2016/02/01 - 2016/02/01
4位(同エリア5件中)
botさん
今回は、エスピリット・サント州のビーチリゾート、グァラパリ(Guarapari)について、書いてみます。
※ 旅行時期はダミーです
- 旅行の満足度
- 4.0
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グァラパリの黒砂海岸(Praia de Areia Preta)
グァラパリは、州都ビトリアから約60km、車で一時間程度です。ここも一応、ビトリア都市圏(Região Metropolitana de Vitória)に含まれます。
ビトリアからグァラパリへの道路は、キチンと整備されており、途中のドライブは快適です。 -
黒砂海岸の砂は、所々色が違っています。
グァラパリ海岸 ビーチ
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看板に書いてあった砂の成分を、書き出してみます。
■ 黒色・・・イルメナイト、FeTiO3、鉄酸化チタン
■ 暗い黄色・・・モナザイト(モズ石)、(Ce,La,Nd,Th)PO4、
トリウム・ヘリウムを含有
■ レアアース・・・サマリウム(Sm)、ネオジウム(Nd)、イットリウム(Y)、
ツリウム(Tm)、エルビウム(Er)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)
■ 柘榴(ざくろ)石・・・赤色、A3B2(SiO4)3、
アルミ・鉄・銅・カルシウム・マグネシウム・マンガン含有、
宝石名ではガーネット
■ ジルコニウム(Zr)・・・灰白色、レアメタル -
非常に豊富な成分が含まれています(笑)。特に有名なのはモナザイトです。
グァラパリ(ガラパリ)で検索すると、日本の平均放射能の6倍・10倍とか出てきます。モナザイトはトリウム(Th)を含むため、放射線物質です。 -
自然放射能では、イランのラムサールに次いで、世界で二番目に高い地域だそうです。
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この高い放射能のお陰で、健康を回復したい人のための保養地となっているようです。
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海岸に寄せるように、アパートが立ち並んでいます。ビトリアからここまで来る間に、綺麗そうな海岸がたくさんあったのに、なぜかグァラパリでは狭い地域に集中して建物が建っています。
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一応観光名所の、ラジウム・ホテルの廃墟
写真は無いのですが、ちょっと裏道に入ると、日本の温泉街に来たような感覚に囚われます。これも狭い地域に密集して建物が建っているのが、理由ではないでしょうか。 -
黒砂海岸と隣り合う、カスタネイラス・ビーチ(Praia Castanheiras)
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心なしか、普段訪れるビーチより老人が多い気がします。老人には放射能が効きそうですよね。
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あっ、でも若い人も十分多いですよ。
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福島事故の風評被害で、一時期客が減ったと言われていました。しかし訪れた時は、観光客で一杯でした。
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グァラパリにはもう一つ、隠された顔がありました。それは歴史に纏わる話です。
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モナザイトが豊富だと書きましたが、1887年から1945年まで8万5千トンと統計上、二位のインドとは僅差でしたが、ブラジルは世界最大の産出国でした。
違法な産出もあったため、実際は統計の二倍程度と考えられています。 -
ブラジル沿岸部からは、モナザイトを含む砂が1889年から1951年まで、合法違法を含めて20万トン採取されたと推計されています。
グァラパリは、その主な供給源でした。 -
モナザイトにはトリウムが含まれます。トリウムはガス灯の発光体である、ガスマントルの材料などとして使用されました。
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第2次大戦期、アメリカは原爆を開発すべく、マンハッタン計画を立ち上げました。
トリウムに中性子を吸収させると、ウランの同位体の一つである、ウラン233が生成されます。 -
マンハッタン計画で作られた広島型原爆には、違う同位体であるウラン235が使用されました。ウラン235は天然ウランから精製されます。
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グァラパリのセントロから橋を渡ったところにある、大きなモッホ・ビーチ(Praia do Morro)です。
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モッホ・ビーチのカジキ像の向こうには、先ほどのグァラバリのセントロ付近の建物が見えます。狭い地域に、建物が密集しているのが解ります。
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トリウムから生成したウラン233でも、原爆の材料として使用可能です。
しかし一つ欠点があります。それは、ウラン233の生成と同時に、ウラン232が生成されてしまいます。232の方は自然に崩壊して、強いガンマー線を出してしまうのです。
233と232を分離精製して、233だけを兵器にすることは困難だけど可能です。 -
実際はアメリカは、1955年からのオペレーション・ティポットで、プルトニウムと混ぜたウラン233で、核実験を実施しています(実験名MET)。
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その時に使われたトリウムは、グァラパリ由来のものだと言われています。
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そして第二次大戦後、ブラジルでも原爆の研究が行われた強い疑いがあります。
今回はちょっと重い話だったかも・・・。
最後にアメリカで行われた、オペレーション・ティポットのMETの動画を貼っておきます。
https://youtu.be/wdORlFLUX9k
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この旅行記へのコメント (2)
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- Mauricioさん 2016/02/13 23:20:39
- サンタカタリーナ州ラーモス移住地
- botさん、Bom dia
サンタカタリーナ州ラーモス移住地に平和資料館があります。
「長崎平和の灯」が分灯され、ラーモス移住地でも平和の灯火が燃え続けています。
日伯120周年を記念して長崎から運ばれました。
原爆移民ではありますが、リンゴ生産にてブラジル一でもあります。
移民悲話の中の1ページです。
前県連会長と仲間たちの一員です。
Mauricio
- botさん からの返信 2016/02/14 00:10:41
- RE: サンタカタリーナ州ラーモス移住地
- Mauricioさん
こんにちは!
ラーモス移住地は、Governador Celso Ramos のことですか?。
凄く良いところにありますね。
数日前に、近くを通ったばかりです。
最近レアルが安いので、アルゼンチン人が大挙して、サンタカタリーナに押しかけていました。
そうですか、いろいろな歴史があるようで、勉強になります。
メッセージ、ありがとうございます。
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