”仰高門”は、幕末期に新撰組の一員であった”斎藤 一”が晩年に看守を務めていた総門です!
- 4.0
- 旅行時期:2020/12(約5年前)
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by hiroさん(男性)
御茶ノ水・本郷 クチコミ:13件
『湯島聖堂 仰高門』は、1690年(元禄3年)に儒教の教えを学問の儒学として重んじていた徳川幕府・第5代将軍「徳川綱吉」の命により、儒学の更なる振興を図ることを目的に儒教の創始者「孔子」と儒教の先哲を先師・先聖として祀る「孔子廟」とあわせて「学問所」施設として創建された『湯島聖堂』(現:文京区湯島1丁目)の総門となります。
ちなみに総門の名前の由来は、孔子がどんな人物かと尋ねられた弟子の顔回が答えた内容「先生は仰げば仰ぐほど高さを増す素晴らしい人です」を引用したといわれています。(「論語」子罕第九による”顔淵喟然歎曰、仰之彌高、鑽之彌堅”)
そのほか『湯島聖堂』が創建したことにより、江戸時代初期の徳川幕府に仕えていた朱子学派の儒学者「林 羅山」が私邸内に開設していた私塾「忍岡聖堂」(現:上野恩賜公園内)が『湯島聖堂』に移転となり、『湯島聖堂』が林家の学問所(私塾)となっています。
儒教については、世界の偉大な思想家「四聖人」のひとりに数えられ魯国・昌平郷(現:中華人民共和国・山東省曲阜市)の地に誕生した「孔子」(生誕:紀元前552年頃・死没:紀元前479年)が唱えた「五常」の徳目「仁・義・礼・智・信」を守ることで「五倫」とされる「父子・君臣・夫婦・長幼・朋友」の関係を維持するなど武力による支配を批判し、上下の秩序を守り徳によって政治をおこなうといった思想が含まれ、「孔子」が弟子たちと交わした問答が「孔子」の死後およそ400年の歳月をかけて「論語」として編纂されています。
日本国内においては、仏教の信仰にあわせて僧侶のたしなみとして儒教の思想が日本国内に浸透し、江戸時代を迎えると学問の儒学として捉えられるようになっています。
徳川幕府・第11代将軍「徳川家斉」の時代である1797年(寛政9年)になると林家の学問所(私塾)から徳川幕府直轄教学機関となる「昌平坂学問所(通称:昌平校)」が設立され、その2年後の1799年(寛政11年)になると敷地を拡大して各施設の大規模な改築工事が執り行われています。
当時の『湯島聖堂』全景が1836年(天保7年)に刊行された江戸府内とその近郊(武蔵)の地誌となる「江戸名所図会・5巻(14冊)」に『聖堂』として鳥瞰図を用いて紹介されており、各施設の配置などが現在と変わらない様子がうかがえます。
明治時代を迎えると明治政府の「官立・昌平学校」となるものの1871年(明治4年)に閉鎖となり、文部省が設置され「近代教育発祥の地」として近代教育の原点となる施策などが講じられるようになっています。
また、幕末期に新撰組の一員として活動していた「斎藤 一」が晩年の1894年(明治27年)からの約4年間を当時「東京高等師範学校附属東京教育博物館」(現:国立科学博物館)となっていた『湯島聖堂』の看守(守衛長)を務めており、『仰高門』脇の門衛で勤務していたといわれています。
大正時代を迎えると『湯島聖堂』は、1922年(大正11年)に国の「史跡」に指定されますが、その翌年に発生した「関東大震災」により敷地内のほとんどの施設が焼失しており、焼失した各施設は1935年(昭和10年)に鉄筋コンクリート造として再建されたもとなります。
今回は、お茶の水エリアを訪れた際に久しぶりに『湯島聖堂』に立ち寄り、正門出入口となる総門の『仰高門』から敷地内に入り、高低差のある敷地内の石段を上り「大成殿」(正殿)前に広がる石畳の「前庭(広場)」までいきました。
以前にも数回に渡り『湯島聖堂』に立ち寄っていますが、静寂でどことなく異国を感じる敷地内に入ると都会の中にいることを忘れ現代社会と切り離されたような誰もいない空間の中で時の経つのも忘れて立っていると時空を超えて雑念が洗い流されたような清々しい気分となり、機会があればまた立ち寄りたいと感じるお薦めのエリアです。
そのほか敷地内は見どころも多いですが、土曜・日曜・祝日など限定で正殿である「大成殿」内部が公開されますので、『湯島聖堂』が初めての方は「大成殿」内部が公開される日にあわせて立ち寄ることをお勧めします。
- 施設の満足度
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4.0
- 利用した際の同行者:
- 一人旅
- アクセス:
- 4.0
- JR:御茶ノ水駅・東京メトロ:新御茶ノ水駅から聖橋を渡ってすぐです。
- 人混みの少なさ:
- 4.5
- 平日の午後に立ち寄りましたが、数名の人とすれ違うだけでした。
- バリアフリー:
- 2.0
- 敷地内は高低差があり石段があります。
- 見ごたえ:
- 4.0
- 日本の寺院とは異なりどことなく異国を感じさせる静寂な空間です。
クチコミ投稿日:2021/08/29
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