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少し古い旅行記になりますが、98年に私たち夫婦は、はじめてイタリアを旅してきました。<br />ローマでの日程は、たいへん忙しいものでしたが、遺跡あり芸術ありの観光に満足しました。

泉がとだえたトレビの泉

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1998/08/30 - 1998/08/31

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黒田夫妻

黒田夫妻さん

少し古い旅行記になりますが、98年に私たち夫婦は、はじめてイタリアを旅してきました。
ローマでの日程は、たいへん忙しいものでしたが、遺跡あり芸術ありの観光に満足しました。

  • ●ドアチェーンが緩む危なっかしいローマのホテル<br /> 97年に初めての海外旅行でヨーロッパを訪れた私たち夫婦は、翌年の旅先も、やはりヨーロッパを選んだ。いつかは行ってみたいエジプトも候補にあがってはいたが、ルクソール事件がその思いをつぶしてしまったし、アジアはいつでも行けそうな気がして、逆に気がのらなかった。<br /> そんななかで、イタリアが最後に残った。イタリアと言えば、すぐにブランドショッピングを思い浮かべるが、私たちが興味があるのは、イタリアの歴史と文化、そして、ルネッサンスに代表される芸術である。もちろん、数日間の旅では、イタリアの持つ魅力のほんの一部にしか触れることはできないのはわかっていたが、とにかく、目と耳で、そして肌で確かめてみたかった。<br /> 今回のイタリアへのツアーは、24名の参加者で、添乗員は、Kさんという女性である。成田では、全員がそろったところで、簡単な説明を受け、搭乗時間まで空港の中で時間をつぶす。出発予定時間30分前の11時30分に飛行機に乗り込んだが、飛行機のなかで延々と離陸を待たされ、実際の出発は1時間も遅れてしまった。<br /> 無事離陸した後、機内食が終わり、スクリーンでは映画が始まる。そのころ日本でも大ヒットしていた「タイタニック」が上映されていて、その間は、けっこう退屈もせず、時間を過ごすことができた。<br /> 現地時間で17時15分にスイスのチューリッヒ空港に降り、給油のためにいったん飛行機を降ろされる。巨大な空港にずらりとならんだ免税店を見て歩くが、スイスフランの持ち合わせもなく、いわんや目的地にも着いていないのにおみやげでもなく、ひたすらウインドーショッピングに励む。<br /> 約1時間後に再び機内に戻る。妻は、映画の見過ぎと寝不足だと言って、到着地に近づくにつれ、しきりと頭痛を訴える。<br /> 20時にローマのフィウミチーノ空港に到着する。別名レオナルド・ダ・ビンチ空港とも呼ばれ、こちらのほうが名が売れている。バスに乗り、約30分でローマ市内の「ジェリーホテル・レオナルド・ダ・ビンチ」に到着し、ロビーで明日の予定についてKさんから簡単に説明を受けて解散となり、それぞれ部屋にむかった。<br /> ホテルの部屋は狭く、ドアチェーンもひどく長くて、外側から手を入れればはずせそうで、いささか危なっかしい。これで本当に最高ランクのSクラスなのかと疑いたくなるが、「古都」ローマにしては、これくらいが普通なのではないかと2人の意見が落ち着く。<br /> 到着前に機内食が配られたこともあり、空腹感はなく、すぐにベットに入るが、疲れている筈なのになかなか寝付かれず、寝入っても、夜中に起きてしまう。明らかな時差ボケである。うつらうつらする中で、朝を迎えた。<br />

    ●ドアチェーンが緩む危なっかしいローマのホテル
     97年に初めての海外旅行でヨーロッパを訪れた私たち夫婦は、翌年の旅先も、やはりヨーロッパを選んだ。いつかは行ってみたいエジプトも候補にあがってはいたが、ルクソール事件がその思いをつぶしてしまったし、アジアはいつでも行けそうな気がして、逆に気がのらなかった。
     そんななかで、イタリアが最後に残った。イタリアと言えば、すぐにブランドショッピングを思い浮かべるが、私たちが興味があるのは、イタリアの歴史と文化、そして、ルネッサンスに代表される芸術である。もちろん、数日間の旅では、イタリアの持つ魅力のほんの一部にしか触れることはできないのはわかっていたが、とにかく、目と耳で、そして肌で確かめてみたかった。
     今回のイタリアへのツアーは、24名の参加者で、添乗員は、Kさんという女性である。成田では、全員がそろったところで、簡単な説明を受け、搭乗時間まで空港の中で時間をつぶす。出発予定時間30分前の11時30分に飛行機に乗り込んだが、飛行機のなかで延々と離陸を待たされ、実際の出発は1時間も遅れてしまった。
     無事離陸した後、機内食が終わり、スクリーンでは映画が始まる。そのころ日本でも大ヒットしていた「タイタニック」が上映されていて、その間は、けっこう退屈もせず、時間を過ごすことができた。
     現地時間で17時15分にスイスのチューリッヒ空港に降り、給油のためにいったん飛行機を降ろされる。巨大な空港にずらりとならんだ免税店を見て歩くが、スイスフランの持ち合わせもなく、いわんや目的地にも着いていないのにおみやげでもなく、ひたすらウインドーショッピングに励む。
     約1時間後に再び機内に戻る。妻は、映画の見過ぎと寝不足だと言って、到着地に近づくにつれ、しきりと頭痛を訴える。
     20時にローマのフィウミチーノ空港に到着する。別名レオナルド・ダ・ビンチ空港とも呼ばれ、こちらのほうが名が売れている。バスに乗り、約30分でローマ市内の「ジェリーホテル・レオナルド・ダ・ビンチ」に到着し、ロビーで明日の予定についてKさんから簡単に説明を受けて解散となり、それぞれ部屋にむかった。
     ホテルの部屋は狭く、ドアチェーンもひどく長くて、外側から手を入れればはずせそうで、いささか危なっかしい。これで本当に最高ランクのSクラスなのかと疑いたくなるが、「古都」ローマにしては、これくらいが普通なのではないかと2人の意見が落ち着く。
     到着前に機内食が配られたこともあり、空腹感はなく、すぐにベットに入るが、疲れている筈なのになかなか寝付かれず、寝入っても、夜中に起きてしまう。明らかな時差ボケである。うつらうつらする中で、朝を迎えた。

  • ●泉がとだえたトレビの泉<br /> このオベリスクを挟むようにして、双子教会が建っている。双子教会とは、サンタ・マリア・イン・モンテサント教会とサンタ・マリア・ディ・ミラーコリ教会のことで、2つ並んだ教会はそっくりの形をしており、まさに「双子」のようだ。<br /> 残念ながら、その日は、ポポロ広場が修復工事の最中で、テントがかけられ、広場の中の様子を見ることはできなかった。まだ朝早いというのに、すでに作業員たちが忙しそうにテントを出入りしていた。<br /> ローマの地に足をつけるのは、この日が生まれて初めてでもあり、横断歩道をどう渡ればいいのか、どこの信号を見ればいいのかもわからず、あたふたする。車は多く、市街地にもかかわらず総じてスピードを出しており、いささか恐怖を感じる。広場で写真を撮って、あたりを散策し、早々とホテルまで引き返した。<br /> 9時15分にバスでホテルを出発する。朝食のメニューはバイキングで、パンは、わずかに砂糖がかかったクロワッサン、食パン、固くて丸いパン、黒パン、などなど種類は豊富である。それらは、どれも意外とおいしく、節子はパンを少し食べ過ぎたと言う。<br /> フルーツやヨーグルトも十分に用意されていて、オレンジやグレープフルーツのジュースもおいしい。食べ過ぎるというのも、納得できる。<br /> バスには、Tさんという女性の日本人ガイドが乗っていて、まずはじめにトレビの泉にむかう。<br /> トレビの泉は、教皇クレメンティウス12世によって1762年に建造されたもので、ネプチューンやトリトンなど海の神をはじめ、たくさんの彫像に取り囲まれて中央に大きな泉(池)が掘られている。<br /> ローマに来ればおそらく誰でも訪れ、後ろ向きにコインを投げ入れるというおなじみの観光名所だ。投げ入れられたコインは、毎週月曜日に池の底をさらって回収され、赤十字に寄付されるという。そして、今日は月曜日。まさに運悪く、泉は途絶え、作業員たちが集まって、これから池の水を抜く準備をしていた。<br /> 肩越しに1枚コインを投げると再びローマを訪れることができるという言い伝えにしたがい、私たちも、さっそくコインを投げ込むことにする。しかし、昨日ローマに着いたばかりで、財布にあるのはリラ紙幣だけだ。しかたがないので、小銭入れにあった10円玉を取り出す。ガイドのTさんの説によると、「コインを2枚投げれば結婚でき、3枚投げれば離婚できる」とのことだったが、妻は、「はい」と言って1枚だけ10円玉を私に渡した。<br />

    ●泉がとだえたトレビの泉
     このオベリスクを挟むようにして、双子教会が建っている。双子教会とは、サンタ・マリア・イン・モンテサント教会とサンタ・マリア・ディ・ミラーコリ教会のことで、2つ並んだ教会はそっくりの形をしており、まさに「双子」のようだ。
     残念ながら、その日は、ポポロ広場が修復工事の最中で、テントがかけられ、広場の中の様子を見ることはできなかった。まだ朝早いというのに、すでに作業員たちが忙しそうにテントを出入りしていた。
     ローマの地に足をつけるのは、この日が生まれて初めてでもあり、横断歩道をどう渡ればいいのか、どこの信号を見ればいいのかもわからず、あたふたする。車は多く、市街地にもかかわらず総じてスピードを出しており、いささか恐怖を感じる。広場で写真を撮って、あたりを散策し、早々とホテルまで引き返した。
     9時15分にバスでホテルを出発する。朝食のメニューはバイキングで、パンは、わずかに砂糖がかかったクロワッサン、食パン、固くて丸いパン、黒パン、などなど種類は豊富である。それらは、どれも意外とおいしく、節子はパンを少し食べ過ぎたと言う。
     フルーツやヨーグルトも十分に用意されていて、オレンジやグレープフルーツのジュースもおいしい。食べ過ぎるというのも、納得できる。
     バスには、Tさんという女性の日本人ガイドが乗っていて、まずはじめにトレビの泉にむかう。
     トレビの泉は、教皇クレメンティウス12世によって1762年に建造されたもので、ネプチューンやトリトンなど海の神をはじめ、たくさんの彫像に取り囲まれて中央に大きな泉(池)が掘られている。
     ローマに来ればおそらく誰でも訪れ、後ろ向きにコインを投げ入れるというおなじみの観光名所だ。投げ入れられたコインは、毎週月曜日に池の底をさらって回収され、赤十字に寄付されるという。そして、今日は月曜日。まさに運悪く、泉は途絶え、作業員たちが集まって、これから池の水を抜く準備をしていた。
     肩越しに1枚コインを投げると再びローマを訪れることができるという言い伝えにしたがい、私たちも、さっそくコインを投げ込むことにする。しかし、昨日ローマに着いたばかりで、財布にあるのはリラ紙幣だけだ。しかたがないので、小銭入れにあった10円玉を取り出す。ガイドのTさんの説によると、「コインを2枚投げれば結婚でき、3枚投げれば離婚できる」とのことだったが、妻は、「はい」と言って1枚だけ10円玉を私に渡した。

  • ●コロッセオは残酷なスタジアム<br /> ローマを代表する観光スポットで、世界各地から人が訪れるこのあたりは、また、スリやひったくりの名所でもあるそうで、確かに怪しげなロマ(ジプシー)の親子などもいて、決して油断してはならないと、ガイドのTさんから十分すぎるほどの注意を受ける。<br /> 泉の近辺に限って短時間の自由行動が許され、イタリアンジェラートの店があったので、さっそく食べることにした。さまざまな種類のジェラートから選ぶことができ、1品だと3千リラで、2品では4千リラと相場が決まっているのだが、1品だけにしておき、私はチョコ、妻はティラミスを食べる。ひたすら甘い。<br /> 市内観光では、フォロロマーノやコロッセオなどローマ帝国時代の遺跡を訪ねる。どの遺跡も壊れかけ寸前といったところで、ポポロ広場と同様に、至るところで修復工事がすすめられていた。まず、コロッセオの見学をする。入場料は1万リラもしたが、その収益は、修復や清掃に使われるそうだ。<br /> コロッセオは、ティトス帝が紀元80年頃に完成させた競技場だが、当時で5万人が収容できたという巨大な建造物だ。300年以上にわたって、囚人や奴隷同士、あるいは猛獣と人間との壮絶な死闘が繰りひろげられ、ローマの人々の格好の見せ物になっていたそうだ。世界を支配していたローマ帝国の市民の発意高揚をねらったものでもあるらしい。競技場の床の下には、囚人や猛獣の収容所があったが、今は、その床が取り払われている。こうした話を聞くと、どこからか血の臭いがただよってきそうだ。<br /> 午前中は、ツアーお決まりの旅行社の指定免税店での「楽しい」お買い物があり、その後、昼食となり、近くのレストランで本場のピザをいただく。サラダがひどく塩辛く、とても食べづらかったが、ピザは意外とさっぱりしていて、日本の宅配ピザのように、チーズが納豆のように糸を引くこともない。<br /> 美味しいピザととともに、イタリアワインなどもいただき、1時半ごろまでゆっくりと食事をとった後、午後からも観光をつづける。午前中のフォロロマーノを2人で手をつないで歩いていると、添乗員のKさんが私たちのそばに来て、「新婚さんですか?」などと思いもしない質問をしてきた。妻は、しきりと照れながら、「いえー、ちがいますよー」と言下に否定したが、まんざらでもなさそうだった。<br />

    ●コロッセオは残酷なスタジアム
     ローマを代表する観光スポットで、世界各地から人が訪れるこのあたりは、また、スリやひったくりの名所でもあるそうで、確かに怪しげなロマ(ジプシー)の親子などもいて、決して油断してはならないと、ガイドのTさんから十分すぎるほどの注意を受ける。
     泉の近辺に限って短時間の自由行動が許され、イタリアンジェラートの店があったので、さっそく食べることにした。さまざまな種類のジェラートから選ぶことができ、1品だと3千リラで、2品では4千リラと相場が決まっているのだが、1品だけにしておき、私はチョコ、妻はティラミスを食べる。ひたすら甘い。
     市内観光では、フォロロマーノやコロッセオなどローマ帝国時代の遺跡を訪ねる。どの遺跡も壊れかけ寸前といったところで、ポポロ広場と同様に、至るところで修復工事がすすめられていた。まず、コロッセオの見学をする。入場料は1万リラもしたが、その収益は、修復や清掃に使われるそうだ。
     コロッセオは、ティトス帝が紀元80年頃に完成させた競技場だが、当時で5万人が収容できたという巨大な建造物だ。300年以上にわたって、囚人や奴隷同士、あるいは猛獣と人間との壮絶な死闘が繰りひろげられ、ローマの人々の格好の見せ物になっていたそうだ。世界を支配していたローマ帝国の市民の発意高揚をねらったものでもあるらしい。競技場の床の下には、囚人や猛獣の収容所があったが、今は、その床が取り払われている。こうした話を聞くと、どこからか血の臭いがただよってきそうだ。
     午前中は、ツアーお決まりの旅行社の指定免税店での「楽しい」お買い物があり、その後、昼食となり、近くのレストランで本場のピザをいただく。サラダがひどく塩辛く、とても食べづらかったが、ピザは意外とさっぱりしていて、日本の宅配ピザのように、チーズが納豆のように糸を引くこともない。
     美味しいピザととともに、イタリアワインなどもいただき、1時半ごろまでゆっくりと食事をとった後、午後からも観光をつづける。午前中のフォロロマーノを2人で手をつないで歩いていると、添乗員のKさんが私たちのそばに来て、「新婚さんですか?」などと思いもしない質問をしてきた。妻は、しきりと照れながら、「いえー、ちがいますよー」と言下に否定したが、まんざらでもなさそうだった。

  • ●感動の連続だったヴァチカンの美術品<br /> 午後の観光のハイライトは、ヴァチカン美術館とサンピエトロ寺院の見学だ。世界最小の独立国家であるヴァチカンには、ローマ法王も住んでいる。この国を代表するサンピエトロ寺院も、残念ながら改修中であり、建物の外壁には足場が施され、外見を拝むことはできなかった。<br /> サンピエトロ寺院のシスティナ礼拝堂に入る。たくさんの観光客がいたが、不思議とうるささはない。そして、正面の壁には、ミケランジェロの「最後の審判」が飾られていた。今回のイタリア旅行でのお目当ての一つだ。ガイドのTさんは、ひそひそ話で、この有名な壁画の解説をしてくれた。ここでは、大声は禁止されているらしい。<br /> ミケランジェロは、教皇パウルス3世の以来により、1541年にこの大壁画を完成させたそうだが、キリストが再びこの世に現れて人類を裁くという教義を、数え切れないほどの人々の群像によって見事に表現している。<br /> 中央には、右手を大きく挙げて、天国か地獄かを裁くキリストが、そして、その回りには、天使によって天国へと招かれる「善人」と、地獄につき落とされる「悪人」が、表情がわかるほど繊細に描かれている。<br /> 写真では何度も見た大壁画だが、こうして実物を前にすると、それこそ息を呑むほどの迫力を感じずにはいられなかった。世界一のローマの美術に圧倒された瞬間である。<br /> Tさんによれば、ミケランジェロは、この大壁画の完成までに8年を費やしたが、しかし、近年になっておこなわれた修復には2倍近くの15年間が必要だったそうだ。そして、修復資金を出したのは、バブルに沸いていたころの日本の大企業だった。<br /> 同じく、ミケランジェロがまだ20代のときに製作したという「ピエタ像」が、サンピエトロ寺院の大聖堂にひっそりと飾ってあった。磔の刑に処され、十字架から降ろされたキリストを静かに抱きとめる聖母マリアからは、言いようのない深い悲しみが伝わってくる。やはり、ミケランジェロとは、ルネッサンスが産んだ天才なのである。<br /> サンピエトロ寺院に隣接するヴァチカン美術館では、数々の展示品にとどまらず、美術館の天井から壁に至るまですべてが美術品といった感じだ。一見すると立体的な彫刻に見えるが、実は平面に絵を描いただけの精巧な「だまし絵」が至るところに飾られている。これらの完成までには、120年もかかったというから驚かされる。

    ●感動の連続だったヴァチカンの美術品
     午後の観光のハイライトは、ヴァチカン美術館とサンピエトロ寺院の見学だ。世界最小の独立国家であるヴァチカンには、ローマ法王も住んでいる。この国を代表するサンピエトロ寺院も、残念ながら改修中であり、建物の外壁には足場が施され、外見を拝むことはできなかった。
     サンピエトロ寺院のシスティナ礼拝堂に入る。たくさんの観光客がいたが、不思議とうるささはない。そして、正面の壁には、ミケランジェロの「最後の審判」が飾られていた。今回のイタリア旅行でのお目当ての一つだ。ガイドのTさんは、ひそひそ話で、この有名な壁画の解説をしてくれた。ここでは、大声は禁止されているらしい。
     ミケランジェロは、教皇パウルス3世の以来により、1541年にこの大壁画を完成させたそうだが、キリストが再びこの世に現れて人類を裁くという教義を、数え切れないほどの人々の群像によって見事に表現している。
     中央には、右手を大きく挙げて、天国か地獄かを裁くキリストが、そして、その回りには、天使によって天国へと招かれる「善人」と、地獄につき落とされる「悪人」が、表情がわかるほど繊細に描かれている。
     写真では何度も見た大壁画だが、こうして実物を前にすると、それこそ息を呑むほどの迫力を感じずにはいられなかった。世界一のローマの美術に圧倒された瞬間である。
     Tさんによれば、ミケランジェロは、この大壁画の完成までに8年を費やしたが、しかし、近年になっておこなわれた修復には2倍近くの15年間が必要だったそうだ。そして、修復資金を出したのは、バブルに沸いていたころの日本の大企業だった。
     同じく、ミケランジェロがまだ20代のときに製作したという「ピエタ像」が、サンピエトロ寺院の大聖堂にひっそりと飾ってあった。磔の刑に処され、十字架から降ろされたキリストを静かに抱きとめる聖母マリアからは、言いようのない深い悲しみが伝わってくる。やはり、ミケランジェロとは、ルネッサンスが産んだ天才なのである。
     サンピエトロ寺院に隣接するヴァチカン美術館では、数々の展示品にとどまらず、美術館の天井から壁に至るまですべてが美術品といった感じだ。一見すると立体的な彫刻に見えるが、実は平面に絵を描いただけの精巧な「だまし絵」が至るところに飾られている。これらの完成までには、120年もかかったというから驚かされる。

  • ●どきどきしながらローマの地下鉄を初体験<br /> ヴァチカン美術館を出て、バスでローマの中心地まで戻ってくると、ホテルでの夕食までは自由行動となった。私たちは、「ローマの休日」でおなじみのスペイン階段にむかった。映画では、オードリー・ヘップバーンがこの階段でジェラートを食べていたが、現在は、階段での飲食は禁止されているそうだ。でも、階段に座ることは自由で、多くの観光客や地元の若者たち、恋人たちは時間を忘れて、愛を語らっていた(たぶん)。<br /> 階段をバックにして、オードリー・ヘップバーンになったつもりで写真を撮り、そして、そそくさと、ショッピングのために、「ローマ三越」へとむかった。三越では、自分たちへのみやげ物をさがし、私は、フェンディのネクタイを買った。6万2千リラもした。節子は、さんざん時間をかけて、いろいろと思いあぐねていたが、結局、何も買わなかった。<br /> 本当は、これも「ローマの休日」で有名になった「真実の口」にも行きたかったのだが、市内の中心地から離れ、往復に時間がかかりそうなのであきらめたのだった。その代わり、三越の中に、「真実の口」の「偽物」があったので、ちゃっかりと記念写真を撮らせてもらった。これで「本物」を見てきたなどと言えば、口を開けた海神トリトーネに手をパクリとやられそうだ。<br /> 三越を出たところに地下鉄の出入り口があった。ガイドの田中さんからは、地下鉄はスリや強盗がいて危ないとさんざん脅かされていたが、何でも経験とばかりに思い切って乗ってみた。<br /> 現地ガイドのTさんによれば、ローマの街を足早に歩くのは「トロボーと日本人だけ」だそうで、泥棒と間違われるので街中では決して走ってはいけないなどという冗談のような話をニコリともせずに言っていた。地下鉄にしても、要するに、用心するには超したことがないということだったのだろう。しかし、とくに何もなく、無事に目的にしていた駅に到着した。<br /> 地下鉄の駅の階段をあがり、「ピンチョの丘」へむかう。かつてピンチ家が所有しいていた公園の一角ということで、この名がついたそうである。丘の上まで一気にのぼると、昔から変わらないローマ市街の風景がはるか遠くまで見渡せた。遠くにはサンピエトロ寺院も見える。上がってくるのはしんどかったが、妻は、ひろがるローマの景色を見て、ここに来て正解だったと感激する。<br /> 太陽はすでに傾きかけていて、時計を見ると6時を過ぎていた。ピンチョの丘で時間を過ごし、歩いてホテルまで帰ってくると、7時30分になっていた。<br /> ホテルのレストランでの夕食は、野菜スープ、子牛のソテーなどであり、どれもとてもおいしくいただいた。部屋に帰ってきて、明日は早く出発するので、早く寝なければと思いながらも、疲れ果てた身体でローマの想い出をあれこれと手帳に書き留める。おかげでベットに入ったのは11時になっていた。

    ●どきどきしながらローマの地下鉄を初体験
     ヴァチカン美術館を出て、バスでローマの中心地まで戻ってくると、ホテルでの夕食までは自由行動となった。私たちは、「ローマの休日」でおなじみのスペイン階段にむかった。映画では、オードリー・ヘップバーンがこの階段でジェラートを食べていたが、現在は、階段での飲食は禁止されているそうだ。でも、階段に座ることは自由で、多くの観光客や地元の若者たち、恋人たちは時間を忘れて、愛を語らっていた(たぶん)。
     階段をバックにして、オードリー・ヘップバーンになったつもりで写真を撮り、そして、そそくさと、ショッピングのために、「ローマ三越」へとむかった。三越では、自分たちへのみやげ物をさがし、私は、フェンディのネクタイを買った。6万2千リラもした。節子は、さんざん時間をかけて、いろいろと思いあぐねていたが、結局、何も買わなかった。
     本当は、これも「ローマの休日」で有名になった「真実の口」にも行きたかったのだが、市内の中心地から離れ、往復に時間がかかりそうなのであきらめたのだった。その代わり、三越の中に、「真実の口」の「偽物」があったので、ちゃっかりと記念写真を撮らせてもらった。これで「本物」を見てきたなどと言えば、口を開けた海神トリトーネに手をパクリとやられそうだ。
     三越を出たところに地下鉄の出入り口があった。ガイドの田中さんからは、地下鉄はスリや強盗がいて危ないとさんざん脅かされていたが、何でも経験とばかりに思い切って乗ってみた。
     現地ガイドのTさんによれば、ローマの街を足早に歩くのは「トロボーと日本人だけ」だそうで、泥棒と間違われるので街中では決して走ってはいけないなどという冗談のような話をニコリともせずに言っていた。地下鉄にしても、要するに、用心するには超したことがないということだったのだろう。しかし、とくに何もなく、無事に目的にしていた駅に到着した。
     地下鉄の駅の階段をあがり、「ピンチョの丘」へむかう。かつてピンチ家が所有しいていた公園の一角ということで、この名がついたそうである。丘の上まで一気にのぼると、昔から変わらないローマ市街の風景がはるか遠くまで見渡せた。遠くにはサンピエトロ寺院も見える。上がってくるのはしんどかったが、妻は、ひろがるローマの景色を見て、ここに来て正解だったと感激する。
     太陽はすでに傾きかけていて、時計を見ると6時を過ぎていた。ピンチョの丘で時間を過ごし、歩いてホテルまで帰ってくると、7時30分になっていた。
     ホテルのレストランでの夕食は、野菜スープ、子牛のソテーなどであり、どれもとてもおいしくいただいた。部屋に帰ってきて、明日は早く出発するので、早く寝なければと思いながらも、疲れ果てた身体でローマの想い出をあれこれと手帳に書き留める。おかげでベットに入ったのは11時になっていた。

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この旅行記へのコメント (4)

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  • shinesuniさん 2005/10/14 12:16:13
    お誕生日おめでとうございます。
    黒田夫妻さんはじめまして、shinesuniと申します。
    これからも是非宜しくお願い致します。
    さてトレヴィの泉ですが、黒田夫妻さんの場合はまだマシです。
    90年に行った時は水も張っていませんでした。全然雰囲気出てなくって最悪でしたよ。
    あれ以来ローマには行っていませんが水が張っていないのに意地でコインを投げた罰なのでしょうか...
    あの当時コインを投げると傷が付く(水が張っていないため)のでやめろと注意書きがあったのをムシしたからねェww。

    今度96年のフェルメール展のときのマリッツホイス美術館の旅行記書きますね。人が長蛇の列で凄かったですよ〜!。それではまた。

    黒田夫妻

    黒田夫妻さん からの返信 2005/10/17 09:22:41
    RE: お誕生日おめでとうございます。
    shinesuniさん

    はじめまして
    お祝いの言葉をいただけるなんて、思っても見ませんでした。
    どうもありがとうございます。

    トレビの泉は、残念でしたね。と言うか、水の干上がった泉
    の方が珍しいわけですから、それを考えればラッキーかも。

    ハーグのマウリッツハイス美術館は、感動の連続でした。
    フェルメール、レンブラント、ゴッホと、オランダからベル
    ギーを回るこのツアーが、美術を心おきなく堪能できる旅だ
    とは知らずに成田を出発したのが恥ずかしい限りでした。

    年末は、トルコをねらっています。参考にさせてもらいます。

    マウリッツハイス美術館の旅行記、ぜひご掲載ください。
    それと、ローマの旅行記も。

  • ナベさんさん 2005/05/18 08:52:54
    元気なご夫妻に乾杯
     お元気な黒田さんご夫妻を拝見させて戴き乾杯をさせて下さい。
    私共とは可成お若く拝察致しますが私達も足と頭で旅行をして居ります。
    元気な内にとお互いにがんばりましょうヨ。

     私共は6/29〜7/13の予定でイタリアに行って参ります。
    何時も電車のみの移動の個人旅行なのです。全てのチケットの手配を自分でしなければ成りませんので大変ですが達成感は半端ではありません。
     ミラノから入りフィレンツェ、ローマ、アルベロベッロからミラノ経由で帰ってきます。美術館廻りは20個所になります。
     
     どうぞ、これからも"クチコミ"でお会いいたしましょう。

    黒田夫妻

    黒田夫妻さん からの返信 2005/05/18 10:28:46
    RE: 元気なご夫妻に乾杯
    ナベさんさん

    ご感想ありがとうございます。

    私たちは夫婦は、まだまだ、とても個人旅行する勇気はありませんので、
    ひたすら、添乗員さんとガイドさんに「いいなり」のツアー旅行を続け
    ています。

    それでも、すべて身を任せる旅も、それはそれで楽しいもので、とくに、
    素敵なガイドさんに偶然出会えたときは、ツアーのグレードが何倍にも
    アップしたりします。
    そのことは、ベルギー、オランダの旅でつくづく感じたところです。

    スペインでのアクシデントも拝見させていただきました。

    命の次に大切と添乗員さんから言われて、パスポートは、必ず下着の下
    に隠している小心者の私にとっては、これを紛失するなどそれこそ「想
    定外」で、おそらくパニックになるでしょう。
    冷静な判断と行動には、感服いたします。

    これからイタリアにお出かけとのこと。どうぞ、楽しんで帰って来てく
    ださい。
    参考にならないかもしれませんが、イタリアの旅行記の続きを掲載して
    いる私たち夫婦の個人ホームページもぜひご覧ください。

    URLは、http://kuroda-home.net です。

    どうかお気をつけて、そして、今度は楽しい思い出話を期待してます。

黒田夫妻さんのトラベラーページ

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