2005/05/21 - 2005/05/22
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Wasabiさん
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上海から電車に乗って1時間で無錫へ、そこから車で1時間ほどで「宜興」という街に着きます。ここは昔から茶壺(中国語でチャーフー、日本で言う急須)で有名な場所です。
ここで取れる紫砂(ズサ)と呼ばれる土はお茶を入れる急須を作るのに適しているといわれ、昔からここで取れる紫砂を使って作る茶壷は有名でした。
90年代には台湾で宜興茶壷の大ブームがあり、茶壺一つ1500万円の値段がついたとさえ言われます。(アンティーク物でしょうが)今はそのブームも去り、落ち着いていますが、それでも今でも茶壷の故郷として有名です。
ここを訪れるのは去年に続いて2回目ですが、今回は事前に茶壷の作家さんにコンタクトをとり、何人かの作家さんを訪ねさせていただきました。
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上海駅から無錫まで電車で55分。
今回乗った電車は中国内最高品質という車両だったので、中も綺麗だし、時間もとても早いのです。
今回は軟座をゲット出来たので快適な旅のスタートとなりました。
朝8時30分に上海火車駅を出発して9時25分無錫に到着。 -
無錫からはタクシーで宜興丁蜀鎮丁山へ。
去年は無かった無錫−宜興間の高速道路が完成していて一気に便利になりました。錫宜高速を使って一路丁山へ。
着いてすぐに紫砂工場第二工場へ。この工場噂に聞いていた通りなんだか廃れてしまっています。いまや作家さんは自宅やその他アトリエで製作するようになってきていて、工場は量産品をラインで作るというだけの場所となっているようです。
それでも型抜きではなく、薄く延ばした紫砂の板状のものを叩いて茶壺の形に作っていくという製作工程を経て茶壷が出来上がっているようでした。
製作の様子に着いては去年見学したので今回は詳しく見ませんでした。 -
写真は呉扣華さん(工芸美術師)と奥様(范晨霞さん−この方も作家さん)のおうちでお茶をいただきながらお話を伺ったときのもの。
今回宜興を訪れるにあたり、好きな作家さんに直接お会いしたい、という思いがありました。HPで色々調べるうちに周其伸さんという方の作品がとても誠実な印象を受け、是非周さんにお会いしたい、と直接電話をしてみました。するとマネージャーさんらしき人が電話に出て、お会いできるとのお話を伺い、宜興に着いたら連絡するように段取りをしました。
今、宜興の作家さんたちは職称により国の認定する大師級の方から工芸員に至るまで様々な階層に分かれています。大師級の方になるとその作品は値段がつけられないともいわれます。工場に籍を置きその中のスペースで作品作りをしていた頃とは違い、今は個人が自宅やプライベートなアトリエで製作する様に様変わりしてきているため、何人かの作家さんにマネージャーさんがつき、その方を通してコンタクトを取ったり、作品を売ったり、ということになってきているようです。私が電話でお話をしたのもそういうマネージャーさんの一人のようでした。
第二工場を見学した後改めてマネージャーさんに電話。「周さんは今日は上海で会議のため夕方にならないと戻らない。その前に他の作家さんの所に案内します。」と言ってくださり、工場まで迎えに来てくれました。実はそこまで車を運転してきてくれた人が呉さん。そこから呉さんの高級車にのってご自宅まで伺いました。
呉さんの作品、奥様の范さんの作品などを見せていただき、実際にそれを使ってお茶を入れて下さいました。また、その他のお茶の道具も自分達で手作りされたものを使われていて、とても素敵なものばかり。「これは売るために作ってはいないんですよね?」と聞くと「そうですね、自分たちが使うためにつくってますから、、」というお返事。羨ましい限りです。
製作中の作品を見せていただいたり、お茶について色々話をしたりして(アトリエを見せてください、と言ったら散らかってるから駄目と言われてしまいました)1時間ぐらいで失礼しました。 -
呉さんのおうちに伺った後、呉さんの運転で作家さんたちの集まる地域(ここはまだ肩書きがつかない方たちが多く集まる場所のようでした)に連れて行っていただきました。
マネージャーさんが事務所を構えているのがここで、その近くにある焼き物を焼く「釜」を見学させていただき、焼きあがるまでの流れを説明してくださいました。(デジカメ写真なし)
また、途中で「軒芸汲」という名前で活躍していらっしゃる王杏軍さん(工芸美術師)、馮菊英さん(工芸美術師)ご夫妻のアトリエに寄らせていただきました。制作の様子と作品を見せていただき、ここでもご夫妻の作られた茶壺でこの地方で作られている宜興の紅茶をごちそうになりました。作品は大体1つ1000元ぐらい、ということでした。
そしてその後、上海から帰ってきた周さんに対面。感激の握手。午後7時半過ぎだったため、まずは夕飯に行きましょう、ということになり出かけました。写真は4人で食事中の図。 -
茶壺を訪ねての旅なんですが、いきなりいつもの食いしん坊の旅モードに入った私達。
宜興は太湖に面した場所で、ここでは「太湖三白」と呼ばれる太湖の恵みが有名です。一つ目がこの白蝦。太湖から1キロ以上離れるともう味が落ちる、と言われているため、本当に太湖の湖畔でないと美味しいものが食べられないとのこと。
このレストランは太湖から500mだそうです。
上海で食べるとどうしても臭みのある蝦ですが、臭みも無く、しっとりしていてとても美味しかったです。 -
太湖三白の2番目。銀魚。
白魚ですが、上海で食べるものはもっと大きくて、身がぼろぼろになってしまいます。ここのものは小ぶりで身も程よく歯ごたえがあり美味しい!!
味付けもピリ辛風味でいくらでも食べられてしまうお味でした。 -
太湖三白の最後の一つはその名も「白魚」。
新鮮だからこそ出来る、ほとんど生に近い蒸具合。上海に居ると臭みが気になる魚料理も殆ど臭みもなく、身も柔らかで上品でした。とろ〜っとした食感は日本人好みだと思います。
でも、これも太湖に近いからこそ出来る料理。ここに行かないと味わえませんね。
周さんと范さん(マネージャーさん)は「頭と尾が一番美味しいから、食べなさい」と頭を主人のお皿に、尾を私のお皿に載せてくれました。夫は魚の頭を食べるのが大好きなので、綺麗に平らげていました。私も尾の部分を食べました。美味しかった〜。 -
地鶏を使った卵焼き。
地元のお二人の超お薦めでした。確かに美味しい。ちょっと天津丼という感じでしょうか。
とりたての卵だから味が違うんだ、上海で食べるものとは違うでしょ、と盛んに話していました。
おいしかったよ! -
これも太湖の恵み。名前は「昴刺魚」というそうです。
それにしても上海に住み始めて以来、こんなにたくさん海の幸(湖の幸?)を食べたのは初めて。川魚は臭いし、蝦も美味しくないし、魚好きの私も覚悟を決めて脱魚食生活を送っていました。
でも上海から3時間の所でも、こんな食生活を送っている人たちも居るのね、と正直驚きました。
この魚は小さいカサゴのような感じで、周さん曰く頭の頬のところの肉が一番美味しいいそう。これも二人に取り分けてくれて私達は一つずつ食べました。筋肉質の歯ごたえのある食感で確かに美味でした。
臭みもなく美味しいお魚でこれも新たな発見でした。 -
本日の晩餐なり〜。
いっぱい食べました。ごちそうさま〜。 -
食事の後、周さんのお宅にお邪魔させていただきました。奥様とワンちゃんにお出迎えいただき、入口にあるスペースでお茶をいただきながら(もちろんお茶を淹れるのは周さんの作った茶壺!)お話をさせていただきました。
写真は、周さんが集めている昔の茶壷の破片たち。家建て替えや道路の工事などがあるたびに現場で拾い集め、研究されているそうです。
100倍に拡大できる虫眼鏡を使って使われている土を観察したり、その当時のデザインや創り方などを研究しているとのことでした。このような作業から、当時使っていた道具が創造できたり、今の創り方との違いを知ることが出来たりするそうです。
写真に写っているんのは嘴の部分。単穴のものと茶漉しのような工夫がされているものがあります。 -
熱心に語る周さん。
本当に茶壺や土が好きなんだな、と実感しました。 -
これは蓋についているツマミの部分。
とても古いもののようです。
とても綺麗だったので周さんに「このデザインを再現した作品はありますか?」と聞いたら「まだ作ったことはないけれど、やってみたいね」と言ってました。
出来上がったら是非欲しいなあ。 -
とても見難いですが、「明」という字が入ったかけらです。
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茶壷のふたに犬のようなデザインのものが載っています。
こんなに大きいつまみがついているのはバランス的にはどうなんでしょうか? -
茶壷を作るための原料になる土。(というか石のように硬いものです)
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手に載っている黄色い茶壺を作るために使う土は指先に乗っている青い色をした土だそう。
焼くことでこんなに色が変化するなんてすごく不思議。 -
左にある朱色の茶壷を作るときの土。
これはとても黄色い。
焼く時の温度によっても微妙に色合いや肌の感じが変わります。 -
本物の土を使った茶壷は使えば使うほどその風格が増し、輝きが出てきます。化学的なものを足したり、ちゃんとした土を使っている分量が少なかったりすると(つまり混ぜ物が多いと)紫砂独特の輝きが出てきません。
写真の茶壷は2つとも周さんの作品ですが。右が新品、左は右の茶壷と同じ材料を使ったもので実際に使っているもの。これほど違ってくるんです。
お茶を淹れ、またその茶液を筆で茶壷に塗り、磨いて、ということを繰り返すことを「養壺」(ヤンフー)と言い、紫砂の茶壷を持つ人たちの間では常識となっています。こうして自分のお気に入りの茶壷が育っていくのは何にも換えがたい喜びです。 -
周さんのお家の茶海(お茶を淹れる時に下に敷いている道具)の上には茶壺、茶杯(これも周さんの手作りのコップ)がずらり。自分で作ったものでお茶を飲むなんてなんてしあわせなんでしょうね。
周さんはとても土にこだわっているので「そのまま食べても大丈夫な土しか使わない」との事。今は金属など色々と混ぜ物をして色を出したり、化学染料をいれて色をつけたりするそうです。周さんの奥様は作家さんではありませんが、宜興で土を作るお家に生まれ育ったとのこと。こだわりの土から周さんが作品作りをされるのも納得です。
今回訪ねた作家さんの家では皆さん自分で作ったものを使ってお茶を飲まれていました。自然のものしか使わない、ということがこういうことから明らかで、実際にお顔を拝見して作品を分けていただくのはとても幸せなことだな、と思いました。 -
私が周さんの作品に惹かれた理由の一つに水平壺の美しさがありました。
水平壺は水に浮かせると船のように浮きます。でも本当に正確に作られていないものは水に入れても「くるっ」とひっくり返ってしまいちゃんと浮きません。
周さんの作る水平壺が好きだというと周さんは奥さんに水を張った洗面器を用意させ、自分の水平壺を浮かせて見せてくれました。大小2つともちゃんと船のように浮かびます。特に大きいほうの水平壺はぴたりと水平を保ちました。感動。
こうして見せてくれるのは自信があるからですよね。
益々ファンになってしまいます。 -
水平壺ではないデザインのものを同じように洗面器に浮かせて見せてくれた周さん。
あら、あら。やはりブクブクと泡を出しながら水の中に沈んでしまいました。
2つの水平壺は相変わらずプカプカ浮いています。
さすが。 -
周さんの作品の中から気に入ったものをいくつか選ばせていただき、水の出方などを一緒にチェックさせていただきました。
水の出方がスムーズか、出てきた水の放物線が長く綺麗か、ふたの閉まり具合はどうか(ふたにある穴を押さえるだけでぴたりと水流が止まります。)などが基本のチェック項目。実際自分で持ってみて持ちやすいかどうかも重要です。お茶を淹れる時に使いにくいのではどうしようもありませんからね。 -
自ら水流をチェックしてくれる周さん。
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お買い上げした茶壷を手に周さんと一緒にパチリ。
あ〜、うれしい。二人とも満面の笑み。 -
前日の興奮冷めやらぬまま迎えた2日目。
今日は陶磁博物館の入口にある作家さんのアトリエの集まったところを一つ一つ訪ね、お手ごろ価格の茶壷を10個ほど購入。一人ひとり作家さんとお話をし、一緒に写真も撮っていただきました。(ここでは割愛)
茶壷を飾るにあたって結構重要なのが茶壷を置く台。本当は紅木で作られたものが一番良いのですが、今紅木で作られたものは殆ど無い状態。なので、黒檀や鶏翅木で作られた様々な形の台を購入しました。
去年ここに来た時にこのお店でいくつかの台を買ったのですが「まあ、上海にも同じようなお店があるだろう」と数個しか購入しませんでした。しかし、上海で探してみるとあることはあるけれど、品物もあまり良くないし、非常に高い。なので、今回はこれらを買うことも目的の一つのでした。
ダンボール一箱分購入。重かった〜。 -
宜興での最後のお買物はお茶。
宜興で取れる紅茶(宜興紅茶)と緑茶(碧螺春)を、興遠路に並ぶお茶屋さんの中で何件か試飲してから購入。
満足なお買物が出来て足取りも軽く無錫まで戻ります。
無錫まではハイヤータクシーの運転手さんと交渉の末150元で行ってもらえることになりました。快適。
そして夕方無錫に着き、そこで食事。
北京の名物料理として有名な北京ダック。実は南京が発祥の地ということで、無錫もローストダックが有名らしい。去年食べ損なったということもあって鴨料理を食べることにしました。
写真は前菜。左は見たまま空豆。右は鴨の水かきの部分を骨などを抜いて料理したもの。なかなか美味しかったです。 -
太湖ブランドのビール。
中国のビールらしいうすーいビールでしたが、喉が渇いていたからなのかとても美味しかったです。 -
鴨の舌のXO醤炒め。
良く冷菜で出てくる鴨の舌は少し歯ごたえがある感じですが、炒め物で出てきた鴨の舌はとても柔らかくて今までのイメージを覆すものでした。 -
太湖三白の一つの銀魚の卵炒め。銀魚の料理の中で私が一番好きなもの。
ちょっと生姜の風味がして魚臭さが飛んでいる感じ。もちろんお味はグーでした。 -
銀魚のスープ。
これも本当はとても美味しいんだけれど、ここのスープは全然駄目でした。残念。 -
北京ダック。(いや、南京発祥だというんだから南京ダックというべきか??)
北京で食べた時もそうだったけど、日本で食べる北京ダックのイメージとは違って、ほんとビールに良く会うツマミ、って感じなんだよねえ。
これはこれで大衆的で美味しいけど、やっぱり広東料理的に洗練された皮だけ食べる北京ダックの方が好きだなあ。 -
家に帰って早速戦利品の確認。
黒檀の台に韓国利川で買った花器を置いてみた。
右側は周さんの茶壺、右手前は同じく黒檀に利川で買った楊枝入れ。
なんだか嬉しいぞ。 -
鶏翅木の台に置いた周さんの作品達。
手前に置いたのは桃。周さんのお家の敷地内で取れた自然のままの桃。枇杷のような形で日本でおなじみの桃とは違います。とても良い香。奥様がくれました。 -
今までに買った茶壺たちも台において並べてみました。
楽しい旅行でした。
特に色々と連れて行ってくれた范さん(マネージャーさん)には感謝です。また、呉ご夫妻、周ご夫妻にはお宅で色々お話を伺い本当に貴重な時間を過ごすことができました。
宜興はまたいずれ訪ねることになると思います。その時にまた良い茶壷に会えることを楽しみに。
周さんが別れ際に「一緒にお茶を飲んだ人は『茶友』、という。一緒に茶壷で遊んだ人は『壺友』というんだ。われわれは『壺友』だ」と言ってくれました。茶壷で遊ぶ、という言葉も素敵だし、「壺友」(フーヨウ)って言うのがとても良いな、って思いました。
壺友が出来た旅、印象的な旅となりました。
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この旅行記へのコメント (2)
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- ajiajiroさん 2005/05/25 23:35:15
- たいへん勉強になりました。by ajiajiro
Wasabiさん こんばんは!
いつも旅行記、拝見しています。
今回もたいへんに詳しい丁寧な説明で内容が良く解りました。
私も宜興の紫砂茶壷が大好きです。
宜興には何時か行ってみたいと思い始めて3年ですが、いまだに果たせずに居ます。
せめて今夜もお気に入りの茶壷でとっておきの碧螺春でも入れてみようかと思います。
では、また。 再 見 (^_^)/~
- Wasabiさん からの返信 2005/05/26 10:22:50
- RE: たいへん勉強になりました。by ajiajiro
- ajiajiroさんへ、
書き込みありがとうございます!
読んでいただけてうれしいです。
宜興に行きたいと思っていらっしゃるとの事。
私達が乗った電車は(上海−無錫間)快適そのものでしたし、今は無錫から宜興まで高速道路も開通しました。1時間ほどで到着してしまいます。
便利になりましたから是非訪ねられたら良いと思いますよ!
今回新茶の季節ということで、宜興産の碧螺春と宜興紅茶を買ってきました。一般的には緑茶は紫砂壺は向かないということですが、どうなんでしょうね。同じ土(ちょっと違うかな?!)から出来たお茶と茶壺、試してみる価値はありそうですよね。
これからもよろしくお願いします。
Wasabi
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