建物自体は素晴らしく、広々とした廊下を歩いていると王宮の中でも歩いているかのようで思わず背筋が伸びる。逆に客室は狭い上に柄々しいデザインで、いただけない。
特筆すべきは客層とスタッフの質の低さである。
優美な朝食堂にバスローブでやってきてしまう人は数知れず、またその行動を見ていれば、このホテルの客層はどうやら社会的にあまり高い階層ではないことが、自ずと検討がつく。
スタッフの質は論外。同行者の部屋の排水溝が詰まってしまい、修理を依頼し、観光から戻ってきて直ったかどうか聞いたら「直りました」と胸を張っていう。実際は直ったどころか排水溝を開けた形跡もなく、案の定直っていない。再度修理を依頼したら「今から行きます」。当然いつまで経っても来ない。フロントに直接抗議しに行ったが、謝るそぶりもなく、フタッフ一同、偉そうに腕組みしながら「あぁ直しに行かせるから」と言って終わり。余りの対応の酷さにこのあとスタッフと激しく口論になり、「こんなホテルにはもう1秒たりともいたくない!」とそのまま荷物をまとめて出てきたほどである。
とはいえ、あの排水溝事件がなかったら、ここまで悪印象はなく、「落ち着かない部屋でスタッフもヤル気ないけど、建物はさすがに豪華だった」という感想に留まっていたと思う。
要はこのホテル、日本でいうならまさに『団体御用達の豪華温泉旅館』なのである。建物は派手で豪華だが、サービス・客層・スタッフ、いずれも大衆向けのそれであり、過度な期待は禁物ということ。 その割には料金が高いので思わず勘違いしてしまうが、これは建物代と場所代なのだと割り切っておかねばならない。