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色鍋島の深みのある鮮やかな「赤」を可能にした吹屋ベンガラ。<br />日本で初めて、ベンガラの人工生産に成功した街・吹屋を歩いてみました。

紅、鮮やかに

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2006/06/09 - 2006/06/09

6074位(同エリア6710件中)

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VAGABONDさん

色鍋島の深みのある鮮やかな「赤」を可能にした吹屋ベンガラ。
日本で初めて、ベンガラの人工生産に成功した街・吹屋を歩いてみました。

同行者
友人
一人あたり費用
3万円 - 5万円
交通手段
ANAグループ

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  • 備中・高梁を出て、R313、成羽川に沿って進むと、山間に紅殻色をした優美な街並が忽然と現れます。銅山開発とベンガラ製造で栄えた街「吹屋」です。 <br />優しい紅殻色で染められた屋根と壁が、緩やかなカーブに沿って続き、道の両側に、どこか懐かしい街並が形成されていました。

    備中・高梁を出て、R313、成羽川に沿って進むと、山間に紅殻色をした優美な街並が忽然と現れます。銅山開発とベンガラ製造で栄えた街「吹屋」です。
    優しい紅殻色で染められた屋根と壁が、緩やかなカーブに沿って続き、道の両側に、どこか懐かしい街並が形成されていました。

  • 目にも鮮やかな紅殻壁に紅殻の櫺子窓のこの建物は、吹屋郵便局です。ポストが黒塗りの「書状集函」に変身していますが、もちろん現役営業中です。

    目にも鮮やかな紅殻壁に紅殻の櫺子窓のこの建物は、吹屋郵便局です。ポストが黒塗りの「書状集函」に変身していますが、もちろん現役営業中です。

  • ベンガラは古来より重用されてきた赤色顔料ですが、かつては天然鉱物から少量しか取れず、非常に高価なものでした。しかし、1704年ここ備中・吹屋で、近くの銅山から産出された銅の副産物・ローハ(くず鉱のようなものらしい)を主原料に、歴史上初めて人工ベンガラ(吹屋ベンガラ)の製造に成功。豊富な原材料に恵まれ、量産が開始されます。吹屋ベンガラは、深みのある鮮やかな赤色が特徴で、非常に良質であったことから、各地から注文が相次ぎました。ことに有田焼、九谷焼等の陶磁器の色絵付けに重用され、欠かすことのできないものだったと言われています。人工ベンガラ国内唯一の生産地として、吹屋の街は繁栄を欲しいままにしました。現在残る街並は、かつての「ベンガラ長者」達によって築かれたものです。現在、ベンガラの大量生産は環境汚染を理由として中止されていますが、往時の繁栄ぶりは今も各所で偲ぶことができます。

    ベンガラは古来より重用されてきた赤色顔料ですが、かつては天然鉱物から少量しか取れず、非常に高価なものでした。しかし、1704年ここ備中・吹屋で、近くの銅山から産出された銅の副産物・ローハ(くず鉱のようなものらしい)を主原料に、歴史上初めて人工ベンガラ(吹屋ベンガラ)の製造に成功。豊富な原材料に恵まれ、量産が開始されます。吹屋ベンガラは、深みのある鮮やかな赤色が特徴で、非常に良質であったことから、各地から注文が相次ぎました。ことに有田焼、九谷焼等の陶磁器の色絵付けに重用され、欠かすことのできないものだったと言われています。人工ベンガラ国内唯一の生産地として、吹屋の街は繁栄を欲しいままにしました。現在残る街並は、かつての「ベンガラ長者」達によって築かれたものです。現在、ベンガラの大量生産は環境汚染を理由として中止されていますが、往時の繁栄ぶりは今も各所で偲ぶことができます。

  • 妻入の切妻、平入型式の昔ながらの家屋が300mほど、通りの両側に続きます。大半が壁を紅殻色の漆喰で塗り込んだ建物です。格子の色も、少し褪せているものの、殆どが紅殻色。街全体がふうわりと紅色に染まっているような印象を受けました。この地域は岡山県内で初めて、国の「重要伝統的建造物群保存地区」に指定された場所でもあります。文化財として保護されないと、このような場所は存続も危うい状態なのか〜とちょっと複雑な気分にもなります。 ここ吹屋では地域住民の皆様と行政が一緒になって、街並みの保護に頑張っているようです。古い家屋の保存状態や景観との調和はとても良いように思われました。

    妻入の切妻、平入型式の昔ながらの家屋が300mほど、通りの両側に続きます。大半が壁を紅殻色の漆喰で塗り込んだ建物です。格子の色も、少し褪せているものの、殆どが紅殻色。街全体がふうわりと紅色に染まっているような印象を受けました。この地域は岡山県内で初めて、国の「重要伝統的建造物群保存地区」に指定された場所でもあります。文化財として保護されないと、このような場所は存続も危うい状態なのか〜とちょっと複雑な気分にもなります。 ここ吹屋では地域住民の皆様と行政が一緒になって、街並みの保護に頑張っているようです。古い家屋の保存状態や景観との調和はとても良いように思われました。

  • メインストリートのはずれの、少し高い場所にある「山神社」の境内から玉垣越しに町並みを拝見。長い年月の間に建て直した家もあるはずですが、町並みの色調が一様に統一が図られているように見えました。どの家屋も瓦の色は、黒でもなく、山陰地方に多いオレンジの石州瓦でもなく、ちょっとくすんだ不思議な色合いです。紅殻色の壁に良く合っているように思われました。<br />ここ「山神社」は、その名のとおり、かつて吹屋にあった吉岡銅山の神様が祀られてます。吉岡銅山は三菱合資会社の所有だったので、三菱財閥の創始者、岩崎弥太郎が寄進したという玉垣は、見事にスリーダイヤの紋入りです。

    メインストリートのはずれの、少し高い場所にある「山神社」の境内から玉垣越しに町並みを拝見。長い年月の間に建て直した家もあるはずですが、町並みの色調が一様に統一が図られているように見えました。どの家屋も瓦の色は、黒でもなく、山陰地方に多いオレンジの石州瓦でもなく、ちょっとくすんだ不思議な色合いです。紅殻色の壁に良く合っているように思われました。
    ここ「山神社」は、その名のとおり、かつて吹屋にあった吉岡銅山の神様が祀られてます。吉岡銅山は三菱合資会社の所有だったので、三菱財閥の創始者、岩崎弥太郎が寄進したという玉垣は、見事にスリーダイヤの紋入りです。

  • 山神社からの帰り道、雨が激しくなってきたので、古民家の1階にある喫茶店に一時避難。通り雨かと思いきや、店内から格子越しに見える雨の勢いは勢いを増すばかりで、雨粒が路面を激しく叩きつけています。

    山神社からの帰り道、雨が激しくなってきたので、古民家の1階にある喫茶店に一時避難。通り雨かと思いきや、店内から格子越しに見える雨の勢いは勢いを増すばかりで、雨粒が路面を激しく叩きつけています。

  • メインストリートから外れた場所にも、趣ある建物がありました。1909年に建てられた「吹屋小学校」です。外壁上部に剥き出しになっている軸組間の装飾や玄関部分のアーチがちょっと英国風な洋風木造建築。建築年代こそ違いますが、古き良き街並が残るこの地区の風景にしっかりと溶け込んでいるようでした。

    メインストリートから外れた場所にも、趣ある建物がありました。1909年に建てられた「吹屋小学校」です。外壁上部に剥き出しになっている軸組間の装飾や玄関部分のアーチがちょっと英国風な洋風木造建築。建築年代こそ違いますが、古き良き街並が残るこの地区の風景にしっかりと溶け込んでいるようでした。

  • 見学中、どこからか子供の声が聞こえてきました。 <br />幻聴…ではなくて、本物です(笑)授業中だったようですね。この木造校舎は、現在も高梁市立吹屋小学校の校舎として使用されているのです。その証拠に、プールには水が張られ、授業に向けてしっかりスタンバイされてました。 <br />子供達を見守って、ほぼ1世紀。現役木造校舎としては国内最古、なのだそうです。<br />

    見学中、どこからか子供の声が聞こえてきました。
    幻聴…ではなくて、本物です(笑)授業中だったようですね。この木造校舎は、現在も高梁市立吹屋小学校の校舎として使用されているのです。その証拠に、プールには水が張られ、授業に向けてしっかりスタンバイされてました。
    子供達を見守って、ほぼ1世紀。現役木造校舎としては国内最古、なのだそうです。

  • 吹屋小学校からの帰り道、見事に統一された瓦屋根の家々が目に入りました。以前、島根で見たのとは色彩が異なりますが、これも石州瓦なのでしょうか?渋い赤色が綺麗な屋根が、塀の上にも続いていました。

    吹屋小学校からの帰り道、見事に統一された瓦屋根の家々が目に入りました。以前、島根で見たのとは色彩が異なりますが、これも石州瓦なのでしょうか?渋い赤色が綺麗な屋根が、塀の上にも続いていました。

  • 先程、一休みした喫茶店は、吹屋でベンガラ製造に携わった長尾一門の総本家「本長尾家」の1階にありました。1700年代に建てられたという、吹屋で最も古い建築物の一つですが、その隣には、これまた風情ある佇まいの商店がありました。醤油、味噌の販売を行っているお店でした。店を出て2mも歩かないうちに、すぐまた寄り道です。

    先程、一休みした喫茶店は、吹屋でベンガラ製造に携わった長尾一門の総本家「本長尾家」の1階にありました。1700年代に建てられたという、吹屋で最も古い建築物の一つですが、その隣には、これまた風情ある佇まいの商店がありました。醤油、味噌の販売を行っているお店でした。店を出て2mも歩かないうちに、すぐまた寄り道です。

  • これらを購入いたしました。外観はとっくり瓶ですが、中身はお酒ではなくて、お醤油です。 <br />味噌も醤油もお店の後ろにある工場で作っているそうで(両方とも途中まで工程は同じですからね)正真正銘の吹屋産の自家製醤油と味噌。醤油の入っていた化粧箱も勿論、紅殻色。醤油と味噌の下に敷いてあるのは、紅殻染めのコースター(こちらのお店で売ってました)です。

    これらを購入いたしました。外観はとっくり瓶ですが、中身はお酒ではなくて、お醤油です。
    味噌も醤油もお店の後ろにある工場で作っているそうで(両方とも途中まで工程は同じですからね)正真正銘の吹屋産の自家製醤油と味噌。醤油の入っていた化粧箱も勿論、紅殻色。醤油と味噌の下に敷いてあるのは、紅殻染めのコースター(こちらのお店で売ってました)です。

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