2004/06/25 - 2004/06/25
171位(同エリア271件中)
さらさん
リスボンから次の観戦地、ポルトへ移る前にオビドスで1泊した。
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オビドスは城壁に囲まれた、人口が1000人にも満たない小さな街だ。バスはその南の端のほうにある城門の前で私たちを降ろした。今夜はこの街の城に泊まる。現在は全9室のポザーダとして利用されているのだ。そのポザーダは街の北の端に位置する。といっても城門からポザーダまでは1Kmもないので歩くことにした。たいした距離じゃなくても二人分の荷物を抱え、最後には石段を登っていくとレセプションに辿り着いた頃にはゼーゼー言っていた。
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ポザーダはスペインのパラドールと同じく国営のホテルチェーンである。それらは「HISTORIC POUSADA」「HISTORIC DESIGN POUSADA」「NATURE POUSADA」「CHARM POUSADA」の4タイプに分かれていて、オビドスのポザーダ・ド・カステロは「HISTORIC POUSADA」になる。
客室が狭いと聞いていた為か、実際の部屋は思ったより広かった。特にバスルームが広い!!リスボン1泊目の窓なしの部屋と同じくらい、いやそれより広い気がする。
窓を開けたかったけど、オビドスはハエがやたらと多く、開放していると次から次へとハエが乱入してくるので閉めざるを得なかったのが残念。
朝食は宿泊客が少ないのに豪華なホットビュッフェ。白いフワフワのチーズが嬉しかった。
二階の広間でくつろいでいた時、ドアの向こうからやって来た年配のご婦人が興奮気味に「ここはアドベンチャーだわ!」と言っていた。わたしは殆ど外をほっつき歩いていたので、もっとポザーダの中も探険すればよかったと後になって思った。 -
部屋で一息ついた後、一人で街を歩いた。インターネットが使える施設を発見。入り口の料金表を見るとメディアを使用したりプリントアウトをする場合は料金が発生するが、インターネットの使用のみだと無料らしい。受付の女性に使用したい旨を伝えると、名前や職業などを書かされた。日本語は打てないけど読めるので、ローマ字を日本語に変換するサイトを使って掲示板への書き込みやメールの送信を行った。
そのすぐ近くにはギャラリーらしき建物があった。THOMAS SCHITTEKという人の個展をしているらしい。タイルに色鮮やかな彩色を施した、アズレージョとは一味違う現代的なアートだ。他に客がいなかったので、一人でのんびり鑑賞。オビドスって小さな街だけど色々あって楽しいかもしれない。 -
ひと通り街を探索した後、城壁を歩いた。人が写っていない城壁の写真を撮りたくてずっと待っていたら、1周しないうちに1時間も過ぎた。
一度ホテルへ戻ってお風呂に入る。ふと鏡を見て驚いた。首や腕が真っ赤、というか既に真っ黒に日焼けしている。日を遮るものが何もないところに1時間も立っていたんだもんなぁ、迂闊だった。朝、日焼け止めは塗ったけど、出かける前にもう一度塗りなおしておくべきだった。なんだか旅の度にこう思っている気がする。 -
オビドスの名物、さくらんぼのお酒ジンジャを飲んでみたくて適当な店に入り一杯引っ掛ける。とても甘くてワインより強そう。
オビドスを発つ前に1本購入した。中には、さくらんぼが丸ごと入っているものもあった。 -
お風呂に入って一休みした後、再び一人で街に出る。祖母は既に着替えてベッドで休んでいたので「帰ったとき眠っていると悪いから鍵をかけて行くね」と言い残し、私はレセプションに鍵を預けた。
しばらく街を徘徊した後、フランスvsギリシャの試合を観るために町の広場へと向かう。広場には、TVとスクリーンが設置されていて、広場に面した店がテーブルと椅子を並べてそこでTV観戦できるようになっていたからだ。
サンドイッチと赤のグラスワインを注文して空いているテーブルに着いた。試合開始後間もなく各テーブルにレシート大の紙が配られた。見るとスコア予想の紙だ。 この試合はあまり点が入らないだろうと思った。多分1点のゲーム。でもどちらが取るか微妙だったので1:1と予想した。紙に記入していると隣のテーブルのおじさんがチラッと覗き込んでいた。
今日のゲーム内容はこれといって特筆するものがなかった。強いて言えばギリシャの主将ザゴラキスの運動量の豊富さとデラスの守備。特にザゴラキスは自陣ゴール前でボールをセーブしていたかと思ったら相手ゴール前に攻めたりしているんだもの。神出鬼没。それに引き換えフランスは全くのいいとこ無しだった。とにかく守って少ないチャンスをものにしたギリシャの勝利。結果は0:1。やはり1点勝負だった。
試合後、紙をシャカシャカ確認しているような音が聞こえたけど何も起きなかったので皆予想が外れたのかな。当たっていたらどうなっていたのだろう? -
店の男の子に「勘定をお願い」と手で合図した。待っている間ボーッとスクリーンを眺めていたら、隣のテーブルのおじさんから「何点って書いた?」と聞かれた。
「1:1。あなたは?」
「6:0でフランス。大ハズレ」と言って笑った。
「あいつは0:2でギリシャが勝つって予想してたんだ。あいつはサッカーの専門家さ」。
私に話しかけてきた男性は40代半ばくらい、従兄だという連れの男性はもう少し年上に見えた。名前を聞いていなかったので話しかけてきた方をAさん、彼の従兄をFさんとしよう。
Aさんはその後何度も「あいつは英語の専門家だ。音楽の・・・」とFさんを大層な専門家に仕立てていた。Aさんは「ガハハ」と笑うような陽気な性格、Fさんはそれを笑って聞いている穏やかそうな人だった。
「今日の試合はつまんなかったね」。
「うん。昨日リスボンでポルトガルとイングランドの試合を観てきたけど、それはすっごく面白かったよ!!」
「えっ、俺らもその試合観にいったよ。日曜日はポルトで観戦する予定なんだ」
「え〜!私もポルトに行くよ!!」
お互いフットボール好きということが分かって、こっちのテーブルに来ないかと誘われた。普段は警戒心が強いのでありえないことなのだけど、久しぶりのフットボールファンとの出会いでもっとおしゃべりしたかったので彼らのテーブルに移った。
Aさんは度々「俺の英語、ひどくてごめんな」と言っていたけど、それはお互い様だった。それでもかなりおしゃべりは続いた。 -
1時間近くおしゃべりした後、店を出ようということになり、店の人にお勘定を払おうとしたら「もう貰ったよ」と言われた。きっとさっきAさんが席を離れた時に払ってくれてたんだ。御礼を言ってセーターを返して帰ろうとしたら「まだいいじゃないか、次の店に行こう」とバーへ。
バーで何度目かの「カンパイ」をして時計を見ると23時になったところだった。もう帰らないと。「もう少しいいだろう」というAさんに「部屋でおばあちゃんが待ってるから」と断り、走ってホテルに戻った。
レセプションには誰もいなかった。呼び鈴を鳴らしても奥の部屋を覗いても誰もいない。嫌な予感がした。
客室に通じる廊下の入り口の扉を開けると予感が現実であることを悟った。祖母の甲高い喚き声が響いていたのだ。部屋の扉の前に立ち、前に3人(中年の男女と若い男性)のホテルマンを並べ「うちの孫が帰ってこないのよ!」と。
ホテルの人たちは日本語が分からないので神妙な面持ちで立ち尽くしていた。私がひょっこり顔を出すと一瞬静まり返った。
「あんた!こんな時間までどこに行ってたの!」
ホテルの女性は少し安堵の表情を見せ「おばあちゃんはお腹がすいて何か食べたいのかしら?」と私に聞いた。祖母は「もう少しで警察を呼んでもらうところだったんだから!」とわめいた。
「すみません、私が帰るのが遅かったから・・・おばあちゃん、ごめんね。部屋に戻ろう」と言うと、若い男性ホテルマンが「広場のフェスタに行ってたんだよね」とフォローしてくれた。
祖母を部屋に帰し、レセプションに戻る彼らを追いかけてもう一度謝ると「何も気にすることはないですよ」と口をそろえて言ってくれた。それでも申し訳なさそうな顔をしていると「広場のフェスタに行ってたんだよね」と再び彼がフォローを入れた。
「遅くなるかも」と言ってたのに。昨夜は0時ごろ帰っても平然としていたのに・・・。祖母の感覚からすると「こんな小さな町は行くところがないから遅くなるはずがない。大きな街は人が多いから安全」なのだそうだ。
あと10分帰るのが遅かったらと思うとゾッとしたが大した騒ぎにならなくてよかった。と思うことにした。
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