1989/07/25 - 1989/08/25
83位(同エリア88件中)
悠悠さん
後で、知った事だが、あまりのアグレッシブな性格ゆえに、カナディアンは他の旅行者から浮いていたみたいで・・。そこに、飛んで火にいる何とやらの如く私が登場したらしい。
彼のカナダでここ数ヶ月生き抜いてきた話を聞きながら私は、彼の風貌からも、年上の人と思い込んでいた。
実際は、私より2こ下の学年だったのだが・・。
私は、彼に今回のカナディアンロッキー訪問の目的を話した。
昔、テレビのCMで、氷河か南極の氷かを丸くして、ロックでウイスキーを飲むシーンを見た。
この近く?で、氷河に手を触れる場所があるらしく、そこの氷で酒が飲みたいんだと・・。カナディアンは、私の提案に同意した。
しかし、この二人、行き当たりばったりの旅をしてきた者で、その後、命にかかわる事件へと、導かれるのは、当然の話だったのだろう。
二人は、早速、次の日、出発することにした。安宿で、車を持っているやつに頼み込み、氷河の近くに下ろしてもらう話をつけた。
その日も、たっぷり酒を飲んで早寝した。
次の日、予定通り、車で氷河近くの場所に下ろしてもらった二人は、観光バスの団体にまぎれて氷河見学。
団体ツアーでないので、全部、自由行動。
危険な場所とかも一切知らない・・。
私とカナディアンは、奥へ奥へと進んだ、少しでも人が踏み入れていない場所の氷で、オンザロックがしたかった、ただそのために・・。私は、何度か足を踏み外し・・危うく、数年後に氷に閉じ込められた標本として発見されかねない状態になるところだった。
何とか、当初の目的を果たした二人は元来た場所まで戻った。既に日は暮れかかっていて、観光バスは一台もなかった。
私達二人は、安宿までの帰りの手段をヒッチハイクに頼っていた。30分が過ぎ、1時間が過ぎた。二人の脳裏に絶望という文字が浮かんでは消えた・・。あれ程、生命力逞しいカナディアンは、鼻水を垂らし、そして、凍り付いていた。
明らかに、もう、ヒッチハイクなんて無理だよと・・。弱音を吐いていた。
私達は、道をひたすら歩いて宿の方向と思われるところへ意識朦朧としながら足を運んだ。
私は、カナディアンの50メートル先を歩いていた。カナディアンは、ヒッチハイクを諦め、プラカードを下げたまま歩いていた。私も、諦めながらも、行き先を書いたダンボール製のプラカードを片手に掲げながら黙々と歩いた・・。
私達は、救われた。
前方、十メートルぐらい先に、車が一台、路肩に止まってくれた。
私は、最後の力を振り絞って、その車まで走った。
『私達を乗せてくれるんですか??』、その車を運転していたのは家族連れのおじさんだった『いいよ、乗りな。』
急いで、後ろをトボトボ歩いているカナディアンに知らせに戻った。彼の意識は朦朧としていて車が止まってくれたのにも気がつかないでいた。
『カナディアン、助かったぞ!!車が止まってくれたんだよ。』
彼は、直ぐには、状況がつかめなかったが、一呼吸おいて、喜び、叫んだ。『本当に、本当に車止まってくれたんだ。』
二人は、今日の事を安宿で思い出していた。
生きて帰れてよかった。カナダの大自然を甘くみていた。
本当に、帰ってこれてよかった・・。
あのまま、夜中中歩いていたら・・何処かで、力尽きてしゃがみこんでしまっていたら・・。諦めないでよかった・・。
二人は、命拾いした事を実感していた。
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