1999/11/21 - 1999/12/03
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kodeyanさん
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「峠の国境越えは11月30日までみたいだね」
フンザの中心カリマバードの安宿オールド・フンザ・インのオーナーが夕食の席で教えてくれた。
このオーナー、勝新太郎にそっくりなのだ。
この為に滞在を延ばしたチキンカレーを食べながら安堵した。
明日11月21日にここを立とう。
写真はカリマバードのゼロポイント
中国は北京からモンゴル〜ロシア〜リトアニア〜ウクライナ〜トルコ〜シリア〜レバノン〜ヨルダン〜イエメン〜イラン〜パキスタンとかけめぐった旅も、またスタートの中国に戻る時が来た。
-
晴天だった天気もあいにくの曇り空で景観が良くない。
乗合ワゴンに乗りきれない男たちは後部の梯子につかまっている。
鈴なりのワゴンが、フンジュラーブ峠手前の最後の町スストまで岩山の間を進む。
岩肌に白い文字が見えた。
WELCOME TO PASSU in Nov 1987
HAZIR IMAM
イスラムのお偉いさんがパスーに訪問でもしたのだろう。 -
KKH カラコルム・ハイウェイのハイウェイとは、高速ならぬ高所の道という意味だそうだ。
ここスストで標高が約三千メートルある。
スストに1泊しパキスタンを出発する朝のことだった。
ギンギラトラック運転手がチャイとチャパティを油で焼いたパラタをご馳走してくれた。
会ったばかりなのに申し訳ない。
でも運転手は頑なにお金を受け取ってくれないのである。
「いいんだよ、あなたたちはこの国のゲストだから」
パキスタン大好きだよ。
ありがとう。 -
スストのカスタムでの質問
・ビザはどこで取ったのか
・荷物の個数は
そして
「銃を持っているか?」
フンザの夏はグレートだよ、今度は夏においで
そういって送り出してくれたカスタムの役人さんたちであった。
写真はスストを出て10分後のKKH カラコルム・ハイウェイ
白黒加工しているわけではない。
これからモノトーンの世界に入っていくのである。 -
NATCOのワゴン車はスストからタシュクルガンまで24ドルと安かった。
乗客は6名で同乗者4名はパキスタンの工芸品をカシュガルやトルファンの市場で売り、帰路は中国の物産を運ぶ国際ビジネスマンだった。
若山富三郎に似たおじさんがボスのようなので「親分」と呼ぶことにした。
写真はスストを出て15分後の風景
これから一気に千メートルを上がってゆく。
標高が四千メートル近くなってくると、親分たちはチャパティと牛乳パックに入れたカレーを食べる用意を始めた。
これからが峠だから今のうちに食べておきなさい、
そう優しく声をかけてくれた。
迂闊だった、食事のことなど忘れていたなんて。
冷たいカレーがとても暖かく感じて胸が熱くなった。 -
雪道を走る。
山の滝は凍り、氷柱になっていた。
五千メートル近い峠が近づいてきた。
急に息が出来なくなる。
呼吸の仕方がどうしても思い出せない。
脳が金縛りにあったのだろうか。
そうだ、水だ。
水を飲めばいいと聞いたことがある。
ペットボトルの水を少し口に含み飲みこんだ。
呼吸は鼻から肺に吸い込むことを思いだした。
前の席のジョージハリスンそっくりの子分が黒砂糖を手で割りわたしの掌に載せてくれた。
「もう少しで峠だよ、落ち着くからこれを食べなさい」
黒砂糖を食べたらもうパニックはおこさなかった。
写真は五千メートル近いフンジュラーブ峠
中パ国境の石碑は雪に埋もれていたのだろう、見ることができなかった。
窓の隙間から粉雪が容赦なく入りこみ車内で舞っていた。 -
中国側に入り下ってゆくとヤクが現れた。
少しすると駱駝、羊が現れさらに下ると雪は消えた。
牛の群れをすぎると、文化大革命の名残か収容所のような廃墟があった。
夕方5時前にタシュクルガンのイミグレーションに着いた。
横柄を絵に描いたような中国人役人がパスポートを回収し、車は門のなかへ入っていった。
イミグレはクローズなので写真の「紅其拉甫口岸賓館」に強制的に泊まらされる。
親分が茶色いボストンバックを役人に見せている。
中国語でホテル持込の許可をお願いしているようだ。
中国人役人はどうしたか
バッグを床にポンと落とすと足蹴りにしやがった。
それでも親分は食い下がる。
しぶしぶ食物だけ許可がでたのだった。
翌日のイミグレでは荷物検査でパキスタンの工芸品を若造役人が蹴って遊んでいた。
腹が立つなあ。
ニコニコ笑って「アホ」といってやれば良かった。 -
写真はタシュクルガンからカシュガルに向かうバスである。
乗客は他に20代の中国人女性2名だけで寂しいものだった。
エンジントラブルで運転手は修理に時間をかけている。
待っている間トイレに行きたくなり紙に「便所」と書いて見せた。
すると泉ピン子似の女性が大声で笑い出した。
そんなに変な言葉なのだろうか?
この泉ピン子似のピン子が乗車後とんでもない事件?!をおこすことになる。
これから先気分のすぐれない方は、一つ飛ばして白いホテルの写真にお進みください。 -
バスのなかは、暖房の鉄パイプにビニールがくっついて溶けた匂いがした。
嫌な予感である。
中巴公路は大きな石がゴロゴロ道路上に落ちている。
クレーターのように落ち窪んだところもあり、バスでなければ車の天井に頭をぶつけていただろう。
上下左右、振り子のように揺られ続けていた。
そして最前列のピン子がとうとう座席横の通路にゲロを吐きだしたのである。
遠慮という言葉はピン子の脳内辞書には無いようだ。
日本人ならスーパーのポリ袋に紙袋でもかぶせてもどすだろうに。
ピン子のゲロは止まらない。
通路は勘弁してほしかった。
運転手が悪路を注意深く運転しながらピン子になにやら声をかけた。
するとピン子は運転席の後ろの席に移動した。
窓を開けようとするがなかなか開かない。
ピン子頑張れ!早く開けるんだ!
やっと親指一本ぶん窓が開く。
やった〜
しかし時すでに遅し・・
ピン子はガラス窓に向かってゲロを発射し、返りゲロを顔面に浴びていたのであった。
写真はカシュガルに向かうバスからの車窓
カラクリ湖あたりだが湖面は凍っていた。 -
バスがカシュガルの其尼瓦克賓館(チーニーワークー)に着いたのは夜11時近かった。
トラックをチャーターした親分一行は、小さい引越しくらいある荷物を車から下ろしているところだった。
運ぶのを手伝っていたら深夜になっていた。
写真は其尼瓦克賓館の正面
1ベッド20元 260円のドミトリーは快適だった。 -
ホテルの前に朝日新聞、テレビ朝日と書いてある車があった。
カシュガル〜トルファン間、千四百キロメートルを超える南彊鉄道全線開通が12月6日という話しだった。
それに合わせてシルクロードの取材に来ていたのかもしれない。 -
さて、カシュガルの市場と屋台めぐり開始〜
ホテルを出ると朝からヤミ両替屋が次々声をかけてくる。
レートの比較材料がないのでやめておく。
写真は中国銀行裏の屋台街
今もあるのだろうか?! -
これはラグメンというイスラム風塩味うどん
3元 50円
日本人の口にも合うのである。 -
バザールでござーる(古)
市場が一番!
昨日運ぶのを手伝った商品がバザールに並ぶと思うとうれしくなる。
バザールのなかで親分も元気に仕事に励んでいた。 -
職人街は魅力いっぱいなのだ。
ここはロクロをまわしポプラの木を加工する木工屋さん -
さらに行くとカンカン、コンコン、金属を小槌で叩く音が聞こえてくる。
金物街のようだ。
ここは金ピカ衣装箱屋さん。
日本でいうと長持みたいなもので、娘が嫁ぐときに嫁入道具一式を入れてもたせるんですって。
実演と販売を兼ねるカシュガルのバザールは、おもしろくて楽しい。 -
子供はやっぱり父親の背中を見て育つんだね。
-
こちらは青空市場のハミウリ屋台
寒空の下ぶるぶる震えながらの立ち食いとなった。
ハミウリはメロンみたいな味がする、うまい! -
カシュガルからトルファンまで南彊鉄道全線開通が2週間後だったのでクチャ(庫車)まで寝台バスを利用することにした。
この寝台バスがひとくせあったのである。
満席でも途中で一般客も乗せるのだ。
出入口に一番近いダンナちゃんの寝台が座席代わりに利用されてしまった。
若い女が尻でぐいぐいダンナちゃんを端に追いやり、どっかり座りこむ。
このずうずうしい女は、夜中1時すぎに乗車し5時前に下車していった。
写真は朝飯休憩で寄った食堂
ここで羊肉入りピラフを食す。
トルファンからクチャまで寝台バスで19時間かかるのだ。
中国は広い。 -
クチャの宿はバスターミナルに近い交通賓館にした。
ダブル60元 800円。
クチャで見逃せないのが金曜市!
写真の団結新橋周辺で金曜日に大バザールが行なわれる。 -
河原を埋めつくすロバ集団!
商いされるのはロバ車に馬である。
シルクロードの雰囲気がムンムンと漂ってきた。 -
写真は団結新橋近くの市場
この市場で意外なものをみつけた。
黄色い麺に甘酸っぱい醤油たれ、そう日本の冷やし中華みたいなものだった。
さっぱりして、うまかった。
クチャでも忘れられない出来事があった。
交通賓館近くの香*味餐館(*は几のなかにメ)で夕食を食べたあとのことだ。
隣りのおじさんの食べているものが、やけにうまそうで気になる。
今後新しく訪れる町でも注文できるよう筆談で店のおやじさんとやりとりしていたら、何分かして目の前のテーブルにピーマン、タマネギ、唐辛子の炒め物が現れた。
隣りのおじさんが、そんなに気に入ったのならあんたらも食べてみな〜
そんな感じで注文してくれたのだった。
地元の大衆食堂は、こんなふれあいが魅力だったりする。
若い女に辟易していたが、おじさんに癒された夜だった。
この翌日、クチャ駅で怒涛のようなチケット争奪戦の修羅場をかいくぐり、南彊鉄道でトルファンに向かうことができた。やれやれ。 -
トルファンで行ってみたかったのが、ここ交河故城。
大地を掘った彫刻都市というのがすごい。 -
河が交わる間の南北1キロメートル、東西広い所で300メートルの細長い台地に上にある。
断崖の高さは30メートルで天然の城塞である。 -
地層の縞模様が地面を掘りこんだ証しだ。
上に積み上げていくのではなく、掘るという発想に感心してしまうのだった。 -
北に宮殿、なかほどに官庁、南に住居があり七千人が住んでいたそうだ。
350メートルの大通りが南北に走っている。 -
トルファン駅で成都までの切符を買おうと思ったら甘かった。
2枚しかない当日販売に200人以上の人が並んでいるとは!
それでも一応列に並んでいると前方に日本人夫婦をみつけた。
話を聞くと、開通間近いカシュガルまで南彊鉄道に乗車するために来たという。
世の中すごい人がいるもんだ。
結局、宝鶏までだがCITSでチケットが買えた。
写真は、車次344 西安行き硬臥のようす -
嘉峪関〜酒泉間の車窓
右手に祁連山脈、左手にはバダインジャラン砂漠が広がる。 -
嘉峪関近くの万里の長城が車窓から眺めることができた。
-
お昼に宝鶏駅に着いた。
駅前をぶらぶらして、きのこ山盛り三鮮砂鍋なるものをみつけた。 -
宝鶏飯店一階のケンタッキーでみつけた優秀社員の写真
写真屋さんがスポンサーなのね。
みなさんお得意のポーズできまってるね^^ -
宝鶏では成都までの寝台券が取れなかった。
それでも硬座の切符は手に入ったので乗車してみたものの・・これがすごい!
通路まで立錐の余地もないのである。
散乱したゴミ箱の上にも人が座りこみ、青い顔でトイレにかけこむ女性は今にも倒れそうだ。
この状態で夜を明かしたら、気が狂うと思った。
一時間で限界がきた。
「降りる〜〜〜〜」
人をかき分け、押しのけ、タックルにもくじけず、どこやも知れぬ駅で下車した。
さて、どうするか。夜もたっぷり更けている。
一番偉そうな車掌さんに直談判してみるか。
しばらくして列車が入線し、軟臥から出てきた車掌さんが一番偉そうだった。
中年の女性で、この人も泉ピン子に似ていた。
筆談で食い下がると、軟臥確保に成功!やれやれ。
写真はピン子車掌さまのお陰でとれた軟臥のようす
軟臥料70元 手数料10元 成*費18元(*は」を45度右に倒したような一字)
成*費ってなんだろう? -
成都に着き、ローカルバスに乗ったときのこと。
「シーシー、シー、シー」という声がする。
振り向くと、股割れズボンをはいた子供の両足を抱え、体育座りの母親がバスの車内でおしっこをさせようとしていた。
それもよりによって、わたしの黒いバックパックが標的にされている。
所さんじゃないけど目がテンである。
子供は気分じゃないみたいで出なかったから良かったけど、危なかった。
今はそんな光景も見ることないと思うけど?!
写真は、本場の麻婆豆腐
超激辛で舌が痺れた。
豚の角煮は、味噌味でうまかった。
これで8元 100円と、おなかも懐も大喜びなのだ。
★21は中国人ご一行さまと3泊4日九寨溝ツアーの予定だよ
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この旅行記へのコメント (2)
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- スーポンドイツさん 2009/06/10 11:13:09
- はじめまして♪
- kodeyanさん、時々拝見しておりますが、コメントは初めてかな?ということではじめましてm(__)m
中国の火車旅行のタイヘンさは「愚か者、中国を行く」という本で面白おかしく読んだことがあります。決してkodeyanさんが愚か者というのではありませんが、ひょっとして作者?と思ったほどです。
バスも列車も過酷です!
シルクロードってテレビの映像やバックに流れる音楽から、つい夢見るムードになりがちですが、いろいろ厳しいんですねぇ。
バートンさんのお知り合いの方々って皆さん勇敢だわ〜(^_^)v
すーぽん
- kodeyanさん からの返信 2009/06/11 08:48:48
- RE: はじめまして♪
- すーぽんさん こんにちは
はじめまして、という感じはしないのですが、はじめまして<(_ _)>
古い旅行記を見ていただき恐縮です。
投票も頂いたようでありがとうございます。
中国は火車もバスも楽しく?! また過酷ですね。
今から思い出しても、一生忘れられない出来事がありましたもんねぇ。
この前も、元陽行きの寝台バスで知らないおっさんと
枕を並べて寝るところでしたし(滝汗)
シルクロードもだいぶ変わってきているんじゃないかと思います。
素朴な感じが薄れてきているんじゃないかと・・
> バートンさんのお知り合いの方々って皆さん勇敢だわ〜(^_^)v
一部では「秘境系」といわれているみたいです(笑)
でも皆さんガッツも好奇心もあってスゴイですよね。
メッセージありがとうございました!
ではでは☆彡
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