2003/09 - 2003/09
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captainkojiさん
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アンマンの宿で偶然の再会があった。イスタンブールの宿“Tree of Life”で一緒だったキEとS君だ。キEがプチ沈没している所に俺がチェックインし、その数時間後にはS君がやって来たのだ。
キEは、まさに野人のような男。南米のスペシャリスト。アマゾンでピラニアを釣って食っていたという奴だ。本名はキヨハルというのだが、“Tree of Life”の宿帳に自分の名前を間違えて、“キEハル”と書いてしまった為にキEというあだ名が付いた。まだ文字というものに慣れていなかったらしい。ちなみに、前の職業は“キコリ”。“キコリ”という名前の職業が、まだ日本にあるとは知らなかった。
S君は中学生に時々間違われる程子供っぽい(見た目も中身も)25歳。東京育ち、ロンドンワーホリ帰りの自称シティーボーイだ。やはり“Tree of Life”で、ある日Tシャツを裏返しに着ていて、背中にタグのサイズ表記“S”とあった為、S君というあだ名になった。
アンマンからしばらくの間、この二人が俺の旅のパートナーになる。
ヨルダンとイスラエルの間にある死海。地球上で最も標高が低い地点である。細かい理由は知らないが、海水の塩分がとてつもなく高い。だからどんな生物も存在しない。死海“Dead sea”という恐ろしい名前はそこから来ている。
だが、そんな名前とは裏腹に、死海の対岸にはイスラエルの山々が連なり、海面に波は全くなく、とても美しい風景だった。塩分が高いと浮力が増す。これが本当に面白い。水に入ると明らかに強い浮力を感じ、体がプカプカ浮くのである。
S君を水中に沈めてから、ロケット発射してみようという事になり、俺とキEでS君を水中に押さえ込み、一気に放した。さすがに発射とまではいかなかったが、塩水が目、鼻の穴、唇、虫刺されの跡などに染みまくったようで大騒ぎしていた。
死海の塩ともう一つ有名な物に、死海の泥がある。日本のデパートなどでも高値で売られている。あるポイントでは、海底に手を突っ込むと採る事が出来る。三人で泥パック大会をした。S君には特別におっぱいを作った。やわらか具合と揺れ具合が妙にリアルだった。
死海を出てからは、すぐ近くにあった天然温泉に浸かってから、アンマンに戻った。帰りのバスの中、泥パックのおかげでツルツルになった肌を「気持ちいい、気持ちいい」と言ってずっと触っていた。
アンマンを出て俺達が向かったのはぺトラだ。ぺトラ遺跡は岩石を削って作った巨大な神殿が二つあり、そのうちの一つのエド・ハズネは、インディー・ジョーンズのロケで使われた事でも有名だ。写真を見ただけでもかなり格好いい。
俺達は、その神殿に太陽の光が射す時間を狙って遺跡に向かった。遺跡の入り口からは大きな切り立った岸壁に挟まれたシークという細い道が始まる。ここ30分程歩いたらエド・ディルがある。
もうそろそろという頃、俺達はインディー・ジョーンズのテーマ曲を歌って行進しながら気分を高めていった。「パーンパラッパーン、パーパラー、パーンパラッパーン、パーパラーパーパー、パーンパラッパーン、パーパラー、パーパラーパッパラーパッパラーパッパラー・・・」すると突然、シークの岩と岩の間からエド・ディルが姿を現した。デカイ!スゴイ!まじでカッコイイ。カッコイイという表現がぴったりの遺跡もなかなかない。
エド・ハズネの後にお決まりのローマ遺跡(円柱だの円形劇場だの)が続くのだが、それよりも所々にある岩を削って出来た住居跡や色とりどりに何層も重なった岩などが興味深い。
1時間半ほど山を登り、頂上に着いた。そこにはエド・ハズネよりもさらに大きいエド・ディル神殿がある。山と一体化した神殿は威厳さえ感じる。そして、そこからの眺めがまた素晴らしい。岩のはげ山も連なると、こんなに美しくなるものか。これは夕陽コレクターズの俺達が逃すわけには行かない。だが、そこで夕陽を見てからでは、帰りが真っ暗になって危険なので、エド・ハズネ近くの山に登り直す事にした。
その山の頂上へは何度も迷いながらも、途中ロバに乗ったベドウィンの少年に道案内してもらったりして、なんとかぎりぎり日没に頂上に着く事が出来た。岩山に沈む夕陽を堪能した後、山を下りて帰る時にハプニングが起きた。
俺達が動く時は、大抵バツグンの嗅覚で方向を嗅ぎ分ける“野人”キEが先頭を歩く。だがこの時、野人の嗅覚が鈍り、道に迷ってしまったのだ。
太陽はすっかり沈み、辺りはどんどん暗くなっていく。いつの間にか、頼りにしていた足跡は見当たらなくなり、どこを見ても同じような景色で方角さえ分からない。野人のくせに目だけは悪いキEは、斜面で足を踏み外して、足を捻挫してしまった。S君はすっかり怯えて、今にも泣きだしそうである。ひょっとして遭難?帰れない?そんな!宿では晩飯を予約してあるのに!とそんな状況にも関わらず小さな心配をしていた俺達は、さまよい歩いた末になんとか帰り道を発見し、シークまで戻る事が出来た。
シークでは小さなペンライト1つで三人の足元を照らし、ラクダの糞を避けながら歩いていたのだが、ふと上を見上げると、岩と岩の間の細い空には無数の星が!岩は暗くて全く見えない為、まるで空に光の道があるかのようだった。
宿に帰り着いた頃には、飯の時間はすっかり過ぎていたのだが、ビュッフェのメインディッシュであったチキンを、帰りの遅い俺達の為に宿の兄ちゃんが三つ取っておいてくれていた。その優しさが身に染みた。
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