1976年4月<br /><br />われわれのプロジェクトである、マタディを基点としてバナナに向かう新線は、ザイール川右岸のマタディから、左岸に渡らなければならない。<br /><br />そのまま右岸を走れば、隣国アンゴラに入ってしまうからである。<br /><br />この川渡りが「ザイール川橋梁」で、世界有数の大河ザイール川を渡るただひとつの橋なのだ。<br /><br />鉄道橋自体も、その規模（支間の長さ）は世界一、すなわち人間がこれまで経験したことのない大きさである。<br /><br />国境があるだけのために、なぜこんなに大きな橋を架けなければならないのか。<br /><br />始めのうちは奇異に感じていたのだが、ザイール川で分断されているアフリカの南北を結ぶのだと考え直せば、もう少し橋の存在理由は高まる。<br /><br />しかしそれならば、もっと他の場所に橋を架けたほうがいいのではないだろうか。<br />例えば、ザイールの首都キンシャサと、対岸にあるコンゴの首都ブラザビルの間である。<br /><br />そんな問題は残されているが、現在川渡りの地点として選ばれているのは、マタディの直ぐ下流、ショードロン・ダンフェール（地獄の釜）と呼ばれている地点だ。<br /><br />ここは川幅が狭いので流れが速く、船乗りにとっては世界切っての難路らしい。<br /><br />何しろ1秒間に3トンというすごい水の量が、時速20キロで流れており、現場を見ていない人にその迫力は理解できない。<br /><br />だが橋を架けるに当たっては、川幅が狭いので選ばれやすい。<br />

キンシャサ日記【507】ザイール川をまたぐ橋は世界一

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1976/04 - 1976/04

21位(同エリア17件中)

#鉄道・バス

ソフィさん

1976年4月

われわれのプロジェクトである、マタディを基点としてバナナに向かう新線は、ザイール川右岸のマタディから、左岸に渡らなければならない。

そのまま右岸を走れば、隣国アンゴラに入ってしまうからである。

この川渡りが「ザイール川橋梁」で、世界有数の大河ザイール川を渡るただひとつの橋なのだ。

鉄道橋自体も、その規模（支間の長さ）は世界一、すなわち人間がこれまで経験したことのない大きさである。

国境があるだけのために、なぜこんなに大きな橋を架けなければならないのか。

始めのうちは奇異に感じていたのだが、ザイール川で分断されているアフリカの南北を結ぶのだと考え直せば、もう少し橋の存在理由は高まる。

しかしそれならば、もっと他の場所に橋を架けたほうがいいのではないだろうか。
例えば、ザイールの首都キンシャサと、対岸にあるコンゴの首都ブラザビルの間である。

そんな問題は残されているが、現在川渡りの地点として選ばれているのは、マタディの直ぐ下流、ショードロン・ダンフェール（地獄の釜）と呼ばれている地点だ。

ここは川幅が狭いので流れが速く、船乗りにとっては世界切っての難路らしい。

何しろ1秒間に3トンというすごい水の量が、時速20キロで流れており、現場を見ていない人にその迫力は理解できない。

だが橋を架けるに当たっては、川幅が狭いので選ばれやすい。