最高のネタとおもてなし
- 5.0
- 旅行時期:2020/12(約5年前)
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by サバ~イ@元ツアコン上から目線さん(女性)
恵比寿・代官山 クチコミ:4件
恵比寿駅から線路沿いに緩やかな坂を上って3分ほどのビルの2階に位置する、まだオープンして間もない鮨店。
階段を上ると木の引き戸。
厳かな気分で戸を開けると、まるでギャルソンとセルヴールのような2名のスタッフが丁寧に出迎えてくれる。
さすがオープンしたばかりとあり、店内は清潔が保たれ、白木の温もりがが心地いい。
左右に余裕を持たせたカウンター席は、ゆったりとくつろげる。
まず目に入るのが、カウンターの中央に置かれている木製冷蔵庫。
江戸の蒔絵が施され、まるで桐箪笥のような冷蔵庫は、魚介の鮮度を保つために電気を使わずに氷で冷やしているという。
かなりの希少価値があるものだそうで、店内の設計はこの冷蔵庫を置いてから作ったと言うのだから、素材へのこだわりがひしひしと感じられ、これから食することになる鮨への期待を高めてくれる。
メニュー3種類から、予約していたおまかせコースを。
全23品ほどの握りや料理のコースだ。
ファーストアルコールはChampagne、ドゥラモット ブリュットで。
ビールやサワー、果実酒、ワイン、ウイスキー、焼酎、ノンアルコールなどあり、メニューにはないが数多くの日本酒を揃え、好みに合わせてチョイスしてもらえる。
まず最初に、大間のマグロを使ったトロ巻きが供される。
有明こんとび海苔を使ったそれは、海苔のおいしさ、赤酢のシャリを先ずは味わってほしいという。
なるほど、1口ほおばるとダイレクトに海苔の旨みが舌に伝わり、トロの甘み、シャリの僅かな酸味と混ざり合って絶妙の旨味。
一口ずつゆっくりと味わいたくなる、感動的な巻物である。
ぷっくらとした丸みと艶を帯びたものに、鮮やかなオレンジ色の雲丹を乗せている先付けが、カウンター越しに見える。
てっきり白子かと思えば、胡麻豆腐であった。
朝練って作られたと言う胡麻豆腐は、匙を入れると跳ね返してしまうほどの弾力。
濃厚な胡麻の風味と雲丹の甘みの2つを、一度に堪能できる贅沢な逸品。
出汁も鰹の風味がかなり良く、美味。
三重県 鳥羽のさわら
藁でスモークしたさわらは、香りが逃げないようにとラップに包んだものを見せていただいたが、カウンター越しでもその香りの良さといったらない。
程良い厚みの切り身には、これまた燻製させた土佐醤油がかけられ、ネギと生姜を叩いた鮮やかな緑色のものが、ちょこんと乗っている。
香りの良さも楽しめるが、薄い桃色をした血合いを持つ切り身は、さわらの新しい旨味を堪能できる。
羅臼の無洗白子
自家製のポン酢でいただく白子は、冷ではなく温。
とんでもなくねっとりとした濃厚白子は、言葉を失うほどの旨さだ。
ポン酢は酸味が抑えられ、出汁を効かせているので飲めるほどで、ちょっとランクの高い和食店さながらのこだわりが垣間みられる。
宮城の海凧
生きている蛸を1時間ほど蒸して煮たというだけあり、非常に柔らかいが、わずかにタコの食感も残っている。
品のいい味付けだ。
千葉 勝浦の金目
生ではなく、ほんの少し火で炙られている握りは、皮の香りがとてもよく、脂のうまみも引き出されている。
なかなかこんな脂ののった金目の握りは、食べることができないだろう。
千葉産の墨烏賊
塩がパラリと振られ、すだちの香りがとても良い。
これがなかなか今までにないような、柔らかだが歯応えある食感。
烏賊の常識が覆されるかのよう。
大分のかます塩焼き
本来はここで牡蠣らしいが、牡蠣アレルギーのため、最初に食材変更していただいた。
表面がカリカリと焼け、ほくほくとしつつ、ねっとり感もある身は厚みがあって美味。
塩加減も絶妙だ。
茶碗蒸し
蟹がたっぷりと入ったあんかけ茶碗蒸しは、熱々で供される。
鰹風味の出汁が舌に優しく、非常になめらか。
お待ちかね、好物の鮪は大間の181キロ鮪だ。
中トロ、大トロ、赤身の漬け、トロの4種類が供され、それぞれの持ち味を十分に堪能できる。
漬けは柚子の香りがよく、大トロはわさびで味が引き締まり、甘みのある余韻が楽しめる。
とりわけ気に入ったのが中トロ。
酢飯と混ざり、時間が経つほどにどんどん甘みが増していく逸品だ。
佐賀のこはだ
肉厚はこはだは、甘みが後からぐんぐんと押し寄せる。
明石の真鯛
昆布〆にした白身が美しい真鯛は、とても良い歯ごたえで、こちらも噛みしめるほどに昆布の甘みと相まって、素材本来の甘みを楽しめる。
長万部のホッキ
切り身をまな板に強く叩いて見せてくれるパフォーマンスでは、まだホッキが動いている様子が楽める。
火で炙ったホッキはとても香ばしく、コリコリとした食感。
北海道産にしん
にしんが、生でいただけるのはかなりレア。
美しい薄朱色と艶を放つネタは、食べずとも脂のノリが良いことがうかがえる。
大分の車海老
全長20センチ近くあるのではないかと思われる大きな車海老は、味噌が忍ばせてある。
この味噌のほろ苦さがとてもよく、海老の旨味を大人の味わいにランクアップさせてくれている粋な握りだ。
いくらの小丼
ご飯の上に、たっぷりの光り輝くいくら。
とんでもなく濃厚かつ、しっかりとしたいくらは、ご飯と一緒にいただくとまるで上質すぎる卵かけご飯のよう。
いくら好きにはたまらない。
根室の雲丹軍艦
この軍艦が面白く、『雲丹は好きですか?』との大将の問いに『好きです』と答えること3回。
答えるたびに軍艦に雲丹が上乗せされていくというパフォーマンス付きなのだ。
こういう気さくなやり取りも気取りがなく、とても良いサービス。
雲丹は鮮やかな橙色を放ち、みずみずしさ、爽やかさ、良質な雲丹独特のねっとり感の三重奏。
いや、海苔の旨みも加わって、口福な四重奏。
1口でほおばるのは、最高のひととき。
対馬の穴子
塩と柚子、ツメの2種類でいただける。
ほわほわとした食感と、とろりととろける食感の極上穴子は、言葉をなくすほどの美味しさだ。
巻き物
芯は残した胡瓜の桂むきという職人技を生かした千切りが巻かれた河童は、野菜本来の旨味とシャキシャキ感がとてもよく、さらに忍ばせている白胡麻のの風味もいい。
映えるようにと千切りが巻物に刺さり、植木のような、花瓶に生けた花のようなフォトジェニックさも、イマドキの粋な計らいだ。
干瓢巻はしっかりと味が染み込み、干瓢の噛みごたえがしっかりと感じられるのもいい。
こんなにおいしい干瓢を食べたの初めてだ。
止め椀は、しじみの赤だし
しっかりと濃いしじみの味が堪能できる椀。
玉
表面はクレームブリュレのような艶のある焦げ目がつき、口の中でとろける濃厚な玉は、これまで寿司店で食べている玉とはまるで違い、まるでスイーツのような美味しさ。
濃厚なカスタードプリンと言う形容が正しいだろうか。
お腹に余裕があれば、自家製抹茶アイスクリームを出してくれるというサービスもとても良い。
静岡の玉露茶もとてもおいしいが、このアイスクリームもしゃりとした食感を残し、甘ったるくなく濃すぎず、締めのデザートにふさわしい逸品だ。
シャリは小さめにしていただいたが、かなりお腹が苦しくなるほどのボリュームと質の良さから、かなりコストパフォーマンスが良い。
鮨店にしては照明も明るく、大将とのテンポの良いおしゃべりも楽しめ、非常に心地よく過ごせた。
新しいながらもサービスも行き届き、きちんとおしぼりを変えてくれたりするタイミングも良い。
初めてながらも丁寧なお出迎えとお見送りなど、きめの細かいサービスで、カウンターでの鮨というハードルの高さが払拭できる優良店かと思われる。
- 施設の満足度
-
5.0
- 利用した際の同行者:
- 友人
- 一人当たり予算:
- 10,000円以上
- 利用形態:
- ディナー
- アクセス:
- 4.5
- コストパフォーマンス:
- 4.0
- サービス:
- 5.0
- 雰囲気:
- 4.5
- 料理・味:
- 5.0
- バリアフリー:
- 4.5
- 観光客向け度:
- 4.5
クチコミ投稿日:2021/01/30
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