1986/09 - 1986/09
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night-train298さん
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←むらやんと、コロンブスの子孫と名乗るおじさん。
アンダルシアのセビリアという街は、とりわけスペインらしい雰囲気をたたえた見どころの多いところである。街は庶民的で気取りがなく、通 りがかりの旅人をも受け入れる包容力がある。
スペインは何処でもそうだが、街じゅうにバル(居酒屋)があり、気軽に立ち寄って、朝は地元の人に習って立ち食いで軽食とコーヒー、夜はタパス(酒の肴)をつまみ、ワインを飲む。何軒かハシゴしてみたり。
スペイン人はあからさまに好奇の目でこちらを見ることもなく、かといって無視するわけでもなく、自然にその仲間の輪のなかに入れてもらえるような心地良さがある。
さて、セビリアは画家ムリリョが生まれた地なので、さっそく美術館に行くことにし、近くにいたおじさんに道を尋ねると、親切に美術館の前まで連れていってくれた。おじさんは自分はコロンブスの子孫だと、大まじめに言っていた。さらに家の昼食に招待してくれたが、時間がなかったので、それは残念だったが辞退した。
このように、スペインでのおじさん(50才〜65才で、小柄で小太り)は必ず親切で時間にゆとりもあるので、道を尋ねる時は、おじさんを探すとよいかもしれない。おじさんは街じゅういたる所にいるので、つかまえるのに苦労はしない。
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美術館のあとはコロンブスの棺がある、カテドラル・アルカサルを見学するため、ムラやんが《地球の歩き方》を片手に道順を、また別 のおじさんに尋ねている間のことだった。 私はその横で、ぼーっとあらぬ方角を見て立っていた。
異変があったのはその時だった。
私の片方の肩に掛けていたリュックサック(のようなもの)が、なんとなく後ろに引かれている気がして、肩に手を掛けて肩紐を掴み直す。感じとしてはリュックが急に重くなったような。
すると一分もしないうち、再び同じ感触の、後ろに引かれていく気配がして、その引かれる方向に体を傾けると、なんと若い男がリュックを引っぱっているではないか。こんな場面 は生まれて初めてだし、本物の泥棒(ひったくり)を見るのも初めてで、どうしたらよいかわからなかったが、ただ自分の所有物を他人に取られたくないという本能から、必死で私も引っぱった。ムラやんが、わずか40センチメートルの距離にいたので、怖いという感じはなかった。
その現場は片側2〜3車線ある大きな道に面した、人通りも多い歩道の上に私たちは立っていて、そこは別 の細い道のある角で、私はその細い道の方向に引っぱられて行った。 徐々に徐々に私は引かれていったが、一瞬たりとも力をゆるめることがないように、腰を低くして『ウォーッ、ウォーッ』という、地鳴りにも似た響きをとどろかせていた。
『たすけてぇ』とか『キャーッ』なんて言わなかったのは、懸命だった。なぜならば、こういう口を大きく開けると力が出ないことを、私は運動会の綱引きで学んでいた。つまり、『オーエス、オーエス』の発声法である。 -
しかし、しかしである。さっきから『ウォーッ、ウォーッ』とやっているのに、誰も助けに来てくれない。すぐに誰かが気が付いて飛んできてくれるものと信じていたのに・・・ あれだけ歩道を歩いている人がいて誰も気付いていないなんて・・・そんな・・..・...
第一、ムラやんはどうしたのだ。ただちに気付いて助けてくれると信じて頑張っているのに。
相手も必死で引っ張っている。見かけは二十代前半の体格のしっかりした顔も普通 の好青年(?)である。そのうち諦めてくれるだろうと思うがしぶとい。
それより向こうもびっくりしたに違いない。きっと、か細そうな私から簡単に荷物を奪えるともくろんでいただろうに。
向こうの思惑とは裏腹に、私は綱引きのワザを知っていたばかりでなく、実は背筋力には自信があったのだ。隆盛時には(?)129キログラムだった事が支えにも励ましにもなっていた。
それにしても、ムラやんが遅すぎる!まだ人に道を聞いているのか? さっきからどの位 時間が経ったのだろう。私にとっては長い長い時だった。
少しづつではあるが、道の奥へ奥へと引き込まれて行ったその時、またその先に曲がる小道が見えてきた。そこまで行ったら私の負けだ. ムラやんの助けは期待できなくなるし、男の仲間が待っているとも限らない。あと五メートルも行けば道に突き当たり、時間にすれば曲がり角まであと一分、これで綱引きも終わり、諦める段かなと思ったその時だった。そこへ登場したのは、お待ちかね!ムラやんだった。 -
このタイミングの良さ、しかもドラマチック、いったい彼女はどう対決してくれるのか、期待に胸をふくらませながらも肩の力は絶対にゆるめなかった。 注目のムラやんが何をしてくれたのかと言えば、厚さ3.5センチの《地球の歩き方》を相手の頭をポカッと一発叩いた。それはあやうく私の力がふっとぬ けそうな程、頼りないものだった。
しかし、それがきっかけだった。男はとうとう諦めて小道に向って走り去って行った。 その後ろ姿に向って今まで言葉にできなかった事を吐きだし大声で怒鳴ったものだから、その声を聞き付けてようやく通 行人もやって来た。ある人は貴重品の持ち方を伝授してくれ、またある人は警察に行くよう、勧めてくれた。
とにかくモノは私の手に戻ったのだし、先も急いでいたので、警察には行かなかった。 私はあの体格もしっかりした男から自力でリュックを取り戻したという喜びで、うれしかった。 もちろん、ムラやんのあの力強い一発があってのお陰だが。
ところで肝心のリュックの中身であるが、まず、旅の初め、中国からつけ始めた日記帳が二冊、スケジュールノート二冊、絵はがき(美術館で買ったばかりのムリリョの)数枚、ウォークマンのマイク部分のみ、水(エヴィアン)それにアーミーナイフ。以上、金目のもの一切なし。現金、パスポート、カメラ、ウォークマン本体などは腰(ウエストポーチ)に着けていた。こちらの方がかんたんな操作で奪い取ることができるというのに、それがわからないとは、頭の悪い男だったに違いない。
しかし、あの男もリュックを奪えず逃げて運が良かった。あんなに苦労して奪ったところで、中を見たらショックで眠れなかったに違いない。 でも、私にとってはお金にはかえられない大事な大事な物たちで、それが手元に残った事を確認して、再びうれしくなって興奮してしまう。
しかし、相手がナイフを持っていたら、簡単に肩紐は切られていたし、恐ろしいことになっていたかもしれない。凶悪犯人でなかったから良かったものの、むやみにちょっとぐらい力自慢だからと言って、取られたものを取りかえそうなんて恐いもの知らずもいいとこだ。
でも、その時の私はそこまで思いつかなかったのだから仕方がない。 あとでムラやんも怒って、「思いきり蹴飛ばしてやれば良かった!」と息巻いていた。
その後二日間、両肩が痛くて重くて後遺症に悩まされた。リュックの留め金も二箇所ちぎられていた。
おそらくあの時の私の背筋力は、129キログラムを上回っていたに違いない。
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この旅行記へのコメント (5)
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- チビケイさん 2005/05/20 21:09:13
- 良かった!怪我しなくて(*´ρ`*)ホッ〜ディバックも無事で何よりでした(*^_^*)
- night_train298さん(* ^-^)ノこんばんわぁ♪
ディバック事件大変でしたね(*^_^*)
怪我しなくて本当に良かった!(後遺症は可哀想。。。)
スペイン、マドリードでたまたま同じホテルに滞在していた
日本人女性がやっぱり街角でネックレスを引きちぎられたと
言っていました(^^ゞ(被害はネックレスだけだったから一安心)
しかし綱引き力自慢のnight_train298さんを相手に
してしまったオマヌケ泥棒さんも笑えました〜(^。^)y-.。o○
相棒さんが助けに来てくれて良かったぁ〜
読ませて頂きながらドキドキものでした(笑)
いつもkioさんの旅行記を読んではドキドキしていましたが
night_train298さんの旅行記もドキドキでした〜
今後の旅の教訓に( ̄ω ̄;)エートォ...メモメモです♪
('-'*)アリガト♪
(*^▽^)ノ~~ マタオジャマシマスネー♪
- night-train298さん からの返信 2005/05/20 23:43:55
- きゃーっ、チビケイさん!
ようこそ!
いつもお写真を拝見して、なんて美しい方!スタイルのいい方!
ひそかに憧れておりました。(!)
結婚前かしら?ご両親とのヨーロッパ旅行記など、特に楽しませてもらっています。
kioさんの掲示板でも拾い読みさせていただいていて、「ふんふん、なるほど・・・チビケイさんの旦那さまは○○世代の方で、元バックパッカー・・・」など、こちらもひそかに情報をストックしておりました!(!!!)
さて、ひったくり事件、本当にいい思い出になりました!(???)
最終的に取られなかった!という達成感も、けっこう自信になりましたね。(なんの自信!?)
私はけっこう海外で痛い目に遭っている方かもしれません。
多分理由は、ぼけ〜っとしているからでしょうね。
スペインは、今でこそ大好きな国なのですが、最初の頃は、ふんだりけったり!の連続。
この手の事件の他、ホテルの予約手違い、チケット売り場のノロマぶりのせいで、マヨルカ島で3日間足止めされたり、突然大雨が降ったり。今思えば、たいしたことでもなく、
まだ私がけっこう普通の日本人だった頃、スペインは相性が悪い国と決め込んでいたのでした。
その後何度かスペインを経由してポルトガルやモロッコに行くにしたがって、ある時から
スペインていい国なんじゃない?と思いはじめ、今や私はスペイン人と豪語(?)するまでになってしまいました。
うんうん、ネックレスをひきちぎられるという話、以前良く聞きましたが、最近もあるのですね。
ちなみにわたしの旅行中の姿と言ったら、ビンボーそのものなので、その心配はないようです。
また近いうちにイタリアの事件簿も書きますので読んでみてくださいね〜!
ぜひまた遊びにきてくださいね〜!
私も近いうち、チビケイさんのところにお邪魔します。
- チビケイさん からの返信 2005/05/21 00:29:48
- RE: きゃーっ、チビケイさん!
- night_train298さん(*'ー'*)ノ~~
褒め言葉にピョコピョコ
舞い上がっているチビケイですU\(●~▽~●)Уイェーイ!
↑かなりマヌケかなぁ(^^ゞ
>kioさんの掲示板でも拾い読みさせていただいていて、「ふんふん、なるほど・・・チビケイさんの旦那さまは○○世代の方で、元バックパッカー・・・<
ギャハハハ夫君の年バレバレで〜すぅ(*^m^*) ムフッ
って、kioさんにはとっくにバレてるかぁ( ̄ヘ ̄;)ウーン
night_train298さん、かなり危ない体験旅行者だ( ̄ー ̄)ニヤリ
やっぱりドキドキ旅行ですね〜(*^m^*) グフ
こういう旅行記を見せて頂けるって本当嬉しいです。
kioさんったら最近中々新しいの執筆してくれないのよねぇ〜
毎日チェックに行ってるんだけど〜<`ヘ´>プンプン
(kioさ〜ん↑もし見たらヨロシクゥ〜次の待ってるよぉ〜)
>マヨルカ島で3日間足止めされたり<
マヨルカ島〜ウワァ〜いいなぁ!以前バルセロナからパリに向かう
飛行機で知り合ったスペイン人の女性が
マヨルカを絶賛していたんですよ〜
行きたいなぁと。。。海があるところが特に好きだから。。
未だに行けない〜(/ヘ ̄、)グスン
kioさんやnight_train298さん、我が夫君3人して凄く
興味深い旅行をしてて羨ましいーーーーですよ(*^。^*)
イタリアの事件物〜滅茶苦茶楽しみに待ってます!
食事を抜いても本の虫チビケイですo(〃^▽^〃)oあははっ♪
UPしたら教えてくださいね!
(*^▽^)ノ~~ マタオジャマシマスネー♪
- night-train298さん からの返信 2005/05/22 00:47:47
- チビケイさん!
>kioさんやnight_train298さん、我が夫君3人して凄く
興味深い旅行をしてて羨ましいーーーーですよ(*^。^*)
いやぁ〜、そう言っていただけると、うれしいです。えへへ!(って、喜んでいいのですよね?)
でもね、けっこう後ろめたい気もするんでうよ〜。
実は、バックパッカーに入門したのは、去年なの。
背中にパックを背負うという意味では。
確かに若い頃の旅行は特に、内容はバックパッカーだったかもしれないけど、一度も
荷物を担いだことがない。
しかも寝袋も持っていなかった・・・。
今は3ウェイバッグとかあって、背負う、持つ、引く(キャリア付き)がありますが、当時は
2ウェイしかなくって、背負う、持つ・・・だけ。そこであみ出した知恵は、そのバッグにキャリーをくっつけて引く方法。
チビでか細い(後半はウソ!)私は、そのバッグを背負うことはなく、いつもガラガラ引いていたの。
その頃は何でも詰め込んでいたから、自宅から最寄り駅までの坂を登るだけでフウフウ言っておりました。
あ〜っ、お恥ずかしい・・・。
でもね、今年の夏も、ちゃんとリュックを担いで旅に出ますよ。寝袋も、持ってね!
マヨルカ島、きれいな島でした。特に印象的だったのは、ショパンとジョルジュ・サンドが過ごした、バルデモサという小さな村です。
私も海が大好き!海をそばに感じる地域を旅行するのが好きです。
- kioさん からの返信 2005/05/22 00:48:39
- もうちょい お待ち〜(^-^;
- >kioさんったら最近中々新しいの執筆してくれないのよねぇ〜
毎日チェックに行ってるんだけど〜<`ヘ´>プンプン
(kioさ〜ん↑もし見たらヨロシクゥ〜次の待ってるよぉ〜)
はいっチビケイ様 しかと確認いたしました。
土曜の夜から日曜の夜までの間に頑張ってアップしたいと思います。
週のうち、土日しか書けないのです。
night-train298様 すんまへん 他所の板で告知してしまい。。m(._.)m ペコッ
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