2006/03 - 2006/03
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片瀬貴文さん
エーゲの輝【06】新鮮でダイナミックなクレタ芸術
クレタ美術は、それが伝来したと思われるオリエント美術とは、明らかな差が見られる。
オリエント美術が「静」であり「形式主義」的ならば、クレタ美術は「動」であり「自然主義」的なのだ。
オリエント人は自然に畏敬、恐怖、神秘感を抱いた。
それに対してクレタ人は、自然に深い愛情とともに親近感を持ち、人間を自然の一部と見ている。
クレタ島のこじんまりして変化に富む自然が、彼らの自然観を培ったのだろう。
この自然に対する融和的な態度は、後のギリシャ文明に少なからざる影響を与えた。
クレタに残る数々の壁画には、宗教や戦いの場を描いたものはない。
一方人間や動物、植物が多く描かれ、常に新鮮で自由なのだ。
描かれた人間は、じっとしてはいなくて、歩いたり跳ねたり、身をよじりながら会話したりしている。
植物も自然に動的に描かれていて、風に揺れていたりしながら、左右が対称的になっていない。
宮殿の柱は木製であり、壁は木組みと石から出来ていた。
これらの手法は、エジプトから学んだと見られている。
特徴のあるのは、装飾に使われた柱列の柱の形で、木製で赤白黒に塗られた柱は、上が太く下が細い。
このように、エジプトやオリエントの影響が見られるクレタ芸術だが、それなりのはっきりした個性が備わっている。
参考:村田数之亮・衣笠茂著「ギリシア」(河出書房新社 河出文庫 世界の歴史4 1989年初刊)
写真はロードス島の「コスタ・フォルトゥナ」号
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