フィンランドの素朴なアートと夫婦愛!
- 5.0
- 旅行時期:2010/06(約16年前)
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by marimiさん(女性)
ヨエンスー クチコミ:7件
北カレリアの小さな町リエクサから車で20分ほど。
湖に面した小高い丘にある、彫刻家エヴァ・リューナェネンのアトリエ「パーテリ」は夏季のみの営業ということで、フィンランド人の言う夏月(ケサ・クー=6月)に行きました。
入口にあるカフェでまず一服とコーヒーを注文したら、生前のエヴァを知る支配人の方が日本の建築雑誌を見せてくれました。なんと表紙がここに建つパーテリの教会。さらに一緒に持ってきてくれたのは、日本人カップルがここで結婚式を挙げたときのアルバム。驚きでした。
教会は晩年のリューナネン夫妻が自力で建てたもの。自然のままに見える大木をつかった構成と、前面の大きなガラスに映る森と青空がいかにも北欧の建築といった趣。
エヴァの作品のある場所は美術館というより、生前のリューナネンのアトリエそのままなので、いい意味でフィンランドらしいゆるさがあります。
アクセスは悪いけれど、ヨエンスーでレンタカーを借りて北カレリアを周るといいかもしれません。
以下、この訪問のあとに書いた自分の取材記の一部を加工の上、挙げておきます。ご参考まで。
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エヴァ・リューナェネンは1915年生まれ。19歳でフィンランド芸術アカデミーに入学、40年に学位を取得するが、折悪しく世界大戦の最中。従軍民間看護婦として働くなか伴侶パーヴォと出会い、終戦後結婚。その後は現在パーテリの位置に農園を拓いた。農作業の合間に制作を続け、74年ヘルシンキでの個展以来、世に認められた遅咲きの芸術家である。
自然な立ち木の痕跡をそのままに優しい風合いで彫り上げる作風は、美術館のホワイトキューブの中よりも、森の中のほうが似合う。実際70年代、美術界が小難しいモダンアートに流れる中、彼女の作品を支持したのは一般の人々たちだった。
飾り気のない作風そのままに愛された彫刻家は01年に86歳で没すると、追うように3ヵ月後パーヴォも亡くなった。今はパーテリの庭の墓標の下にふたり仲良く眠っている。
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ちなみに、アトリエの名前「パーテリ」は夫パーヴォの幼少期の愛称で、現在は地名にもなっています。
このあとヨエンスー市内でエヴァの作品を偶然にもいくつか見ました。いずれも人が集まってくつろぐような場所にあって、自然で優しく親しみある作風にマッチしているように見えました。
- 施設の満足度
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5.0
- 利用した際の同行者:
- 友人
- 観光の所要時間:
- 半日
- アクセス:
- 3.0
- コストパフォーマンス:
- 4.5
- 人混みの少なさ:
- 5.0
- 展示内容:
- 5.0
クチコミ投稿日:2012/09/24
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