ヴァティカン、スイス衛兵５００年記念祭典

2006/05/03 - 2006/05/07

　スイス衛兵がローマ教皇を護衛して、今年で何と５００年を迎える。その歴史的背景やスイス衛兵についての情報は、話すと長くなるので、今回は割愛する。
　この「スイス衛兵５００年記念祭典(Giubileo 500Anni Guardia Svizzera Pontificia)」は５月６日の「スイス衛兵入隊宣誓式」でクライマックスを迎えた。
　今回は、友人の計らいで、全てのプログラムのフリーパスが手に入ったので、普段は目にすることの無い塀の中のヴァティカンや、スイス衛兵の日常を垣間見ることができた。ヴァティカン市国については、以前の旅行記で紹介しているので、ここではスイス衛兵とイベントに焦点を絞って載せる事にした。
※衛兵の祭典であるにもかかわらず、衛兵達にとっては最も過酷な仕事を強いられた期間であったことを付け加えておこう。

エリア バチカン(バチカン)

祭典の全内容が載っているプログラムの表紙。

祭典の日程表。

５月４日15:00〜17:00 Arrivi "marcia commemorativa
ローマ・ポポロ広場にて、スイスから徒歩でローマに向かった元隊員を迎え入れる。
出迎えは、現スイス衛兵はもちろんのこと、ローマ市警察、イタリア国家警察、イタリア国営軍など様々な分野に至る。

現スイス衛兵の入場、整列が終わる。

広場に設置された席には、普段テレビでしかお目にかかることのない、ローマ市長や近隣の市長夫妻などVIPが勢ぞろい。

向って左に並ぶのが、スイス衛兵OB。
彼らは、４月７日にスイスを出発し、723kmを27日かけて徒歩で移動し、この日、ローマの北の玄関フラミニオ門をくぐり、ポポロ広場に到着した。

スイス衛兵隊長、ローマ市長、よく分からないえらそうな人たちの挨拶やお祝いの言葉のあと、これからスイス衛兵のバンドを先頭に Via del Corso、Via Tomacelli、Castel S.Angeloを経て、VATICANに向かう。

その頃、ヴァティカンでは、広場に設けられた２個の巨大スクリーンで様子を窺いながら、到着を待っている。私は・・・というと、地下鉄で広場に先回り。ごめんなさい、衛兵の皆さん。

サン・ピエトロ広場に到着したスイス衛兵。御苦労さまでした。（余談ですが、この「御苦労さま」という日本独特の言葉は、イタリア語で表現するのはとても困難です）

先頭に立つのが、隊長の Elmar Th Mader。

立ち話・・。ドイツ語でした。

ローマ法王ベネディクトXVIの祝福の言葉を待つこと30分、あちらこちらで、立ち話。紫の帯は最も位の高い枢機卿のしるし。

やっと、法王の間の窓が開き、あたりがざわめく。

旧スイス衛兵到着に祝福の言葉をイタリア語、ドイツ語、フランス語で贈るベネディクトXVI。

でも・・・僕は退屈・・・

平らな床からニョキニョキと盛り上がって、あっという間に客席になる仕組み。

５月５日19:00 Cerimonia ufficiale del Centenario
ヴァティカン内にある法王の間（謁見の間）において行われた、セレモニー。
演奏された曲は、何やら難しくて分からなかったけど、後ろのブロンズの彫刻は圧巻でした。

セレモニーの帰り道。時間は１０時を回っていました。

５月６日09:00 Santa Messa presieduta dal Santo Padre　
ミサで配られた教本。

わぁ〜！人がいっぱい！しくじった！
私、この日は珍しく？寝坊し、友人に「30分前には入りなさい！」と言われていたのに、扉が閉まる寸前に入り・・・というより、閉まっているのを開けさせたような・・・で、かなり後ろでの参拝となってしまったのです・・・。

サン・ピエトロ寺院内にある「ピエタ（ミケランジェロ作）」の横のドアからベネディクトXVIが入場しました。

そして、ベルニーニ作「バルダッキーノ」と呼ばれる大天蓋へと消えてゆく。

約１時間のミサの最中、頑張っていましたスイス衛兵。私の友人は、別の仕事でした。

新入隊員への祝福と500年祭の記念の言葉を述べられ、寺院を去る法王。

そのあとに続く、枢機卿の方々。

最後にスイス衛兵（新入隊員）が続く。

５月６日 16:30 Cerimonia del Giuramento
いよいよ、ジュラメント（入隊宣誓式）の始まり。
これは、言われたとおり、早目に行ったので、前の方に座ることができました。

始まる前は、ロンドンの衛兵による演奏が延々と続きます。

ヨーロッパ各国から、様々な近衛兵やその代表がお祝いに来ていました。

っん？奥に見えるのは、もしや、マルタ騎士団？凄い・・・。

それぞれに、コスチュームにも目が惹かれる。

広場の大スクリーンでは、入場を待つ新入隊員たちの様子が写されている。
例年は、画面に映っている聖ダマソ広場で宣誓式は行われる。

今年入隊する３３名の衛兵の整列が終わる。

40万人の静寂。
隊長の号令に、広場に集まる観客が沈黙する。この光景に、身震いしない者はいないだろう。
（40万というのは、サン・ピエトロ広場に収容できる人数で、この日は、座席が設けられて入場制限されていたため、それほどはいなかったと思うが、制限区域外での観客数は10万人は超えていた。）

新隊員の宣誓。
一人ずつ呼名され、それぞれの出身地の言語（ドイツ語・フランス語・イタリア語）で宣誓する。やはりドイツ語が一番多かった。

随分、訓練を重ねたと思います。
それは、緊張も絶頂でしょう。

衛兵隊付きの司祭がまず最初に宣誓文を読み上げ、それにのっとり新隊員らも一人ずつ前に進み出て、左手を力強く隊旗の柄にかけ、右手は三位一体への信仰を表す３本指を天に向け、教皇と教会への忠誠と奉仕を誓い、神と保護聖人たちの助けを願う伝統の宣誓文を朗々と述べた。

33名の新隊員の宣誓式を終え、広場を一周して退場する。

これぞ「集団の美」
響くのは甲冑がこすれる音と観客の温かい拍手。

【５月７日のおまけ画像】
この日は、スイス衛兵の家族の為に、ヴァティカン市国を開放していた。
ここは、衛兵官舎前の中庭でです。

【５月７日のおまけ画像】
衛兵宿舎から法王の居館へと移動する迷路のような道。

【５月７日のおまけ画像】
奥の扉の向こうは、観光客がよく不動の衛兵の写真を撮っている所。サンピエトロ広場、向かって右側。（セキュリティー検査を終えて寺院に入るときに見える場所）

【５月７日のおまけ画像】
奥に大勢の観光客が見える。

【５月７日のおまけ画像】
この階段を登り詰めた所に、法王の居室があります。さすがにそこには入れません。

【５月７日のおまけ画像】
２階へ上る。ちょっとドキドキ。友人がこの上で働いている・・はず。

【５月７日のおまけ画像】
更に上る。法王の間はもうひとつ上です。

【５月７日のおまけ画像】
友人の計らいで、システィーナ礼拝堂に案内してもらう。
感動です。いつもは、観光客で煩いシスティーナ礼拝堂を独り占め。心配して友人が迎えに来るまで、天井を見つめていました。2,30分はいたのだろうか。

【５月７日のおまけ画像】
友人が教えてくれた、「床のマリア」
大理石の模様が聖母マリアに見えるということで。

【５月７日のおまけ画像】
友人が撮ったので、よくわかりませんが、おそらく法王の間へ続くのでは？

【５月７日のおまけ画像】
廊下の装飾は、美術館なみ。

【５月７日のおまけ画像】
天井には、ヴァティカンの紋章。

【５月７日のおまけ画像】
帰路につく。アーチを右に曲がると、ヴァティカンへの入口のひとつ、Santo Anna門に出る。