大連再訪

2019/04/19 - 2019/04/22

2019.04.19（大連旅行）
成田13:25発の中国南方航空CZ0630便にて大連へ。　大連出身の馬さんに案内して貰って以来8年ぶりだが（その時は撫順訪問が最終目的）、今回はグループツアーでの観光。　飛行機は満席で3時間のフライト。　通関を終えると到着ロビーに現地添乗員が出迎えてくれていた。　合計23名のグループで早速バス30分で最初の訪問地である大連市街にある旧満鉄本社ビルに到着。　亡き父は満鉄社員だったが勤務地は羅津局で遥か遠方のため、本社を訪れる機会はなかったと思われるが何故か懐かしさを覚える。　8年前には歩道に設置されていた満鉄マークの入ったマンホールの蓋が見当たらないので、添乗員に確認すると今は博物館の中に移動されているそうだ。

エリア 大連(中国)

• 旅行の満足度: 3.5
• 観光: 3.5
• ホテル: 3.5
• グルメ: 3.0
• ショッピング: 3.0

• 同行者: 家族旅行
• 一人あたり費用: 5万円 - 10万円
• 交通手段: 観光バス
• 航空会社: 中国南方航空
• 旅行の手配内容: ツアー（添乗員同行あり）
• 利用旅行会社: 阪急交通社

餃子料理の夕食後中南路の大連泰達美爵酒店（Grand Mercure Teda Dalian）にチェックイン。　他のツアー客がオプショナルツアーの夜景観賞に行っている間にホテル近くを散策してみると、コンビニ2軒、スパーマーケット1軒を見つけた。　先ほどの夕食会場で飲んだ25元のビールが5元だった。　

2019.04.20（大連旅行）
バイキング朝食のあと、8時半にホテルを出発しバスで南へ15分で老虎灘（ろうこたん）に到着。　4kmの海岸線と断崖絶壁の岩場により形成された景勝地で、前回乗船見学した中国海軍の軍艦がいまも停泊展示されていた。　さらに西へ10分で北大橋。　大連市と姉妹都市である北九州市が1987年に共同出資し建設した鉄筋コンクリート製の長さ230メートルのアーチ橋。　8年前ここで貝のお土産を買ったことが思い起こされた。

黄海を左手に臨みながら、海岸線まで迫った崖を切り開いたアップダウンの激しい道路を西に15分走れば全長6キロの星海湾大橋。　右手海の向こうには海星公園が微かに見える。　橋を渡れば30分で旅順市街との説明だったが、桜祭り見学客の車などで渋滞が発生し1時間以上かかってやっと旅順駅へ到着。　1899年にロシアが港から資材などを運搬するためこの地で駅の建築を始め1900年に完成、1903年に営業開始されたといわれている。　また多くの歴史的な人物が利用しているそうだ。　1909年暗殺される1週間前に訪れた伊藤博文。　同年、夏目漱石。1928年には与謝野晶子と鉄幹夫妻など。

郷土料理の昼食の後、旅順博物館へ。　1917年に日本が満蒙物産館として建築し、その後博物館として利用された。　青銅器や仏像、陶磁器、書画などの展示が中心。　明治時代の探検家、大谷光瑞がシルクロードで収集し寄贈した唐三彩や、トルファンで発掘されたミイラも見ることができるがミイラは撮影禁止。　その後博物館の真向かいにある、旧関東軍司令部を見学したが、内部は改修の為立ち入り禁止となっていた。　そのあと、男装の麗人として知られる川島芳子旧宅見学。

次は203高地へ。　1895年日本は下関条約により清国より遼東半島を割譲されたが、直後の三国干渉により南下政策をとるロシアに旅順・大連の借地権を奪われ対立を深めてゆき1904年～1905年の日露戦争へと発展していった。　当初日本軍は203高地を重要視していなかったが、2度にわたる旅順要塞攻撃の失敗、ロシア・バルチック艦隊出撃の報を受け旅順艦隊殲滅を優先すべしとの海軍側からの要請等により第3軍司令官乃木希典は1904年11月28日に攻撃を開始しロシア軍との一進一退の激戦となったが12月5日に陥落させる。　旅順攻囲戦での戦死者は、日本軍約15,400名、ロシア軍約16,000名ともいわれている。　乃木希典の次男・保典も203高地で戦死している。　駐車場から徒歩30分標高203㍍の山を登り切れば、爾霊山（にれいさん＝お前の霊の山）の忠魂碑が建ち旅順港が一望できる。　当時はハゲ山だったそうだが、今は草木が繁り激戦の様子を想像するのは難しい。　ただ目の前に広がる旅順港の同じ景色を占領後の兵士たちも見たのだと思うと感慨深い。　周辺には多くの桜が植樹されており旅順桜祭りの会場となるなど、いまは桜の名所ともなっている。

バスで東へ20分で東鶏冠山北堡塁（とうけいかんざんほくほるい）に移動。　海抜119mにあるロシアが日本軍の防御の為に建設した堡塁であり、ここも日露戦争の激戦地である。　1904年8月21日、日本軍第11師団はここから攻撃し始めたが攻め落とせず、坑道爆破という方法で堡塁に接近した。　そして12月15日にロシア軍の陸軍防御司令官コントラチェンコ少将がこの堡塁の会議室で砲撃爆死されてから、ロシア軍の抵抗が弱くなり、12月18日、日本軍がこの東鶏冠北堡塁を占領したといわれている。　堡塁廻りの構造がそのまま残されており、壁は砲弾・銃弾の弾痕が無数にあり戦闘の激しさを伝えていた。

バスで1時間かけて大連市街にもどり、レストランにて春餅料理の夕食。　途中路面電車乗車体験。　運賃はどこまで乗っても1元だそうだ。　バスも同じだが、冷暖房付のバスは2元とのこと。　他のツアー客がオプショナルツアーの雑技団鑑賞に行く間、ホテルからタクシーに乗り魯迅路の家乐福（カルフール）でショッピング。　妻の習いたての中国語でもなんとか用は足りた。　不足分は筆談にて済ませる。　タクシー代は片道10元。

2019.04.21（大連旅行）
バイキング朝食を取ったあと、八時半にホテルを出発しバス移動10分で南山地区旧日本人街へ。　嘗ては満鉄幹部らの居住地区であったが、いまは地元富裕層の別荘が多く、閑静な高級住宅街となっている。　8年前に見た光景と変わっていない。

さらにバスで北西に5分移動すれば、旧満鉄病院（現大連大学付属中山医院）。　1907年に創設され設備規模とも東洋一と言われたそうだ。　当時日本人が設計、施工した建物は今でもほぼすべてがそのまま使われている。　当時の病室の雰囲気を伝える医療器具や満鉄マークの入ったマンホールの蓋なども展示されていた。

さらに南西に5分移動で、中山広場（直径213mの円形広場）。　ロシアは1898年に遼東半島南端を租借すると、パリに倣った多心放射状街路を持つ都市「ダーリニー」の建設を開始した。　しかし日露戦争までの僅かな期間に完成したのは北部の行政市街（現在の旧ロシア人街）だけであり、1904年5月日本軍はダーリニーを占領したあと1905年1月に大連と改称し、またニコライェフスカヤ広場は大広場へと改称された。　現存する10棟のうち7棟が日本人建築家による設計であるそうだ。　大連大和ホテル（現大連賓館）と横浜正金銀行（現中国工商銀行）の建物が特に有名だが大和ホテルは現在改修中で中には入れなかった。

中山広場から北に5分で大連港。　満鉄が建設した第二埠頭船客待合所は数年前から見学禁止となっているそうで、近くの埠頭を見学。　同じツアー客の中で、終戦後奉天（現瀋陽）より大連に移送され、アメリカ軍艦に乗船し舞鶴に引揚げたという老人がいた。　当時3歳であったというが、引き揚げ時の記憶は残っているそうだ。　幼い子供にとっても鮮烈な体験であったのであろう。　私の両親は撫順から葫蘆島経由で佐世保（博多の可能性もある）に引き揚げてきたが、当時の苦労を改めて想像してみた。　

市街に戻って、旧ロシア人街へ。　1898年に租借したロシアが、街造りの先駆けに建造した官庁街の跡。　2000年に観光ストリートとして整備され洋館が色鮮やかに修復されたそうだ。　ロシアみやげを扱う露店が立ち並び、多くの旅行者で賑わう。

飲茶料理の昼食のあと大連市街から北東方向へ30㌔離れた金州へ40分かけて移動。　道路沿いにはアカシアの木が立ち並んでいる。　金州は嘗ては城壁に囲まれた街であり、日清戦争後日本軍も提督府の建物を兵士の宿舎として使っていたようであるが文化革命ですべて破壊されたそうだ。　その後提督府は修復され、正岡子規の　｢金州城にて　行く春の酒をたまはる陣屋哉｣　の句碑が裏庭に設置されている。　子規は1895年日清戦争の従軍記者で一か月金州・旅順を回っているそうでその時に作られた句のようだ。

さらにバスで10分で郊外にある南山古戦場跡へ移動。　山というより小高い丘を登る。　　ここも日露戦争で激しい戦いがあった場所だそうだ。　日本軍は4千名以上の戦死者をだして攻略した。　乃木将軍の長男・勝典はこの戦いで戦死している。　乃木はその報を広島で聞いたが、後に南山を訪れ戦死者を悼んで漢詩を残した。　

山川草木転荒涼　（さんせんそうもく　うたたこうりょう）
十里風腥新戦場　（じゅうり　かぜなまくざし　しんせんじょう）
征馬不前人不語　（せいばすすまず　ひとかたらず）
金州城外立斜陽 （きんしゅう　じょうがい　しゃようにたつ）

その詩碑も文化大革命で破壊され石組みが残っているだけであった。

バスで大連市街に戻り、他の客がオプショナルツアー満鉄博物館見学・市場散策に行く間、ホテルからタクシーで大連駅へ。　上野駅をモデルにしたといわれており、8年前に馬さんとこの駅から4時間かけて瀋陽まで列車で旅した記憶が蘇る。　駅前広場の地下は凯旋商城と呼ばれるショッピングモールとなっており馬さんの交渉で、妻が小物を買ったことも思い出した。　妻の中国語力では交渉は困難なので今回はウィンドウショッピングに徹する。

ツアー提供の四川料理の夕食の後、自腹でホテル内の日本料理店で軽く日本食体験。　刺身類は避けたが、料理の味付けは悪くはない。　特に海老の塩焼きは美味しかった。　ツアーの食事会で注文した25元のビールがここでは15元だった。　従業員の日本語は流暢とは言えないがほぼ問題なし。　支払いは妻のJCBカードで行おうとしたが、その店では取り扱っていないとの説明。　それではと代わりに私の VISA カードで支払おうとしたが、何故か機械に拒否された。　手持ちの元では不足するので、困惑していたら20％割引すると言ってくれたがそれでも足らない。　最後は不足分は日本円での支払いで勘弁してもらった。　

翌日(4.22)、早朝ホテルをチェックアウトし大連空港へ。　中国南方航空チェックインカウンダ―でトラブル発生。　私のパスポートに中国入国押印が確認できないとのこと。　暫く待たされた後、殆ど肉眼では見えないような微かな入国押印が確認できたといわれてようやくチェックイン完了。　無事船橋の我が家へ戻ったのは午後3時過ぎであった。　お疲れさまでした。

この旅行記へのコメント （4）

• 茂作さん 2019/05/19 15:55:22

  満鉄特急「あじあ号」

  いままでは一般公開はされていなかったのですね。　貴重な情報ありがとうございます。

• 出張が多かった小旅人さん 2019/05/19 11:16:08

  「あじあ号」の最新情報です

  お節介だと思いますが、あじあ号の最新情報だと思いましたので、よろしければご覧ください。
  https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190519-00000018-asahi-int

• 茂作さん 2019/04/27 16:32:56

  満鉄特急「あじあ」を見てみたい

  大連出身の嘗ての部下に案内して貰い瀋陽経由で撫順を訪問したのが8年前。　その後調べたいことがあって、妻と二人だけで訪問したのが3年前。　その土地で私の姉兄が亡くなっていますので、供養もかねて再度訪問したいと考えています。　その時は是非満鉄特急「あじあ」を見てみたいと思っています。

• 出張が多かった小旅人さん 2019/04/27 14:40:59

  NHKドラマ「どこにもない国」ですね

  私の祖父母と母(当時2歳)も引き揚げ者でした。そして奇遇なことに私も一昨年まで瀋陽に駐在しました。その様な事から駐在時は色々思いを馳せ調査していました。
  貴ご両親は奉天(現瀋陽)には買い物に行かれてたと思われますので、旧満州の日本遺産はまだまだありますから、これからも是非！