重慶　午後6時13分　0003

2006/01 - 2006/01

〜0002のつづき〜

■冬の沖縄はどうなのか

ザックにはパスポート、2,000ドル、水着を用意していた。「沖縄のどこかの島から台湾まで船が出ている」ということが頭の中にあったので、出国の可能性もあるわけだ。そして水着。関東地方でぴいぴいと風に吹かれていたが、「沖縄＝海で泳げる」の直結シナプスはワタナベ氏も同じだ。

『ウーグの浜』というきれいな海岸がある。前日、「ウンコしたいんだけど紙持ってない？」とワタナベ氏に聞かれ「ないよ。海の中ですればいいじゃん。水と手のインド式できれいになるよ」と言っていた場所は少し遠いから大丈夫だろう。

「沖縄の海」に初めて浸かってみた。平泳ぎをしていると、波が大きくて身体を持っていかれそうになり危険だ。コバラムビーチで溺れた経験を活かして遊泳をやめた。

全身ずぶ濡れのまま家路（テント路）に着くと、留守番ワタナベ氏の髪も濡れており、お互いに「コイツひとりで泳いだんだな。相変わらずバカだな」と思った。

沖縄の人にとっては「寒くて泳げない」かもしれないが、寒い所から来るとお正月でもじゅうぶん泳げる。大満足だ。

エリア 沖縄

■プチホテルにて

外国の海に近いせいか、海岸の漂着物にハングルや北京語を見掛ける。粟国島の商店にて邦貨10円で売られている『うまい棒』には「5元」と印刷されていた。おそらく台湾のものだろう。シーナ(椎名誠)の「ウ・リーグ」で使用されている浮き玉がいくつも漂着している。現在は作られていないので記念にひとつ持って帰った。

ワタナベ氏が「フロに入りたい」と言い出したのだが、粟国島に温泉や公共浴場はない。テントに一番近いプチホテルで「日帰り入浴」があるか聞いてみた。「ウチではそういうのやっていないのよ。予約が無いと掃除もしていないし、、、明日もしかしたら掃除して入浴できるかもしれないから」と丁寧に断られた。しかしワタナベ氏は言葉のまま受け「明日もう一回聞いてみようぜ」と張り切っていた。

次の日の夜、正月らしくおしるこを作って食べていると、食卓（テント横）に車が近づいてきて停まった。ヘッドライトが明るくて不気味だ。ドアが開き、男がひとり降りてきた。それまでキャンプ生活は平和に過ぎていたが、注意されたり怒られたりするんだろうか。動悸動悸していると男は食卓に近づいてきた。

「きのうウチに来てシャワー使いたいって言ってた、、、」「あ！」と思った。プチホテルのオーナーなのだ。わざわざ「おフロが使えますよ」ということを車に乗って言いに来てくれたのだ。我が家（テント）まで。

「じゃ、ご飯食べ終わったら来な」と言われ、ふたりでタオルを持って行った。結局、お金を払おうとした時にも「いいよ」と言われたので、ありがたく言葉に甘えた。

■アジアの十字路

粟国島からフェリーに乗り那覇へ戻る。国際通りのスターバックスでワタナベ氏とコーヒーを飲んだ。一息ついた後ザックを背負ってその日発の羽田行き格安航空券を探しに席を立ち、ワタナベ氏と別れた。

正月三日を過ぎた那覇は日常の活気を戻し、市場も開き、アジアの賑わいを見せていた。ギターとザックを担いでひとりで歩いているとおばちゃんに声を掛けられる。平和通り。見たような男が歩いている。旅の空の下ではいつだって会えるのだ。ワタナベ氏に声を掛け、サトウキビジュースを飲み、夕飯にタコライスの店を探した。

http://www.geocities.jp/kanaibon/