世界遺産旅行記【３３】カザンラクのトラキア人墓地

2004/02 - 2004/02

　薔薇咲き乱れるブルガリアの春。冬真っ只中に訪れた旅行者がそんな幻想的な光景に出くわす事が出来るはずも無く、凍てつく風に凍えながら訪れた薔薇の谷。

エリア その他の都市(ブルガリア)

　町の地図も無く駅で見つけたタクシーでトラキア人の墓への行き方を聞くがいまいち要領を得ない。
　仕方なく送ってもらうことにしたのだが、町から出て行こうとする。おいおい、トラキア人の墓だと再度説明し、やっとついた目的地は駅からそう離れていない町外れの公園の中。

　ガイドブックには本物は保護の為、内部は見れないと書かれていたので扉が堅く閉められていても気にしない。
　何故ならレプリカが直ぐそばにあるから。

　本物の墓の入り口にて発見した世界遺産の碑。カザンラクのトラキア人の墓は以下の基準で・・・・・、ユネスコのＨＰに記載されている文書がフランス語版しかない・・・・・！！

　レプリカに向けて意気揚々と歩く。扉の前に立ちゆっくりと手を当てる。こ、これは・・・・・。
　近くで遊んでいた小学生に尋ねる。

　「Ето　открыть(ここ開いてるの)？」

　「Закрыть(閉まってるよ)」

　腰から砕け落ち、立ち上がる気力さえない。

　薔薇香るブルガリアのカザンラク。旅行者を嘲笑うかのようにいつまでも吹き荒ぶ冬の寒風が冷たかった。