした坂道では自転車並みの速度で走る。<br />それでも無事にマナグアへ着き、ついでに市場をうろついてバスでホテルへ戻り、『エルシピティーオ』で夕食をとった。<br /><br />http://homepage3.nifty.com/worldtraveller/cam/cam037.htm<br />

《グラナダでニカラグア湖に出て行く船を見送る》

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1989/04 - 1989/04

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みどりのくつした

みどりのくつしたさん

なぜグラナダとレオンへ行こうと思ったかというと、この2都市はニカラグアの歴史の中で重要な位置を占めて来たからだ。
スペイン人が最初に入植した1524年に作られたのがこの2つの町。
つまりニカラグアの古都、日本で言えば京都や奈良というところだ。
独立闘争やソモサ政権との戦いの中でグラナダは保守勢力、レオンは革新勢力の中心都市であった。
またどちらも内戦での破壊が激しかったという噂を聞いている。
もちろん他に見るところがあれば見たいのだが、現在はまだ内戦中で、ニカラグアのカリブ海側へ入るのは無理だ。
それに時間もない。
グラナダとレオンは日帰り出来る距離だし、丁度2日あるということは『ニカラグア・二都物語』を読めということなのだろう。
しかしまずTICAバスの事務所でコスタリカの首都サンホセへの切符を買う。
午前6時に出発し、その日の夕方4時には目的地に着くという。
まだ明るいうちにサンホセに着けるから時間的にはちょうどいい。
料金は25ドルのキャッシュ払い。
実は、コスタリカの入国についてはちょっと問題がある。
コスタリカに入るにはビザは要らないのだが、出国切符が必要という話があるのだ。
つまり、飛行機で入るなら出国航空券、バスで入るなら出国用のバスの切符。
これを確かめる。
この件はLAを出発する前に『ホテル加宝』に泊まっていた旅行者から『バスの切符を買えばいいのさ』と聞いていた。
しかし事務所のおじさんは『ここで買わなくてもいい。問題ない』とあっさり答えた。
そう言うならそうなのだろう。現地の情報が一番なのだ。
さて、まずどちらの町へ行こうか。
これは決まっている。グラナダ。
グラナダと聞けば思い浮かぶのがスペインアンダルシア地方にあるアルハンブラ宮殿で有名なグラナダだ。
この長い旅に出るきっかけになったアンダルシアの旅を思い出す。
卒業旅行の時期で、アルハンブラ宮殿で知り合った学生3人と昼食をするのに『女がいないんじゃおいしくない』と女学生2人に声をかけて誘い、6人でレストランの2階を借りきって大宴会をやった楽しい思い出がある。
今となってはもうずいぶん昔の話だ。
みんな立派な社会人になっているだろう。
僕は相変わらずこんなところを貧乏旅行しているが。
いやいやセンチになっちゃいけない。
人には一人一人その人の運命というものがあるのだ。
だから、今日グラナダへ行くのも僕の運命さ。
市内バス#109に乗ってエドアルド・コントレーラス市場へ。
ここは僕がエステリから着いたバスターミナルだ。
あの時のタクシー代は1万コルドバだったが、今日のバス代は450コルドバ。
バスに乗る場所を聞く時には、頼りになりそうな中年男性を捕まえることが大切だ。
ラテンアメリカには自分で知らなくても親切に教えてくれる気の好い人が多いので、適当な人に聞くと大変なことになる。
今回は『セニョール。グラナダへ行くバスはどれですか?』と聞いて教えられたバスにはっきりと『グラナダエクスプレス』と書いてあったので、問題はなかった。
料金は2150コルドバ、2500出したら300のお釣りをくれた。
出発は午前10時50分。グラナダへの到着は正午。
着いたのはほこりっぽい広場。
広場を出た道端にクッキーを売っている女性がいた。
彼女にグラナダ中心部への道を聞くと、とても親切に教えてくれる。
非常に上品な中年の女性だ。
若い頃は素晴らしい美人だったろう。
この革命や内戦の中でなにか運命の転換があったのだろうと、だれでも予想が着く。
でも、旅行作家と旅行者の違いはそこにストーリーを創りあげるか、それをそのまま受け入れて傍観するかだ。
旅行者はただ行き過ぎていくものであって、積極的にコミットするものではない。
心を残しながら町の中心へと歩く。
バスターミナルから歩いてソカロに面した豪華なカテドラルで祈る。
中南米のコロニアル都市の中心はソカロとそこにあるカテドラルと相場が決まっているのだが、グラナダへ来たら見るものがもう一つある。
ニカラグア湖だ。
ニカラグア湖はサンフアン河によってカリブ海とつながっていて、以前は海賊がニカラグア湖へ侵入してきてグラナダを襲ったという。
だから、パナマ運河に替えてここに運河を作ろうという話もあったのだ。
考え方によればグラナダはカリブ海に面した港町なのだ。
旅行者が港町に来たら港を見なければ話にならない。
だからソカロからそのまま歩き続けてニカラグア湖の湖畔に着いた。
道が湖にぶつかるところに桟橋があって、船が着いていた。
どうやら出港寸前らしく船は満載状態で、喫水はぎりぎりまで下がっている。
湖岸に面してがらがらの大きなレストランがあった。
誰もいないが中に入って行って『誰かいませんかー?ビールを飲みたいんです!』と叫ぶとボーイが出てきた。
ビールが一本4500コルドバ。ちょっと高い。
大きな青空の下、湖を見ながらがらんとしたレストランの庭でビールを飲む。
船がゆっくりと桟橋を離れて行くのを見ていた。
もう一本ビールを頼んで、そのままグラナダでの時間を過ごした。
帰りのバスに乗る前にさっき話をした中年女性と、グラナダの美しさを話して、彼女が売っていたクッキーを買った。
結局食べなかったけれどね。
バスは異常に馬力がなくて、ちょっとした坂道では自転車並みの速度で走る。
それでも無事にマナグアへ着き、ついでに市場をうろついてバスでホテルへ戻り、『エルシピティーオ』で夕食をとった。

http://homepage3.nifty.com/worldtraveller/cam/cam037.htm

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