この国は、われわれにとって、比較的耳新しい。<br />ベルギー領コンゴが１９６０年（昭和３５年）、コンゴ共和国として独立、１９７１年（昭和４６年）に国名を、ザイール共和国と改めた。<br />（さらに１９９７年、コンゴ民主主義共和国と改められている）<br /><br />紛らわしいことに、コンゴという国はもうひとつあって、ザイールの北、ザイール河を挟んで国境を接する旧フランス領コンゴも、コンゴ共和国と称している。<br /><br />ザイールの住民は、主な部族80あまり、細かく分ければ200あまりと言われている。<br />一方ザイール河口近くに住むバ・コンゴ族は、同じ部族でありながら、アンゴラ、ザイール、コンゴの三国にまたがって住んでいる。<br /><br />言葉にしても、国内に国語を五つ持ちながら、青の一つであるスワヒリ語などは、他国の多くの地域でも使われている。<br /><br />私の滞在前後に発生した八十日戦役（1977年　昭和52年）、シャバ戦役（1978年　昭和53年）、その後の内戦など、一国一文化一民族のわれわれにとって、なかなか理解できにくい面が、少なくない。<br /><br />そのような事態になっている原因は、彼らの文化を無視して、自分たちの都合で勝手に地図上で国境線を引いた、ヨーロッパ人のためである。<br /><br />さらに、交通通信手段の遅れが、国内の文化交流難に輪をかけている。<br />その結果、国民の連帯意識が生まれにくく、いわんや愛国心を育むには、非常なエネルギーを要するだろう。<br />

ｷﾝｼｬｻ日記 121 ザイール共和国（現在コンゴ民主主義共和国と改名）

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1975/01/04 - 1975/01/04

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#美術館・博物館

片瀬貴文さん

この国は、われわれにとって、比較的耳新しい。
ベルギー領コンゴが１９６０年（昭和３５年）、コンゴ共和国として独立、１９７１年（昭和４６年）に国名を、ザイール共和国と改めた。
（さらに１９９７年、コンゴ民主主義共和国と改められている）

紛らわしいことに、コンゴという国はもうひとつあって、ザイールの北、ザイール河を挟んで国境を接する旧フランス領コンゴも、コンゴ共和国と称している。

ザイールの住民は、主な部族80あまり、細かく分ければ200あまりと言われている。
一方ザイール河口近くに住むバ・コンゴ族は、同じ部族でありながら、アンゴラ、ザイール、コンゴの三国にまたがって住んでいる。

言葉にしても、国内に国語を五つ持ちながら、青の一つであるスワヒリ語などは、他国の多くの地域でも使われている。

私の滞在前後に発生した八十日戦役（1977年　昭和52年）、シャバ戦役（1978年　昭和53年）、その後の内戦など、一国一文化一民族のわれわれにとって、なかなか理解できにくい面が、少なくない。

そのような事態になっている原因は、彼らの文化を無視して、自分たちの都合で勝手に地図上で国境線を引いた、ヨーロッパ人のためである。

さらに、交通通信手段の遅れが、国内の文化交流難に輪をかけている。
その結果、国民の連帯意識が生まれにくく、いわんや愛国心を育むには、非常なエネルギーを要するだろう。