2007/09/15 - 2007/09/15
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がまだす@熊本さん
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9月15日
ホテルのカーテンを開けると、白族の霊峰蒼山に雨雲が低く垂れていた。
大雨を予感させるような、大理古城の朝。
9時過ぎ。
ホテルの親父に別れを告げた後、パンパンに膨らんだバックパックを担いで南門(南城櫻)をくぐった。
復興路から洋人街へ向う。
いつもは団体旅行者で溢れる大理古城だが、その姿はちらほら。
菊屋の前に、泥水で薄汚れた小型バスが停車した。
クラクションの合図で「来たわよ」と女将の菊さんが告げる。
朝食半ばの箸を止めて、テーブル横に立て掛けていたバックパックに腕を通しながら、バスの後方へ急いだ。
これから雲南省奥地の大理から、そのまたずーっと山奥にあるチベット族自治区のデチェンを目指す。
車窓から見える車内の様子は、ほぼ満員。
乗客の様子は白族(ペー族)納西族(ナシ族)など少数民族がほとんどみたいで、旅行者の姿は全くない。
テンガロンハットに長髪、褐色肌をした中年の男性が、僕の方に目線を投げかけていた。
雲南奥地でよく見かけるスタイル。
チベット系民族であることが、一目でわかる。
ローカル色の濃いバスだ
雲南奥地に暮らす少数民族のバス移動は、生きたままの家畜とか穀物をカラフルなビニール袋で覆い、車中の通路に山のように持ち込む。
彼らは、日頃から入浴の習慣がないと聞く。
気のせいかもしれないが、近付くと頭髪とか体臭みたいなものが匂ってくる。
車中に掲げてある禁煙標識も有って無いようなもの、しょっちゅうぷかぷかやる。
長距離バスのはずだが、何か変。
大方途中で乗り降りするピックアップバスなのか?
乗車を思案していると、
タバコをくわえた中年の運転手が近づいてきて、
無言のまま僕の肩からバックを下ろした後、大事そうに抱きかかえて車内へ乗り込んでしまった。
車内はクーラーが効いていない。
梅雨のじっとりした湿気に加え、乗客の熱気や穀物の香りがムンムンする。
中国製の小型バスの乗り心地は、いつもペケだ。
座席間が狭いし、クッションも良くはない。
大理から香格里拉までの距離は、およそ300?。
長い道中を考えると、ことさら気が重くなる。
なぜ麗江から大理へ引き返して、更に大理から香格里拉へ目指したのか、これには理由がある。
くしくも9月10日から15日まで西部統一50周年記念大会が大々的に開かれており、中国全土から取材陣が押し寄せたことで、ホテルがことごとく満杯であったからだ。
ならばその間、居心地のいい大理に滞在しながら、近場の温泉地めぐり。
麗江の疲れをほぐすための骨休めも悪くはない。
大理を出発してすぐ左手に佇む三塔を過ぎると、だだっ広く青々とした田畑がしばらく続く。
沙坪村にさしかかる頃、大粒の雨が車窓を強くたたきはじめた。
大雨のさなか、眼下に曲りくねった峡谷沿いの山道をひたすら、走り続ける小型バスに怖さも感じる。
狭い舗装道は、ところどころ剥げているようで、そのたびに震動が身体全体に伝わってくる。
大理から香格里拉までおよそ7時間。
香格里拉の標高は3,300mもある。
道すがら富士山の山頂よりも高い尾根を走る。その道のりは、曲りくねった山間登ったり下ったりの繰り返し。空模様も晴れたり曇ったり、ときには小雪交じりだったりする。
風景もバラエティーだ。
そして、
強い日差しを受けて汗ばむほど熱くなったかと思えば、小雪がチラついたりすることも。
高山の天気は、ずいぶんと変化するものだ。
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 3万円 - 5万円
- 交通手段
- 高速・路線バス
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-
大理三塔を過ぎてしばらくして、左右に田畑が広がる。
9月半ばになると、肥沃な畑ではトウモロコシや小麦の収穫が終ると冬野菜の種まきに入る。 -
沙坪村を過ぎてしばらくすると、山道となる。
-
右所鎮(ウーソーチン)に差し掛かるころ、雨足はさらに強くなる。
道幅の狭い山間のカーブだらけの国道は対向車も多く、衝突で無残に破壊した車の姿も時折見かける。 -
洱源で客の乗り降りを終えると、再び三叉路へと引き返す。
しばらくして牛街村を通り抜ける。
この村でも温泉があるが、洱源と比べて大きく違うのは、ほとんど寂れた村。
泉質が良いので、何度か入浴したことがある。 -
洱源(アールエン)。
沙坪村から山峡の狭い国道を走り続けること40分、三叉路を左折すると急に道幅の広い真新しい一直線道に入った。
雲南省第二の淡水湖のある洱源の入り口だ。
近年中国バブル期の投資先だろうか、洱源の街は道路左右にシャッターの閉じたビルが立ち並び、数年後は温泉街として栄えるだろう。 -
牛街村からひたすら山道を走る。
時間にして4、50分。
高度のある峠を登り切ると、突然晴れ間が現れた。
剣川。
剣川は西南の西安と称され、歴史も古く史跡等が方々に眠る街。
通りすがりに車窓からちらっと見ただけだが、意外と繁栄している。
大理からおよそ200km、100km先に麗江。 -
やがて剣川の繁華街を通り抜けると、左折して両側に並木が続く旧道を走り続けた。
-
正午をだいぶ回った頃、ぱらぱらしかない集落のドライブインらしき店の庭先で停車した。
店名は「花園賓館」。
思わず苦笑い。
「花園貧館では」と。
メニューはない。
数種類の野菜と肉の塊を指で「これとこれで」、そんな風にして注文するようだ。
ハエが無数に止まる肉、ヤク牛だと思うが喰う気がしないのでパス。
庭先では公安官数人が、炭火を囲んで焼肉パーティーか。勤務中だろう、制服を脱いでビールをぐいぐいやっている。
この後飲酒運転だろうから、末恐ろしい。
ポーチに仕舞い込んでいたクッキーと水で我慢した。
焼肉の匂いを嗅ぎながら、ちくしょー! -
花園貧館?前。
趣のある並木道がしばらく続く。 -
麗江から虎跳峡まで続く国道は新道で滑らかだが、並行する旧国道は狭くてカーブだらけ。
はなはだチープだけど、旅の趣はこっちかな? -
増水した暴れ川。
空模様が悪くなる、おそらくこの先は雨だろう。 -
緑深い山間が続く。
-
高度があるのだろう、車内の温度が寒くなる。
-
雨は次第に、ミゾレとなる。
-
変電所も幾つか見かけた。
豊かな水を電力に変え、麗江など都市へ送り込んいるみたいだ。 -
がけ崩れの爪痕。
かなり大規模だったようで、田畑を塞いでいた。 -
虎跳峡から香格里拉まで高速道路が整備されていた。
それまで走り続けた旧国道は、舗装されてはいたが整備が悪いく震動が身体に伝わっていた。
高速道に入ると、すこぶる快適だ。
中国製小型バスも捨てがたい、と感じるのが不思議。 -
峠を越えると、小雪になった。
車内が次第に暖かくなる、な〜んだ今までは省エネ。装備なしと思っていたけど、エアコンはあったのだ。
風景が変わって、沿道の道路標識の文字はチベット語に変わる。
シャングリラに近いようだ。 -
香格里拉は、四方を4、5千メートルの山に囲まれた盆地にある。
チベット文化の香りと趣ある街。
そう想像していただけに、
街中は愕然とするくらい開発が進んでいた。 -
バスターミナル近くにあるホテル。
客引きのおばちゃんから声掛けられて2泊した。
部屋は2ベッドで広々い、シャワーも洋式トイレも完備しておりグレードは高い。
これで1泊50元とは安い。 -
ホテルの屋上から、シャングリラの青空を見た。
雲南では久し振りの天気。
雲間から覗く空だが、写真で見たことのあるチベット高原の空と同じ深い藍色。
旅の実感が湧いてきた。 -
ホテルの部屋から。
小さな町だけど、公共バスとか個人タクシーも多い。
ちなみに公共バスの料金は、全区間1元。 -
ホテルから歩いて街角ウォッチング。
バスターミナル前から、長征路と名の付く大通りを歩いてみた。
10分も歩くと体がぽかぽか、日差しが強いので汗ばんでくる。
大通りに面する建物は真新しく、色彩もカラフル。
行き交うチベット人の服装も伝統色なのか、黒が基調で物珍しい。 -
レンズを向けるとピースサイン、全世界共通みたいだ。
-
ド派手な建物だ。
広場前では「香格里拉中国統一50周年」と書かれた横断幕が掲げられ、
カラフルな旗も無数にある。
ここが僕を大理に足止めをした、イベント会場だったらしい。 -
ちょっぴりいたずらして一枚。
コーラーよりも低いぜ!
金ぴかド派手ホテルは、中国系投資会社の建物だろう。 -
デェテェン政府館。
ひと際目立つ建物は州政府館。
色彩感覚はおそらく中国。チベット風ではないと思うけど。 -
おっ、松茸だ!
日本では希少価値高い松茸も、ここらではジャガイモ同然か。 -
麗江顔負けな新装開店したばかりの衣料品店街。
大通りから少し裏側にあるが、将来はここらが繁華街になるだろう。 -
松茸を運ぶおばちゃんの後からついて行く。
市場の門の前に差し掛かると、大声で喋くるスピーカ音がする。
刃物売りの兄ちゃんの声だ。
『寅さん』も顔負け、話術もパフォーマンスもおもしろい。
ことさら滑稽なのは、刃物が中華包丁ではなく洋風なステンレス製。 -
香各里拉市場。
市場は市内の方々にあるが、規模が大きくて食道併設で欧米人の姿も見かけた。
お隣に『松茸世界市場』という建物があったが、輸出先は日本以外にはなさそうだ。 -
デチェン一帯は松茸の宝庫だ。
品質も麗江付近産より形も香りもいい。
1欣(500グラム)10元から20元。 -
日曜日ということで取引は休日だったが、山と積まれた松茸。
買い手は、少し気ばい化粧したレストランの女将さんたち。
麗江もそうだったが、ここらの地元人も松茸ではなく違う種の野生菌(雲南ではキノコ類をそう呼ぶ)を好んで食していた。。 -
香格里拉の旧市街地。
建物も石畳も歴史観がない。 -
-
゛人も歩けば犬にあたる”
チベットでは大型犬が多い。 -
旧市街地に『四方街』があった。
ここでも毎夜イベントが開かれている。
だけど、四方街なはずが小道は2本だけ。四方に広がっていなかった。 -
香格里拉は雲南・四川・チベット自治区を結ぶ交易の
要所。
雲南やチベットのお茶・駿馬・織物などがシルクロードから北方中国・インド・ヨーロッパへ盛んに輸出された。
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この旅行記へのコメント (2)
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- ゆみナーラさん 2007/12/03 16:01:47
- 雲南がよく分かります
- がまだすさんお久しぶりです。中国雲南省を巡る旅、まるで自分が街を歩いて経験しているかのように引き込まれつつ見せてもらっています^^
実はこのあたりについて全く知識のない私で、ただ唯一「昆明」はタイから直行便が出てるんでよく名前を聞くな・・・・という程度のものでした。
また、きっと昆明・中国に入ると偉く僻地になるのだろうか・・・と夢を膨らませてもいたのですが・・・まるでラオスのボーテン?に入ると、その先は想像も付かない未知の世界なのだろうな〜と恐々想像するかのように。
が、しかし!!
今日じっくり見せて頂いた未知の雲南省全土、まだ手付かずの中国らしさの残る街だと勝手に想像を膨らませていた昆明は、エラく整備されていて洗練された街なのだと知りました。
しかし、写真を拡大して所々良く見ると、やはり大陸といえる素朴な光景がいくつも見られ、これからの更なる発展にまさに上り曲線で沸き立っている今の、何だか希望がたくさんある人々の表情や言動が感じられました。
この後も楽しみにしております。
- がまだす@熊本さん からの返信 2007/12/04 10:42:30
- 雲南省は見どころ満載、きっとハマリますよ♪
- ゆみナーラさん、はようございます。
私こそ無沙汰しており、申し訳ありませんでした。
雲南はいいですよ!
やや中央部に昆明という大都会があって、少し足を延ばすと壮大な自然が方々にあり、古都の名残も数多くあったりして。
極めつけは、、そこに暮らす人々が素朴なことです。
そして何より凄いのは、
南周辺の東南アジア諸国と接した文化圏もあれば、北西部のチベット圏の文化などありでさまざま、面積は日本とほぼ同じです。
実は、僕がバックパッカーを始めたのは3年前で、初めて歩んだのは昆明からでした。
旅の目的は九賽溝でしたが、ついでにちょこつとだけ雲南省を覗いてみようと思ったのですが・・・・沈没!
ゆみナーラさん、東南アジアからの旅もいいですけど、ちょこっと足を延ばしてみませんか?
きっとハマリますよ♪
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