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右下に濃尾三川、即ち、木曽、長良、揖斐の大きな川筋が蛇行して海に注いでいるのを見ると、機は直ぐにも山中に入り、熊野上空、多分盆地状の縦に細長い小さな町が高野山に違いないが、白い大きな宝塔を確かめる間も無く、再び海上に出る。数年前二日がかりで苦労して登山した吉野八経ヶ岳、大台ケ原なども、上空を飛べばほんの数分で紀伊半島を横断し、山の形など確かめようもない速さだ。どこへ行った時だったか、数年前の飛行では、この泉州沖の和歌の浦や和歌山市街もくっきり見えたが、今日はルートの関係か、海岸線に立ち並ぶ風力発電の白い搭しか見えていない。<br /><br />泉南の海を渡ると、そこはもう四国の高知だ。国名で言えば土佐の国である。今日は機上から高知市もくっきりと見え、市内を流れる大きな浦戸川、浦戸湾などもよく見える。その横に小さな綺麗な砂浜が見える。ああ、桂浜だ。桂浜がこんなに綺麗に見えるのも久しぶりである。尤も、自分自身が久しぶりにしか飛行機に乗らないんだから、久しぶりに見るのは当然のことなのだが・・。<br /><br />この浜で生まれ、この浜で育った坂本龍馬。浜の中央には竜馬の大きな銅像が建っていて、遠く太平洋の先を見据えていた。当時既にジョン万次郎は米国より帰国し、同郷の誼で竜馬も万次郎から米国事情を聴いていたに違いない。日本は遅れてはダメなのだ。開国を急がなくてはならないのだ。それ程幅広の浜辺ではないが、竜馬はこの浜に佇み、時々沖を航行する米国捕鯨帆船を眺めては、そう誓ったに違いない。土佐の郷士、地下人として生まれた彼が、明治開国の起動力の一人となったのも、この浜が海を隔てて、目に見えない形で米国とつながっていて、彼の気宇壮大な心を育んだからに違いない。<br /><br />桂浜を眺め、坂本竜馬に思いを寄せる間も無く、機は四国の海岸線を西行し、四万十川が海にそそぐン中村市、小さな湾の見える土佐清水を通り過ぎると、次は宿毛だ。戦艦大和が沖縄戦に向けて最後の出陣をした宿営地だ。伊東中将以下3000有余名の海軍将兵、乗組員。これからの死出の旅に向かうに付き、彼らはこの愛媛宇和島の山河をどのように見、別れを告げただろうか・・。吉田正の「戦艦大和の最期」が思い出された。<br /><br />はっきり言って、このすぐ下の半島が由良岬なのか佐田岬なのかは、自分には判断がつかない。いずれにしてもこの二つの半島に守られるようにして宇和島がある。シャッターチャンスだ。ブログの知人、竜司さんやらボヘミアンさん、米国在住のKatsuさん等々に、彼らの郷土の空からの眺めをプレゼントできるだろう。彼らは皆仲の良い馬島東の同窓生。70過ぎても高校生の若い気持ちを失わず、交流を続けている。皆、良い人生を送っているのだ。<br /><br />宇和島の町中にある宇和島城。いつか天守閣への野面積みの小径を歩いていたら、真っ白なユニフォームを着た高校生の一団が、掛け声を上げながら、後ろから坂を上ってきた。ユニフォームを見たら、宇和島東野球部と刺繍してあった。天守閣からは眼下の宇和島市内、その先の波静かな宇和海が一望に見えた。湾内を焼玉のポンポン船が波紋を広げて滑っている。ポンポンポン、と小気味よいテンポの音が、あんな遠くの海からこの城まで届いてくる。静かな町、静かな海なのだ。久しぶりに機上から見た宇和海。戦艦大和を思い、ブロ友を思い、又宇和島城を思い出した。

薩摩・大隅500キロの旅(4)空中散歩ー四国編「桂浜・佐田岬」

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2016/12/16 - 2016/12/18

1158位(同エリア1926件中)

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ちゃお

ちゃおさん

右下に濃尾三川、即ち、木曽、長良、揖斐の大きな川筋が蛇行して海に注いでいるのを見ると、機は直ぐにも山中に入り、熊野上空、多分盆地状の縦に細長い小さな町が高野山に違いないが、白い大きな宝塔を確かめる間も無く、再び海上に出る。数年前二日がかりで苦労して登山した吉野八経ヶ岳、大台ケ原なども、上空を飛べばほんの数分で紀伊半島を横断し、山の形など確かめようもない速さだ。どこへ行った時だったか、数年前の飛行では、この泉州沖の和歌の浦や和歌山市街もくっきり見えたが、今日はルートの関係か、海岸線に立ち並ぶ風力発電の白い搭しか見えていない。

泉南の海を渡ると、そこはもう四国の高知だ。国名で言えば土佐の国である。今日は機上から高知市もくっきりと見え、市内を流れる大きな浦戸川、浦戸湾などもよく見える。その横に小さな綺麗な砂浜が見える。ああ、桂浜だ。桂浜がこんなに綺麗に見えるのも久しぶりである。尤も、自分自身が久しぶりにしか飛行機に乗らないんだから、久しぶりに見るのは当然のことなのだが・・。

この浜で生まれ、この浜で育った坂本龍馬。浜の中央には竜馬の大きな銅像が建っていて、遠く太平洋の先を見据えていた。当時既にジョン万次郎は米国より帰国し、同郷の誼で竜馬も万次郎から米国事情を聴いていたに違いない。日本は遅れてはダメなのだ。開国を急がなくてはならないのだ。それ程幅広の浜辺ではないが、竜馬はこの浜に佇み、時々沖を航行する米国捕鯨帆船を眺めては、そう誓ったに違いない。土佐の郷士、地下人として生まれた彼が、明治開国の起動力の一人となったのも、この浜が海を隔てて、目に見えない形で米国とつながっていて、彼の気宇壮大な心を育んだからに違いない。

桂浜を眺め、坂本竜馬に思いを寄せる間も無く、機は四国の海岸線を西行し、四万十川が海にそそぐン中村市、小さな湾の見える土佐清水を通り過ぎると、次は宿毛だ。戦艦大和が沖縄戦に向けて最後の出陣をした宿営地だ。伊東中将以下3000有余名の海軍将兵、乗組員。これからの死出の旅に向かうに付き、彼らはこの愛媛宇和島の山河をどのように見、別れを告げただろうか・・。吉田正の「戦艦大和の最期」が思い出された。

はっきり言って、このすぐ下の半島が由良岬なのか佐田岬なのかは、自分には判断がつかない。いずれにしてもこの二つの半島に守られるようにして宇和島がある。シャッターチャンスだ。ブログの知人、竜司さんやらボヘミアンさん、米国在住のKatsuさん等々に、彼らの郷土の空からの眺めをプレゼントできるだろう。彼らは皆仲の良い馬島東の同窓生。70過ぎても高校生の若い気持ちを失わず、交流を続けている。皆、良い人生を送っているのだ。

宇和島の町中にある宇和島城。いつか天守閣への野面積みの小径を歩いていたら、真っ白なユニフォームを着た高校生の一団が、掛け声を上げながら、後ろから坂を上ってきた。ユニフォームを見たら、宇和島東野球部と刺繍してあった。天守閣からは眼下の宇和島市内、その先の波静かな宇和海が一望に見えた。湾内を焼玉のポンポン船が波紋を広げて滑っている。ポンポンポン、と小気味よいテンポの音が、あんな遠くの海からこの城まで届いてくる。静かな町、静かな海なのだ。久しぶりに機上から見た宇和海。戦艦大和を思い、ブロ友を思い、又宇和島城を思い出した。

旅行の満足度
5.0

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  • 伊勢湾を過ぎると眼下の紀伊半島は瞬く間に通り過ぎ、早くも和歌山の海岸線が見えてくる。

    伊勢湾を過ぎると眼下の紀伊半島は瞬く間に通り過ぎ、早くも和歌山の海岸線が見えてくる。

  • ああ、眼下に和歌山市が見える。

    ああ、眼下に和歌山市が見える。

  • 流石、徳川御三家、大きな城下町だ。

    流石、徳川御三家、大きな城下町だ。

  • 紀伊水道を渡り、早くも機は徳島南部、海部町とか大洋町の直線状の長い海岸線が見えてくる。その左の先端に室戸がある筈だが・・。

    紀伊水道を渡り、早くも機は徳島南部、海部町とか大洋町の直線状の長い海岸線が見えてくる。その左の先端に室戸がある筈だが・・。

  • ああ、高知が見えてきた。半島の付け根の町、室戸市だ。

    ああ、高知が見えてきた。半島の付け根の町、室戸市だ。

  • 室戸岬に続く海岸線が見える。この辺りのお遍路道の幾つかの寺は巡礼したが・・。

    室戸岬に続く海岸線が見える。この辺りのお遍路道の幾つかの寺は巡礼したが・・。

  • ああ、高知市が見えてきた。流石に市域は広い。

    ああ、高知市が見えてきた。流石に市域は広い。

  • ああ、これは高知を流れる浦戸川か・・

    ああ、これは高知を流れる浦戸川か・・

  • とするとこの正面の浜辺は桂浜に違いない。浜は想像していたよりも幅の狭いものだったが・・。竜馬の大きな銅像を思い出す。

    とするとこの正面の浜辺は桂浜に違いない。浜は想像していたよりも幅の狭いものだったが・・。竜馬の大きな銅像を思い出す。

  • 正面のあの黒い小山の上に高知城があったが・・。見えるようで見えない・・

    正面のあの黒い小山の上に高知城があったが・・。見えるようで見えない・・

  • この白浜はどこだろう・・。桂浜は通り過ぎただが・・

    この白浜はどこだろう・・。桂浜は通り過ぎただが・・

  • ああ、この良港は土佐清水だろう・・。

    ああ、この良港は土佐清水だろう・・。

  • 四万十の山が見えてきた。

    四万十の山が見えてきた。

  • ああ、これは西日本で一番高い山、石鎚山だ!

    ああ、これは西日本で一番高い山、石鎚山だ!

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